㊷高校社会科における授業評価アンケートの試案

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

はじめに

 自身の授業を受講する生徒たちに年度末、アンケートを用いて授業の評価をしてもらっている教師は少なくあるまい。しかし本来は各学校、各教科である程度まで統一した用紙を用いて生徒たちによる本格的な授業評価を年に二回程度、所属する教師全員に対して行うべきである。当然、目の前の教師を評価することに抵抗を覚える生徒がいるだろうから、調査のタイミングは授業が無くなった学期末が適切であろう。学校全体で授業評価週間を設けて十分な時間をとり、クラス担任や副担任を中心にしっかりと取り組ませるのが理想だろうか。

 おそらく年度末は様々な業務が集中するので調査のタイミングとしては夏休み前と冬休み前がベストだろう。すなわち年に二回、実施することで教師各自の授業改善に資するようにしたいものだ。生徒たちには先生方の授業がより楽しく、分かりやすく、役立つものになるよう、生徒たちの誠実な協力を求める…といった内容で調査の目的をアンケート用紙の前書きに示しておくべきだろう。

 ただし教科によってはどうしても質問項目を変えるべきケースが出てくるだろうから、ここではあくまで高校社会科の授業評価にかんする調査案を示すにとどめる。なお調査結果の利用上の注意点は終わりの方で触れることにしたい。

 

・調査内容のポイント~観点別評価の具体例~

 授業評価はまず普通の通知表と同じく観点別評価が最適であると考える。授業評価の観点は私の独断と偏見に基づき、大きく三つに分けて論じてみたい。

 年間を通じて授業が「楽しい・面白い」、「分かりやすい」、「役に立つ」という三条件をほぼ満たすものならば生徒の授業満足度は間違いなく高いに違いないと考えるが、いかがだろう。特に「楽しい・面白い」は授業成立のための必須条件であり、加えて残りの観点の内、一つでもプラスに評価できれば十分合格点とみなすべきではないか。もちろん三つの観点はどれも重要なのだが、必ずしも一つの授業で三つの条件をすべて満たすほどの必要は無いと考える。面白くて分かりやすい、ないしは面白くて役に立つならば好ましい授業として十分、及第点と見なしたい。

 一つ目の「楽しい・面白い」とはお笑い芸人のような、絶妙な「しゃべくり」のテクニックや話の面白さへの評価ではなく、あくまでも授業実践者としての評価観点であるべき。したがって生徒には授業中の余談の面白さを一切、評価の対象としない旨を調査の際には予め徹底させたい。ここではあくまでも授業内容と展開の仕方に評価対象を絞り込むべきである。

 「楽しい・面白い」の観点には授業のテーマやネタ、資料自体の斬新さ、ユニークさ、面白さが含まれる。教科書的なテーマや陳腐な資料を用いたありきたりの展開よりも、意外性のある切り口で問題の本質に深く、多角的に迫れるような、独自の資料を用いたユニークさのある授業こそ、他の教師からも高く評価されるべきだろう。そうした授業はそれだけで生徒の興味関心を強くひきつけるため、評価点を高めに設定したいものである。さらに今、話題になっている事象とうまく関連付けて展開することも生徒の興味をひく上で好ましいだろう。

 「楽しい・面白い」は生徒の授業への参加度を高める上で大切である。逆に生徒にとって授業への参加度の高い展開は授業の満足度をかなり高めるだろう。生徒の多くはひたすら先生の話を聞くだけの、受け身を強いる一斉講義形式の授業を嫌う。受け身の授業ばかりでは誰であっても一定の集中力を保つことすら難しいのだ。逆に自分なりの意見表明の機会を数多く設けた参加度の高い授業は生徒の主体性を引き出し、自己表現欲求も満たされる点で授業の「楽しさ」「満足度」が倍増してくるだろう。

 生徒から意見を活発に引き出すための雰囲気作りも大切である。そのためには教師や生徒たちが少数意見を軽視しないことに加え、対話的議論を通じて多様な意見を引き出す教師側の様々な工夫が欠かせない。また生徒に知識ばかりを問う発問を繰り返していると一部の生徒しか発言しなくなるだろう。多くの生徒が自ら考えたくなるような、刺激的で良質の発問が出来るかどうか、がこの観点での授業の成否を決すると言っても過言ではない。なお引っ込み思案の生徒からも次々と意見を引き出すには予め綿密に設計されたアンケートを用いることがきわめて有効となる。

 もちろん授業中、適宜、討論やアンケートを用いる展開は教師側に多くの工夫と努力を強いる。しかし様々な観点から見て極めて有効な取り組みであるのは経験上、確かである。実際、この評価観点は今後、一層推奨されていくと思われ、とりわけ配点を高くして評価すべきものと私は考える。

 「楽しい・面白い」授業は生徒たちの印象や記憶に残りやすいはず。したがって記憶に強く残った一コマ分の授業のテーマを生徒たちがどれだけの数、覚えていて記述できるのかも重要な指標となるだろう。4単位の講座で夏休み前と冬休み前に調査を実施するならば、それぞれ記憶に残った授業のテーマをクラス平均で5つ以上、挙げられればその授業はおそらく大成功の部類に入るはず。3つから4つならばそこそこの成功と言えるだろう。しかし2つ以下は残念ながら授業の面白さに多少の問題ありと見なして良いだろう。授業評価アンケートの結果が概して良好であったとしても、生徒の記憶に残らないのならばそもそも授業としてはほぼ効果なしと判断されてしまいかねない。いくつ授業テーマを思い出せるかは重視したい評価ポイントとなるはず。

 強く印象に残る授業では概してネタに対する驚きや感動が多くの生徒たちに見られる。感情を強く揺さぶられるネタ、意表を突く驚きのネタは授業の「面白さ」に直結するだろう。そうしたネタを探すのは実際、簡単ではなく、ベテランでも大いに苦労する。ぜひともこの点は高く評価すべきだろう。

参考記事

「探究学習」に学校現場は混乱……“問いが立てられない”子どもたちに欠けている

    学びの土台 All About 佐藤 智 2025.4.22

    どちらかと言えば「問いが立てられない」のは子どもたちではなく、教師たちの方かもしれない。まずは教師たちにこそ「探求学習」が必要なのかもしれない。すなわち大学での教師養成教育の段階で「探求学習」のあり方をどこまで深く身に付けてきたのか、によって探求学習型授業における教師の力量は大きく左右されるはずだ。だとすればまずは大学における教師養成教育の在り方を見直すべきであると考えるがいかがか。

    教科書以外を教えてはならない、と考えている児童生徒や保護者、教師たちは相変わらず多い。そして客観テストの成績ばかりを重視しがちな昨今の風潮の中では、入試に出題されない内容を排除しがちとなるのも無理はない。大学進学を強く意識する高校では授業で何を教えるかに関して、圧倒的に教科書の内容であり、それもとりわけ共通テストに出題される内容に偏っているだろう。

    以上のような風潮の下では授業や試験の内容はどうしても思考力を試す論述問題などが避けられがちとなり、一つの正解を暗記するだけの単調な学習を児童生徒に強いるものに偏っていく。これは教師の授業やテスト採点を効率的で楽なものとする。加えていかにも客観的で公正な学力評価を約束するものに見せかけることが出来る点で極めて便利である。そして児童生徒が脊髄反射的に正解を瞬時に答えられるようにすることこそ、戦後日本の学校における授業の最大の目標となってきたのは紛れもない事実である。

    当然、脊髄反射的な応答を得意としてきたかつての受験エリートの教師たちも、一問一答式の設問以外は「問いが立てられない」傾向にあるとみて良い。高校の社会科における定期考査の実際の出題内容を逐一調べてみれば、その傾向は一目瞭然となるはずだ。

 しかしながら、正解が見当たらない、一つに絞れない…多くの社会問題はすっきりと解決できない不透明さ、複雑さを有する。多様な観点、多様な価値観、時間とともに変動する種々の社会的条件の複雑な絡まり…これらの特性を持つ実際の社会問題への思考力を、まさか「一問一答」式の問題設定で育むことはできないだろう。

 週にわずかな時間しか確保できない「探求学習」の時間だけが「探求学習」であってはなるまい。本来ならば様々な教科の授業にも探求的な内容と方法、理念を盛り込まなければ「探求学習」は成立しないだろう。見直すべきは各教科の評価のあり方にも及んでくる。

 そもそも、これまでの画一的で管理主義的な教育行政と「探求学習」の理念とは本質的に相容れず、背反する要素が多いのだ。にもかかわらず「探求学習」が上手くいかない責任を文科省側が一方的に教師や児童生徒に転嫁するのは何としてもやめていただきたい。それはどうみても「恥知らず」な行為であろう。

いまの小学校、中学校には無茶だ…大学レベルの「答えのない授業」に振り回される生

   徒と教師たち   プレジデントオンライン 木村 草太,内田 良 2025.3.28

   授業改革のキモとなる論点が提示されていて面白い。今はやりの、双方向型、対話型の授業を導入するには確かに大きな困難が伴うだろう。ただし今の授業改革が暗記型の学習をすべて否定しているわけではあるまい。とりわけ木村氏の専攻する法学分野においては暗記抜きでの学習が不可能である。また基礎知識の習得を目的とする義務教育での社会科などでも、暗記が欠かせない項目は非常に多い。したがって常に本格的な意味での対話型授業を試みる必要性はまったくといって良いほど無いと考えるが、いかがか。

 ただし教師が児童生徒の理解度を無視してマシンガンのようにひたすら説明し、板書するだけの一方通行的な授業は避けなければなるまい。暗記を中心とする内容であっても、質疑応答を交えながら児童生徒の反応を注意深く観察し、分かりやすい説明を心がける…といった従来通りの授業方法は続けるべきである。

 今、必要とされているのは、そうした従来型の授業に加えて、新たに対話型、双方向型、討論型、個別最適型の授業も随時、必要に応じて取り入れていく…といった方向性ではあるまいか。

 授業で正解のない課題に取り組む機会は特に高校の社会科において切実に必要とされているだろう。18歳で選挙権を行使する前に、授業で現実の政治課題と高校生がじっくり向き合う時間を、教師は出来る限り数多く用意すべきではないだろうか。そして生の政治課題を授業で扱うならば、特定の見解を押し付けるような一方通行の講義形式は厳禁とすべきである。討論やアンケート、問答、調べ学習などを多用して政治課題の解決に向けたアプローチの仕方、視点の持ち方などを生徒個々人で身に付けていくことがそこでは求められるはずだ。

役立った学校の科目「算数・数学」1位 働く人のホンネ

 FNNプライムオンライン 2025.3.15

 どういう年齢層を対象とし、どの程度の回答数なのか、最も重要な点が不明なので記事としては失格。質問紙調査の常識を弁えないこの手の記事は一切、参考にできない、という点を前提として、以下、あくまで感想レベルのことを述べたい。

 常識的なイメージから結果を予想すれば社会に出てから役立つ教科として社会科が上位にくるべきであろう。しかしトップは意外にも算数(数学)。類似の調査では最も苦手、ないしは嫌いな教科としてトップに繰り返し挙げられてきたのにもかかわらず、算数(数学)は社会に出て役立つ教科だと評価されているらしい。

 ただ調査概要が分からないので結果には信頼性、妥当性の面で疑問符が付く。しかもかなり予想外の結果なので、けっこう疑わしい調査である。ただの煽り記事なのかもしれない。

 国語が2位なのは極めて常識的な結果だろう。ただし3位の英語は調査対象者によって大きく異なるに違いない。どのような年齢、社会階層に属する人たちが回答しているのか、不明なのでやはり何とも言えない。4位に家庭科が来るのは教科の役割上からすれば当然の結果であろう。

 社会に出てから社会科の授業がさほど役に立たない…という結果は、社会科の役割からすれば極めて衝撃的である。しかし社会科がただの暗記科目としてイメージされてきた通り、いまだに暗記中心の一斉講義形式ばかりの授業が続いてきたのなら、これは納得の調査結果だとも言えよう。

 とは言え、この記事が調査概要すら示していないがために、論及に値しないものである点は繰り返し、強調しておきたい。

 授業でこの記事を取り扱うのならば、この記事のダメさ加減も強調しておくべきである。マスコミ情報のいい加減さを具体的に指摘するには実に有用な記事とも言えるだろう。したがってあくまで批判的な観点から授業では紹介したい。

 

 授業の「分かりやすさ」もいくつかの観点から評価したい項目。まずは教師の言葉遣いや難解な用語の解説が丁寧であることは「分かりやすさ」の重要な条件となる。また抽象的な事象や複雑な事柄を絶妙で具体的なたとえ話に置き換えて説明する能力も問われてくるだろう。当然、プロジェクターなどの視聴覚機器を適宜用い、文字資料に偏りがちな社会事象の説明を効果的に補う様々な工夫・努力は欠かせない。

 生徒一人一人の実態に合った学習を可能とする工夫は「分かりやすさ」において特に大切となる。つまり個別最適化学習の機会が頻繁に設けられているか否かが問題。これは「面白さ・楽しさ」と重複するが、授業中のアンケートの設問次第では個々の生徒の理解度をある程度まで探ることが出来る。また対話的議論の積み重ねと自説補強のための調べ学習によって他者と自分の考えとを徐々に整理できるようになることも生徒にとって十分「分かりやすさ」につながる。

   授業における「分かりやすさ」はもちろん生徒たちの状況に応じて相当レベルが変わってくる。教育困難校の生徒たちの中には授業や学習そのものに対して強いトラウマを抱えている者が少なくない。過去、自分なりに楽しい授業が出来た、と思って自己満足にふけっていた時などにそれでも不安そうな顔で近づいてくる生徒が何人かいた。そうした生徒は大抵の場合、「先生、今日の授業で習った事はテストに出題されるのですか」と遠慮がちに訊いてくる。あるいは「今日の授業、面白かったけどなんだか少し分からない点があった」と悲しそうに告げてくる生徒もいた。

 彼らは小学校、中学校時代の長い間、「覚えられない」「理解できない」自分を周囲から馬鹿にされたり、教師たちから低い評価を与えられ続けてきた。そのため、周囲よりできない自分を責め続けた末に自己肯定感が低くなり、学習することへの不安や抵抗感を極めて強く持っている。そして高校でもきっとまた辛い思いを繰り返すのだろう…と高校入学当初から諦めかけている生徒たちが圧倒的に多い。つまり大抵の場合、最初から授業には嫌悪感しかなく、一切の期待を捨ててしまっているのだ。

 彼らの授業に対するトラウマをまず少しでも軽減していかないと、多少、授業を工夫してどんなに楽しい内容を取り入れたとしても、それがかえってトラウマを刺激してしまうことすらある。なんだか周りのみんなは授業で楽し気なのに、自分ばかりが理屈がよく分からないせいで、またまた授業から、クラスメイトからポツンと一人取り残されている…そうした過去の苦々しい思いがひとたび蘇ってしまうと、その生徒にとって以後の授業はすべて何の意味も持たなくなってしまうだろう。

 そこで私は一番最初の授業で講座の評価基準と評価方法をプリントにして配り、それを丁寧に時間をかけて説明することにしていた。ここから先は特殊な事例なので安易な一般化は出来ない点にご留意願いたい。

 困難校の中でも特に定時制の午後部の生徒はほぼすべて何らかのトラウマと学習障害を抱えている。そこで授業の最初に「テストの点数だけで諸君が赤点をとることはない」とまず断言しておく。これは以後もしつこいほど繰り返し強調した。

 中には日本語すらおぼつかない、外国語を母語とする生徒が少なからずおり、足し算すらできない生徒もいたのだから、この評価基準はそうした学校においては決して間違ってはいないはずだ。そもそも公立高校はそうした生徒であってもいったん入学を許可した時点で、原則、生徒たちが卒業するまで責任をもって対応する義務を負っている、と私は理解していた。なのでテスト点を軸にしで評価を出す、といったような、テストで生徒たちを脅すことはむしろご法度といっても良かったのだ。

 こうした学校ではどんな生徒たちであってもとりあえずは、「今日もよく元気で教室にきてくれました。ようこそ、いらっしゃいませ…」といわんばかりの歓迎の意思をまず教師から最初に表明すべきである。当然のことだが、入学式の時と変わらぬ程度、常に教室はきれいにしておきたい。歓迎の表明がありきたりの、ただのリップサービスで終わってはならないのだ

 過去、学校、教師たちから何度も期待を裏切られてきた生徒たちである。なので最初の授業では上記のような話から入るのを個人的には恒例行事としてきた。

 とはいえ、多くの人はそんなことでは生徒を安易な方向に導き、堕落させてしまうのではないか、と不安に感じるだろう。もちろんそうした危険性がまったく無いわけではない。そこでテスト点の話の次に、成績には出席点とプリントの提出点が大きな比重を占めることを説明する。この二つのいわゆる平常点、努力点が午後部の場合には6割以上を占めていた。そうした点をあらかじめこちらから説明しておけば、生徒たちは是が非でも理解しなければならない、暗記しなければならない、といったトラウマを刺激する呪縛から少しだけでも解放される。それだけでも授業への嫌悪感、抵抗感はそれなりに軽減されるだろう。

 生徒たちによる授業評価の観点には、以上のような教師の評価方法への工夫に対する生徒からの評価もまた欠かせまい。

 なお「役に立つ」とはもちろん授業内容が今すぐに役立つ、ということばかりではあるまい。今すぐに役立つとは限らないが、少なくとも生徒たちの近い将来に向けて役立つかもしれない情報を効果的に提供する義務が教師にはあるだろう。特に進学や就職関係の詳細な情報提供は政治経済の授業では必須となるはず。また学生として、労働者として、消費者として、家庭人として、児童生徒の保護者として今後、いずれは必要とされるだろう心構えや知識は特定の教科や科目を超えて繰り返し、授業で取り扱うべきものである。私が社会科授業のネタとして心理学や学校教育、労働者の権利、少子高齢化、差別などの問題を重視しているのも、この点と深く関わっている。

 さらにグローバル化が進む現在、日本文化の特色と欧米との違い、地球環境問題や国際的な紛争などを知ることは切実に必要とされているだろう。ただしこの分野は教科書的に扱うとあまりにも網羅的となってしまい、深い思考力を養うことも、インパクトのある面白い展開に持ち込むことも難しくなるに違いない。この分野は欲張らずに特定のテーマに絞り込んで掘り下げていく、事例研究的な展開を志すべきだと考えるが、いかがだろう。

   「役に立つ」授業というと様々な誤解が生まれやすく、下手をすれば受験に役立つ内容に偏ってしまいかねない。たとえば過去、古文の学習で連用形につく助動詞、連体形につく助動詞、動詞や助動詞の活用形など、丸暗記させられてきた苦い思い出を持つ人は多いだろう。これらの知識は日本の古典文学や言語学を大学で学びたい人には必須の知識となるだろうが、そうではない、ほぼ99%の高校生にとってはまったく無用の知識に過ぎない。しかしかつて大学入試には頻出していたので当時は私も無理やり暗記してきたが、そうした知識が入試以外の場面で役立った記憶は無い。

 確かに入試を前提にすれば役立つ知識でも、多くの人にとっては生きていく上で役立たせることが難しい知識…しかしなぜか今も教科書で取り上げられている学習内容は決して少なくあるまい。そうしたものは教師が注意深く取捨選別し、できるだけ授業で扱うべきではあるまい。なぜならばこうした知識を扱うとたちまち無意味な暗記を強いるだけの退屈な授業に陥りがちとなり、ほぼ間違いなく、授業から肝心の楽しさと分かりやすさを奪ってしまうからである。しかもただでさえ不足しがちな授業時間を不毛な暗記学習によって削らされ、もっとも時間をつぎ込むべき肝心の討論型授業の時間を確保出来なくなるだろう。

 加えて入試には問われないが極めて面白くかつ役立つ知識、一見、役立たなそうに思えるが実は非常に有益な知識…こうした貴重な知識を教科書以外からも丹念に拾い上げ、その知識の有益さに授業で気付かせることは生徒たちの社会を見る目を養うことにも大いに貢献する。こうした教科書外の知識を紹介することは今後、社会科授業の重点目標ともなりうるとすら私は考える。

 教師の中には教科書には書いていない、受験にも出題されない内容など教える必要は無いし、むしろ教えてはならない…といった偏屈で堅苦しい人もいるだろう。よく言えば教科書に忠実、ある意味「謙虚」な教師なのだろうが、悪く言えば教材研究において大いに怠惰な教師ではあるまいか。

 そういう教師は国家、とくに文科省の指示することを鵜呑みにして一切疑うことができない、まさに洗脳された「文科省検定済みの教師」、「教科書教信者」に過ぎまい。そのような人の授業が多くの場合、生徒たちの視野を狭め、授業を暗記中心のつまらない、かつ抑圧的なものにしてしまっている可能性は決して小さくないと思うが、いかがだろう。

