「1秒で答えをつくる力」★★★☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「1秒で答えをつくる力」(本多正識)
 
著者の本多正識氏は吉本総合芸能学院(通称NSC)の講師で、1万人以上の生徒を担当した経歴を持つ。
 
頭の回転の速さは、後天的に鍛えることができる能力とのこと。おそらく、お笑い芸人になるためには、ある程度のセンス・素養は必要だと思うが、一流のスポーツ選手が運動神経に恵まれているうえに人一倍練習しているように、売れっ子芸人になるには日々の努力が必要なのだな、というのが読後の感想のひとつ。
 
本のタイトルというのは、キャッチ―にするため内容に忠実でないことは少なくないが、本書については「1秒で答えをつくる力」というより「芸人として成功するための秘訣」という内容だろう。いずれにしろ、ビジネスにも共通する部分が多く、芸人育成の観点から、仕事で気をつけるべきポイントを再確認できた。例えば、語彙力をつける、表現力を磨く、成功体験や常識を疑う、偶然や直感で納得せずロジカルに原因を突き詰める、自分の得意分野で勝負する、会議などではちゃんと集中する(頭をアイドリング状態にする)、など。
 
 
以下、備忘
 

お笑い芸人は1秒で「おもしろそう」と思わせなければ、TVのチャンネルを変えられてしまう。

「ネタそのもの」「話し方」「立ち振る舞い」「姿格好」、どんなことでもいいので「もう少し見てみたい」「なんか聞いてみたい」と一瞬で思わせなければいけない。

NSCのネタ見せでは、「1秒で輝くもの」の表現を求める。印象的だった生徒は、ナインティナインの岡村、キングコングの西野と梶原、友近、の4人。


いつ、どんな形でチャンスが訪れてもいいようにお笑い芸人は常に頭を働かせている。

最初から頭の回転が速かった「天才型」の芸人は極めて少数。頭の回転の速さは才能ではなく、訓練によって身につけるができる後天的な能力。



1.自然とリアクションできる頭をつくる
雑誌やオンライン記事を読むことは頭を鍛えるのにすごく効果的。「記事内容をほめまくる」という頭のトレーニングをすると、能動的にリアクションできる頭をつくることができる。

3.「興味がない」ものから思考のネタを見つける
頭の回転の速さは情報量に比例。興味のある情報しか収集していなかったらネタは広がらない。興味のないジャンルにネタはたくさん眠っている。

6.自分のペースで考える
どの芸人も全部のチャンスを追っているのではなく、「ここぞ!」という1回のチャンスを掴むことで、あたかも常におもしろいかのような印象を与えている。
話の流れを見ながら、自分が活躍できそうな話に参加。自分の力を発揮できそうなところに集中

11.メカニズムを理解する
なぜネタがウケたのか。どの部分がどうおもしろいのか、どんどん深掘りする。売れている若手芸人と、芽が出ない若手芸人の差は、この要因・原因を考え抜く力にある。直感に頼らない。

12.意識してアホになる
「Stay hungry, Stay foolish」(スティーブ・ジョブズ)。慣れてくると人はうぬぼれる。経験をもとに、こうすればウケを取れる、と決めつけてしまう。新しい発見を見つけるために、固定観念を捨てるために、意識してアホになる

13.考えるときは口に出す
イメージを言葉にしてみると、具体的に考えることができる。矛盾や違和感に気づくこともある。

15.頭をアイドリング状態に保つ
「チャンスをものにする」はスポーツでもお笑いでも重要な考え方。頭の回転が速い芸人は、この「チャンス」に対する嗅覚が優れている。常に自分の話を整理し、それを披露できそうなタイミングを探し続けている

19.予測するクセをつける
まずは観察。そして、起こりそうなことを2~3つ想定する(「あの人、飲むペース速いからグラスそろそろ空きそうだな」など)。ナインティナインの矢部は岡村のしそうなことを3手先くらいまで予測しているのではないか。

24.意識して語彙を増やす
売れている芸人のほぼ全員が相当な語彙力を持っている(状況に合わせて言葉を選ぶ力)。南海キャンディーズの山里は、わからない言葉があったらすぐ調べる(居酒屋で飲んでいても、会話で知らない言葉が出てくるとトイレに行って調べる)。

26.大事なのは「第二印象」
一瞬の第一印象より、自分らしい第二印象を相手に与えるのが得策。一流芸人は第一印象と第二印象を一瞬で使い分けている。「賢そうだけどバカ」「破天荒そうだけど実は常識人」「ツッコミなのに天然」など(効果的なギャップを生み出す)。
第二印象で勝負するコツは、第一印象を意識しないこと

28.経験を自分の引き出しとしてストックする
売れっ子芸人が、なんということもない旅行の話や家族との話をエピソードとして多くの人に届けることができているのは、経験を引き出しのなかで準備し、編集することができているから。

32.言葉にこだわりを持つ
自分の思いを、なんとなくではなく正確に言葉にして発信することにこだわる。検索機能を使って類語をインプットし、表現のバリエーションを増やす

39.「そうですね……」で時間を稼ぐ
大事なことは意味のあるなしにかかわらず、まず反応すること。「そうですね・・・・・・」「僕が思うには」「おっしゃることはわかるのですが」「すごくいいですね」「お気持ちはわかります」など。