「すべての不調は自分で治せる」★★☆☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

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「すべての不調は自分で治せる」(藤川徳美)
 
藤川徳美氏は精神科医で、プロテインやサプリメントの摂取を前提とした治療を行っている。通常の食事では肉や卵を推奨。ストレス社会の現代人はタンパク質や鉄分の摂取量が絶対的に不足しており、プロテインとサプリを効果的に活用すべきという考え方。必要な栄養摂取を可能とするプロテインやサプリは、これまで人類が開発したものの中で、人類に益をもたらすものとして最高傑作、「人類の英知の結晶」、と絶賛している。

今まで食事系の本をいろいろ読んできたが、考え方は様々だ。本書は精神科医という立場からの理論である点を考慮すべきかもしれない。
 
個人的には、狩猟採集時代の食べ方や生活のリズム(睡眠や運動)が健康にいいという考え方が好きなので、本書内容には少し違和感が残るのだが、いずれにしろ普段の食事では、引き続きタンパク質や鉄の積極的な摂取を心掛けたい。
 
ちなみに、「LIFESPAN(ライフスパン)老いなき世界」では、動物性タンパク質に否定的で植物性タンパク質から必要なアミノ酸は摂取可能と指摘(著者は哺乳類の肉をなるべく食べない)。また、「食べる投資 〜ハーバードが教える世界最高の食事術〜」では、プロテインやサプリはタンパク質過剰摂取のリスクあり、豚や牛など四つ足動物は腸内細菌叢を変化させて発がんリスクあり、と指摘。「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」では、豚や牛の赤身肉は健康に悪い、卵は食べ過ぎない方がよい、と指摘している。


参照:「うつ消しごはん」


以下、備忘


■藤川氏の理論
 
高たんぱく/低糖質食+鉄+メガビタミン

三石理論(物理学者・三石巌氏の分子栄養学)とオーソレキュラー理論(米国の精神科医、栄養学者らが確立)がベース。

多くの日本人が「糖質過多+タンパク質不足」。

病院の治療は対処療法、慢性疾患は治らない。

現在の作物が育つ土壌は昔と比べて痩せており、十分なビタミン、ミネラルが含まれていない。

現代社会のストレスが病の原因。

健康の維持、慢性疾患からの回復には、(不確かな常識である)「栄養のバランス」ではなく、「タンパク質とビタミン・ミネラルの絶対量を摂る」という考え方が重要。「バランス」ではなく「絶対量」。
 
糖質は栄養素ではなくむしろ「栄養ドロボー」。糖質を代謝するために、タンパク質、ビタミン、ミネラルを浪費する。

ビタミンの必要量は、加齢、心理状態、ストレス、などによって増える。
 
【決定版】慢性疾患を治す分子栄養療法
①高タンパク/低糖質食+プロテイン+鉄を摂る
②ビタミンB群、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンEを摂る
③その他の脂溶性ビタミン、ミネラルを摂る
④オプションのサプリメントを摂る


■タンパク質について

DNAには、生命を維持するための設計図が書かれている。その設計図はタンパク質の作り方。

タンパク質の代謝が保たれていることが「生きている」ということ。
 
生体の重要な性質「ホメオスタシス(恒常性)」は、アミノ酸からタンパク質をつくってはこわすという動的平衡によって保たれる。生命とはタンパク質の動的平衡。
 
人間の体は水分を除くと70%がタンパク質。ホメオスタシスを保つために、タンパク質の供給が必要。
 
摂取したタンパク質は数時間で代謝されるため、1日3回、動物性のタンパク質を摂ることを推奨。
 
1日のタンパク質摂取量は、体重×1gが最低ライン、余裕をもって体重×1.5~2gを推奨。体重65kgなら卵3個+牛肉300gが1日の最低ライン。
 
プロテインは1日20g(60cc)×2回を指導。プロテイン摂取効果は数時間で切れるため分けて飲むことを推奨。
 
プロテインはホエイプロテイン1択(ソイプロテインより圧倒的に効果あり)。
 
プロテインを飲めない人には、ゆで卵5個を1日かけて食べるよう指導。
 
 
■鉄分について
 
日本人の鉄摂取量は1950年から約6分の1に減少。
 
欧米人は鉄分を多く含む肉を日本人の3倍食べるし、あらかじめ小麦粉に鉄を添加して鉄不足対策を行っている。
 
1942年、米国保健局は「小麦粉にビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、鉄を添加することを義務付ける」画期的決定をした。その結果、鉄欠乏性貧血は激減し、欧州諸国も同様の対策をした。日本ではそのような対策を行っておらず、日本で消費される小麦粉には鉄は入っていない。
 
肉や魚に含まれるヘム鉄が断然効果的。ほうれん草、プルーン、ひじきなどに含まれる非ヘム鉄はヘム鉄の10分の1。ほうれん草だけで必要な鉄を摂取するには1日バケツ4杯以上必要。なお、サプリメントならキレート鉄