 ※参考記事

  ◎Z世代が選んだ「将来役に立たないと思う教科トップ10」 3位「理科」、2位「図

   画工作」、1位は? J-CASTニュース の意見 2024.4.9

   8位の道徳よりもはるかに役に立たない教科として社会科が4位に評価されている点に現在の授業

   内容と授業方法の致命的な欠陥が現れているのだろう。ただの暗記学習にとどまっている限り、

   社会科の授業は児童生徒にとって苦痛でしかあるまい。記事を読ませて授業で議論させると面白

   いだろう。

  ◎教員の9割が探究学習に課題と回答、カタリバ調査

   こどもとIT 正田拓也 によるストーリー 2024.6.7

   340人の教師を対象とした小規模な調査であるが、9割が探求学習に課題を感じている現状に日本

   の教育の遅れを感じてしまう。ただの調べ学習に終わらせてしまうのはもったいない話。多様な

   意見を生徒たちから引き出して対話型議論を積み重ねる事こそ、探求学習の大きな狙いであるは

   ず。与えられた教科書をただ教えるだけの教師が教科書を離れる場面の多い、しかも学習者の自

   発性、主体性を重視する探求学習を指導できるわけがあるまい。しかも教育委員会自体が教員採

   用試験段階で受け身の教師ばかり採用してきたのだから、この結果は自業自得というほかない。

   文科省に屈して自主性を失った地方の教育行政が教師に自主性を求めること自体、おかしな話で

   あり、まして自主性の欠如した教師たちが児童生徒に自主性を求めることも滑稽極まりない。

    教育の根本から見直さない限り、表面的な小手先の物真似だけで探求学習の定着など望むべく

   もあるまい。

 

・調査方法と統計処理のポイント

 教科ごとのアンケートに答える生徒の負担を軽減するためには短時間で終えられる記号選択式を多くすると良いだろう。一番、簡単に答えられるのはおそらく各設問に対して「ア.とてもそう思う」、「イ.どちらかと言えばそう思う」、「ウ.どちらかと言えばそう思わない」、「エ.まったくそう思わない」の四択とし、アを選択していれば4点、イは2点、ウは1点、エは0点といったように、後で表計算ソフトを用いてすぐに点数化できるようにしておくと集計の際、助かるだろう。

※評価点は抵抗感の強い減点方式ではなく、できるだけ加点方式にしたい。また「ア.とてもそう思う」 

 と平均点に近い印象がある「イ.どちらかと言えばそう思う」とは評価として明らかに大きな差がある

 と考えるので「ア」は「3点」ではなく、敢えて「4点」としてみた。この方が生徒の実感により近い

 結果となるように思う。

 「どちらとも言えない」を選択肢に入れてしまうとあまり真剣に考えずにそれを選択してしまう生徒が多くなりがちなので、折角調査しても教師にとってイマイチ授業改善には役立たなくなる危険性がある。異論はあるだろうが、そうした観点から「どちらとも言えない」を予め選択肢から排除した方が良いと個人的には考える。

 印象に残っている授業のテーマ数の場合、5つ以上記述できた場合は4点、3~4は2点、1~2は1点、0は0点くらいが妥当ではあるまいか。

 なおアンケートの最後は自由記述で授業の感想や授業への注文などを書かせておくと一層丁寧で有意義なものとなるだろう。

 統計処理はまず講座ごとのアンケート回答者数の確認に加え、教師個人における設問ごとの総得点を出し、さらに「面白い・楽しい」、「分かりやすい」、「役立つ」の三つの観点ごとの総得点、全体の総得点も算出しておく。ここまでは授業担当教師の仕事。社会科主任は各教師から集計結果を提出してもらい、社会科教師全員の集計を出す。そして教科全体および科目別の総得点の平均値、それぞれの観点別得点の平均値、設問ごとの平均値を出しておき、結果を表およびグラフ化して社会科教師たちに配布すると非常に分かりやすいだろう。この程度のものでも教師の授業改善には十分役立つに違いない。

 社会科教師の数が少ない定時制のような学校ではここまでで十分であるが、5人以上いるような規模の学校ならば、参考のために最高得点の教師の授業参観を後日、他の社会科教師に奨励するのは今後のために良い試みとなるだろう。

 

・アンケートでの設問例

 回答する生徒の負担と集計・分析する教師の負担を軽減すべく、設問数を出来る限り絞り込む必要があるので、まず回答に要する時間を20~25分程度にして設問数を少なめにしてみた。回答に際してはあまり深く考えずに素早く直観的に答えるべき旨を予め周知させておくと生徒たちの率直な意見が反映されやすいかもしれない。

①「楽しい・面白い」に関わる四択の設問群

 良い意味で強く印象に残る授業が多い

 多くの授業に教師の工夫やアイディアの良さが感じられる

 視聴覚教材や独自教材を適宜、活用して面白さ、分かりやすさに努めている

 プリントなどで独自の資料を使ってタイムリーな話題を扱っている

 対話的討論を通じて生徒たちの意見表明の機会を数多く用意している

 要所でアンケートを用いて大人しい生徒の意見も汲み上げている

 ネット検索などを通じて調べ学習の機会を数多く設けている

 特定の考え、価値観を押し付けてはいない

 多様な見方、考え方を紹介してくれる

  ※太字は他の観点とも深く関わるので倍の配点としても良いだろう。また学校やクラスの特性に応

   じて各設問の配点を微妙に変えることも検討すべきだろう。

②「楽しい・面白い」に関わる記述式設問

 「これまで印象に残っている授業一コマ分のテーマをできるだけ数多く挙げてみて

 下さい。テーマは例で挙げたように簡略な記述で構いません。」

  回答例:「錯視体験」「ブラック校則問題」「イジメ事件の隠蔽」…

③「分かりやすい」に関わる四択の設問群

 説明が丁寧であり、分かりやすい

 たとえ話や身近な具体例が適切に示されるので分かりやすい

 しっかりと問題を理解し、自分で考える時間が十分に用意されている

 本当に生徒が理解できているのか、様々な手段を用いて確認している

④「役に立つ」に関わる四択の設問群

 自分の将来の進路を決めていく上で役立つ知識、考え方を学べている

 家庭人として、労働者として、地域社会の一員として今後生きていく上で役立つ知

  識、考え方を学べている

 国際社会の中で日本人として今後生きていく上で必要とされる知識、考え方を学べ

  ている

 日本社会が今後、どうあるべきかを考える上で役立つ知識、考え方を学べている

 国際社会が今後、どうあるべきかを考える上で役立つ知識、考え方を学べている

 

・調査の実施と結果の利用に際して

 以上、私が提案した授業評価アンケートはあくまでも教師集団による自主的研修の一環に位置づけて実施されるべきものであり、管理職や教育委員会などから強制されて行うべきものではない。またこれを本格的に実施するには幾つかの厳しい条件をクリア出来ていなければならない。特に教師の職務精選が断行され、部活動等の負担が完全に地域社会に移行されていることがまず、最低限の前提条件となる。

 授業こそが教師の本分、との共通認識が成立していないような現状のブラック化した多くの高校ではこうした取り組みはむしろ教師の負担を増やすだけで逆効果を生じかねないだろう。さらに学校が行っている無意味な研修や目標申告などを徹底的に無くすことを通じて各教科でのアンケートがしっかりと実施可能になる程度まで、学期末の時間的余裕が確保できることも実施上、不可欠の前提条件となる。

 またこのアンケート案が教師の職務軽減を伴わない中で管理職の得点稼ぎや教員管理の手段として悪用されることは決してあってはなるまい。

 もちろんアンケート結果は教師の授業改善に資することが唯一の狙いであり、特に教師の人事などに影響を与えることも絶対にあってはならない。繰り返しになるが調査結果が管理職や教育委員会に悪用されないよう、結果の取り扱いには十分留意すべきである。

 

 というわけで実際には残念至極ではあるが、今のところ社会科全体でこの調査を実行に移すのは多くの高校では無理であり、百害あって一利なし。明らかに時期尚早だと私は考えている。そこで当分の間、授業改善に熱心な教師が個人的に参考にしてもらえれば幸い…という思いでとりあえずこのプランを示してみた次第である。

 くどいようだが何より急ぐべき改革が教師の職務軽減であることは論をまたない。

※参考動画

「全て他人のせい」日本人に主体性が育たない背景とは?レジェンド校長“工藤勇

 一”が指摘する「教育の大問題」【成田修造/宮村優子/平川理恵/西村祐二】

 NewsPicks /ニューズピックス  2024/05/18  14:39

「みんな仲良くなんてできない」先生主体のいじめ対応が子ども自身の解決能力を

 奪う。当事者の生徒達が自ら考え、いじめを解決に導く方法とは?【工藤勇一/平川

 理恵/西村祐二/成田修造/宮村優子】

 NewsPicks /ニューズピックス  2024/05/25  14:31

 工藤氏の主張のポイントは日本の教師の児童生徒への過干渉と管理主義が児童生徒の自主性、当事者意識、主権者意識を損なっている、という点にあるだろう。またこの主張を敷衍すれば教師の過干渉と管理主義が他方で教師の多忙化、学校のブラック化の大きな要因ともなっている可能性に行きつくかもしれない。

 日本の教師の過干渉と管理主義は必然的に日本国民の間になかなか民主主義が根付いていかなかった歴史と大いに重なるはずである。そして当事者意識を持って社会問題に主体的に関わろうとする意識を児童生徒らに育むには工藤氏らが提案する議論を柱とする授業こそが求められる。

 イジメ問題の発生を児童生徒たちの主体性、当事者意識、主権者意識を育むうえでの絶好の機会と捉える工藤氏の逆転の発想はイジメ隠蔽に傾く日本の教師たちを過剰支配の悪循環から救い出す力をも秘めているのではあるまいか。

 

㉕平仮名が分からない高校生

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参考動画

【読解力?】ごんぎつねが読めないこどもたち

    謎解き統計学 | サトマイ 2023/10/27  20:33 

参考記事

一部私大「義務教育のような授業」 財務省が指摘 文科省幹部は異論

    朝日新聞社 2025.4.15

 受験倍率が低くていわゆるFランと位置付けられる大学の授業が「義務教育のような授業」を行っていることは既に高校では常識となっている。つまり高校でも平仮名が書けない、足し算が出来ない生徒に対して小学校低学年相当の指導をすることがあること自体、決して驚きはないのだ。そして足し算が出来なくとも卒業できる高校は少なくない。

 教科書を読むことすらできない生徒がなぜ卒業できるのか、疑問をおぼえる方がいるかもしれない。しかし公立高校では入学を許可された生徒ならば原則として卒業させるのが通例である。仮に卒業できないとすれば、それは出席時数が足りず、卒業に要する単位数に達しなかったケースにほぼ限定される。

 かつてはどの高校でも成績面での評価がかなり厳格に行われていたが、現在、テスト点だけで欠点を出すわけにはいかなくなっており、平常点を加味することでほとんどの生徒は単位の修得ができるシステムとなっている。つまり、入学を許可された段階で生徒たちは皆、既に卒業できるだけの潜在的能力があるものと校長から認められた…と見なしても良いのだ。したがって欠席の問題が無く、補講すらしていない段階では成績が欠点であっても留年自体はまた決定したわけではない。そしていずれ補講は必ず行われ、ほとんどが最後は「お情け」で30点以上の成績がつく。たとえ、足し算ができないままでも…

 義務教育段階ではそもそも落第、留年が制度として存在していない。全欠だろうが、平仮名が書けなかろうが、所定の期間が過ぎれば必ず卒業できる。義務教育ではないはずの高校もまた98%近くの中学生が入学してきており、実際には準義務教育化している。そして平仮名すら書けなくとも定員割れの高校には入学できる。さらに多くの場合、3年間で出席数を満たすことさえできれば高校でも卒業ができる。今はそうした高校を卒業した生徒が何と特定の大学にいともたやすく入学できる世の中になっているのだ。大学生なのに足し算すらできなくとも別に驚くには値しない。

 仮にこれが良くないことだ、とお考えならば、オランダのように特定の学力レベルに達しなかった児童生徒に対しては小学校や中学校での落第、留年を制度的に認めるべきだろう。足し算ができない生徒、学生が高校や大学に在学してしまっている原因は、本をただせば義務教育段階における大量の「落ちこぼれ」を黙認するシステムに求められる。にもかかわらず低学力生徒、学生の問題をもっぱら高校や大学の責任であるかのように考えるのはお門違いも甚だしい。

◎なぜ「無気力な生徒」が増えたのか…“低偏差値高校”から見える日本の教育の「大

 きな問題点」現代ビジネス A4studio によるストーリー 2023.11.17

 まさに「急がば回れ」であり、目先の現象への対応に追われている内はただの「モグラたたき」に終始するだけであろう。個々の現象の背後にある本質的問題、真の病巣を見抜くことが出来なければすべては対症療法に過ぎないのだ。学区制廃止の弊害があるからといって学区制を復活したところで別の問題が浮上するだけであろう。

 日本の公教育の何が本質的問題なのか、意見は分かれるところだが、そろそろ病巣の深部に手を付けていかないと、今後、取り返しのつかない事態を招くに違いない。

“Fラン大学と揶揄されるけれど掛け算割り算ができぬまま高校を卒業する学生が

 少なからず存在している怖い事実 集英社オンライン オピニオン 2023.7.29

 個人的にはこの記事にビックリ。高校では一桁の足し算すら出来ない、南極が熱帯だと勘違いしている、東と西の方角を指さすことが出来ない、日本地図を一つの円としてしか描けない、ひらがなが読めない…といった生徒が入学し、ほとんど特別な指導を受けずに教科書の内容はほぼ何も分からないまま、出来ないままの状態で高校を卒業しているケースが決して少なくない。

 困難校の教師であればこれは周知の事実であり、「怖い事実」などではない。「悲しい現実」なのだ。そして本来ならばマンツーマンでの手厚い指導を必要とする生徒たちに一人一人対応するだけの時間的、精神的ゆとり、それに小学校教師のような忍耐力を今の高校教師に期待するのは、残念ながらお門違いである。

 同様のことはもっと頻繁に小学校、中学校でも起きていて、実際にはどの学校段階でも「形式進級」、「形式卒業」が繰り返されている。大学だけが例外なわけがない、という当たり前の事実に過ぎない。「やり直し」のきかない教育こそが日本の学校教育の特色であり、だからこそ、大学一年生はそのほとんどが18~20歳の青年たちばかりなのだ。

 

 もちろん私がいた定時制高校ではかつて70歳代の「女子」高校生が一人だけいらした。しかし、そうした生徒は今や例外中の例外であり、定時制ですら在校生の年齢層は薄く、ほぼ普通科と同じで、特定の年齢層に集中するようになっている。

 

 定時制では中学校にほとんど通ったことの無い高校生がいくらでもいるし、そうした生徒の多くは外国籍でない限り、特に英語が苦手となりがちである。だからアルファベットすらおぼつかない。

 一方で平仮名も分からない高校三年生もいて、彼は外国籍の生徒であった。

 

 定時制ならクラスの生徒数は圧倒的に少ないからどんな生徒であっても何とかなるだろう、と思う人がいるかもしれない。しかしこれが三部制の恐ろしさ、難しさなのだ。実は不登校の多い午後部では進学が難しい生徒たちが殺到し、何と入試倍率が一時期、連続で2倍を超えていた。最高で2.4倍程度はあったと記憶している。

 したがって1クラス35人で一年次をスタートするという、通常の定時制ではあり得ない厳しさ。もちろん入学式以来、一度も登校せずに学校をやめてしまう、質の悪い非行に走り、学校にいられなくなる、よく分からないがとにかく学校に来ない(2~3人は完全に音信不通になる)…等の理由で確かに9月頃までに数人程度は姿を見なくなる。しかし秋入学の制度があるので再び、クラスの欠員が埋まっていく。秋入学の生徒は少なからず、重度の心理的屈折を抱えているケースが多い。

 一年を通じて負担が軽くなることなど、望むべくもないのだ。

 

 実は3年次、4年次になると場合によっては卒業式が年に3回ある。特に4年次は必ず5年次や6年次の生徒が一つのクラスに混在する。そして一人一人の卒業するタイミングが異なったりする。秋入学の生徒がいても秋卒業とは限らないから複雑だ。そうした生徒にいつ進学指導をするのか、いつ就職指導をすべきなのか、いちいち確認する必要がある。

 こうした高校では試験の結果だけで成績はつけられない。3割前後の平常点(=努力点)を用意しなければならない。私は授業プリント1枚提出につき2~3点の平常点を与えてきた。平常点が30点満点の場合なら、テスト点が0点でも単位は認定されるということだ。平仮名が読めない、足し算が出来ない程度のことでは問題視されるわけがない。

 そして定時制からも大学進学者は午後部だけでも毎年、数名いるのだから、大学生で掛け算、割り算が出来ない者がいたとしても驚くわけがない。

その7.②学校の閉鎖性

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 私の大学での大先輩にあたる方が40年余り前、教育困難校での教師がどのようにして困難な状況を乗り越えようとするのかを博士論文のテーマにして取り組んだことがある。「サバイバル・ストラテジー(生き残り戦略)」というキーワードで民族学、文化人類学が用いる参与観察という手法を使って教師や生徒の生態観察を試みたものである。

 私自身は素晴らしい論文だ、さすがは博士論文・・・などと単純に感心していたのだが、当の学校現場では必ずしもそう受け取られず、倫理面での批判があったと聞いた。しかし実はこのような、まさに「潜入捜査」でも試みない限り、すっかり村社会化し、自閉してしまった今の学校の内部や実情を探るのはどんなに優れた学者であっても困難を極めるだろうと私は今も確信している。

 つまり教育行政や学校現場の持つ牢固な隠蔽体質が研究者の学術的研究やマスコミによる真相究明を長年、妨害し、頑なに阻んできたと考えられるのだ。従って学校教育の病状が極めて深刻でその症状は誰の目にも明らかになっていたとしても、肝心の症状を生み出すメカニズムや学校や教育委員会の奥底に潜む病巣を明らかにし、適切な診断を下すことは相当の専門家ですら今後も困難を極めるに違いない。

 それはあたかも医者がウソまみれの記述と空欄だらけの問診票、頭皮をそっとなでるだけの触診、それに体温と血圧の数値だけで脳腫瘍などの診断を行おうとするに等しいほど、無謀な行為だと思われる。

参考記事

そりゃ隠蔽するわ…「正直者がバカを見る」バッシング社会の病理

   ダイヤモンド・オンライン 秋山進 2025.3.12

   隠蔽に走りがちな組織に見られる特色として「リーダーシップの不足」、「証拠の不在」、「リソース不足」、「心理的バイアス」(現状維持バイアス、損失回避バイアス)が挙げられている。いずれも多くの学校に当てはまる特色だろう。2~3年でいなくなる校長や教頭に学校経営のリーダーシップなどあるわけがない。学校の組織的病理に通じている人材がほぼ皆無であり、多くの教師は学校経営自体に無関心。事を荒立てることなく無難にやり過ごせる能力が重宝がられる組織風土…学校自ら学校の根深い隠蔽体質を見直すことは極めて困難である。

「文科省と日教組が結託した治外法権」問題教員にも手出しできない市長の無力

 ダイヤモンド・オンライン 泉 房穂 によるストーリー 2024.10.27

   泉氏の主張には無条件に賛成できない部分もある。たとえば市長が学校教育へ不用意に介入することは公教育の「政治的中立性」を脅かす危険性を強めてしまうだろう。もちろん泉氏のような考えである限り、市長が介入することは学校現場としても大歓迎すべきであろうが、市長の方針によってはとんでもない事態を招いてしまうかもしれない。

   確かに「政治的中立性」を盾にして教育行政は外部からの介入を排除し、「治外法権」の領域を拡大しようとしてきたのかもしれず、その点に関しては泉氏の指摘通りなのだろうが、やはり斎藤元兵庫県知事のような人物がゴリ押しで公教育に介入してくるのはどうか、とも思うのだ。

   本来、こうした問題を解決すべく設置されたのが都道府県および市町村の教育委員会であったはず。戦後間もなく、アメリカの指導によって設置された教育委員は公選制の形を持って民主主義的に選出されていたのである。しかし教育委員会の役割に対する日本国民の理解が進まず、結局、公選制は瞬く間に撤廃されてしまった。長く公教育の運営を「お上」に依存し、ひたすら政治に対しても受け身のままであった国民を、主体的な主権者として育成していくにはそれなりの時間と種々の施策が必要であったに違いない。軍国主義が一掃されていない戦後間もなくの段階での教育委員公選制は確かに時期尚早と言えた。

