なんとなく調子が悪いのは、忙しすぎるから?それとも歳だから?と思っているあなた、理由は鉄分不足かもしれません。

 

意外に知られていませんが、貧血は鉄分不足の末期症状です。その前に色々な「不調」が現れます。

 

どんな不調かというと、階段で息がきれる、気がつくとぼーっとしている、考えがまとまらない、軽い偏頭痛や動悸がある、手足が冷えるなどです。

 

鉄には、体内で多くの役割があります。血中で酸素を運ぶ役割をするヘモグロビンになくてはならないだけでなく、身体中の臓器が正常に働くために絶対必要です。

 

ところが、鉄分はとても吸収しにくい栄養素です。動物性食品の含まれる鉄分(ヘム鉄)の吸収率は10%、植物性食品に含まれる鉄分(非ヘム鉄)だと吸収率はわずか5%です。

 

例えば、鉄分が豊富な焼き鳥のレバー2串(100g)には9mgの鉄分が含まれていますが吸収されるのはその10%ですから0.9mgです。植物の納豆100gだと、3.3mgの鉄分が含まれていますが吸収されるのはその5%で、0.17mgです。

 

その一方、鉄分は毎日1-2mg排泄されます。さらに女性なら、月経時には毎回3-24mgが失われ、出産時には胎児に250-350mg、出血で約250mgが失われます。だから知らないうちに鉄分が不足してしまうのです。

 

慢性的に鉄分が不足している人は疲れやすいのが当たり前になっています。疲れるから動きたくないと言っているうちに運動不足から慢性病にかかりやすくなり、筋肉が落ちて転びやすくなり、年齢とともに生活の質がどんどん下がってしまいます。

 

ですから、ぜひ鉄分補給をして体調の違いを実感していただきたいのです

 

鉄分不足予防には毎日10−20mgの鉄分摂取が必要です。日本での必要量は国際基準より低めに設定されていますが、アメリカでの必要量は、男性と閉経後の女性で8 mg/日、月経のある女性は18 mg/日、妊婦は27 mg/日で、授乳中は9 mg/日です。

 

鉄分の多い食品は、図1に示すように赤い肉、例えばレバー、砂肝、心臓、牛肉と貝類です。植物性食品は動物性ほどではないですが、大豆類、例えば枝豆、納豆、厚揚げなどが挙げられます。

図1.食品100gあたりの鉄分と吸収される量(カッコ内は吸収できる量)

 

とは言え、鉄分10mgを食品からだけで毎日摂取するのは至難の業です。そこでおすすめなのが鉄鍋やキャストアイロンスキレットです。鉄鍋で、酸味のある食品を調理すると鉄分が増えることがわかっています。学術文献によると、キャストアイロンスキレットで調理したトマトソースの鉄分が0.6から5.7mgへ増加したそうです。

 

 

写真は、豚肉にニラとトマトを加えて炒め、ポン酢で仕上げたものですが、このソースにはスキレットから鉄分が染み出しています。このように酸性で水分の多いメニュー、例えばトマトソース煮込み、キムチ鍋、レモン仕立てなどを鉄鍋で作れば手軽に鉄分補給ができます。鍋物も、だし汁に酢を小さじ1ほど足して鉄鍋で食べると鉄分補給に役立ちます。

 

もしサプリメントを選ぶなら、ヘム鉄タイプでタイムリリース型、鉄分吸収を助けるビタミンC入りがおすすめです。飲むタイミングは空腹時でお茶やコーヒー、牛乳を避けて水で服用ください。というのは、お茶やコーヒーに含まれる成分や牛乳に含まれるカゼイン蛋白が鉄と結合して吸収できなくなるからです。

 

鉄分くらいって甘く見ないでしっかりと補給してくださいね。人生が変わるかも?です。