ゴルフ直線打法 -13ページ目

大切な背骨の動き

前回はpepsiさんからのコメントを紹介しましたが、続くコメントで議論を更に展開する中に、あらためて背骨の動きの理解の重要性を感じました。左脚体重で振り、右脚体重で振ると言っても、これらが示す背骨の動きの内容が分からなくては、正しくい動きは実現できません。

そこで今日はこの動きの仕組みと、これが生み出す動きについて、もう一度書くことにしました。背骨は骨盤と胸の間を繋ぐ腰椎とこれに続く胸椎、更にこれに続いて頭を支える頸椎、の三部分に分けて考えることができます。これらの部分は夫々を構成する椎骨の重なりでできています。夫々の椎骨は、次々とその中心がずれながら僅かずつ右に回ったり左に回ったりして、全体の動きを生み出します。

更に問題になるのは、腰椎は前に膨らみ、胸椎は後ろに膨らみ、頸椎は前に膨らむ曲線を描きます。この仕組みが動くときには、腰椎が右に回れば胸椎は左に回り、これに続く頸椎は右に回ります。これと共に腰椎の膨らみは左に引かれ、胸椎の膨らみは右に引かれ、頸椎の膨らみは左に引かれます。これらの動きの合成で、背骨の正面の向きが保たれます。

この複雑な動きを脚腰の動きが支え、これで左脚体重でのバックの動きが実現します。ダウンでは右脚体重で逆の動きが使われます。この左脚体重から右脚体重への切り返しの動きが、いわゆる「深いトップ」に振り込む動きで実現します。これらの腕の動きは、両手のグリップを「マジック・グリップ」で固めて両肘を伸ばす、アドレスの構えで決まります。

こうして見ると大変複雑な動きで、こんなことを頭で考えていてはクラブを振れません。そこで「バックは左腕、ダウンは右腕」という、単純な動きのイメージで腕を振り、その効果を確認することでイメージの良さを納得する以外に方法は無いことが分かります。「納度」の登場です。ここまで来れば後は自己責任の領域です。

大切なコメント

今日はこのブログにコメントを下さった方へ回答の解説です。

このコメントは

日時: 2008-07-10 07:57:09
記事タイトル: 「核心打法」のフィニッシュ

コメントをした人: pepsi さん
コメントをした人のURL: 
コメントをした人のIP: 219.117.245.7
コメントのタイトル: 詳しく知りたいのですが.....
コメント本文:
先日たまたまブログを読ませていただき、今までに無いような理論なので非常に興味がわき、初回から読んでみたんですが、読む程に言葉だけでは伝わってこないというか、先ずキーワードである『魔法の動き』すら理解が出来ないもので、もしよろしけばそこを詳しく教えて頂けると幸いです。

というものです。

このブログは、主な部分が新しい動きの開発研究過程の記録で、その結果実用を目指す人には分かりにくい部分が長いのです。というわけで、簡単明瞭な方法としては、とにかく「バックは左、ダウンは右」(2008-06-19)という記事の動きを試されることをお勧めしたいと思います。

皆さんもお試しください。

「核心打法」のフィニッシュ

腰の回転で振る「回転打法」では、フィニッシュでシャフトを天秤棒のように両肩の間に担ぎ、「核心打法」型の動きでは、上に伸びた両腕のグリップからシャフトが縦に背中に下ります。

これまでフィニッシュの動きは夫々の打法の動きが生む、花火の煙のようなものだと考えて来たのですが、これは間違いで矢張り注意しなくてはならない点があります。それはスイングの腕とクラブの動きの左右対称性です。

「回転打法」はもともとこの左右対称性を重視しています。これに対して「核心打法」ではどうなるでしょうか。体の右側の上の高い所から右脇前に振り下ろすダウンの動きに続き、ヘッドが左に直線的に振り抜かれます。左右対称の見方では、この動きは左脇前で終わり、そこからは縦に振り上げられることになります。この最後の動きがフィニッシュの動きを生みます。

奇妙な動きに感じられるかも知れませんが、足腰の動きを考えると上体が左を向く動きと共にこれでフィニッシュの動きが完成することが分かります。

ここで漠然と「回転打法」風のフィニッシュの動きに繋ぐと、肩の動きに悪い影響が生まれます。画竜点睛の動きになる筈が、肩甲骨の動きを痛めることになります。些細なことかも知れませんが、納得できる話かどうかは自分で検討してみて下さい。