   教育委員は結局、学校の管理職候補と元管理職で占められてしまい、結果的に学校と教育委員会との馴れ合い、癒着が進んでしまった。これが学校の不祥事、隠蔽事件が多発する土壌を生み出してきてしまったと考えるが、いかがだろう。

   相次ぐイジメ隠蔽などの学校、教育委員会による不祥事隠蔽は、教育委員会が本来果たすべき役割をこれまで十全には果たせてこられなかった側面が極めて大きいのではあるまいか。ならば、今、見直すべきは人事を含めた教育委員会という組織のあり方の方であろう。泉氏のような高い見識を持つ市長ばかりではない、という現状からすれば、市長による教育への介入強化はやはり好ましくはあるまい。検討すべきはむしろ教育委員公選制復活を視野に置いた、教育行政の民主主義化、自由主義化の方ではあるまいか。

 かなり遠回りに思えるようだが、教育委員会の抜本的組織改革が実現するには、まず児童生徒や保護者らが学校運営に積極的に関わっていく各種の工夫やシステムを構築して、国民の多くが望ましい学校運営とはどういうものなのか、ある程度の見識を持てるようにしていく努力が欠かせまい。そういった点でも児童生徒の主体性、当事者意識を育む授業改革は教育行政改革にもつながる地道な一歩であると考える。特に社会科授業で学校教育問題を積極的に取り上げて児童生徒に議論させる取り組みは今後、一層重要となってくるであろう。

『あさイチ』学校内での「盗撮」にスタジオ騒然…博多大吉「途中から気持ち悪く

 なってきた」ゲストも激怒 中日スポーツ 2024.7.3

 一見、授業では使えそうもない記事のように感じるかもしれない。しかし使い方次第では面白い教材に化けるだろう。なぜこんな事が学校で起きているのか、まず生徒たちに考えさせたい。

 みなかみ町下半身検診問題や学校での盗撮問題、イジメ事件とその隠蔽問題などに共通するのは、学校が、今や自己責任を問われる大人社会と隔絶された奇妙な聖域と化し、かつ外部の人からは妙に薄暗く、よく見ようとした途端にピシャっと閉ざされてしまうカーテンの奥、完全なブラックボックスと化した現状である。すなわち今や良からぬことを密かに行う場として最適な場所になってきているのが、現在の学校と言う空間なのだ、と私は考えている。

 「学校の中ならバレない、教師にバレたとしても大事には至らない」という心理的安心感も、学校での犯罪行為を後押しする大きな要因と考えられる。実際、余程のことでなければ警察官が校内に立ち入ることは無い。警察官が校内に立ち入ることを極端に嫌悪する管理職や教員は極めて多いし、事件を大事にしたくない多数の教師たちは結果的に「臭いものにはフタ」をしがちである。これらの要素は犯罪者やいたずら者にとって極めて好都合であり、実際、犯罪の横行する条件が現在の学校にはフルで揃っていると考えるべきだと思う。

 学校という場が現状としてあたかも無法地帯のような空間となってしまった背景には一体どんな要因が潜んでいるのだろうか。一つには教師の目が行き届かない「死角」が校内には少なからず存在しており、かつ教師数の不足や過重労働によって教師自身、生徒たちの動きを十分、追えていない点がまず考えられる。

 さらに少なからぬ教師たちが過重労働のもとで責任逃れをしたいがために事件の隠蔽や見て見ぬふりをする。そしてそうした教師たちの姿を児童生徒らは日常的に観察している。こうした点も、校内での教師や児童生徒たちによる事件を頻発させている大きな要因だろう。

小2男児が頭打ち嘔吐、担任ら保護者の要請断り45分間救急車呼ばず…頭蓋骨骨

 折など診断 読売新聞 によるストーリー 2024.6.6

 この件では主に二つの事が懸念されよう。一つは頭を打って嘔吐した、という、非常に危険な状態への教師の認識に甘さがあったのでは…という点。常識に見て一刻を争う事態であり、容体を静観している場合ではあるまい。

 にもかかわらず、担任や養護教諭がただちに救急車を呼ばなかった…となれば担任や養護教諭の頭部打撲に対する認識の甘さ、知識不足が強く疑われる。本来ならば知識と経験豊富な養護教諭が真っ青になって救急車を手配する場面だろうが、なぜ、そうしなかったのか、理解に苦しむ。

 もう一つは学年主任や管理職の判断を待つために無駄な時間を費やしてしまった可能性。「ほうれんそう」、すなわち管理職への報告、連絡、相談を欠かさない姿勢が学校現場では強く求められてきたが、それが行き過ぎると教師個人の判断力が鈍り、責任感も分散しがちとなる。管理主義の行き渡った小学校では災害時などでの教師個人による即断即決、緊急対応の力が十分に養われない可能性は大いにあるだろう。

 学校における緊急事態への対応の遅れはこれまでも頻発してきた。最も悲惨な例は東日本大震災時の大川小学校での悲劇だろう。これはまだボンヤリとした個人的憶測にすぎないのだが、日本における義務教育段階での行き過ぎた管理主義と集団主義は教師個人の決断力と当事者意識を大きく損なう側面があると思えて仕方ない。子どもたちのかけがえのない命を預かっている、という教師にとって本来、最優先されるべき自覚が日本の場合、どこか蔑ろにされている、という懸念が私にはあるのだ。行き過ぎた集団主義、管理主義の下では教師個々人の当事者意識と責任感の欠如を招き、いざという時の初動の遅れをもたらしているのではあるまいか。

県警本部長「隠蔽」を否定せず 鹿児島、前生活安全部長が指摘

   共同通信 によるストーリー 2024.6.6

 公益通報は社会人にとって本来、重い責務であるはず。上司や組織の違法な行為を知っているにもかかわらず公に通報しない…ケースによってはそのことで生じる社会的損失には計り知れないものがあるだろう。しかし学校や警察、お役所などでは残念ながら市民のために通報、公開すべき事案を隠蔽する事件が頻発しているように見えてしかたない。しかも勇気をもって通報した人が処罰されてしまう、職場にいられなくなってしまう、自殺に追い込まれてしまう惨いケースも少なくはないようだ。

 だが公的な立場にある人こそ、公益通報の責務は重くしなければなるまい。特に政治家の側近、秘書などはこれまでもっぱら政治家の悪事の手先、協力者とされてしまいがちだったような印象が強い。しかし政治家の秘書とは自分が仕えている政治家の悪事を知ったならば市民のために直ちに通報すべき立場に置かれているはず。でなければ市民社会を守るべき政治家の秘書としては完全に失格であろう。口の堅さが秘書の資質とされがちな日本の政治風土こそ、悪事の温床なのではあるまいか。

 こうした閉鎖的な職場風土は他の公務員社会でも同様であろう。警察や学校ですら公務上知りえた秘密を口外してはならない、とする原則が裏目に出て各種の隠蔽事件の続発をもたらしているのではあるまいか。

 今後は公務員の場合、守秘義務が適用されるケースを情報のリークによって一般市民に大きな被害が及ぶ場合に限定すべきだろう。守秘義務を悪用して公益通報の理念を形骸化しようとする今までの日本社会の陰湿な風潮にそろそろ反旗を翻す時ではあるまいか。

 ※参考動画

  #656 【塩ちゃんねる】鹿児島県警の隠蔽がついに~長くかかりましたが、ようやく始まったば

   かり~ 塩ちゃんねる 2024/06/06 4:41

  ◎鹿児島県警元幹部「闇を暴いてください」元キャリアも指摘する異例さ【サタデーステーショ

   ン】 ANNnewsCH  2024/06/08 10:31

  容疑者コメント「本部長でなければ誰でもよかった」名指しの幹部を変えた理由 鹿児島県警情

   報漏えい事件 (24/06/10 19:20) 鹿児島ニュースKTS  2024/06/10 2:41

  〇【留置場で遺体となって発見】警察官が取調室で暴行か「右足にアザ」が 法医学者が異例の告

   発 密室取り調べの実態 「取調室はブラックボックス」| 

   カンテレNEWS 2019年5月21日 9:12

   密室の怖さは学校にもある。 

 

 なぜカッパは学校の閉鎖性、責任逃れの隠蔽体質を強く問題視するのか…については以下を参照してください。そこで学校の根深い隠蔽体質を繰り返し、指弾しています。多くの学校教育に関わる問題の根っこにこの隠蔽体質が潜んでいるとカッパは睨んでいるのです。

 

 →§7.カッパの伝言板その5.1980年代以降の学校教育を巡る言説に関する私的覚

   え書き①

 →§3.学校教育編その1.画一的、管理主義的教育の弊害前編

 →§3.学校教育編その2.学校の隠蔽体質前編・中編・後編

 →§3.学校教育編その7.揺らぐデータの信頼性

その3.認知の歪み

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 いきなりですが「認知の歪み」分野の導入時に視聴させたい動画をご紹介いたします。

【漫画】サクッとわかる「行動経済学」をわかりやすく解説【要約/阿部誠】

 フェルミ漫画大学 2021/09/15 11:56 

【やらせ?ねつ造?】小学生でもわかる・スタンフォード監獄実験とは何か?

    ぶーぶーざっくり解説【小学生でもわかる科学】 2023/12/22  16:40

【誹謗中傷する人の心理】脳を惑わす3つのバイアス/SNSはロジックのズレだら

   け/ハーバード大学と日本の違い/脳は省エネモードで動く/違和感に向き合え 

   PIVOT 公式チャンネル  2023/05/20  35:51

※参考記事

新たな戦場は「人の脳」 ディープフェイクで対立あおり分断 国が不満や不公正を放

 置すれば「弱点」に 東京新聞 2024.7.14

 国内の不公正、格差問題を放置していると外国から世論の分断や対立を目的とする

 情報戦の餌食になりかねない、との指摘は重要。対立する外国からのデマにかく乱

 されないよう、政府は国民の不満にもっと耳を傾ける姿勢を打ち出し、知る権利を

 十分に保障すべきだろう。外交や軍事を巡る国家機密の多さは国民の分断を招く危

 険因子の一つであり、一定の期間を過ぎた過去の出来事については積極的に情報公

 開をすべきだと考える。

【毎日書評】自分の不合理さを知れば、もう悩まない。働く人すべてに「行動経済

 学」が必要なわけ ライフハッカー・ジャパン 印南敦史 の意見 2024.4

 自分たちを攻撃してくる中傷や暴言、反論に対してどう立ち向かうのか、心理学、

 脳科学の知見を応用してそのロジックに迫る。イジメや差別とどう向き合い、闘っ

 たらよいのかを考える上で大変重要なヒントを与えてくれる動画。イジメ問題でも

 非常に役立つ観点が得られる教師必見のオススメ動画である。

  動画で紹介されている三つの中傷の戦略(「whataboutinsm」「strawman 

 strategy」「gaslighting」)を理解するだけでも十分役立つだろう。

 

 さて前回に引き続き、心理学ネタをご紹介いたします。今回のテーマは認知の歪みです。一回目に取り上げた「錯視」は知覚の歪みと表現することも可能でしょう。物事の認識は視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚などの五感から入る情報が土台になります。たとえば視覚の場合には目から入った光刺激が眼球内の網膜にある視細胞で電気信号に読み替えられて視神経により脳内に送られます。送られてきた電気信号は後頭要の視覚野を中心にして記憶情報などを元に瞬時に解読され、脳内のスクリーン上に外界があたかも「見えるまま」のように映し出される事になります。感覚受容体の一つである視細胞での光刺激の受容と電気信号への変換を中心とするプロセスを「感覚」、そして後頭葉での電気信号の解読作業は「知覚」、さらに知覚された映像に対してどう反応すべきか、一定の判断が施されるプロセス(ライオンが近づいてくる。逃げよう!等)を「認知」と捉えると一連の言葉が整理できるでしょう。

 錯視現象のように知覚は基本的に歪んでいるのですが、認知も負けず劣らず歪んでしまいます。ですから人の判断に錯誤は不可避とも言えるのです。用心、用心。

 なお今回の内容の多くは池谷裕二氏の「脳には妙なクセがある」(2013 扶桑社新書)「自分ではきづかない、ココロの盲点」(2016 講談社ブルーバックス)の二冊に基づきます。他にも行動経済学や認知心理学関係の本は沢山あるのですが、お手軽で分かりやすい、面白いという2点で池谷氏の著作に勝るものは今のところ無いと感じております。皆さんも是非、ご一読下さい。

 

ア.おとり効果

 たとえば脳は無意識のうちに判断ミスをしてしまうことがあります。決してわざとではなく自動的で反射的に生じてしまう脳のクセなので、多くの人がこのミスを犯してしまいがち。こうした脳のクセを「認知バイアス」と呼びます。

 脳のクセを逆手にとって商売に生かすと・・・(行動経済学より)

・「おとり効果(極端回避性)」の利用例

  カレー店の価格戦略

    ・普通カレー 1000円・・・利益率低い

    ・特製カレー 1500円・・・利益率高い

  利益率の高い特製カレーの注文数を増やしたい時は選択肢を一つ増やして

    ・普通カレー 1000円

    ・特製カレー 1500円

    ・極上カレー 3000円

 追加された「極上カレー」はあくまでも「おとり」のメニュー。お客はこのおとりメニューのせいで特製カレー1500円が相対的に安く感じられるため、特製カレーの売り上げはなんと40%程度も増大。

 

イ.「選択肢過多効果(決定麻痺)」に注意

 「おとり効果」があるからといって闇雲にメニューを増やすと今度は逆効果。

 例:ジャムの試食販売

   A店では6種類のジャムを販売

   B店では24種類のジャムを販売

    →A店の方がB店の7倍もの売り上げを記録

 ※認知的不協和理論による説明:選択肢が多いと人は選択ミスによる損失を恐れるようになり、選択

  そのものを止めてしまう傾向が出てしまう。従っておとり効果が生ずるためには選択肢の数はやや

  少な目である必要があります。

 

ウ.プライミング効果:「先に行なったなんらかの処理が,次に行なう他の処理に促進

的な効果を及ぼす」現象を指す。ある実験ではコンビニ強盗の映像を見せた後、事件とは無関係の人物の写真を6人分見せて「このなかに犯人はいるか」ときくと40%程の人は無関係な人を指差してしまうそうです。

 また別のパターンで「ある証言により犯人と思しき人物を特定したので確認してほしい」という言い方をすると何と70%の人が無実の人を犯人であると証言してしまうといいます(誘導尋問による冤罪の恐怖は誰にでも)。

 

エ.記憶の不確かさ・・・作話の例

 人の記憶は曖昧なのですが、他方で海馬(記憶中枢の一つ)がダメになった人でも本質的な記憶は残るそうです。手に電気ショックの刺激装置を隠しておいて海馬がダメになった患者と握手します。患者はその場では怒りますが、海馬が働かないのですぐに忘れてしまいます。

 でも翌日、同じように「今日も握手して下さい」というと患者は「トイレにいって手を洗ってこなかったので…」といった作話をして握手することを断るのだそうです。作話をしている時は本人には嘘をついている自覚はまったくなく、OFC(眼窩前頭皮質:矛盾を検出する部位)の活動が低下していることが確認されています。催眠でトランス状態になるとやはりOFCの活動が低下するといいます。

 日常生活は作話に満ちていることになります。人は無意識の内に主観経験の原因を探索し、場合によってはその原因を適当に作り上げるのです。右脳と左脳をつなぐ脳梁(何億本もの神経線維で構成)を切断すると言語野が左脳にあるため、右の視野では文字を読み取れますが左の視野では読み取ることはできなくなります。

 ところが見えた文字の物体をつかむ課題では、左の視野に「ペン」という文字を見せるとペンをつかむことができるそうです。つかんでしまった後から見せられた文字が「ペン」であったことに気付くというわけです。同様に左の視野に「笑え」と示すと笑ってくれます。なぜ笑ったのか問うと「あなたが面白いことをいうから」などと真剣に答えるといいます。

 人は根拠があいまいな行動をとった場合、その行動の意味を勝手に作り上げておきながら、それこそが真の理由だと信じて疑わないのです。根拠が無い、理由が見いだせないことに人は居心地の悪さを感じ、いつの間にか無意識の内に適当な根拠、理由をでっちあげてしまうのでしょう。

 

.正と負の連合記憶

 「正と負の連合記憶」実験も記憶や判断に関して興味深い知見を与えてくれます。被験者に新製品のヘッドフォンに関するモニタリング(商品として売れるか売れないかを消費者に判定してもらう事前調査)をしてもらい、アンケートをとります。ペンを渡して答えてもらって実験の第一段階終了。

 次にアンケートを書く時に使用したペンの使い心地を答えてもらいます。するとヘッドフォンに対して高評価した人はペンの使い心地も良いと答え、ヘッドフォンを低く評価した人はペンも使い心地が悪いと答える傾向が見られるのだそうです。

 人間の記憶や判断は状況次第であり、実際、かなり「いい加減」なのです。

 

カ.平均以上効果と総意誤認効果

 人はまた自分の信じたいこと、望んでいることを確認したい欲求も強いようです。人々の大半は自分が平均以上に知能が高く、平均以上に公平であり、平均以下の偏見しか持っていないと思ってしまいます(=平均以上効果

 その一方で「自分は周りの人たちと同じだ」とも思いがちです(=総意誤認効果)。ですから大多数の人々は自分と同じ判断をすると思い、自分の行動を支持してくれることまで期待してしまうようなのです。したがってそうした欲求に反する都合の悪い事象は見過ごしてしまう傾向が強いといいます。もともと周囲は本人の傷つくようなことは言わないようにするため、本人の喜ぶような言動ばかりが目立ってしまうこともあって以上のような錯誤が生じてしまうようなのです。

 

キ.認知の錯誤に共通する点

 認知の錯誤に共通するポイントは以下の二点に集約されるといいます。

  1.だいたい誰でも同じように間違う

  2.正しい知識を与えられてもまた間違えやすい

 これは錯視を代表例とする知覚の錯誤と同じです。

 では錯誤発生のポイントは何でしょう?

