洋服の裁断方法のちょっとしたコツやポイントなどを書いてみたいと思います。
洋服を縫うためには裁断という工程から入ります。
この裁断という工程は意外と厄介なのです。洋裁経験者でも裁断を苦手と言う人は結構いるのではないでしょうか。
私など裁断が終わったら洋服完成の60%まで進んだ気持ちになってしまうくらいです。
裁断は裁断に入る準備で生地の特徴を理解します。そして型いれをして裁断し、印の必要なパーツは印をし、接着芯を貼るパーツは粗断ち裁ち直しという工程を踏まえてなどなど時間を要します。
さらに裁断時は常に頭がフル回転しているのです。
既製服のサンプルの裁断をする時などは、デザイン画を見て、仕様書やパターンをチェックして裁断に入ります。
そして裁断しながら、このパーツはアイロンが先、このパーツはロックミシンから、このパーツは本縫いミシンからだけどこの縫い代だと足りなくて縫えないからパタンナーさんにフィードバックして(ポケットやベンツ裏地などに多い)など、ファーストサンプルはパターンも完璧でなかったりするので(セカンド→各色と進みます)その辺も確認しながら工程手順を頭の中で組み立て各場所にセッティングします。。
私達プロがサンプルなどを縫い上げるのが早いのもそこにあります。
例えば3型の違うデザインだけど生地の色は黒で糸調子も同じで縫える仕事が入った場合、裁断は1型ずつ進めたとして縫いは裁断時に工程が組みあがっているので3型同時に縫い始めて3型同時に縫い終えるなどはよくやる事です。
5型とかでも縫い上げるのは可能ですが、これは自分で裁断して頭の中でシュミレーションが出来ている場合で立ちっぱなしで気力、体力を消耗するコートやジャケットでデザインにもよりますが2型が限度でブラウスやシャツ、スカートは3型が違う形の同時縫い上げは効率が良いです。
前置きが長くなりましたが、洋服を縫うにあたって裁断は重要で比重が大きいので裁断方法の基本をきちんと覚えると一般の方でも洋服を縫い上げるのが早くきれいになるはずです。
それでは裁断準備から説明します。
一般で裁断に使用するものは上の写真のようなロータリーカッターや裁ち鋏です。
上の写真のロータリーカッターは小さい方が28mm、大きい方が45mmです。
私は、サンプルの裁断はほとんどこの小さい方のロータリーカッターで裁断をします。大きい方を使うのは冬物でかなり厚い生地や綿を裁断しなければならない時くらいです。
ポイント①
裁ち鋏の柄に白い綿が巻いてあるのがわかりますか?
裁ち鋏はたとえ1枚しか裁断しないとしても柄に柔らかいものを巻いて使用した方が楽になります。
綿でなくて柔らかい生地とかでも大丈夫ですが、あまり厚く巻きすぎないように、そして内側は巻かないようにして下さい。
ちなみにこの裁ち鋏は今一番気に入って使っている(株)ダイヤウッド製作所(ハイクラスゴールド26mmステンレス製)です。そして写真を撮るのに綿は綺麗なのに巻きなおしました。(→o←)ゞ
私の裁断台は厚さ6mm90×180cmのビニ板をのせてありますが、ちょっと値段も張るし重く片付けることは無理なので一般の人は下の写真のようなデスクマットで代用するのが良いかと思います。
そして隅には犬が方眼定規をしょって裁断用の文鎮が置いてあります。
ホームセンターとかで安価で売っているデスクマットです。私も出先のビニ板の無いところで作業しなければならない時の携帯用として使っているものですが、小さいパーツのものをロータリーカッターで裁断するには十二分に使えます。
ロータリーカッターに慣れたら鋏で裁断するより時間の短縮になるのですが、初心者さんが使用する場合はくれぐれも自分の指に気をつけて使用して下さい!初心者の学生の怪我はダントツにロータリーカッター使用時です。
これが何かと言うと裁断前の生地変化の試し布裁断用のパターンです。
