飛鳥坐神社
(あすかにますじんじゃ)


大和国高市郡
奈良県高市郡明日香村飛鳥字神奈備
(P有)

■延喜式神名帳
飛鳥坐神社 四座 並名神大 月次相嘗新嘗の比定社
[境内社 飛鳥山口坐神社] 飛鳥山口神社の比定社

■旧社格
村社

■祭神
天之事代主命
高皇産霊命
大物主命
飛鳥甘奈備三日女神


性器崇拝、男女和合をリアルに模した奇祭「おんだ祭り」で有名な社。「飛鳥」の中核を成す一であり、地名も「明日香村飛鳥字神奈備」。低山「鳥形山」の頂に鎮座します。
◎「出雲国造神賀詞(いずもくにのみやつこのかむよごと)」に「賀夜奈留美命(カヤナルミノミコト)の御魂を飛鳥の神奈備に坐て皇孫命の近守護と貢置」とあり、大國主神が賀夜奈留美命の神霊を神奈備に奉祭した社。ご祭神に表される「飛鳥甘奈備三日女神」が賀夜奈留美命のこと。
◎また「旧事本紀」には「都見歯八重事代主神 坐倭國高市郡高市社 亦云 甘南備飛鳥社」とあり、ここでは事代主神が祀られていることも記されています。概ね賀夜奈留美命が祀られているところに兄神の事代主神も祀った、後に二柱が合祀され四座となったということでしょうか。
◎当社の歴史において「日本紀略」(11~12世紀頃)には「賀美郷の甘南備山飛鳥社を同郷鳥形山に遷す」とあります。「鳥形山」は現社地のある山で間違いないところですが、旧社地については古来よりさまざまな説が出されています。
ミハ山・雷丘甘樫丘・南淵山・岡寺山・天神山(酒船石のある辺り)、藤本山・細川山、他に加夜奈留美命神社説など。
◎個人的には現地のあらゆる調査を行った結果、既に旧社地を突き止めたと考えています。結論は「藤本山」を「甘南備山」とし、山中の磐座群を飛鳥社、つまり旧社地とします。詳細は以下のリンクにて。
◎境内には陰陽石が多数散在、まさに性器崇拝のメッカ。境内最奥には「奥の石」とも称される巨大陽石(下部に写真有り)も座します。
◎また「御田祭り(おんだ祭り)」はまさにストレートに夫婦和合を模したもの。筒を股間にあてがった天狗が酒を注いだり(「汁かけ」と呼ばれ射精を意味する)、お多福との性交の種つけ儀式や、ふくの紙(お多福の股間を拭き取った紙)を観客に投げ入れたりなど、TV取材や多くの観客で賑わっています。


*写真は過去数年に渡る参拝時のものが混在しています。








陰陽石または男女交合を模した石か。

陰陽石



こちらが奥の石。ご祭神は「むすび(万物生成)」の神である高皇産霊神。

いつの時代かは不明ながら数多くの陰陽石が集められています。総数は百体近くありそうです。