 1.正解に至るための情報が決定的に不足

 2.正解が存在するとは限らず、正解が一つとも限らない=「不良設定問題」

 3.検討すべき要因が多すぎ、また複雑すぎる。時間も不足。

 知覚や認知の錯誤はある種の「ヒューリスティック」(認知心理学者のカーネマン、トウヴァルスキの用語で直感的判断をする際に人々が暗黙のうちに用いている簡便な解法、規則)によって生じているといえます。

 

ク.ポジティブ・イリュージョンとウツの現実主義

 うつ病の患者は現実を悲観的にゆがめて見ているというよりもむしろ現実を正しく捉えている場合があるそうです。逆に精神的に問題の見られない人々は多くの場合、都合のよいことばかりを覚えていてかえって記憶はゆがんでいるのだそうです。

 心理学者のシェリー・テイラーは普通の人が

 1.自分を現実よりも肯定的に捉えている

 2.周囲の状況を実際以上にコントロールする力があると信じている

 3.将来に対して非現実的な楽観主義を持っている

 としてこうした認識のゆがみを「ポジティブ・イリュージョン」と呼びました。ヒトはあらゆる情報を自分の都合で勝手にえり好みし、適当に歪め、先入観から補完し、自ら作り上げた世界像を認識しています。ですから人の認識はある程度歪んでいる方が正常なのです。

 ヒトの情報処理過程は大きく二つに分けて考えられます。一つは早期に無意識的に働く過程。もう一つは遅れて意識的に働く過程。無意識的な情報処理では情報の一部を強調したり、歪曲したり、足りないところを補完したりする操作が行われます。ヒューリスティックスや錯視現象も多くはこの過程に属します。

 

ケ.カクテル・パーティ効果

 ちなみに会議を録音して再生すると、それまで気付かなかった様々な雑音が数多く聞こえ、会議場での意見は意外なほど小さくしか聞こえません。ヒトは自分が注意を集中して聞いていること以外の雑音を自動的にカットする処理を行っています。この現象は「カクテル・パーティ効果」と呼ばれるものです。

 しかしすべての雑音をカットしてはおらず、自分の名前などは突然、聞こえたりします。自分に重要な情報であるかどうかは無意識のうちに、瞬時に判断されているのです。

 

コ.無意識の情報処理システムの原則

 無意識の情報処理システムの原則には以下の三つが挙げられます。

1.生存に有利になる情報に敏感:厳しい環境を生き抜いてきたなかで身につけてき

 た早期警戒システムのようなもの。たとえば普通とは違う何らかの変化には敏感に

 反応。

2.認知的節約の原理:少ない資源をできるだけ効率的に使ってスピード重視の情報

 処理。さほど重要性がないことはできるだけ手抜きをしてある程度不正確でいいか

 らほどほどの正確さで処理する。たとえば相手を見かけだけでとりあえず判断。

3.快感原則:自分が気分よくなるように情報を選択し、解釈し、評価する。たとえ

 ばポジティブ・イリュージョン。平均以上効果。

 

サ.日本人の自己評価の低さの背景

 一見すると日本人はポジティブ・イリュージョンが苦手のように思われがちです。確かに傾向としては平均以上効果が目立たず、自分の能力は劣ったものとするネガティブ・イリュージョンすら認められます。

 しかし相互協調性を大切にする伝統的心性から自己の能力を誇るよりも謙遜し、自己批判する人間の方が社会的にも好ましいという価値観から自己卑下するのではないでしょうか?むしろ自己卑下したほうが相手に好印象を与えるという計算が働いており、これも一種の情報戦略といえます。

 個人主義的な欧米や中国、韓国では成功やポジティブな出来事を自分自身に帰属させる傾向が強いですが、日本では極端に弱く、ときにはマイナスでさえあります。日米中三カ国の高校生約3400人を対象にした調査でも(「自分だましの心理学」菊池聡 2008 より)・・・

 「私は他人に劣らず価値のある人間である」という質問に肯定的に答えた高校生はアメリカで89%、中国では96%に対して日本は38%。同じく「私は人並みの能力がある」アメリカで91%、中国94%、日本で58%。「計画を立てるときはそれをやり遂げる自信がある」アメリカ87%、中国73%、日本38%。逆に「自分にはあまり誇りに思えることはない」アメリカ24%、中国23%、日本53%。

 ただしこれも「出る杭は打たれる」といった自己保全からくる自己卑下だけではなく、自己の弱点や問題点を能動的に受け入れて自己の向上を目指す傾向の賜物とみる見方もあります。よくいわれる日本人の自虐史観もネガティブなことの責任を自分に帰するのが美徳とされてきた伝統的心性の産物なのかもしれません。しかし・・・他者と比べての自己評価を見る大学生対象の調査では「社交性」「容貌」「経済力」「スポーツ」などの側面ではやはり過小評価する傾向が見られましたが、「優しさ」(7割以上)「まじめさ」「明るさ」「誠実さ」(6割以上)といった項目では自分が他の大学生よりも優れていると考える傾向が見られました。

 さらに夫婦間の調査でも夫は妻を、妻は夫を自分よりも高く評価する傾向が見られました(特に夫側)。この相対的自己卑下は友人関係でも見られましたが、これは自分たちの夫婦関係や友人関係は他の平均的なそれよりも素晴らしいものだという「関係性高揚」のイリュージョンが見られるということでもあります。 

 つまり日本人のポジティブ・イリュージョンは自分自身を直接持ち上げるようなものではなく、人間関係を仲介として自分自身を高く評価する傾向があるということ。ここにも集団主義的心性が潜んでいそうです。

 楽観的であればそれで良いというわけではありません。小学生対象のある調査ではストレスの高い子どもにはポジティブ・イリュージョンが基本的に好ましい影響を及ぼすが、子どもの攻撃性が高い場合にはかえってその攻撃行動をエスカレートさせる傾向が指摘されています。

 ムードメーカーや営業などには楽観的な人が向いていますが、リスク管理のような公正で、冷静な判断力が問われるポジションには「防衛的悲観主義」のタイプがふさわしいのだそうです。

 「防衛的悲観主義」は悪い状況を想定することで不安を制御し逆境に備えるタイプ。病的なうつとは違い、適応的な悲観主義のことです。一人の人間の中でこの二つを使い分けられるようになることが理想でしょうか。

 人には一歩引いて冷静に観察できる「メタ認知」が必要なのです。やたらにポジティブ・シンキングに走るのはむしろ間違いでしょう。不安や恐怖といったネガティブな感情にも適応的な意味があります。これらの感情は周囲の環境が望ましくない状態になっていることの反映であり、認知システムとして脅威や危険を見逃さないように分析的でシステマティックな思考方略を採るのが必然であり、「ウツの現実主義」もこうした原理によっているのです。

 客観的に物事を眺めるべき時点で単純にポジティブ・シンキングに走ればむしろ不適応状態を招く(・・・太平洋戦争末期の日本?)ことすら起こりえます。新興宗教や自己啓発セミナーの危険性はまさにそこにあるといいます。

 日本人は伝統的に均質で固定的な共同社会を営んできたために「だまし」の文化が欧米に比べて未成熟だそうです。ある犯罪学者は日本人が情報を鵜呑みにしやすく、それらへの警戒感も、確認作業の習慣も不足していると指摘しています。

 

この回のまとめとカッパの感想

~日本人の同調性と集団主義、「空気を読む」文化の裏側についての考察~

 日本人には関係性高揚のイリュージョンが見られるという認知心理学の知見は極めて重要だと考えます。控え目で自己主張に乏しく、「空気を読む」ことが大切とされる日本社会独特の息苦しさも日本人の伝統的心性にこびりついている集団主義に基づくものと考えられます。質問紙調査の結果でも分かるとおりに欧米や中国のような、個人主義が伝統的に根付いている社会と集団主義的な日本とでは決定的に違うものを感じます。

 よく海外向けに「おもてなし」が日本の美徳として宣伝されますが、それは日本のブラックな体質のサービス産業が演出している側面もあって、「お客様は神様」だとする裏側に「過労死」や「社畜」と呼ばれるような労働世界の過酷さが横たわっているのではないでしょうか。

 変に「空気を読む」延長線上に成立する、働く人の「滅私奉公」に支えられた「おもてなし」であるのならばそれは厳しく見直すべき「美徳」でしょう。また日本人は情報を鵜呑みにしやすく、だまされやすいのでは・・・という犯罪学者の指摘も頷けます。他者への肯定的で積極的な関心に裏付けられた「空気を読む」社会であるならばもう少し他者への思いやりがある社会になっていたはず。きちんと空気が読める社会ならば自殺や孤独死が横行するはずはありません。

 同質性を重視する傍ら異質なものを排除し、個性を軽んじてきた日本の集団主義的心性は相変わらずファシズムに転化しやすい危険性を抱えていると思います。

 今、日本はオリンピックを機に「素晴らしいおもてなしの国である」と自負する余り、近隣諸国を見下す傾向がネット上の言論の一部に感じます。またコロナ禍を巡る騒動を通じて、上から強制されなくともマスクを着用している日本人と強制されなければマスクを着用しない欧米の人々とを比べ、日本人の優位性を説くような言論もチラホラ出てきたようです。

 欧米の個人主義をただの「ワガママ」という言葉で一方的に見下すような一部の日本の風潮は明らかに変です。どうやら日本人の中で他者への積極的な関心に基づいた、共感性豊かな「メタ認知」とはほど遠い言論が目立ってきたように思いますが、皆さんはどのように考えますか?

参考動画

【漫画】脳のバグらせ方 脳がわかれば恋は作れる【要約/世良サトシ】

 2021/10/15 フェルミ漫画大学 23:42 

ゲーム理論の基本 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」

  2021/02/18  29:01

 数学的思考が心理学、社会科学に必要不可欠であることが分かる

参考記事

有名人を誹謗中傷してしまうのは「脳の構造」に原因があった…脳科学者が語る、

   コンプライアンス中毒に陥る理由

   現代ビジネス 中野 信子 によるストーリー 2024.3.14

 SNSの発達もあって他人への誹謗中傷がはびこっている。特に有名人へのそれは過酷さを増してきているようだ。その背景に何があるのか、科学的な立場から説明を試みていて、イジメ事件の原因追及にも役立つ内容。

ハーバードで教えた心理学者が伝授、「同調圧力で外せない」日本人のマスクを外

 す方法 ダイヤモンド・オンライン トッド・ローズ の意見 2023.8.15

 ソーシャルメディアによって強化された同調圧力に対抗するには「なぜ?」と理由を問い続ける努力

 が有効だという。また「少数意見でも何回も投稿される意見が、多数派とみなされ、今目の当たりに

 しているのは、少数派が多数派を黙らせている状態です。政治家はこのことを熟知しており、うそで

 あっても何回も繰り返して“真実”にしているのです。」という指摘はSNS上でのフェイクニュース

 と誹謗中傷、偏った意見の横行を説明してくれる。

「自分のことは自分が一番知っている」という人の思考が浅い、決定的な理由 

 植原亮,山本健人  DIAMOND Online 2022/11/06 06:00

「自分は客観的」自負する人に教えたい残念な真実 体感して理解!脳は現実を誤って

 解釈する 東洋経済オンライン トッド・ローズ の意見 2023.6.15

言った言わないの水掛け論…悪いのは相手ではなく、脳のしくみだった!?【脳科学

 者が解説】All About 阿部 和穂 によるストーリー 2023.6.17

人間は「現実には起きなかった架空の事件」を自分がやったと思い込んで自白をし

 てしまうという研究結果 GIGAZINE 2023.6.20

宮崎駿は手塚治虫に嫌われていた? 事実と異なる邪推を生む認知バイアス「基礎比

   率の無視」を知っておこう 現代ビジネス 植原 亮 2025.3.4

 

その3における主な参考文献

・「影響力の武器~なぜ、人は動かされるのか~」

  ロバート・B・チャルディーニ 誠信書房 1991

・「影響力の武器 実践編 ~イエスを引き出す50の秘訣~」

  R.B.チャルディーニ他 誠信書房 2009

・「ウソの記憶と真実の記憶」中島節夫 KAWADE夢新書 2000

・「記憶力を強くする」池谷裕二 講談社ブルーバックス 2001

・「進化しすぎた脳」池谷裕二 講談社ブルーバックス 2007

・「自分だましの心理学」菊池聡 祥伝社新書 2008

・「サブリミナル・インパクト」下條信輔 ちくま新書 2008

・「単純な脳、複雑な『私』」池谷裕二 朝日新聞社 2009

・「謎解き・人間行動の不思議」北原義典 講談社ブルーバックス 2009

・「ねじれ脳の行動経済学」古川雅一 日本経済新聞社 2009

・「和解する脳」池谷裕二・鈴木仁志 講談社 2010

・「脳と心」ニュートン別冊 2010

・「錯覚する脳」前野隆司 ちくま文庫 2011

・「脳には妙なクセがある」池谷裕二 扶桑社新書154 2013

・「脳が認める勉強法~学習の科学が明かす驚きの真実!~」

  ベネディクト・キャリー ダイヤモンド社 2015

・「マンガでわかる行動経済学」ポーポープロダクション 

  サイエンス・アイ新書 2014

・「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版」池谷裕二 

  講談社ブルーバックス 2016

・「認知バイアス 心に潜むふしぎな働き」鈴木宏昭 

  講談社ブルーバックス 2020

・「寝る脳は風邪をひかない」池谷裕二 扶桑社 2022

・「バイアスの心理学~認知のメカニズムと心のクセに迫る~」

  Newton別冊 2023

「思い出せない脳」澤田誠 講談社現代新書 2023

 最近の本では「思い出せない脳」が突出して分かりやすく、抜群に面白い。記憶だけではなく、最新の脳科学の成果を踏まえた著作なのでこの分野や「その5」で紹介している内容とも大きく関わる、カッパ一押しの本。随所にちりばめられたSF仕立てのストーリーの出来も素晴らしく、好奇心がくすぐられ、ワクワクさせてくれる。

 

⑥一面に張り巡らされた献身性のワナ

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考動画

【最大の病】"この"ラインを超えると一斉に叩き出す日本社会の闇がヤバい山田玲

    司の原作が10倍おもしろくなる解説【山田玲司 切り抜き】 2025/01/31  11:38

 今、お笑いやアニメ、漫画などの大衆文化を通じて時代の精神を語らせたらこの人の右に出る者はいないのではあるまいか。かの「グレタ叩き」などのネットリンチや炎上を生み出す時代の精神とは一体何か、ネット社会の闇に潜む現代人の心理を探りたいのならば必見の動画だろう。

 ただし、授業で扱うには難しく、時折、解説を加える必要はあると思われる。もちろん社会科の教師としては間違いなく授業の参考となるのでオススメ。教師の仕事における献身性を考える上でもぜひ視聴しておきたい。

【勝利至上主義】順位を決めない学校も?負けず嫌いは成長?本田圭佑&ひろゆき

 |アベプラ ABEMA Prime  2024/08/01  12:38

 大人主導の勝利至上主義は否定するが、子ども主体の勝利主義は必要…成功体験も失敗体験も必要であり、運動に限らず、様々な種目で勝負する、競争する機会を豊富に用意することが教育的には必要。目標達成のために合意形成をすることと同様に目標を立てた後の実行段階の経験も必要…いずれの議論も学校の現状をしっかりと踏まえたものではないため、学校の負担をひたすら重くする、お気軽な第三者的提案ばかりの、好き勝手な議論に終始しているといった印象は否めない。

 まず必要なのは学校の現状把握であろう。競争的な場面が減っているとの印象論ではなく、運動会の種目と実施状況に関する調査データを踏まえた議論にしてほしい。また競技によって生じる正の側面だけではなく、負の側面(事故、指導の負担、自己肯定感の低下…)にもバランス良く目を向けて欲しい。

 もちろん競争的場面は人間関係の中でも登場する。イジメは人間関係における力関係、上下関係の産物であろう。したがってただ競争を煽ればよい、というわけではあるまい。大切なのは勝利を目指す努力、工夫だけではない。自他ともに一つの尺度、限られた尺度で評価するのではなく、沢山の尺度を用いて多面的な人間理解が出来るようにすることである。そしてそのためにも日本の学校は実際、教科の学力だけではなく、運動や芸術、各種の技術、学校行事などを用意してきたのだ。

 とは言え、欧米に比べれば日本の学校は余りにも多くのタスクを抱えすぎたことですっかりブラック化してしまった、と見るべき側面があるのでは。実際、社会的に必要とされている事だからと言って、何も学校だけがタスクを抱える必要など無いだろう。学校は社会に対して分相応の負担を果たせれば良いのである。

 この議論の問題は前提とすべき議論の不在にあるだろう。日本の学校が負うべき分相応の負担とは何か、についての議論がしっかりと行えていないまま、理想論、机上の空論に基づいて学校の果たすべき任務ばかりが追及されてしまうと、学校のキャパを超えた無謀な議論となってしまうのは不可避である。

 最初に厳しく問うべきは日本の学校が今、何が出来て、何が出来ないのか、その原因は何か、しっかりとデータを用いて検証することだと思うが、いかがか。

「全て他人のせい」日本人に主体性が育たない背景とは?レジェンド校長“工藤勇

 一”が指摘する「教育の大問題」【成田修造/宮村優子/平川理恵/西村祐二】

 NewsPicks /ニューズピックス  2024/05/18  14:39

「みんな仲良くなんてできない」先生主体のいじめ対応が子ども自身の解決能力を

 奪う。当事者の生徒達が自ら考え、いじめを解決に導く方法とは?【工藤

 勇一/平川理恵/西村祐二/成田修造/宮村優子】

 NewsPicks /ニューズピックス  2024/05/25  14:31

 工藤氏の主張のポイントは日本の教師の児童生徒への過干渉と管理主義が児童生徒の自主性、当事者意識、主権者意識を損なっている、という点にあるだろう。またこの主張を少し敷衍してみれば教師の過干渉と管理主義が同時に教師の多忙化、学校のブラック化の大きな要因ともなっている可能性に行きつくかもしれない。さらに教師と児童生徒との関係性は教育行政と個々の学校現場との関係性と同質の側面を有しており、行政側の現場への過干渉や管理主義が個々の学校や教師の主体性、当事者意識を損ねるものとなっている。

 日本の教師の過干渉と管理主義は必然的に日本国民の間になかなか民主主義が根付いていかなかった歴史と大いに重なるはずである。そして当事者意識を持って社会問題に主体的に関わろうとする意識を児童生徒らに育むには工藤氏の、議論を柱とする授業こそが求められる。

 イジメ問題の発生を児童生徒たちの主体性、当事者意識、主権者意識を育むうえでの絶好の機会と捉える工藤氏の逆転の発想はイジメ隠蔽に傾く日本の教師たちを過剰支配と過剰労働の悪循環から救い出す力をも秘めているのではあるまいか。

参考記事

絶対おかしい! 授業準備、テストの採点に「残業代が出ない」のはなぜ? 教員の

   “時間外労働”謎ルール All About  坂田 聖一郎  2024.11.12

   同感である。教師の仕事の内、その多くは学校外かつ勤務時間外で行われている。自宅への「お持ち帰りサービス残業」も多い。それらの時間の多くは厳密な測定が難しく、残業手当の対象とするのが困難ではある。したがって教師に対する残業手当の支給が始まったとしても、堂々と残業時間として計上できるものは実態に比べてかなり少ない時間になってしまうのではあるまいか。

 教師の持ち帰り残業は現在、残業代をもらわないサービスであるがゆえに、ある種のお気楽さをも保証されている。たとえば自宅で音楽を聴きながら、ワインを片手に、ペットと戯れつつ…といった、極めてお気楽な「ながら残業」が許される。もちろん仕事に飽きれば、しばし、おやつをつまみ、家族とふざけ合うこともできる。そうしたお気楽さが残業代の支給によって奪われ、職場と同様の緊張感の中で自宅でのお持ち帰り残業を務める、となればそのことに強い抵抗感を持つ教師はきっと少なくあるまい。

 教師の仕事は一旦、自宅に持ち帰るとなれば私生活の自由時間とランダムに混ざり合ってしまうため、どこからどこまでを正式な残業時間として申請するのかを厳密に判断できない場合が少なくない。すなわち教師の、厳密な意味での残業代支給はあくまで休日における研修、部活動、保護者等との面談、修学旅行中の勤務時間外での指導など、ある程度明確に時間が測定できるものに限られてしまうのはおそらくやむを得ないだろう。

 しかしながら自宅での持ち帰り仕事をまったくの無給とするのも完全な間違いであると考える。ノート、プリントといった提出物のチェック、授業準備、文化祭の準備等は教師として極めて重要度の高い仕事であり、定刻を過ぎていたとしても、さらには自宅に持ち帰ったとしても真っ当に評価されるべき不可欠の任務ではある。これをただのボランティアとみなす発想は学校教育を腐敗させるだけではあるまいか。

 そこで教師個々の役割に応じた、給与の基準を作り直すことが必要となってくるはず。クラス担任はどうしてもクラスに関わる事務仕事(成績、出席…)、文化祭や修学旅行の引率、生徒や保護者との面談、HRの運営といった仕事が加わる。したがってまずは担任手当として給与を一律に加算することが必要となる。

 ただし副担任や学年に所属しない教師に様々な分掌の負担が集中する場合も少なからずあるので、分掌の負担を併せて給与に反映させるべきだろう。たとえば学級担任ではなくとも生徒会の顧問、各種委員会(教師の組織)の長、学年での仕事(特に重いのは修学旅行担当)などが特定の教師に集中することはままある。さらに加えて部活動の仕事、たとえばブロック主任などで大きな大会の運営にあたったりすれば、たとえ学級担任や学年、分掌の主任ではなくとも負担は相当、過酷なものとなり、下手をすれば「燃え尽き症候群」にも陥りかねない。

 教務主任、生徒指導部長、進路指導部長、各学年主任はわずかながら主任手当をもらえるが、総務部長や管理部長などは主任手当を支給されないことがこれまでは少なからずあった。実は仕事の量と質に見合った評価や手当を教師がもらえていないケースが学校では数多く見られ、教師間に不公平感を醸成しかねない危険性が学校現場にはかねてから存在していたと個人的には感じてきた。したがって残業問題と同時に、肩書だけではなく、実際の校務の質と量にある程度まで見合った給与の支給をしっかりと検討すべきであろう。

 教職調整額として一律支給するシステムは、教師ならば分掌を問わずに必要とされる自宅への持ち帰り残業を給与として多少とも評価できるようになる点で一定程度有効だが、それだけではかなり雑な評価にとどまってしまう。かといって残業手当の支給にも問題は残る。とすれば、もう少し学校現場の勤務実態に寄り添ったきめ細やかな評価システムの構築が今後は求めらるのだろう。

 その際、学校の種別や個々の学校によって分掌のあり方や割り振りに多少の差異がある点はこの問題解決を難しくしているに違いない。そこでその実態を各都道府県教委などが緊急に調査して、給与・手当に結び付く、できるだけ公正できめ細やかな評価基準の策定を学校種別、職務別に作成すべきだと思うが、いかがか。

嬉々として「サービス残業」する部活顧問の深刻 「やりがい搾取」だけじゃない部活顧

 問の問題点 東洋経済オンライン広尾 晃 の意見 2024.7.28

 部活動の過熱化の背景には過度ともいえるような顧問の献身的、自己犠牲的指導が潜んでいる。実は部活動のみならず、教師の職務には専念すればするほどにやりがいが増してきてその中毒性から抜けられなくなるものが少なくない。たとえば生徒会の顧問や就職指導、文化祭の指導などもやりがいが大きいために強い中毒性があり、幾度転勤しても同じ仕事を希望し続ける教師は少なくない。

 かつてはそうした教師が熱心な教師としてもてはやされたため、多くの熱意ある教師が自己犠牲的精神を持って特定の業務に専念してきた。しかし生徒数の減少による学校の小規模化と事務仕事の肥大化が教師たちから仕事への熱意を奪い始めていたことを見逃してはなるまい。

 学校の小規模化は一人の教師の仕事の種類を増やし、一つ一つの職務の責任を重くしていく。特定の職務ならば自己犠牲的献身を惜しまない教師であっても、場合によっては苦手な職務を複数、任されることが不可避となってくる。そこに意味不明なブルシットジョブがこれでもかと言わんばかりにのしかかってくる。やがて教師たちの熱意は空回りし始め、徒労感が募り始める。かつて職務に燃えていた教師たちほど要職に就くがゆえに真っ先に燃え尽き始める。

 「嬉々として」サービス残業する部活顧問などは過労死さえ避けられればとりあえず自分の得意分野を多少任されている分、まだ幸運な部類に属する。しかし多くの教師たちは授業でさえ、自分の専門科目を担当できるとは限らず、分掌や部活動も同様に自分の希望が通るとは限らない。長く不本意な思いを抱えつつ、仕事は次第に多岐にわたり、不毛感きわまるブルシットジョブの山を前にして徐々に鬱屈していく。 

 今、多くの学校では「やりがい搾取」どころか根こそぎレベルでの「生きがい搾取」が始まっているのだ。それが教師の休職や早期退職の増大につながっていることは言を俟たない。

教育社会学者・内田良氏が公立教員「定額働かせ放題」問題に警鐘…「給特法」廃

   止と現場の意識改革が不可欠 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2024.6.9

   給特法の廃止と聖職論的な献身性を前提とするような働き方の見直しは部活動の地域移管とともに学校のブラック化を抑止する上で必須であろう。

「あった方がいい病」が組織の生産性を低下させる 優秀な管理職は「引き算」発想で仕

 事を取捨する 東洋経済オンライン 櫻田 毅 の意見 2023.5.11

 「日本人は人のサイフは盗らないが、人の時間は平気で盗む」―時間価値の意識が

乏しい日本人を、こう揶揄する外国人も…との指摘はむしろ学校現場や教育行政の世界に最もよく当てはまるのではあるまいか。

学校の先生は大変…給食を“64秒で食べる日も やりがいに依存した教育現場 何

 を変えれば負担は減るのか?

