花巻探訪・早池峰と賢治の展示館 | ゆるゆるな毎日

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花巻町に素敵なレトロ建築があることを知り、見に行ってきました。

早池峰と賢治の展示館です。

 

こちらは明治35年(1902年)竣工の稗貫郡役所だった建物です。

 

軽便鉄道鳥谷崎駅前にあったそうで、新庁舎を建設した際、

 

旧大迫町に払い下げられて移築復元され、

 

平成19年(2007年)に

 

早池峰と賢治の展示館として開館したそうです。

 

 

稗貫郡役所時代の写真が展示してありました。

今もそのままというのが分かります。

 

 

建物の前には、この建物についての案内板がありました。

そこに帽子とコートのオブジェがありました。

 

宮沢賢治の帽子とコートをイメージしたものでしょう。

 

宮沢賢治だったらコートではなく外套と言った方がぴったりきますね。

 

 

玄関の上のガラスにはどんぐりと山猫の絵が描かれていました。

どんぐりと山猫ですよね?

 

実はあまり宮沢賢治を読んでいないので、うろ覚えです

 

 

靴を脱いで入館します。

正面には映画「海街diary」のロケ地の案内がありました。

 

4姉妹が葬儀の後に行った見晴らしのよい場所は

 

向山森林公園の展望台なんですよね。

 

葬儀の後に歩いていたロケ地も花巻市の鉛温泉の近くだったので、

 

温泉に行ったついでに見に行ったことがあります映画

 

 

入口を入った左手は「町民室」という部屋がありました。

入館料は無料ですが、

 

係の方にお声がけした方がいいかなと思ったのですが…。

 

 

ドアには「ちょっと町なかを歩いてます 山猫拝」という札がありました。

訪れた日は秋のワイン祭の日だったので、大迫の町が賑やかでした。

 

係の方もお祭に行っていたのかな?

 

 

入口右手が第一展示室になっていました。

この建物は、宮沢賢治の寓話「猫の事務所」のモデルになった

 

と言われているそうで、中には猫の事務長がいました。

 

隣にある立派な金庫は

 

明治28年(1895年)の京都内国勧業博覧会に出品された

 

日本銀行の金庫で、平成16年(2004年)まで

 

大迫町役場の会計課で使われていたそうです。

 

 

賢治と言えば鉱石。

風の又三郎の舞台といわれる

 

猫山のモリブデン鉱石なども展示してありました。

 

この建物と賢治の縁は「猫の事務所」のモデルというだけでなく、

 

盛岡高等農林学校の研究生だった大正7年(1918年)に、

 

稗貫郡役所の依頼で稗貫郡内の土性調査を行ったそうです。

 

それでこの建物が

 

「猫の事務所」のモデルになったという話も伝わっているのですね。

 

 

一通り見終わったので2階へ。

私が洋館で好きな場所の一つが階段です。

 

こちらはお役所の建物ということでシンプル。

 

壁には賢治の絵本の絵などが展示されていました。

 

 

親柱もシンプル。

そして使い込まれた感じがいいなぁ。

 

 

2階は賢治が土性調査の際に常宿にしていた

 

石川旅館が再現されていました。

石川旅館の調度や、土性調査の資料もありました。

 

 

タンスと食器棚。

当時の食器も並んでいました。

 

 

石川旅館ではシルエットの人たちが宴会をしていました。

説明を読むと、関豊太郎博士に同行した賢治が、

 

その際開かれた土性調査の慰労会を詩にした

 

「土性調査慰労宴」の様子を想定したものだそうです。

 

なんだかややこしいですが、

 

ともかく、こういう宴会が石川旅館で開かれたということですね。

 

 

壁際には、賢治が調査した大迫川目地区がマッピングしてありました。

あまり土地勘がないので分かりませんでしたが、

 

それでも広範囲に渡って調査したことが分かりました。

 

 

反対側の部屋は、小さな教室のようになっていました。

ここは昔の学校をイメージしているのでしょうか。

 

 

2階も見終わったので1階へ下りると、

 

閉まっていた町民室が開いていました。

係の方が戻ってらしたので、見学させて頂きましたとお声がけすると、

 

こちらもどうぞと仰って、町民室も見せて下さいました。

 

中には古いカメラや綺麗なお花の写真が沢山飾ってありました。

 

そして係の方は、早池峰に3千回以上登られている

 

浅沼利一郎さんだということが分かりました。

 

浅沼さんのお名前は新聞で見たんですよね。

 

ただお顔を覚えていなかったので、お話を伺ってびっくりしました。

 

 

そしてもう一つびっくりしたのがこちら。

浅沼さんが撮られた高山植物のハヤチネウスユキソウです。

 

この希少な植物が刃物で切断され、持ち去られているそうで、

 

昨年は1本も花が咲いていなかったと仰っていました。

 

その切断面の写真も見せて頂きましたが、確かに手で手折ったとか、

 

シカなどの動物が噛み千切ったとは思えない断面でした。

 

早池峰を知り尽くした浅沼さんは、

 

ハヤチネウスユキソウが咲くポイントを隈なく歩きまわったそうですが、

 

とうとう咲いている状態の花を見ることができなかった

 

と仰っていました。

 

そして、花の状態の悪いものが、

 

切り取られた株のすぐ横に置いてあったと仰っていました。

 

絶滅の恐れがあるハヤチネウスユキソウなので、

 

浅沼さんは行政に対応をお願いしたそうですが、

 

行政側はシカが食べたのだろうと言って取り合ってくれないそうです。

 

シカだったら、花の状態が悪くても残さず食べるでしょう。

 

わざわざ噛み千切って置いていくことはないはずですし、

 

浅沼さんがネットで調べたところ、

 

ハヤチネウスユキソウを売っている人がいることが分かったそうです。

 

となると、高山植物を採取して販売しているのでしょう。

 

希少な植物だけに、

 

対応が遅れると絶滅してしまう恐れがあるのではないですか?

 

と疑問をぶつけると、浅沼さんも悲しそうなお顔で「そうなんですよ」

 

と仰っていました。

 

ハヤチネウスユキソウのお花を楽しみに、

 

遠方から登山に来る方も多いそうです。

 

行政側が早く対応してくれることを願います。

 

そして、希少な高山植物を勝手に採取して販売している人は、

 

直ちに止めて頂きたいですむかっ

 

 

貴重なお話と残念なお話を伺ったお礼を言って外へ。

最後に横の坂道の途中から外観を眺めました。

 

やはりレトロな洋風建築は美しいですね。

 

外壁の塗装がかなり傷んでいるので早めに補修して頂き、

 

後世に残していって欲しいと思いました。

 

 

 

今回のおでかけ

★早池峰と賢治の展示館

  住所:岩手県花巻市大迫町大迫3-161

       大迫交流活性化センター敷地内

  電話:0198-48-2070

  営業時間:9:00~16:30

  休館日:12月29日~1月4日

  入館料:無料

  駐車場:あり(無料)

  ウェブサイト:早池峰と賢治の展示館(花巻観光協会)

 

 

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