宮里藍選手の活躍

P&GビューティーNWアーカンソー選手権で宮里選手は4位タイの優れた成績を収めました。渡米以来のスイング調整の成果が遂に現れたと感じさせられます。

渡米後の宮里プロは、体の動きの範囲を以前より狭めることを試みていると感じましたが、今回の選手権の動画で見ると、これが完成したように見えます。以前はダウン早々から右足裏が見えるような回転の動きの強いスイングでしたが、今回はフライング・エルボーに見えるようにトップを高く上げ、そこから一気に引き下ろして振り抜いています。

これにつれて、以前は肩に担ぐようなフィニッシュだったのが、クラブが縦に収まる形になっています。

その上、一時試みていた左腕を伸ばして使うパッティングも消え、通常のグリップでしっかり打っています、頭は安定に固定され、ボールを打ち抜く前に左に回るような動きは全くありません。これではボールが真っ直ぐ転がる筈です。

どうやら、「核心打法」の要点を完全に実現しているかのように見えます。もっともこれは我田引水の見方というべきでしょうが。

機械的な見方の危険

体の動きの仕組みの知識をもとに、これらを組み合わせ、その間の繋がりを推測することで動きのイメージを作るのが、スイングを作り上げる第一歩になります。この組み合わせの善し悪しを、納得の度合いを示す「納度」で追いながらイメージを仕上げるという、基本的な手順を紹介したので、これ以上話すことは無い感じです。

今日の話は蛇足の形で、この基本的な考え方の反例を検討してみます。これはレッドベターのスイング面の話に登場したシャフト・プレーンの利用に関係します。

レッドベターはこれに繋がる湾曲した曲面を考えて、これらの合成をスイング面と捉えていました。ところが、シャフト・プレーンの示す幾何学的な仕組みを、ダウンスイングのクラブのシャフトの動きの定規のようなものと考えると、スイングの機械的な見方が生まれます。

この見方に沿って動きを作ると、ダウンでトップからボールに向けて平面的に(スイング面のイメージで)に振り下ろし、そこから先はシャフト・プレーンに沿ってボールを押す動きに引きに入ります。

ボールから先にヘッドを左に直線的に押そうとすると、当然上体は背骨を軸に左に回る動きになります。これで背中が右を向くように回ります。右肩が落ちて何とも言えず不安定な感じの動きになります。

スイングを機械的に考える危険を示す例ではないでしょうか。

ものを見る目

2008年7月4日から始まったUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズでは、石川遼プロは初日76二日目74の計150というスコアで予選落ちをしました。

朝日新聞の記事では、ドライバーの練習に集中し、アプローチとパットの練習が不足だっとの本人の言葉が紹介されていましたが、以前このブログではパットが良くアプローチがこれに次ぎ、ドライバーが不安という見方を紹介しました。

腰を一気に左に回転するという特徴的なダウンでは、当然体の正面を固定するために腰を右回りに押す動きは出来ません。この形の動きでは左足がインパクト以前に左に裏返るように回転してしまいます。これを止めるために右足の踏ん張りの必要を指摘したのです。

このように、構造的に動きの内容を見ていれば、動きの修正あるいは改訂も簡単に考えられます。ところが、飛距離だけを追っていると、動きの仕組みは見えなくなります。皆さんも、自分のスイングの動きだけでなく、それぞれのプロのスイングの特徴を見抜く目を養うことを心掛ければ、ゴルフの観戦も一段と楽しめると思います。

ゴルフをあれこれ考える4

新しい動きのモデルを提案する場合には、キネシオロジー(Kinesiology:身体運動学)などの体の動きの仕組みについての知識が必要です。われわれ素人が考える時には、動きに関係する主な骨格を考え、これらの間の複雑な繋がりを単純化して想定し、動きのモデルを作り出します。

この場合、実用のことを考えれば、仕組みの説明のつじつまがよく合っていて、しかも簡単明瞭な方がモデルの納度は上がります。このようにして何とか全体の動きのモデルを作り上げ、最後にその実用性を実験的にチェックします。その結果がモデルによる予測とよく一致すれば、納度は一段と上がり、一致しなければ下がります。

こうしてモデルの構造的合理性と予測効率の向上を進めれば、納度がそれぞれのモデルの主観的な評価でであっても、遂には出来上がったモデルの有効性が誰にも納得できるようになります。こうして、前人未踏の世界にも一歩を進めることが可能になります。

機械的に明確な表現を要求する確率や尤度の考えとは異なり、もっぱら主観的な構想の展開を目指すのが納度の使用目的です。アインシュタインのような優れた業績を残した科学者も、構想を展開する時の心理的素材は、視覚的あるいは筋肉的なものであると述べています。このように見ると、納度の組織的有効利用の話は、科学的思考の展開方法そのものの議論であることが分かります。