 【大阪発】 関西テレビ によるストーリー 2023.6.10

 

 運動部の顧問ならば普段の練習のみならず、朝練や合宿、遠征、部員のお誕生会、グランドの整備(草取りと石拾いなど)、ルールや作戦の講習会、炎天下での審判、特に大会の関係者になれば部員達の指導に加えて会場の確保、早朝からの準備、日が落ちてからの更衣室の清掃、顧問や審判の昼食の準備・・・

 教職員組合の学校におけるまとめ役ともなれば毎月の資料の配付、種々の会合への参加(夜遅くか休日)や教育委員会との交渉、駅前でのビラ配り・・・

 いずれも本来の職務ではなく、自発的なボランティア的活動であったはずの取り組みなのに、いつの間にか有無を言わせぬ重苦しい義務と責任がズッシリとのしかかってくる、ある種の「職務」にすり替えられてしまう。

 教師集団の同調圧力は極めて強い。従ってこうした事に運悪く個人的な事情(介護等の家庭の問題など)が重なった場合、あるいは勤務校が急激に荒れてきた場合、一体誰が自分の仕事を代替してくれるのだろう。そんな時、「昔からみんな文句も言わずにやって来た事だ、個人的事情を楯にして今更ワガママを言うな」という声が頭の中で反響してしまうのは私だけではあるまい。

 授業という本務を差し置いて、本来は強制されないはずの自主的取り組みを最も重い不可避の職務にすら変質させてしまうのが、村社会化してしまった学校をギリギリで機能させてきた猛烈にストレスフルな教師集団の、強烈に歪んだ集団心理のなせる業なのである。

 

 20年近く前、ある学校で美化清掃を担当する管理部長の教師はとあるスポーツ種目の専門家として県の仕事を任される一方で、近隣からの苦情もあって自分の空き時間を見つけては大きなゴミ袋を肩に学校内外を歩き回り、せっせとゴミ拾いをしていた。何と学校から数百メートルも離れた場所でも、である。

 私も当時は近隣からの苦情と変質者の出没などで雨天時以外は学校の周辺を2~3㎞ほどしつこく歩き回っていたので、彼の姿を時折見かけていた。その時、私もまた組合のまとめ役として県教委との人事交渉などにも休日を割いて当たっていた。

 さて、こうした苦労談はただの個人的な自慢話なのだろうか、はたまた素晴らしい美談なのであろうか。

 当時、他校の野球部顧問だった方は激務の中、組合の支部役員をも引き受けていた。実はそうした教師の中には分掌の主任まで同時に引き受けている方が少なからずいた。その多くはまさに「体力モンスター」でなければ務まるはずの無い膨大な仕事量に直面していたであろう。

 こうした無謀なまでの献身性こそが教師として持つべき当然の美徳である、とするような教員社会の歪んだ滅私奉公的価値観は教育行政側から巧妙につけ込まれて「やり甲斐搾取」を招く一方で、特定の教師を追い込み、深刻なレベルまで心身を疲弊させてはこなかっただろうか。心身の破綻や家庭での修正不能な軋轢を生み出してこなかっただろうか。

  献身性を美化する保守的立場の教師聖職論と労働者の権利を高めようとする革新的立場の教師労働者論とのせめぎ合いから一歩抜け出ようと 、50年ほど前、教師専門職論が台頭してきた。しかし専門職という、いかにも社会的ステイタスが高そうな言葉に幻惑されてしまったのか、教師の役割、職務を再検討する動きはそれ以降、さほど盛り上がらなかったようだ。

 そもそも50年前に問い直すべきは待遇改善と同時に教師の専門性をどこに見出すべきなのか、教師の職務を何に限定すべきか、という点ではなかったか。とりわけ何でも屋を強要してしまいがちな聖職論が、「金八先生」以後、形を変えて生き残ってしまったような気がしてならない。その一方で、世の中全体の保守化と組合運動の低迷が公務員や教師の労働者としての権利を軽視する、ブラックな風潮を助長させてしまったのかもしれない。

 私を含め、ベテラン教師の多くは今こそ胸に手を当てて学校におけるかつての自分自身と同僚達の仕事への献身ぶりを、絶対に美談化することなしに、虚心坦懐に反省してみてはいかがだろう。

 果たして誰のための、一体何のための仕事だったのか・・・今やそれが招いた正の側面だけではなく、負の側面をも直視すべき時ではあるまいか。現在のブラックな状況の進展にこれまで私たちは何一つ関与してこなかったのだろうか。むしろもう少し早く自分達の負の役割に気付くべきではなかったのか・・・反省すべき点は数多いと思うが、さて、皆さんはいかがだろう。

参考記事

「生徒のために頑張るほど、自腹が増える」29歳女性教師の嘆き。公立校の予算

 が使いものにならないワケ 日刊SPA!  2024.12.6

 授業準備のための実物教材や参考図書の購入などに関しては、教師として転勤後も個人的に使用し続けたいので、ある程度は「自腹」を切るのもやむをえない。また部活動での用具の購入も同様に、多くは転勤後も使い続けるものなので多少の出費は仕方ないだろう。「自腹」のすべてが教師にとって不合理なものではあるまい。

 しかし転勤するたびに違う科目の授業を持たされたり、指導したことの無い部活動を任されることはよくある。その都度、新たに購入するものが出てくる際に、高額の「自腹」を切らされてしまうことには私も強い抵抗感があった。基本的に自らが望んでもいない、不本意な仕事に対してさらなる自腹を強要されるのは誰でも辛さ、不合理さを感じてしまうのは当然の事である。

 もちろんクラス担任としても、文化祭等ではかなり自腹を切る場面が多かった。周囲の教師たちもある程度の自腹を切るのは、学校教師という仕事の性質上、仕方ない事として諦めつつ受け入れてきた流れは確かにある。これまで授業準備や提出物のチェック、小テストの採点などは自宅でのお持帰り業務とされることが長く当然の事とされてきたように、教師の勤務時間の区切りは本来、極めて曖昧である。そのため下手をすれば公私の別すらなく、際限も無い、原則無償の奉仕活動を周囲から延々と期待されてしまいがちなのだ。

 パワポを頻繁に授業で使用するために学校の備品では数的に不足しているプロジェクターやスクリーンを自前で用意している教師は今も少なくあるまい。それらは個人所有であるが、多くの場合、学校以外で利用することは滅多にないだろう。教育予算が先進国では極めて少ない日本のお寒い現状が教師たちの「自腹」の多さを招く主因である事は紛れもない事実なのだ。

その4.千葉県の高校と教師(後編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

④新科目「公共」が目指す授業とは?

 高校では新科目「公共」が登場した。学習指導要領の改訂によって2022年度から導入された必修科目(2単位)の「公共」はそれまでの「現代社会」に取って代わる存在である。この科目には国家主権の強調や愛国心を軸とした道徳教育の押しつけ・・・などと言った批判が既に寄せられている。特に貧困・格差問題や平和学習の要素が欠けている点は確かに見逃せない。

 しかしアクティブラーニングや討論形式の授業が奨励されている点は多少なりともプラスに評価できる。主体的に考え、探求する学習のあり方を重視している点も悪くない。教える内容は討論のテーマ設定によって少しは現場に裁量の余地も出てくるだろう。少なくとも全国画一的で詰め込み主義の陳腐な一方的講義形式の授業がこの科目によって僅かでも良い方向へ変容していく可能性は十分秘めている。本来ならば学校現場としては最大限、この科目を建設的、前向きに捉え直し、退屈な授業に飽き飽きしている生徒達のためにも積極的に取り組んでいき、大いに授業改革に活かしていくべきだろう。

※参考動画

 ○イギリスの主権者教育がすごすぎた。イギリスの政治学者にインタビュー

  たかまつななチャンネル  2022/07/03 20:44

  主権者教育の観点で公民科の授業は見直すべきではないだろうか。イングランドでの市民教育に関

  わる授業では何を教えるのかは担当教師にほぼ一任されているという。うらやましい限りである。

 ○潜入!フランスの政治の授業!

  たかまつななチャンネル 2022/07/02 15:48

  実際の投票と合わせて授業で模擬投票を行う事は日本では許されない。なぜ、フランスでは許され 

  るのか、なぜ、日本では許されないのか、その理由と実践的な模擬投票の是非について授業で討論

  させたい。

 ◎【宮台真司の眼】安倍氏の亡霊(ファントム)が覆うのは自民党と右翼界隈だけ/日本人の「空っ

  ぽ」ぶりはより深刻になっている<司会 尾形聡彦×望月衣塑子> 

  7/10 スピンオフ  Arc Times  2023/07/20 12:28

  イジメが多くの社会で蔓延し、「KY(空気読めない)」を排除しようとする動きが日本社会全体

  に広がることで若者に過度な忖度を強いた結果、いわゆる「キョロ目」がはびこり、少数意見の価

  値を軽くとらえて一方的に「KY」の枠内で捉える傾向を生み出してきたのだろう。それこそが現

  代人が直面するコミュニケーションの劣化である。ならば猶更のこと、多様な意見を交わすことの

  出来る討論を軸とする授業が必要となってきていると考えられる。特に意見が分かれやすく、分断

  を招きやすいがゆえに教科書や若者の間で避けられがちな政治や性愛の問題をこそむしろ積極的に

  討論のテーマとして我々は授業に採用すべきではあるまいか。意見の違いが表面化することを恐れ

  るのではなく、むしろ自分と違う意見が出てくることを歓迎する姿勢を育む必要があるのではない

  のか。

※参考記事

 ○日本での「不毛な反ポリコレの議論」を超えるために、これから「参照されるべき視点」

  現代ビジネス ベンジャミン・クリッツァー の意見 2022.12.14

  多様な意見、価値観を尊重する事の意義と討論の在り方が見えてくる。対立する意見同士が感情的

  な罵り合いに発展していかないように、上手く冷静な議論へと導く上で必要とされる観点とは何

  か、考えさせられるだろう。

 〇「高校は手遅れ?」政治学者が小学生に政治を教える理由と方法

  ABEMA TIMES によるストーリー 2023.7.20

  日本の学校教育がこれまでいかに主権者教育を怠り、主権そのものを侵害してきたかという実態へ

  の反省がなければなるまい。若者の投票率が停滞し、若者が政治的話題をタブー視する傾向を醸成

  してきたのは間違いなく、画一的で管理主義的な学校教育である。

 

 ただし今後注目すべきは教育現場の受け止め方と大学入試問題のあり方である。果たして今の学校現場には新科目にしっかりと対応できるだけの時間的、体力的余裕が残されているのだろうか。新科目導入となれば年間のシラバス等から学習指導要録まで様々な文書を修正しなければならない。ただでさえ激務の教務担当者にはそれだけで重い負担となる。もちろん「公共」や「歴史総合」などの新科目を担当する社会科教師は新たな授業準備にも追われるだろう。加えて討論型の授業に慣れていない教師の場合には一層、不安が募る。他方で大学入試問題が従来通りの知識量ばかりを問うようなものになってしまうと、学校現場もそれに追随してまたぞろ暗記中心の退屈極まる「詰め込み式」授業を延命させてしまいかねない。

 実は昔、「現代社会」導入のしばらく後で共通一次試験(⇒センター試験⇒共通テスト)の試験科目から「現代社会」が外されたことがあった。その瞬間、社会科には大学入試に余り拘束されない科目が生まれ、授業における教師の自由裁量の幅が生じ、教科書にも囚われないユニークな授業を作り出すチャンスが一時的にせよ生じた。そもそも「現代社会」はその創設当時から狭い科目の枠を超えられる、授業改革の先頭に位置した社会科期待の新科目なのである・・・などと40年余り前、自分の居た大学では盛んに喧伝されていたものである。

※ちなみに1979年1月から導入された共通一次は当初、国公立大学受験生向けに限定されてスタート

 したが、1990年にセンター試験と名前が変更された頃から多くの私大が利用するようになり、入

 試の中での存在感を高めていった。その結果、センター入試の出題内容が高校の授業内容をも左右す

 る程に学校現場への影響力を強めていく。私は検定教科書制度下での全国統一テストが孕む教育内容

 への国家統制強化による弊害について、もっと注目すべきであると考えている。多様性を尊重すべき

 時代においてそもそも教科書検定制度や共通テストは本当に今、必要とされているのか・・・

 

 しかし「現代社会」導入に反発する地理を専門とする教師達の抵抗(「現代社会」の登場によって地理の授業時数が削られてしまうケースが現場では多々、見られた)もあったのだろう。「受験戦争」というキナ臭い言葉がまだ飛び交っていた時代の事である。少なからぬ学校(特に進学校)では「現代社会」を入試に役立たない邪魔な科目と見なして必修科目であるはずの「現代社会」を授業では教えずに、カモフラージュのため、表向きは「現代社会」の教科書を生徒に買わせておき、その実、同時に買わせた地図帳と副教材を用い、実際は地理の授業を行ったりしていた。そうした学校現場による隠蔽工作がやがて世間に広く知られてしまい、問題化したことで結果的に「現代社会」は完全に入試科目へと取り込まれてしまう。

※その後、必修化された世界史を教えずに日本史などを教えていた高校の存在も2006年になってから報

 道された。とある高校での校長の自殺も手伝って世間的にはこちらのケースの方がより注目されたか

 もしれない。

 

 今度は入試対策を楯にして政治経済や倫理と「現代社会」の内容とをピタリと重ねてしまうことで多くの進学校は「現代社会」が持つ科目の枠を超えた授業改革の可能性の芽を自らの手で完全に摘んでしまった。すなわち一斉講義形式にしがみつこうとする旧態依然の保守的学校体質も相まって、多くの現場では「現代社会」もまた他の科目と同様、教科書の太字を暗記するばかりの受験科目に堕していく・・・そうした安易な傾向があちらこちらで出現してきてしまったのではあるまいか・・・そんな40年近くの、ホロ苦い記憶を伴った無念の思いの数々がこの科目に対しては自省の念も含んで私の脳裏に執拗にまとわりついて離れようとしない。かく言う私もまた当時の現場の一員として共犯者たるを免れないのだ。そうした過去の経緯と学校現場のブラック化が進んでしまった現状とを鑑みれば、どんなに授業改革の新しい可能性を秘めている「公共」でも、今後の展開次第では瞬く間に「現代社会」と同じ運命を辿ってしまう可能性は大いにあるだろう。これでは社会科授業に対する生徒達の閉塞感はかえって増すばかりである。

 真っ先に国が優先すべき改革は授業改善に資するべく教師の過重な負担の軽減と現場における裁量権の拡大でなければならなかった。しかし学校現場からすればこれまでの実態は学習指導要領の改訂にも見られた「入試改革」「学校改革」「教師改革」「授業改革」の喧しい掛け声の下に、現場への負担が一層重くなるだけの、息つく暇すら与えない「改革」の連打に過ぎなかった。高校の再編も加わり、教師の負担感はかつてよりも重くなってきている。教師の精神的疾患による休職率や新任教師の早期退職が増えている事実は何よりも学校のブラック化が止めどなく進んできている事を物語っていると私は考えている。

 加えて近年、深刻化してきた教員不足の安易な一時的埋め合わせ策として活用されている非正規教員の増大と彼らの現場における微妙な立場は長期的人材育成の観点を欠くばかりか、かえって正規教員への負担の増大にもつながりかねない極めて危険な側面を持っている。こうした現状が続く限り、授業改善に向けて教師達を動機付けることなど、まったく夢のまた夢であろう。

※参考動画

【歴史教育】「戦国武将の名前は知ってるのに」近現代史より縄文弥生を重視?なぜ知識・暗記に?

