日本の食塩摂取許容量は男性8g、女性7gですが、WHOは5g以下、アメリカは6g以下です。じつはこの差が日本で糖尿病予備軍を増やしているのです。
日本の食塩摂取許容量は他国に比べて圧倒的に高いのです。おそらくコメ離れをなんとか阻止したい日本政府が他国並みの食塩制限を実行できていない、というのは、コメを食べるには味噌汁、焼き魚、佃煮などの「塩辛い味」が不可欠だからではないでしょうか?しかし塩分の取りすぎは高血圧や心疾患だけではなく、大人の糖尿病リスクも高めることは近年明らかになっているのです。
大人のかかる糖尿病には2種類あります。1つは膵臓からインスリンが出ているにも関わらず血糖値が下がらない2型糖尿病、もう1つは膵臓からインスリンが出なくなる1.5型糖尿病(Latent Autoimmune Diabetes in Adults=LADA)です(妊娠糖尿病は全く異なるのでここでは除外します)。
スエーデンで1000人以上を対象に行った研究では、ナトリウム摂取量が1g(食塩として2.5g)増えるごとに2型糖尿病になるリスクが43%ずつ増える結果が出ました。また、食塩摂取量が6g以下、6−7.9g、7.9g以上のグループに分けて解析した結果、食塩を7.9g以上摂取する人の2型糖尿病のリスクは6g以下の人に比べて58%高かったのです(1)。
1.5型糖尿病の場合はさらに深刻です。ナトリウム摂取量が1g(食塩として2.5g)増えるごとに1.5型糖尿病になるリスクは73%ずつ上昇し、7.9g以上摂取する人のリスクはなんと6g以下の人の4倍だったのです。
「でも健康診断で血糖値は正常範囲だったから私は大丈夫」と思ったアナタ、そうとは言い切れませんよ。もしかしたら膵臓がフル稼働してインスリンを出し続けているから血糖値が正常範囲に収まっているだけなのかもしれません。
ではどうすれば良いか?
もちろん減塩をお勧めしますが、前回の「ラーメンを食べても血圧を上げない裏ワザ」でも書いたように、血中ナトリウム濃度を上げない努力をすれば極度の減塩をしなくても糖尿病のリスクを上げません(2)。
方法は、食前と食中に水を飲むことです。例えば味噌汁をのみ場合、味噌汁と同量の水を食前に一杯、食中にいっぱい飲むと味噌汁の塩分の影響が激減します。喉が乾いてから飲んでも効果がありません。食後に喉が乾いたら十分飲めていない、あるいは塩分過多の証拠です。
味の嗜好は家庭で作られます。ご自分と子供達の将来を守るために調味料ではなく素材の味を楽しむ習慣をつけてくださいね。