ゴルフはこのような思考法の展開に有効な、優れた研究素材を提供してくれたのです。

ゴルフをあれこれ考える3

確率をルーレットのような機械的な仕組みから生み出されるものと考えると、ある根源的な仕組みがランダムな結果を生み出し、これを様々に変換することで実際に観測される観測値の散らばり(分布)の形が決まる、という形でスイングのモデルが提案されます。

ところが、いろいろな機械的仕組みが考えられる場合には、そのどれを取れば良いかが問題になります。この場合実際のスイングのヘッドの軌道を観測し、この観測データをよりどころに良いモデルを探すことになります。

このような場合には、それぞれのモデルが与えられた観測値を生み出す確率の値を計算し、これが大きいものが良いモデルと考えます。この場合それぞれの確率の値は、モデルが確定していないので確率とは呼ばれず、それぞれのモデルの尤もらしさ、すなわち尤度(ゆうど;likelihood)と呼ばれます。これでモデルが与えられる場合に良いモデルを決定する方法は決まります。尤度の大きいモデルを採用すればよいのです。

ところが、新しい動きのモデルを提案する時には、先ずいろいろ可能性のあるモデルを考え出さなくてはなりません。この時のモデルは数式で書かれては実際の体の動きの作り方が分かりませんから、実際の動きのイメージを言葉で表現する形で与えられます。

更に、まだ動きが確定しているわけではありませんから、尤度での評価もできません。この場合にどうするか。ここではそれぞれのイメージについて、自分が納得出来る程度を比較評価することになります。この時の自分の主観的評価を「納得度」(哲学者C.S.Peirceの言うplausibilityに対応するもの)略して「納度」と呼ぶ事にしよう、というのが筆者の提案です。

残るのは、「納度」の評価法の議論です。

大切な脚の動きを支える動き

昨日ある老婦人からゴルファーの動きにとって有効と思われる話を聞きました。そこで忘れない中にここに書き留めることにしました。

第一の話は、脚の動きを良く保つには、膝から下の部分をよく揉みほぐすことだと言います。言われてみれば成る程と思います。「核心打法」を支える脚の動きとして、膝から下の部分の動きが実現する「螺旋」の動きが重要な役割を果たしています。日頃知らず知らずの中に、ここに疲労を蓄えているのではないでしょうか。

もう一つの話は、肩を左右に傾ける動きよりも、両肩を揃えて引き上げる動きの方が大切だというものです。この動きで体全体の動きが良くなると言うのです。実際にこの動きは、「核心打法」で重要な体の右脇でクラブを真っ直ぐ振り下ろす動作で現れます。この時両肩左右に傾いては真っ当な振り下ろしはできません。

このように眺めると、さすがに「亀の甲より年の功」、見事にゴルフの動きの要点に関わる動きの基本構造を捉えています。

皆さんのお役にも立つのではないでしょうか。

ゴルフをあれこれ考える2

昔ゴルフ雑誌に新しいクラブの試打の結果を着弾点の散らばり(分布)で示す記事がありました。実際に性能の優れたクラブは、優れたプロの試打の結果を重視するメーカーから売り出されたものです。この場合のように、何回か実験してその結果の散らばりを評価するのが確率的な見方です。

更に同じ人でも日により動きが変わる事もあるかもしれません。これを的確に捉えることが必要になります。こういうわけで、ゴルファーは常に様々な確率に注意を払っていることになります。

ところが確率というと、ルーレットのような機械的な仕組みから生み出されるものと教えられることが多いのです。この見方ではある根源的な仕組みがランダムな結果を生み出し、これを様々に変換することで実際に観測される観測値の散らばり(分布)の形が与えられると考えます。

実際にTheodore P. Jorgennsenという物理学者の書いたThe Physics of Golf という本があります(生駒俊明監訳、藤井孝蔵・生駒孜子訳 ゴルフを科学する 丸善ブックス)。これはスイングのセンター(中心)から伸びる一本の棒で腕を現し、これに回転軸受け(グリップ)で繋がる棒(シャフト)がヘッドを支える仕組みをゴルファーのモデルとして使っています。

このモデルの中心を右に水平に動けるものとして、この仕組みをプロの実際のスイング軌道の高速写真にうまく合わせることで仕組みの物理的な定数を決めています。これは一般に統計的モデルの観測値への当てはめといわれる手法です。

この例は、いかにも科学的に見えますが、実際の当てはめはトップからのダウンの軌道だけで、このため最初の出だしのヘッド・スピードは適当に当てはめなくてはなりません。これでは実際のスイングとはかけ離れた議論になってしまいます。

ゴルファーが求めるのは、実際に自分のスイングの動きの作り方を教えるモデルなのです。このように考えると、機械的なイメージのモデルは役に立たない、あるいは更に結果の解釈が必要ないわば不十分なものにしかならないのです。