 今の国際情勢を理解するための学びとは?|#アベプラ《アベマで放送中》2021/12/10 14:03

【シン歴史】年号暗記に意味ある?三国志は単なるエンタメ?ひろゆきと考える歴史を学ぶ意味と意

 義 2022/06/05 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】 23:17

 

・千葉県立高校女子生徒自殺問題

※参考動画

千葉県立高女子生徒が自殺 SOSも学校は対応せず県教委謝罪(2025.01.22放送)

   千葉ニュース(チバテレ) 2025/01/23  2:31

※参考記事

千葉 県立高校女子生徒自殺 “対応取られず”県教委が謝罪

 NHK 首都圏 NEWS WEB 1月22日 

高2自殺で「不適切対応」と認定 千葉、悩み訴えるアンケート放置

 千葉日報 2025年1月22日

 「男性教諭2人と、監督責任がある当時の校長と教頭を、減給の懲戒処分とした。」とのことであるが、県教委の対応ははたしてこれで良いのだろうか。また「弁護士らでつくる第三者委員会が調査。教諭らの意識の低さなどが相まって自殺につながったと指摘した。再発防止策として、アンケートを踏まえて複数の教諭で面接し、結果を残すことなどを検討するよう求めた。」とのことだが、第三者委員会の意見も、はたしてこれだけで良いのだろうか。

 生徒が自殺に至った経緯の悪質さから見て、これはどうみても刑事罰にすら値するような重大案件である。まさに中居氏の謝罪が、示談で済ませられたのだから何の問題もない、と言わんばかりの開き直りで大炎上してしまったのと同様、この問題への県教委による的外れの対応は直ちにネット上で大炎上しても決しておかしくない、低レベルの誤魔化しに過ぎまい。こちらもまた、第三者委員会まで設けられたほどの重大事態である。対応を間違えたフジテレビがとうとう存続の危機にまで追い込まれたごとく、この対応を誤ると当該高校だけではなく、県教委にまで致命的な害悪が及ぶかもしれない。

 まず、この問題を生み出した教師二人への減給処分は再発防止策としてはまったく的外れであり、ほとんど意味が無いように思われる。校長や教頭らはともかくとして、教当該師たちには少なくとも一定期間、学校を離れて生徒たちとの接触を断つ必要があるだろう。指摘されているような対応しかできなかった教師たちがはたして現在、どこまで反省し、今後、学級経営や授業の改善がどれほど見られるようになるのか、一切、そうした見通しや検証無しでこれまで通りに教壇に立たせるというのは明らかな間違いである。

 そもそもこれだけの重大事件なのに、当該生徒の自殺直前や直後における学校としての組織的対応について、マスコミから詳しい事実関係が何一つ報道されていない点は、実に不可思議ですらある。これだけの大問題がこの程度の簡潔な報道で終わっていては、他県や他校の教師たちにとって今後、同様の事件の再発防止のために参考とすべきデータがあまりにも不足し過ぎている、としか言いようがあるまい。すなわちこの貧弱そのものの報道はもはや、マスメディアとしての社会的責任と役割を放棄している、としか評価できないレベルではあるまいか。

   自殺した生徒に英語の授業への不満があったとするなら、当該教師の授業が実際にはどうだったのかに関しての詳細な情報も必要不可欠となる。当該教師の授業に対して当該生徒以外に強い不満を持つ生徒はいなかったのであろうか、いたとすればどの程度の不満なのか、どの程度の人数が不満を感じたのか、当該生徒の自殺後、第三者委員会が調査に乗り出す前の段階において、管理職や上司たちは他の英語科教師たちや授業を受けていた生徒たち、他のクラスの担任や生徒たちに事実関係をしっかりと把握していたのだろうか、当該生徒に不満があった事は二人の当該教師以外に誰も同僚として把握していなかったのだろうか、他の英語科教師たちは当該教師の授業にそれまで一度も不安を感じてこなかったのだろうか、当該担任教師の学級経営について同じ学年の教師は一度も不安を感じてこなかったのだろうか…疑問は尽きない。これらに関する情報次第ではクラスの副担任や学年主任、英語科主任などにも大きな責任とともに指導、処分が及ぶはずである。

 こうした問題が発生する学校は多くの場合、一定数の教師が孤立していてチームワークがまともには機能していない、などの深刻な組織的問題を抱えていると見て良いだろう。多少の欠点や問題のある教師はどこの学校にも必ずいるが、そうした教師たちがほとんどの場合、大きな問題を起こさないで済んできたのは他の教師たちの組織的バックアップ、フォローがあったからである。つまり再発防止を真剣に考えるならば、当該教師の個人的資質を問う以上に、当該学校の組織的問題を把握することの方がより重要となるはず。ところがこれらの報道では学校の組織面での問題がほぼ完全にスルーされている。これまでの経験から見ても、県教委がこの問題を深く追及しているとは思えない。

 こうしたトンチンカンで片手落ちの対応のままでは公教育への不信感がいよいよ募り、多くの県立高校の定員割れが加速してしまうかもしれない。どうみても県の教育委員会として無責任極まりなく、指導監督する意欲の欠片すら見られない、その場しのぎのおざなりな対応なのではあるまいか。

 最低でも当該教師たちを職場から一定期間、離した上で、当時、彼らがどんな対応を取るべきだったのか、どんな授業方法が間違っていて、どのような授業が望ましかったのか…などに関する研修をしっかりと時間をかけて当該教師たちに課すべきではなかったか。これでは一体、何のために立派な県教委の研修センターが幕張に存在しているのか、訳が分かるまい。

 いつまでたっても真剣な対応ができない、ひたすらいい加減な千葉県教委に、ただただ呆れるばかりである。ぜひこの問題、授業で取り上げ、生徒たちから意見を募りたい。

 

参考記事

千葉県の7年度教員選考 志願者数と倍率ともに過去最低 見えぬ妙案

 産経新聞 2024/6/26 18:34

 「令和7年度採用の教員選考試験の志願者は計4560人と2年連続で減少し、平成以降で過去最低を更新した。志願倍率も2・4倍で最低」だったらしい。当然の報いであろう。いよいよ千葉県の学校教育は自ら破滅に向かってまっしぐら…傍から見れば誰もが分かるほどに危機的な状況がこれまでも続いてきたのに県教委の対応は相変わらずトンチンカンそのもの。

 …県教委は今後、志願者増のため、「教員免許を持つが、民間企業に勤めるなど教職には就かない『ペーパーティーチャー(先生)』にアプローチしたい」(担当者)として、教職の仕事の魅力発信に力を入れる…というのだから驚き呆れるほかあるまい。教員志望者の減少を「教職の魅力」のアピール不足とする、陳腐な発想があまりにも情けなさすぎる。

 商品の品質が悪いのに誇大広告で買わせようとするが如き詐欺まがいの対策は直ちに辞めた方が良いだろう。時間の無駄であるばかりか、それ自体、若者に対する犯罪行為である。進めるべきは見せかけの、偽りだらけの「働き方改革」ではなく、真の意味での「働き方改革」であり、教師が本来の職務の中心におくべき授業準備に専念できるだけの時間的余裕の確保なのだ。すなわち授業準備を除く大幅な職務の削減を抜きにして、一切の対応は意味をなさない。一体、いつまでこの不毛な茶番劇を千葉県教委は続けるつもりなのだろうか。厚顔無恥も甚だしい。

千葉で教員志願者減少 その背景は? 教育現場に余裕なく、ほど遠い理想像

 産経新聞 2024.6.26

 …管理職の男性は、教員志願者が減少する要因を「『ブラック』という現場のイメージが先行し過ぎている。確かに現場の負担は増えているが、『子供たちのために頑張る』という前向きな声があるのも事実だ…という。こうした現実離れした幼稚なレベルの分析しかできない管理職のいる学校に勤めたいと思う若者ははたしてどのくらいいるのだろうか…この管理職にとっては「ブラック」はあくまでマスコミが勝手に作り出した悪しき印象であり、一部の怠け者の教師たちの被害妄想に過ぎないらしい。この程度の貧弱な認識しか持てない管理職が千葉県には沢山存在している。だからこそ千葉県での教員志願者が減少し続けているのだが、こういう人たちはそれに気付こうとしない。あるいは気付かないふりをしている。

 …北総地域の小学校の40代女性教員は、現状について「児童のために何かしてあげたいと思っても、働き方改革で『早く帰れ』と言われ、報告書作成や保護者対応など最低限の仕事をこなす毎日」と、時間的な余裕のなさを嘆く…と記事にあるように、現状では表面を取り繕うだけの管理職による強制的な「働き方改革」が一層、現場の教師たちを圧迫している側面にも注目すべきだろう。一刻も早くブラックな学校の現状を変えていかない限り、教員不足による学校のさらなるブラック化は不可避である。しかしそのことへの認識を欠く管理職の存在が学校をさらなるブラックな世界に陥れている…それこそが千葉県教育界の大きな不幸の源なのだと思うが、いかがか

若者に「教員になること」勧めたい日本人19%ワースト2位

  リセマム オピニオン 2023.9.22

まじめな教師を休職に追い込む4つの深刻問題 心の不調を抱えながら勤務する先生も多い 

 諸富 祥彦 : 心理カウンセラー         2020/06/16 5:35 東洋経済オンライン

文化部もブラック化「本末転倒」な部活動の実態 文化とは、教員とは忘れ去られるその「本分」 

 2022.3/29(火) 8:02配信 東洋経済education×ICT

「82歳の講師」が教壇に立つ深刻すぎる教員不足 教員の自己犠牲で成り立つ公立学校は崩壊寸前 

 井艸 恵美,野中 大樹 2022/07/19 07:30 東洋経済オンライン

1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち  

 佐藤明彦 2022/07/30 08:00 東洋経済オンライン

生徒の動画を撮る"問題教師"もクビにならぬ背景 深刻化する「教員不足」の影響が各所に 

   東洋経済オンライン 小林 美希 によるストーリー 2023.9.29

 

⑤生き残るための授業実践とは?

 このブラック過ぎる、ゴールの見えない耐久レースの中で少しでも多くの教師が自らの心身を磨り減らされずに生き残っていくための秘訣があるとすればそれは一体何だろう。

 まずは教師の本務であり、本来は最大の生きがいでもあるべき授業での精神的、肉体的苦痛を僅かでも軽くすること。それとともに、教師および生徒が共に授業の楽しさを改めて実感できるほどに両者が熱中できる授業を創出していくこと。これこそが今は残念なまでにブラック化した学校での教師及び生徒における現実的な生存戦略として最も妥まっとうな取り組みであると考える。

※参考動画

 ◎「日本に“意識高い系”が蔓延する理由」宮台真司が尊敬する〈二人の師匠〉を語る

  文藝春秋 電子版  2023/01/13 9:57

  多様性への尊重は自分の中に伏在する可能性としての多様性に気付くことから始まるとする宮台氏

  の指摘は極めて重要だろう。

 ◎「自分で働いてご飯を食べよう」教科書を離れて学びの楽しさに気づくプログラム『LEARN』/ 東

  大先端研 中邑賢龍先生 KIDSNA STYLE チャンネル【公式】2022/04/22 3:19

 ◎「異才発掘プロジェクト ROCKET」3期生決定!オープニングセレモニー(2016.12.19)

  2017/01/03 日本財団 1:20

 

 授業中に生徒の問題行動が噴出してしまう時、授業改善に深く拘ってきた教師の心はたちどころに打ちひしがれ、折れてしまいそうになる。最悪の場合、逃げ場のないところへ追い詰められてしまうかもしれない。逆に授業が楽しいと思える場面が一瞬でもありさえすれば教師の心が病むことは大抵の場合、回避できるに違いない。授業中の生徒達の明るい笑顔こそがすべての教師の心身を癒し、回復させる最大のエネルギー源になるのだと私は確信している。つまり生徒達の笑顔や真剣な眼差しを授業の中で一回でも見出せるような、実際にはそれほど労力を要しないちょっとした教材上の工夫や生徒の意欲を引き出す発問、それとこちらは現場からかなり抵抗感があるだろう教師の授業観のアップデート・・・これらこそが今の教師達が、そして生徒達がどうしようもなく沈滞した日本の学校社会を生き残る上で切実に必要とされていることだと考える。

 授業における話術の巧拙はひとまず脇に置いておこう。取りあえずは教師も生徒も教科書の呪縛から少しは自らを解放してみるべきである。そして教科書のみならず、教科や科目の枠を超えてしまうほどに汎用性のある本質的で興味深いネタ、ピタリと時宜にかなうネタ、数多くの生徒が飛びつく鉄板ネタをがむしゃらに手に入れていくことを今の教師達は急ぐべきではないのか。

 これはもちろん生徒への媚びでも軽薄なウケ狙いでもない。むしろ現職の皆さんを待ち受ける恐ろしい未来への備え、いずれやってくるかもしれない三部の定時制への転勤への備えでもある。すなわちこの対策は次年度、一体どの科目を任されるのかといったことすらまともには予想できず、幾つの科目を任されるのかですら先行き不透明な学校であっても、社会科教師の地位に辛うじて踏みとどまれる一つの、そして決定的な自衛策となるはずである。おそらく教科書や科目の枠に強く囚われているような教師は意に沿わぬ転勤後の3科目負担の重圧にたちまち押し潰されてしまうだろう。

またこうした前途多難な時代であるならばなおのこと、授業のネタを自分一人でコツコツと時間をかけて探し出し、独自教材を手作りしていく・・・などといったような古臭い職人的授業準備へのイメージはいち早く払拭してしまうべきである。

 そもそも教師のほとんどが今や疲弊し切っており、一つの科目に絞り込んで授業準備できるほどにゴージャスな立場にいられるはずがない(そんな人は一握りの超進学校にいらっしゃるごく少数の教師に限られている)。まともな授業準備の時間すら僅かしか残されていないのが教育困難校の通常の姿である。だからこそ特に教材の蓄えが少ない若手教師や転勤などで初めての科目を受け持った教師は何の遠慮会釈も無く他の教師のネタを手っ取り早く自分の授業に取り込み、あとは時間をかけてゆっくりと自分なりに消化していけば良いのだ。

 多くの生徒から支持されてきた授業ネタは公教育の結果生み出された、教師達全員の貴重な文化財であり、公共の財産でもある・・・とこれからは考えていこう。だから「自分オリジナル」でなくとも他人のネタを積極的に活用すべきなのである。この非情な時代、「授業はオリジナルであるべきで、自分の力だけでジックリと時間をかけて作るべきなのだ」などという変なプライドは自他共に災いを招くだけのただの独りよがり、思い上がりに過ぎまい。

 またYouTubeを含むネット情報は、確かに玉石混淆で事実誤認やフェイクニュースもあって授業で利用するには十分、注意する必要があるものの、現代社会を考える上での新鮮で興味深いネタの宝庫である。むしろ教師自ら情報リテラシーを向上させていく上でも可能な限りネットサーフィンを繰り返して貪欲に適切な題材を日々、そこから見出していき、授業に取り込み続けることが今後は切実に求められていると考えられる。事実、多くの生徒達にとってネットは最大、かつ最も身近な情報源となっている。そうした生徒の実態に寄り添いつつネット情報の危険性や偏りにも気付かせる上で、むしろ積極的にネットを授業で有効活用すべきなのである。

 コロナ禍におけるオンライン授業の急速な進展は、ある意味、生徒達のナマの興味、関心を惹きつけられる絶好のチャンスである。ICTを活用した授業作りには強力な追い風が吹いている。ただし、ここにも見落とせない問題がある。しつこいようであるが多くの教師には毎日、ネットサーフィンを繰り返している暇などあるわけがないのだ。ブラック化した教育現場の中では誰もがまさに忙殺状態に置かれているという深刻な現状があることを決して視野から外してはなるまい。

 私もまた教師生活の多くは日々の仕事、生徒指導や部活指導に追われて肝心の授業準備を数知れず後回しにしてきた経緯がある。あるいは幾つかの映画を視聴させることで苦手な科目の授業を何とかやりくりしていた時代もかなり長い間続いた。初めての科目(世界史だった)を受け持った際にはネットに挙げられていたベテラン教師の授業案をほぼそのまま一年間なぞるようなことまでしていた。そうした日々を含む20年近くの長い試行錯誤を経て徐々にではあるが教科書、資料集に頼らない、生徒達の実態に即した自分なりのネタと授業展開を少しずつ作り出すことができるようになったのが正直なところ、私が苦心惨憺歩んできた30有余年の道程である。

 そして授業でそれなりの効果を期待できる独自教材がどうにかある程度まで蓄積出来てきたとようやく思えたときには無情にも退職の時が目前に迫っていた。もう少し早く気付いていれば良かった・・・そんな悔しさ、無念さを胸に、かつて生徒の驚く顔や喜ぶ顔見たさに時間を惜しまず作った教材、授業での披露が待ち遠しかった面白ネタ、鉄板ネタをUSBや段ボールに封じ込め、むなしく教室から去っていった元教師達はきっと全国に大勢いらっしゃるに違いない。

 私の知る20年近く前に退職した先輩教師は(地理を専門とする方だった)幾度も海外旅行を繰り返しては時間とお金を惜しみなくつぎ込んで世界中から買い集め、拾い集めてきたありとあらゆるレアで貴重な実物教材をマニアックにも自宅の物置に大量に抱えていた方がおられた。残念ながらその方も退職の際には奥様から物置の大胆な在庫処分を厳しく迫られ、途方に暮れていたことを記憶している。

 いずれにせよ個人的に集めてきた教材や面白ネタは教師個人の退職時に教師本人と共に教育現場から忽然と姿を消してしまうことが多い。このことを毎年のように繰り返す現状は実に勿体ないではないか。もちろん時代の流れに乗り遅れがちになり、頭の回転の鈍くなった老教師陣の新陳代謝は学校にとって必須ではある。しかし彼らの教材の中には今もなお古びない優れ物が無いわけではない。一方で日々、面白ネタや生徒から大きな反響を呼べるネタ、教材の不足に直面している若手教師は間違いなく大勢いる。彼らの間で退職教師の持ちネタ(データ面や内容面でアップデートされる必要のある教材が多いとしても・・・)が少しでもある種の「授業遺産」として共有され、簡単に再利用される良い方法は無いものだろうか・・・これが20年来、私が社会科教師として抱えてきた大きな課題意識の一つであった。

 かつて生徒指導や進路指導に追われて授業のネタ探しに行き詰まっていた時にはよくこんなことを夢想していたものである。ネットを用いて全国から会員を集め、大勢の教師達から自信のある持ちネタを誰もが利用しやすい形にして拠出していただく。そして拠出して下さったネタの質と量(検索数で評価)に応じてその分だけ(会員に限られるが)他者のネタの活用を可能にする、いわゆる「教材ネットバンク」制度のような社会科教師の全国的互助システム・・・これ、誰か作ってくれないかなぁ。しかしこの思いつきは20年近く前のことであり、ネット環境や機器がまだまだ不十分な時代であったため、結局、あくまでも私個人の他力本願的妄想に終わっていた。

 そんな自分にとって退職後に生じた時間的ゆとりと近年の急速なネット環境の進歩はすっかり諦めかけ、忘れかけていた妄想としての「教材ネットバンク」構想の一部を実現可能なものとして甦らせるに至った。もちろん私自身の能力の限界が大きいため、実行に移せるのは構想のごく一部ではあるが、一部であっても試してみるだけの価値はあるだろう。これが「カッパの高校社会ネタ探し」ブログを開設した経緯であり、個人的理由である。

 

「教師のバトン」をどうつなぐのか? 退職教師に告ぐ!

 ところで突然話が変わるようだが文科省が上から目線で使った「教師のバトン」というフレーズは教師の皆様方にどのように響いたのだろう。私はむしろ全国の教育現場に絶望的な思いを一層募らせただけだと感じている。多くの教師が激しい憤りを持って受け止めたに違いないとさえ思っている。

 「教師のバトン」という本質的に重い言葉は、悲惨な学校現場の泥水を一切浴びたことのないただの第三者、高学歴エリート役人達が脇からしゃしゃり出てきて云々するものであってはなるまい。当たり前過ぎることだが話の本筋としては学校という現場において日々行われている魅力的な教育活動を通じて当事者である教師自らが次世代の生徒達にバトンを渡していくはずのものである。とりわけ学校の教師が日常的に面白くて有益な授業をすることこそが生徒達に教職への憧れを募らせるのであり、そのことこそがバトンを次世代に渡していく行為そのものだと思うが、いかがだろう。

 そうであるにもかかわらず、目標申告シート(自己評価シートetc)の記入、学習指導計画の作成、朝令暮改を繰り返す大学入試改革へのネコの目対応、学習指導要領の改訂、進学用調査書や指導要録の改訂、果ては混乱ばかり招いた不備だらけの校務IT化、意味不明な校内外研修のつるべ打ち・・・息つく暇も無く矢継ぎ早に文科省や県教委から下々へ、あたかも罰ゲームのように押し寄せてくる仕事の山、山。その多くは教育行政を熱心に「やってます」感を演出すべく仕組まれた、いざというときのためのアリバイ作りに過ぎないような、絶望的なまでに不毛感漂う雑務の塊。そして過熱する一方の部活動と噴出する学校や教師への批判、モンペアへの対応・・・これらに忙殺される余り、肝心の生き生きとした授業実践に手が回らなくなるどころかついには本務であるはずの授業までもが教師及び生徒達にとっても耐えがたい苦痛になってきている・・・学校教育の本当の危機はそこにあるはずであった。

※参考記事

 ○「職員室でしかPCが使えない」 生徒1人にPC1台の裏で、進まぬ教育現場のデジタル化 意識改

  革が必要なのは誰なのか ITmedia NEWS 2022.11.29

 

 そうした学校の惨状に一切目をくれず、「定額働かせ放題」とか「やりがい搾取」という罵声が激しく飛び交い始めた学校に対して、どう見ても皮肉としか受け取りようのない「教師のバトン」という、美しすぎるほどセンチメンタルな表現を文科省の官僚は用いてしまった・・・この人たちの究極的とも言って良いほどの現場に対する理解の無さ、鈍感さがSNS上での大炎上を招いた主な原因であったはずである。当然の帰結として現在、全国的に教師のなり手が不足してしまい、いよいよ学校教育の危機が深まってきている。もはや「教師のバトン」は「恐怖のバトン」と言い換えるべきなのだ。

 そんなことにすら今の今まで気付くことのできない、学校現場に恐ろしく無知な官僚や政治家が厚かましくも学校教育行政を動かしているのだから、学校現場が萎える一方となるのも致し方あるまい・・・などと思わず毒づいてしまうほどに学校現場のお上に対する積年の恨みが溜まりに溜まっているのが現在の学校教師達の内情ではないのか。

 もちろん文科省の官僚にも言い分はあるだろう。文科省に限らず、官僚の多くが安月給で過労死ラインを遙かに超える重労働を常時強いられているという。つまりお互いの職場が見事にブラック化しているのだから、実はお互いにダメダメな政治の被害者でもあり、鬱憤をぶつけ合っている場合ではないのだ。官僚も教師も、同じ公務員として分断と対立を乗り越え、今こそお互いに連携し、自分たちの労働環境の劣悪さを世間にもっとアピールして政治改革と自分たちの環境改善に持ち込んでいくのが事の本筋であろう。

