発達障害(ADHDやASD)と糖尿病には、一見関係がないように思われますが、近年の研究では、この2つの間に「双方向の関係」がある可能性が指摘されています。

ADHDのある人は糖尿病になりやすい
ADHDとT2Dの関連を検証した複数の論文から、ADHDのある子どもや大人は、以下のような理由で2型糖尿病のリスクが2倍になるという解析結果が出ています(参考文献)。

  1. 衝動的な食行動や不規則な生活習慣
  2. 運動不足や食生活の乱れ
  3. 薬の副作用で食欲低下 による代謝異常

糖尿病の人にADHD傾向が見られる
2型糖尿病患者約3000人にASRSスコア(成人ADHD自己評価スケール)という18歳以上を対象としたADHD特性を自己評価のためのチェックリストの回答を求めたところ、回答のあった315名中155名(49%)がADHD陽性という結果が出ました。どの多くが診断を受けておらず、見逃されている状況が浮き彫りになっています(参考文献)。

 

その理由には以下のことが考えられます。

  1. 高血糖・低血糖に伴う注意力低下や疲労感

  2. 糖尿病の心理的負担 から情緒不安定や集中困難

  3. 前頭前野でインスリン抵抗性が発症することからADHDに似た症状が出る

ASDのある人は糖尿病になりやすい
台湾の全国健康保険データを用いて、ASD(自閉スペクトラム症)のある青少年および若年成人6,122名を調べたところ、ASDでない人と比較して2型糖尿病を発症する比率が高いことがわかりました(参考文献)。

 

その理由には、偏食や感覚過敏により栄養バランスが崩れやすく、肥満や運動不足になりがちなことが含まれます。

母親が糖尿病だと子供がASD・ADHD・知的障害になる可能性がある
スウェーデンで母子ペア2.3万人以上を対象に、母親の糖尿病の有無と、子どものASD・ADHD・知的障害との関連性を追跡調査したところ、母親が糖尿病だと、ASDやADHD、知的障害の発症率が統計的に有意に上昇していたことがわかりました(参考文献)。

 

その理由には、母体の高血糖が、胎児の脳の発達や神経ネットワークの形成に影響を与えることが考えられます。

 

インスリン抵抗性で起こる2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンが正常に分泌されているのに、脳や体がインスリンに反応しなくなる、インスリン抵抗性という状態を起こすことで発症します。

 

発達障がいの原因の一つに、脳のインスリン抵抗性が高まって、脳細胞が血糖(ブドウ糖)を取り込めないことによるエネルギー不足、脳細胞が正常に働かないことなどが考えられています。

 

つまり、発達障害のある人がインスリン感受性を高める努力をしないと、2型糖尿病になりやすく、糖尿病の人は潜在的に発達障害の特性を持つ確率が高いということになります。

 

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