巷には専門家があふれています。今朝見つけた、自炊する人向けの記事、「外出自粛下での食事のポイント」でも実践して欲しくないなーって思うことが書かれていたのでコメントさせていただきます。

 

この記事に登場する方は、味の素オリンピック・パラリンピック推進室ビクトリープロジェクトグループの管理栄養士さん、スポーツ栄養で実績をお持ちの方だと思います。

 

トップアスリートは別の生き物

この方のクライアントはスケートや水泳のトップアスリートたちです。彼らと私達フツーの人間の代謝は全く異なります。トップアスリートの筋肉には一般人の3−4倍量のミトコンドリアが存在します。ミトコンドリアとは、細胞の中で酸素を使ってエネルギー(ATP)を作る器官です。

 

トップアスリートの筋肉のエネルギー要求量がありえないほど高いため、ミトコンドリアの数と機能を強化して有酸素性代謝能力をとんでもなく高めているのです。ですから、トップアスリートは糖分たっぷりの炭水化物を大量に食べても、効率よく使えます。

私たちは違います。もし私たちがアスリートと同様の栄養素比率の、炭水化物が非常に多い食事をすると確実に体脂肪が増えます。たとえカロリーを減らしても最も危険な脂肪、内臓脂肪が増え、メタボリックシンドロームに一歩近づきます。

 

カロリー制限は大間違い

この方は、活動量が減った分脂質の摂取を下げろとおっしゃっています。これは大間違いです。制限すべきは脂質ではなく、砂糖、その次が炭水化物です。以前のブログ、「スイーツ女子のダイエットは成功するのか?」でも書きましたが、カロリーを減らしても砂糖が減らなければ内臓脂肪は増えます。内臓脂肪が増えると、高血圧、高血糖、高脂血症などのメタボリックシンドロームを作ります。これは年齢にかかわらず起こります。また、「ニセ栄養学にご用心」で書いたように、脂質には欠乏症があります。取りすぎは問題ですが、この方のおっしゃるように減らすと、脂質から得られるメリットを失います(以下のスライドを見てください)。

 

朝食を取っても消費カロリーは上がらない

この方によると、「朝食を取ることで体温が上昇し、体に活動スイッチが入り、この時期に下がりがちなエネルギー消費量も上がる」そうだが、自炊するような年代の人に当てはまる科学的根拠はありません。「アメリカで最も流行ったダイエット」でも書きましたが、朝食を食べるかどうかよりも、夜間を通して12時間以上食べない時間を作ることがメタボリックシンドロームにならない秘訣です。

 

「じゃあ何を食べたら良いの?」って思う方は是非今週末のZoom座談会にご参加ください。90分程度のフリートークで、できる限りみなさんの疑問にお答えします。