※参考動画

 ・【搾取】「志を持って仕事をしてる」霞が関のブラックな実態は?公務員の働き方改革を元官僚が

  提案 2022/08/12 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】 16:06

 ・【学校の先生】平均残業月106時間 "ブラックな"労働環境の実態と改善策 福岡 NNNセレク

  ション 2022/10/17 日テレNEWS 10:37

 ・公立校教員の採用試験、数カ月前倒しを検討 成り手不足が深刻

  毎日新聞 2022/10/19 20:15

  こんな小手先の改善では教師のなり手不足の解消など不可能。教員不足への対応があまりにもその

  場しのぎの「泥縄式」。中には教員免許状も不要とする採用まで登場してきた。まるで教職の大安

  売り、たたき売りのような状況が各都道府県で一斉に始まったかのようだ。こんな対応で教師の社

  会的地位は向上するわけもなく、むしろ不祥事の多発を招くに違いない。そしてその尻ぬぐいはま

  たもや現場の教師に丸投げされるだろう。しかしパンドラの箱は開けられてしまった。この悪循環

  を誰がいつ、どのようにして止められるのか…絶望感だけが募ってくる。もはや学校のメルトダウ

  ンは近いのか…

 

 と思いつつも、「どうせお上はきれい事を並べては自分たちの手柄稼ぎのためにこれからも次から次へと現場の仕事を増やすつもりであろう。これまで通りに学校で生じた問題の責任も教師の資質の問題としてひたすら下々へ押しつけるだけであるに違いない」・・・などとついついひねくれた愚痴ばかり並べてしまう・・・この官僚達に対する根深い不信感とひがみ根性はもちろん健康的でも建設的でもない。それにわざわざお上から言われるまでもなく「教師のバトン」自体はしっかりと次世代へつないでいかなければならぬ教師自身の大切な使命であることに異論は無い。

 バトンをつないでいくためにはまずもって教師のゆとりを回復することが最優先されるべきであるのは現状からして当然である。そのための制度的見直しは大いに必要だ。しかし制度面の見直しに関しては現場の教師が出来ることは極めて限られている。せいぜいSNS上で学校の実情を訴えるべく、「先生、死ぬかも」といった苦痛に満ちたうめき声を上げるくらいしか出来ることはないのである。ただし折角勇気を絞り出して教師が「死ぬかも」とまでつぶやいたにも関わらず、文科省は一切聞く耳を持たないまま、例の「教師のバトン」の炎上騒ぎを引き起こしているのだから教師側としてはもう、どうしても憤懣やる方ないのだ。

 が、何はともあれ、何時まで愚痴っていても仕方あるまい。今、自分たちが出来ることを考えていくしかない。現場の教師に今すぐ必要とされていることで退職した我々でも今すぐ支援出来ることとは何だろう。それはたとえば我々退職教師が退職する事でようやく得られた特権たる時間的余裕を活かして自分なりに自信を持ってオススメできる授業ネタを探し出し、気前よく惜しみなくネット上に公開していくことなのではないか。とりわけまだ慣れない授業で悪戦苦闘中の若手教師、あるいは転勤早々初めての科目担当に戸惑う教師の皆様に我々の発掘したネタを授業作りの参考として提供することではないか。

 今やネットの発達は誰もが彼らを簡単に支援できる絶好の環境を作り出してくれている。私達は感謝すべき事に煩瑣でやたらに時間と労力と経費のかかる出版という遠回しの手順を踏まなくとも、そして邪魔くさい文科省の検定などを通さずとも、広く、手早く教材や授業のネタを新鮮な内に発信できる素晴らしい時代を迎えているのだ。これからは大勢の方が今すぐにでも利用可能なネタを直ちにネット配信することによって現職教師の授業準備の負担を大幅に軽減していくべきである。時間に恵まれた退職教師に残された役割は当面の間、そうしたことに尽きると私は考えている。

 もちろん、政治に関する話題などに関しては中立性に十分留意する必要があることは言うまでもないし、事実誤認があってもなるまい。当然、それなりの慎重な姿勢がネタの選択には求められる。また従来のような時間と手間暇をかけた教材や出版物を主な典拠とするネタも必要であり続ける。しかし従来のネタだけでは未来を生きる若者相手の公民科の授業として絶対的に必要とされる同時代性、先見性、速報性に欠けてしまうだろう。私達が相手としている青年の関心は専ら今の社会と近い将来に向けられている。彼らに最も必要なのは「現代」社会の知識に基づいた近い将来への備えである。すなわち賢い消費者、労働者として経済社会に参加し、賢明な主権者として政治に参加していくための意欲と能力の基礎を彼らが身につけられるか否か、教師がどのようにしてそれを支援していけるのか・・・そうしたことこそが、今こそ真摯に問われていると考える。

※参考動画

 ・このままで大丈夫か?チャットGPT時代の学校教育とは~教室の不都合な真実を“禁断の書”『冒険

  の書』で読む~【豊島晋作のテレ東経済ニュースアカデミー】(2023年4月5日)

  テレ東BIZ  2023/04/05 1:00:21

  孫氏の指摘する「基礎を重視せよ、は本当か?」は特に非常に重要な観点だと思う。

 ・【暗記】詰め込み型の教育は必要?ChatGPTどう学びに生かす?生成AIで個別最適な指導が実現

  する?|ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/06/16  15:10

※参考記事

 ・教諭ら、現実の政治課題は敬遠 高校「公共」必修で主権者教育どう進める? 

  中國新聞 2021年.11/30(火) 9:00 

 ・「公共の授業で高校生に伝えたいこと」若手公民科教員3人が語る

  教育図書NEWS 2022.4.15

 ・「探求」の指導 高校教員の5割が「生徒の質問に答える時間や人脈ない」

   media ビジネス ONLINE 2022/08/26 05:35

 ・【教育現場からの警告】“思ったことはなるべく言わないでおこう”が癖になった人たちの末路  

  DIAMOND Online 星 友啓 2022/09/23 06:00

  右にならえの均質的な教育を受ける中で、「なるべく感情をコントロールしよう」「思ったことは

  あまり言わない」「こうしたほうが都合がいい」というトレーニングをされすぎてしまう事の弊害

  とIT化への対応や多様な価値観に触れる機会を数多く用意していく必要が説かれている。

 ・名門・灘中が取り組む社会問題の「探究」授業 政策提言を目指す生徒の「心に火をつける」最前線

  の大人たち 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 2022/10/30 14:00

  政策提言を最終目標とする探究授業こそ、十分な時間をかけて建設的な意見をまとめ上げる討論を

  軸とした社会科授業の理想であろう。

 ・愛国」とは何か 監督対談「教育と愛国」斉加尚代×「記憶の戦争」イギル・ボラ

  AERA.dot 2022/09/20 11:56

 ・JCJ大賞受賞「教育と愛国」の監督がなぜ「ベルばら」を語るのかー「お前たちの心まで服従させ

  ることはできない。心は自由だからだ!」  集英社オンライン 2022/09/24 10:01

 ・文科省が「図書館の自由」揺るがす依頼文 「拉致問題の本充実を」

  朝日新聞社 2022/11/13 16:41

  文科省の官僚の仕事が現場の感性から完全に遊離した、不遜なまでに「上から目線」の一方的介入

  に陥っている・・・そんな傾向がこの図書館への依頼文にも表れていよう。

 ・前川喜平×おおたとしまさ 学習指導要領で教育改革? 文部官僚の「思い上がり」 不登校対談・短

  期連載③ 現代ビジネス おおたとしまさ 2022/11/15 06:00

 

 変化のスピードが加速する一方の慌ただしい現代。話題となっているような高度情報化社会の進展、AIや脳科学の発展といった、日々更新されていく新鮮なネタを社会科に限らず、どの教科でも授業で扱う必要性は年々、高まってきている。

 旧態依然の検定教科書だけに頼っていてはもはや未来を生きる生徒達の進路指導すら覚束ない事は既に誰しも否定できない現実である。AI搭載のロボットが普及することで一体、どのような変化が将来の職場に訪れるのか・・・こうしたことに何の予備知識もないままでは進路指導を担う高校教師として、すなわち生徒達の将来に深く関わる任務を持つ大人の一人として、若者の前に立つ資格そのものまで厳しく問われてくるに違いない。私のような老いぼれの身ではあっても若者を相手にする仕事ならば誰であれ、教科を超えて現代社会と未来の行く末を問い続ける姿勢だけは保っていかなければならないのである。

 年齢、教科、科目を問わず、私と同じ主旨の思いを持つ教師は全国に大勢いらっしゃるに違いない。是非、ブラック化する一方の学校現場で笑顔を失いかけ、疲弊し切った今の教師達に少しでも心のゆとりを持っていただくためにも、皆さんの持ちネタを各自の方法で遠慮せず、ネット上に発信していただければ幸いである。そしてできればブログのような、誰もが簡単に閲覧できる形が良いのでは・・・などと個人的には思い、コンピュータに疎い身でありながら私自身も敢えてブログを開設した次第である。

 このブログがほんのわずかでも授業に悩む若手教師のお役に立てることが出来れば幸いに思う。

※参考記事

 ・キーワードから読み解く「教育の新潮流」Forbes JAPAN | magazine の意見 2023.7.19

※参考文献

 ・「2040年の未来予測」成毛眞 日経BP 2021

 ・「2030年:すべてが加速する世界に備えよ」P.H.ディアマンデス、S.コトラー 

  NEWS PICKS 2020

 ・「シン・ニホン」安宅和人 NEWS PICKS 2020

 ・「2025年を制覇する破壊的企業」山本康正 SB新書 2020

その4.安保体制と沖縄~沖縄の戦後と日米関係~続

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

那覇市国際通り入り口付近での辺野古基地移転反対集会(2023.226)

・ウクライナ侵攻と台湾有事の可能性

参考動画

【地図で地政学】AIの考える、中国日本侵攻。日本は5日で敗戦します。

   ジオトリ  2024/03/14  28:31

【地図で地政学】AIの考える、第三次世界大戦で滅ぶ国、生き残る国。

   ジオトリ  2024/12/15  18:12

 世界史や地理的な観点も加えた予想はかなり参考になるだろう。

【なぜ報道しない?】トンデモない情報が入ってきて、このまま日本に居ていいの

   か?第三次世界大戦日本国敗戦の見込みについて。

   AkikinnJAPANチャンネル 2025/01/11  13:07

【すぐ消す】トンデモない情報が入ってきて鳥肌が止まらない。このまま日本に居

   ていいのか?台湾有事、日本有事、核ミサイルの脅威。

   AkikinnJAPANチャンネル 2025/01/09  15:59

 日本の防衛における問題点がよく整理されていて分かりやすい。ぜひ、授業で取り上げて議論させたい内容。ロシア、北朝鮮、中国はいずれも日本周辺で危険な動きを見せており、この三国が共同して極東を舞台に軍事作戦を敢行すれば確かに日本はひとたまりもないだろう。原発とアメリカ軍基地を攻撃の重点目標とされる可能性は高いと思われる。こうした状況に対して日本側はどう対処していくべきなのか、しっかりと考えさせたい。

【ホリエモン】尖閣諸島を奪おうとした中国が返り討ち!自衛隊の最新装備・日の

   丸戦艦のレベルが違いすぎて大激怒!【ホリエモンのお前が終わってんだよ! 切り抜

   き】 2023/08/27  12:20

 実際の中国の脅威についての知識は必要不可欠だろう。

安倍元首相 米との「核共有」議論を

 2022/02/28 FNNプライムオンライン 1:26

憲法記念日に岸田総理「時代にそぐわない部分 憲法改正すべき」改憲反対派も集

 会「9条 戦後最大の危機」|TBS NEWS DIG

 2022/05/03 TBS NEWS DIG Powered by JNN 1:40

Q.日本の核武装について賛成or反対?

Q.中国による台湾侵攻、尖閣諸島の占領の可能性は?

Q.北朝鮮が日本に向けて核ミサイルを発射する可能性は?

Q.ロシアがウクライナに核兵器を使用する可能性は?

「他国が持っていない手段がある」プーチン氏“核使用”示唆か・・・真意は?専門

 家に聞く(2022年4月28日) 2022/04/29 ANNnewsCH 8:43

プーチン大統領 核兵器の使用も辞さない姿勢(2022年4月28日)

 2022/04/28 ANNnewsCH 0:45

Q.ロシアが北海道などに侵攻する可能性は?

Q.国連は戦争防止に役立っているか?

Q.国連の安全保障理事会を改革すべきか?

Q.世界の平和に向けて沖縄が貢献できる事とは何か?

Q.沖縄の基地問題はどうしたら改善できるのか?

冷戦期の遺物 名護市に残るミサイル基地跡とは

 2022/05/11 【琉球放送】RBC NEWS 6:30

参考記事

沖縄の神聖な場がいつのまにか防衛省所有に フェンスで覆い陸自の慰霊碑を設置

 「琉球文化を破壊する行為」東京新聞 2025.1.23

 これが本当ならば明らかにマズイ。自衛隊の沖縄に対する認識に強い偏見、差別的なものが感じられる。台湾有事が噂される中で、自衛隊の役割が重視される分だけ余計に自衛隊がやってはいけない行為であろう。

「国防教育法」が施行され、中国の学校は早くも「戦時体制」

   現代ビジネス 譚璐美  2024.11.29

   あたかも戦時中の国民学校における皇国民錬成教育であるかのような、中国の学校教育には戦慄を覚える。とはいえ、日本への観光客が多くなり、諸外国の実情を知る機会の多い中国と、海外からの情報がほぼ遮断されている北朝鮮とは国民の意識や知識が相当異なるだろう。

   北朝鮮では命令に従って仕方なくウクライナの戦場に向かう兵士がほとんであろうが、中国で仮にウクライナへ派兵されることになったとしたならば、人民軍は何事も無くウクライナへ向かうのだろうか。中国の若者は果たして一切逆らうことなく素直にその命令に従うのであろうか…やはりそれは無理だろう。たとえ国防教育法が強化されたとしても、日本やアメリカの情報がタダ漏れ状態の中国、しかも日本人とは比較にならないほどに個人主義的な心性を抱える中国人がどう見ても揃って国家の命令に大人しく従うとは思えない。

 予想されるのは大学院生や大学院卒者が大挙して国外へ「留学」を名目に逃亡する事態。それを阻止するために政府が国境を閉鎖しようとも、国境線の長い大国であることが中国政府にとって大きな災いとなるに違いない。

 しかし、ウクライナへの派兵が無理でも台湾出兵は可能かもしれない。この10年近くの経済停滞が中国を危険な方向へと誘う可能性は決して低くはないだろう。沖縄の安全保障に関しては相変わらず難しい局面が続きそうである。

地位協定を見直そうとすると…日米関係は大変なことになる…らしい【報道1930】

 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.7.18

 沖縄の基地問題を日米地位協定や日米合同委員会の問題と関連させて概観するには役立つ記事。沖縄での米兵による少女誘拐、暴行事件がなぜ沖縄県民に知らされずにきてしまったのか…被害者のプライバシー保護を謳い文句に事件の隠蔽を図ろうとする昨今の学校や警察を中心とした行政の動きと深く関わる現象のように見えるが、いかがか。

沖縄県内で上半期に刑法犯で摘発された米軍人・軍属・家族は39人…過去10年 

 で最多の昨年上回るペース 読売新聞 2024.7.17

軍事研究家・小泉悠氏が「人の脳が戦場になる」解説 「信じない人」が狙われる<

 認知戦インタビュー詳報> 東京新聞 2024.7.16

 沖縄の基地問題を放置していること自体が、日本国内の世論の分断と対立を激化させようと企む外国から付け込まれやすい状況を生み出している、との指摘は重要だろう。日本のマスコミや政治家の発信の信頼性の低下も同様の介入を招く危険性を高めている。日本国民の脳が敵対する外国によってハックされないよう、日本社会にはびこる隠蔽体質の見直しを可及的速やかに進めていただきたい。ネット社会の進展によって「知らしめず、よらしむべし」という封建的な手法がもはや通用しなくなってきている現在、政府は軍事、外交面でも出来る限りの情報公開を行い、国民が議論を行う上で必要不可欠な土台となるべき共通認識の構築を図るべきだろう。

沖縄・南西諸島の要塞化「確実に本土にも広がる」 平和を求め軍拡を許さない女た

 ちの会がシンポジウム 東京新聞 2024.4.15

   ※参考動画

  ○「台湾有事」の懸念に揺れる日本最西端・与那国島 自衛隊の配備、強化が進むなか、“自立ビジ

         ョン”の実現を願う住民たちの思いとは【テレメンタリー】

         ANNnewsCH  2024/03/02  24:46

         地方自治のあり方が根本的に問われている与那国で急速に進む住民の分断はなぜ生じているの

        か、国策として進められている自衛隊の配備、強化に対する島民側の対策として何が考えられる

        か、台湾との独自の交流が実現すれば与那国に何をもたらすだろうか、生徒たちに問いかけてみ

        たい。

      ◎基地問題めぐり 異例の事態 が相次ぐ 「安保の島」強いられる沖縄の2024年 【琉球放送】

         RBC NEWS 2024/12/19 5:46

       2024年における沖縄での安保問題の動きが概観できる。焦点は辺野古への基地移転問題と離島へ

         の自衛隊進出、普天間基地における米軍の危険な降下訓練の三つ。今、なぜこのような動きが出

         てきているのか、その背景と動きの是非について議論させたい。

まさかの「能登半島を模擬攻撃」したロシアの「異常性」と、それを放置する「日

 本政府」現代ビジネス 鈴木 衛士 によるストーリー  2024.4.10

 日本周辺のきな臭さが増しているように思えるのは気のせいだろうか、それとも…北朝鮮によるロケット発射や軍事衛星の打ち上げ、中国によって執拗に繰り返される尖閣諸島海域への「領海侵犯」、そしてウクライナ侵攻を含めたロシアの不気味な動き…このところ世界を不安定にさせている張本人の多くが日本と近接する独裁国家であり、しかもその三国は同じように長期政権化し、お互いの連携を深めてきている。

 そうした情勢の中でできるだけ感情論に流されず、冷静に日本の防衛費増大と日米関係を考えていく必要がある。多様な意見が出てくるだろうが、有効な意見とすべき決め手はそれが内外の情勢に関する客観的なデータ分析に基づく論理的な意見なのかどうか、だろう。

 したがってたとえば台湾有事や北朝鮮のロケット攻撃の可能性を論ずるならば最新の中国による領海、領空侵犯の頻度と20年前のデータとの比較、北朝鮮のロケット発射回数の、ここ20年間の推移、といったデータを生徒たちにネットで調べさせる作業が必要となるだろう。いや、その前に判断をするために必要なデータとは何かをまず考えさせたい。

 もちろん考察する上で有効なデータがすぐに得られればそのデータによってどのような考えが導き出せるのか、他の情報と総合しての判断を最終的には答えてもらうことになるだろう。しかし多くの生徒がデータの取得にてこずるようならば、その原因をも考えさせたい。ネット社会が急速の進歩を遂げている現在、政策の是非を判断する上で必要な基礎的データは国民の誰もが簡単に手に入れらるようでなければ、民主主義が健全に機能しなくなる危険性がある。つまり国民の知る権利や情報公開を巡る日本の現状はどうなのか、相変わらず「知らしめず、よらしむべし」なのか否か…こうした論争を呼びがちな政治的話題を授業で取り上げる際には、感情論に流されぬよう、教師としてもそこらへんを常に問い続ける姿勢を保っていくべきだと考えるがいかがか。

中国資本の再エネ事業認定290件超の青森 盲点となる「地上権」の怖さ 国境が消

   える 産経新聞 2024.3.24

 これは青森県の事案だが、沖縄ではどうなのかが非常に気になる話。軍事的侵攻に先駆けてこうした中国資本の進出が沖縄でも見られるとしたら事態は楽観できないだろう。ぜひ生徒たちにも注目させたい記事。