通常サンプルの仕事ではA4サイズで生地をカットするのですが、一般の方は洋服を作る時にそんなに余分に生地を購入しないことを想定して、このくらいだったらと私が考えたものです。
生地は水分を含んだり、アイロンで熱を加えられると縮んだり伸びたり色落ちしたりなど変化が起こるものがあります。それを裁断前に試すためのパターンです。
ロータリーカッターを使用する場合は、ちゃんとした方眼定規ではなくて意外と100均の厚みのある定規の方が使いやすかったりします。そしてコツは定規をきちっと強く押さえることです。
ポイント② 鋏を使用する場合のコツ
一般の方は裁ち鋏で裁断する方が多いかと思いますが、その時のコツは一つは必ずパターンを自分の手の甲側で裁断するのです。
パターンは文鎮で押さえた場合は文鎮が切る位置に近すぎると鋏の入る隙間が少なく切り難いです。文鎮は切る位置から少し離し鋏を持っていない方の手で生地端を少し引きぎみに持つときれいに切ることが出来ます。
この手の甲側で裁断するって意外と知られていないのですよね。('-^*)/手のひら側で切ると切り口がギザギザになりやすいのです。
少し縮んでいるのが判りますか?この生地はストレッチ性がある生地で品質は綿にポリウレタンが入っています。比較的ストレッチ素材のポロウレタンが入っている生地は縮みがでやすいのです。この小さな生地でこれだけ縮む場合は洋服寸法ではかなり小さくなるのが判りますよね。
これが自分のだったら生地で洗濯してしまってから裁断という選択肢もあります。
仕事の場合は生地を縮める処理をするか、パターンサイズを大きくするなど、その時々で対処が違います。
既製服ではこの寸法変化率や堅ろう度などの検査が通ったものしか商品に出来ない場合も多いのです。
生地検査に興味をもった人は既製服業界で使用するカケン寸法変化率 のリンクを貼っておくので見て下さい。
ようやく裁断かと思いますがまだです。
まず、生地の横地を通します。生地の耳に切り込みを入れて裂けるものは裂いて横地を通します。裂けない生地は横糸を1、2本引きながら、その糸目を追いかけて切って横地を通します。
ポイント④
この横地を通すのは前で試し布を裁断した側とは反対側の生地端の方にします。
何故かというと?洋服の裁断では生地を一方方向で裁断するのが良いとされています。
生地が平織とかで上下がなく差し込み可のように思う生地でも意外と洋服にすると光沢が違ったりする場合があるのです。既製服の量産で差し込み可と言うのはサイズ別に差し込むことを意味して1人一方裁ちと言う言い方をしたりします。これだけでは何を言っているのやらですね。ちょっと専門的になってしまうので聞き流して、言いたかった事は自分のものでも出来る限る一方方向で裁断するのが良いという事です。
なので方向や表裏を把握しやすいように試しをカットした方を逆側にセッティングし、そちら側を頭側にするなどを決めて裁断します。それにちょっとでも欠けていると用尺の無駄が出るということもあるので・・・。
上の写真は縦地を中表に合わせて耳に10cm~15cm間隔で切り込みを入れているとことです。
生地の耳は布帛の場合はつれている場合が多いのです。カットソーなどで逆に耳が伸びている場合は切り込みは入れなく良いです。
この耳に切り込みを入れてから始めて全体にアイロンをして生地の歪みなどを修正します。
上の写真で生地の下の白い紙が直角なのです。今右端が横地を通した方で下側が生地の縦地です。
縦地を合わせると横地が歪みます。これが生地の歪みです。この生地は織生地なので今定規を置いてある線上方向に引っ張って蒸気アイロンをかけると歪みが修正されます。
長くなりましたが、これでようやく裁断に入ります。
本編の裁断のコツやポイントはまた次回に!
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