中国軍中将、尖閣で「戦争恐れず」 共同通信社 によるストーリー 2023.12.9

被爆地に持ち込まれた核ボタン 核抑止の象徴、わずか「8分」で反撃判断

 中国新聞 によるストーリー 2023.5.28

 オバマ大統領の訪問の際にも問題視された、アメリカ大統領の広島への核ボタン持ち込み問題。改めてその是非を検討してみたい。討論のテーマにいかがか。

【危機】「平和ボケだ。日本の危機だと思わなきゃ」ロシアのウクライナ侵攻で中

 国にも動き?台湾を攻める前に沖縄が?日本の安全保障を憂う|#アベプラ《アベ

 マで放送中》 2022/03/09 ABEMAニュース【公式】 35:46

【防衛】アメリカは日本を守ってくれる?後方支援だけ?ロシア「力による現状変

 更」日米同盟はどう対処すべきか|#アベプラ《アベマで放送中》

 2022/03/29 ABEMAニュース【公式】 31:35

【祖国防衛】敵基地攻撃能力と反撃能力どう違う?ウクライナ戦争が日本を変え 

 る?元自衛隊海将&陸将と議論|《アベマで放送中》

 2022/04/27 ABEMAニュース【公式】 37:55

【戦時下の憲法・人権】橋下徹×木村草太「日本の反省からすれば…」逃げる自由

 はあるのか?ウクライナでは反故にされる現実『NewsBAR橋下 #167』毎週土曜

 よる9時ABEMAで放送中! 2022/04/24 ABEMAニュース【公式】 9:42

ウクライナ侵攻で 機能不全と批判される国連 改革に挑むリヒテンシュタイン大使

 にインタビュー | ニュースウォッチ9 2022/04/28 NHK 7:25

国連事務総長とプーチン大統領 主張は平行線・・・ワリエワ選手に勲章授与 余

 裕の笑顔?(2022年4月27日) 2022/04/27 ANNnewsCH 3:51

【ウクライナ侵攻】ゼレンスキー大統領「国連に屈辱を与えようとする試みだ」

 グテーレス事務総長の訪問中 ロシア軍がキーウ攻撃

 2022/04/29 日テレNEWS 1:43

【日本の安全保障】「ウクライナ侵攻が影響 日本の安全保障戦略の行方」【深層

 NEWS】 2022/04/29 日テレNEWS 43:32

【タカオカ解説】実はすでに“武器を売れる”日本、売れるもの・売れないものは

 何? 背景にある防衛産業の「現実」2022/05/04 読売テレビニュース 9:01

平和主義?中立?スウェーデン防衛が意外とすごかった!| 

 北欧在住ゆるトーク 2022/03/19 Nord Labo -北欧研究室-18:06

 日本人の防衛意識は低すぎるのか・・・討論用のネタとして使える。

「自分で戦わぬ国を世界は助けない」日米首脳会談で防衛費増額表明の裏側【テレ

 東 官邸キャップ篠原裕明の政治解説】 2022/05/24 テレ東BIZ 10:14

ホリエモン、沖縄にテレビ局開設!?動機は、沖縄メディアの酷い偏向報道!?|

   竹田恒泰チャンネル2  2023/12/29  10:41

 ネトウヨの沖縄に対する目の付けどころがよく分かる。反基地運動に対して「極左」と決めつけ、沖縄での政治運動の価値全体を矮小化しようとする動きの一つと考えるがいかがだろう。もちろん内地と比べれば沖縄での地元新聞や地元テレビ局での報道にそれなりの偏りはあるだろう。しかしネット社会の進展が見られる中で沖縄での言論状況に極端なバランスの崩れが本当に生じているのかどうかに関してはかなり疑問を感じる。

   沖縄の意見としては在日米軍基地が沖縄に集中している現状に反発を覚えている人が過半を占めるのではないだろうか。また移転先の問題を問わないとすれば普天間基地の移転自体に反対する沖縄県民はかなりの少数派であろう。それは決して極左の新聞やテレビが扇動した結果ばかりとは思えない。もちろん、様々な意見があって当然の問題なので少数派の意見も尊重されるべきではあろうが、敢えてホリエモンのようなナイチャーが乗り込んでいって普天間基地の辺野古移転に賛成するテレビ局を開局する意味は本当にあるのだろうか、これもまたかなり疑問である。

 この問題、ぜひ生徒たちに考えさせたい。

沖縄慰霊の日 平和守る具体策が欠かせない 読売新聞 の意見 2024.6.24

自衛隊の増強 玉城知事「沖縄戦の記憶と相まって強い不安」平和宣言

 毎日新聞 によるストーリー 2024.6.23

 今、沖縄の平和をどう築いていくのか、その現実的な方法論が模索されているのだろう。先頃、行われた沖縄県議選では玉城知事を支持する勢力が過半数割れし、議会における知事の影響力はかなり低下しつつある。その背景には玉城県政がひたすら自衛隊の進出や普天間基地の辺野古移転への反対ばかりを唱え、沖縄を守る上で必要とされる、基地にかわる現実的で具体的な代替案を打ち出せずに来たことへの不信、不満があるのかもしれない。

 はたして玉城知事の言う平和外交だけで沖縄の平和を維持できるのか…ウクライナ戦争や北朝鮮、中国の武力をちらつかせる威嚇的外交姿勢を見せつけられるたびに、話し合い、外交努力にばかり頼ろうとする県政への疑念が募ってくる。外交以外に平和維持の具体策を長い事示さないできたこれまでの玉城県政に、おそらく沖縄の人々は強い不安を抱き始めているのではあるまいか。

 米軍基地の縮小を本当に実現するにはアメリカをも納得させられるだけの現実的で強力な平和戦略を沖縄県独自で示すことがこれからは必須になると思うが、いかがだろう。日本政府にそれを期待するのは現政権では完全に不可能であり、沖縄県独自の平和構想がどうしても必要ではあるまいか。どう見ても現状のまま、外交努力だけで沖縄県民を安心させることは極めて困難に思える。

 たとえば沖縄の米軍基地を徐々に自衛隊に有償で明け渡すことで米軍の占領状態を緩和しつつ、自衛隊の配備によって軍事的な空白を沖縄に生じさせないようにする…などといったような具体策の提案が沖縄県には求められているように思えるが、いかがか。自衛隊に対する沖縄県民の不信感が強いのであるれば沖縄に派遣される自衛隊員を沖縄出身者優先にする特別措置も提案することも考えられる。これならば沖縄の若者の地元就職先として自衛隊が視野に入ってくるかもしれず、若者の沖縄離れを多少は食い止められるかもしれない。

 もちろんこのプランを玉城県政が提示する可能性はゼロに近いだろう。沖縄県民の大勢が沖縄の安全保障を現実問題として実際どう考えるのか、ぜひ知りたい。

 

・尖閣諸島の領有をめぐって:「特定海域」という隠れ蓑

 領海を12海里とする主張が世界的に優位になったことを受け、日本は1977年(昭和52年)に領海法を制定し、これまでの3海里の幅の領海を12海里に拡張した。この立法趣旨に従えば5海峡(宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、同西水道、大隅海峡)は領海が12海里になるはずだが、この5海峡にかぎって3海里に留められている。その理由は非核三原則にあるといわれている

※海里は長さの計量単位であり、国際海里 (international nautical mile) の場合、正確に 1852 m で 

 ある。元々は、地球上の緯度1分に相当する長さなので、海面上の長さや航海・航空距離などを表す

 のに便利であるために使われている。排他的経済水域は沖合200海里なので海岸から約370キロメー

 トル沖合までが該当。絶海の孤島の場合、島を中心として直径740キロメートルの円内の海域が排他

 的経済水域になる。

 仮に、この5海峡の領海幅を3海里から12海里にしてしまうと、5海峡は完全に日本の領海になる。一方、国際法(海洋法条約38条2)では、国際海峡における外国の船舶及び航空機の無害通航権が認められている(それは核兵器を搭載した外国の軍艦あるいは軍用機であっても同じである)。とすると、核兵器を搭載した外国の軍艦が当該海峡を通過する場合、日本は国際法上、軍艦の通過は拒否できず、結果として領海内に核兵器が持ち込まれたこととなり、非核三原則の「持ち込ませず」の原則を堅持できなくなるのである。そこで、海峡上に領海に含まれない海域を残し、核兵器を搭載した軍艦をこの海域上を通航させることによって、こういった事態に対処しようとしたのである。

 こうした事から沖縄以外でも「非核三原則」が守られてきたと考えることは現実的ではないように思える。横須賀や佐世保などに核ミサイル搭載の原子力空母等は本当に入港していなかったのだろうか?「事前協議制」は一度でも機能してきたのか?これらの点に関して主権者であり、当事者である沖縄県民も日本国民も密約の壁に阻まれて確認する手段が無い=「知る権利」の侵害⇒「半民主主義国家」「半独立国家」・・・というのが日本の実情なのではないか?

 いかがでしょう。

 なお、尖閣諸島を巡って日中間の対立が深まり、中国による台湾侵攻の可能性がロシアによるウクライナ侵攻によって高まっている現状では沖縄の米軍基地を減らすことは出来ないとの考えもあるだろう。しかし沖縄返還に先立ってアメリカでは密かに沖縄への核配備を見直す動きがあった。また返還交渉の席に沖縄代表を入れようとしない日本政府に不信感を抱くアメリカ側の高官もいた。

 そもそも沖縄への核配備に関しては1960年代の後半に入ると大陸間弾道ミサイルや潜水艦発射型ミサイルの登場などによってその必要性が急速に低下していたと言われている。また当時のアメリカはベトナム戦争などによって巨額の赤字を抱え、基地縮小を通じた軍事予算の削減を迫られていた。つまり当時は在日米軍基地を削減する上で絶好の条件が揃いつつあったのである。従って日本政府の出方次第では核兵器の撤去のみならず、核兵器の基地としての米軍基地をもう少し大胆に削減できた可能性は否定できないだろう。返還交渉の過程で沖縄の意見を重視せず、アメリカの顔色ばかりをうかがって基地の削減に前向きでなかった日本政府の外交姿勢に大きな問題点が潜んでいたのは間違いあるまい。

 台湾や尖閣諸島の防衛に関しては確かに地理的に見れば沖縄の役割が大きい。しかし沖縄への自衛隊の配備を増やすことで、米兵や米軍基地の削減に取り組むことは今も可能であろう。また辺野古ではなく沖縄以外の本土内に普天間基地を移転することも真剣に検討すべき段階である。少なくとも日本の防衛負担を一方的に沖縄に押しつけてきたこれまでの流れは沖縄返還50周年を機に根本的に見直されていくべきだと思うが、いかがだろう。

 とりわけ国民の知る権利を軽視し、沖縄を含めて内外にウソを垂れ流してきた歴代日本政府の罪は重い。また統治行為論を楯に政府の隠蔽を支えてきた点で最高裁も同罪である。機密文書を当分は非公開にしておくとするのはやむを得ないが、せめて記録だけはアメリカのように大切に保管すべきであろう。都合の悪い資料を隠匿したり、焼却、廃棄して証拠隠滅を図ってきた日本の行政はあまりにもお粗末。政策の是非をいつか後世の人の判断に委ねるくらいの度量と誠実さが今の日本の政治に大きく欠けている点は極めて残念である。古臭い教科書検定制度に象徴される日本の学校教育の頑固な隠蔽体質と同様に日本政府の隠蔽体質もまた相当根深いものがあるようだ。

参考動画

僕一人で反日勢力と戦うのはもう限界のようです。

 WWUK TV  2024/08/31 8:16

 在日でありながら、反日勢力と戦っているという比較的珍しい動画なので視聴価値

は低くないだろう。彼の言うプラットホーム側の嫌がらせが本当だとすれば、それは確かに問題だが、真偽のほどが不確かなのでここでは不問としておこう。

 授業では尖閣諸島と並び領有問題が表面化している竹島問題をどうとらえるのか、生徒たちには考えさせたい。戦略的に考えるとどちらの問題解決を優先すべきか、まずアンケートで答えさせておくと、議論がはずむだろう。

 いずれの問題にせよ日本の安全保障は事実としてアメリカに依存する側面が無視できない点がポイントであると考える。日本だけではなく、韓国にも基地を持つアメリカは竹島問題が過熱して東アジアの安全保障体制に亀裂が生じることは避けたいと考えるだろう。アメリカとしては敵対する北朝鮮や中国が日韓の対立に付け込んでくる動きだけは阻止したい。したがって竹の領有問題の沈静化を図るべく、日韓の仲裁を積極的かつ慎重に進めるに違いない。

 一方、尖閣諸島の領有問題は沖縄に数多くの基地を持つアメリカにとっても決して譲れない問題であり、アメリカが日本側の尖閣領有を主張することは確実である。したがって現時点で中国がアメリカの猛反発を無視してまでも自国の領有をゴリ押しして尖閣への侵攻を行うことは可能性としてはかなり低いと予想できる。

 以上を考えればいずれの問題も妙に対立を煽ってこじらせてしまうような動きは厳に慎むべきである、と考えるが、いかがだろう。少なくとも今は「僕一人で反日勢力と戦う…」といった、妙な独りよがりの悲壮感を漂わせるような状況ではあるまい。

 ただし、竹島問題で日本が姿勢を軟化させると中国の増長を招き、尖閣諸島の領有が難しくなるのでは…といった懸念が無いわけではない。だが、竹島問題がどっちに転んでも、尖閣を巡るアメリカの方針が揺るぐことは当分ありそうもなく、中国の増長ぶりも度を超すことは無いと考えるが、いかがだろう。

参考記事

「これは本土の問題だ」…新宿で、横浜で、沖縄の「県民大会」主催者がマイクを

   握る真意 東京新聞 2023.10.29

沖縄で聞いた“基地賛成派”の主張。「私が石垣島に自衛隊駐屯地を誘致した張本人

   です」 日刊SPA! の意見 2023.10.24

   ウクライナやイスラエルの情勢を考えると基地問題は理想論だけでは片づけられない側面が大きい。反戦の気持ちが強い沖縄でさえ、積極的に自衛隊の誘致に走る人々は決して少なくない。まずは沖縄が直面している難しさを知る必要があるだろう。

 しかし米軍基地が沖縄に集中している現状を改善すべきである点に関してはほぼ異論があるまい。ならば米軍基地を減らして自衛隊基地を増やす…これで良いのかどうかとなると議論が大きく分かれるだろう。討論のテーマとしていかがか。

   いずれの立場をとるにせよ、この問題を他人事のようにとらえがちな本土の人々への苛立ちは共通している。アメリカの軍事的地盤沈下が進み、「世界の警察」的立場からの後退が目立つ中で中ロの存在感が相対的に増してきている。そうした東アジアにおいて今後、日本がどういう立ち位置を選ぶべきなのか、自分事として日本人の一人一人に問われてきているようだ。

【要旨】沖縄復帰51年、5・15県民大会宣言

 琉球新報社 2023.5.15

 その内容の是非について討論させたい。日本はアメリカの属国に過ぎず、主権国家としての体裁をなしていないのか、憲法改正は良くないことなのか…問い直すべきポイントは多いだろう。

日本と「アメリカ軍」の関係、じつは「あまりにいびつ」だった…世界で唯一の 

 「ヤバすぎる現実」現代ビジネス 矢部 宏治 の意見  2023.3.29

なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

 『知ってはいけない』現代ビジネス 矢部 宏治 2023.2.22

【必殺】ケツ舐め連鎖のムカデ競争

 宮台真司の部屋 2022/10/28 10:54

 戦後80年近く経っても対米従属から未だに脱しきれず、主権国家としての体裁すら守れない日本国と日本人の現状を宮台氏は「ケツ舐め連鎖のムカデ競走」と挑発的なまでに痛罵する。是非、これに対する意見を生徒から募りたい。もちろんただの感情的反発ではボツ。感情論ではなく、客観的なデータや歴史的経緯を示しつつ、論理的に宮台氏に反論できるかどうか、チャレンジさせたい。

いま中国で若者の長江への身投げが止まらない~崩れても「壊れ」は押さえ込む

 「ステルス経済恐慌」の深層 現代ビジネス

 柯 隆(東京財団政策研究所主席研究員・静岡県立大学グローバル地域センター特任

 教授) の意見 2024.6.7

 フィリピン、台湾や尖閣諸島への進出をにおわせてきた中国の現状はある程度知っておきたい。この記事は非常にバランスのとれた内容になっており、ザックリと中国が直面している経済的危機を理解できるだろう。ただし「一人っ子政策」の後遺症による少子高齢化問題についての言及はない。

・基地問題の深刻化・・・「本土」との格差、不公平な扱い

 1977年9月、米軍戦闘機(ファントム)が横浜市の住宅地に墜落し、幼児二人が死亡、その母親ら二人が重傷(母親は4年後に死亡)、軽傷4人、全焼一棟、損壊三棟。日本側は戦闘機の乗組員に事情聴取すら出来ず、二人とも帰国。事故原因は整備不良とされたが、米軍関係者は誰一人責任を問われなかった。日米地位協定によって米軍には損害賠償請求が出来ないので日本国が1987年、4580万円の損害賠償を遺族に支払うことに(横浜地裁)。

※「民事裁判権密約」(19527.30)によって米軍は不利な情報を日本側に提出する必要はなく、証拠

 の入手に協力しなくとも良いことになっている。しかし法務省、外務省はアメリカ側が情報公開で密

 約の存在を公開しているにも関わらず、密約文書は存在しないとしている。

 1995年9月アメリカ兵3人が小学生(12歳)を拉致監禁し、輪姦して傷害を負わせた事件発生。日米地位協定によって日本へのアメリカ兵の引き渡しや取り調べが当面不可能(アメリカ側が起訴した後なら可能)であったため、県民の不満が爆発し、10月には8万5千人もの県民が宜野湾市での抗議集会に参加。アメリカ側は譲歩し、1996年に3人の懲役刑(6~7年)が確定。

 しかし2013年、AP通信が情報開示を求めた結果、2005年からの性犯罪処分者中、詳細が判明した244人の3分の2は、自由刑を受けず降格や不名誉除隊、罰金などの人事処分のみだったことが判明。国防総省は軍法会議にかけるよう努力していると説明しているが、ほとんど守られていない事実が明らかに。

Q.「こうした状態が続いている背景には何があるのだろう?」

・歴代日本政府の欺瞞秘密主義

 繰り返しウソをついてきた歴代首相達、公文書隠匿、破棄、密約・・・

 ⇒作業:日本の公文書館、公文書管理の現状を確認しよう。

参考「公文書問題~日本の「闇」の核心~」(瀬畑源 集英社文庫2018)よりカッパ

 が作成した授業用プリント…やや古いですが多少の参考にはなります

 2017年は日本の公文書管理に関する問題が次々と明るみに出た年であった。まず南スーダンでの国際平和協力業務、いわゆるPKO活動において自衛隊の現地派遣部隊が記録していた「日報」が瞬く間に破棄されていた。事実上の戦闘状態に自衛隊が直面し、海外における自衛隊の武力行使の是非という重大案件が問われていたにも関わらず、肝心の記録が消えてしまっていることが発覚したのである。これでは証拠隠滅といわれても仕方あるまい。次に森友学園へ国有地が8億円も値引きされて売却された問題で財務省への安倍晋三首相(当時)や昭恵夫人の働きかけの有無が問われた際にも値引きの交渉過程に関する文書が存在しないために憶測ばかりが飛び交う、すっきりしない状態が続いている。加計学園の獣医学部新設に関わる問題も内閣府からの圧力の有無が問われた(総理のご意向…)が、内閣府からではなく、文科省からのリークで初めて文書の存在が日の目を見た。こうした事件が続発した事で、国民の「知る権利」を軽視して都合の悪い事実にはフタをする安倍政権の非民主主義的姿勢に各方面から疑問の声が上がってきている。⇒桜を見る会疑惑へ

特定秘密保護法

 2013年12月、特定秘密保護法が強行採決されて成立した。日本の安全保障に関する情報の中で特に秘匿すべき情報を保護するための法律である。これに関係する情報も非公開とし、その漏洩には懲役10年以下という刑事罰も科される事になった。この法律の問題点は「特定秘密」の範囲が広く解釈できるため、多くの情報が非公開とされる危険性がある事。特にこの法律の運用を監視する機関(情報監視審査会)の権限や独立性がきわめて不十分という見方があることは懸念されよう。情報監視審査会は国会内に設けられ国会議員がメンバーとなっているが、特定秘密を審査するための判断基準となる情報が余りにも少なく、判断が困難であるとの指摘が出ている。なお会計検査院からは特定秘密に関わる情報が場合によっては各省庁から提供されないため、会計検査に支障が出る恐れも指摘されている。つまりこの法律の出現によって戦前、軍事機密費が悪用された過去(田中義一等)を復活させてしまう恐れが出ているのである。

 法律の実際の運用であるが、2017年6月末段階で特定秘密の指定件数は512件。防衛省が301件で最も多く、内閣官房が72件、外務省が37件と続く。特定秘密文書の件数は2016年末段階で32万6183件にのぼる。ただしこの件数はファイルの数に過ぎず、一件のファイルにどれだけの枚数の文書が含まれるのかはまったく不明である。こうした膨大な量のファイルの中に紛れ込んで国民が知るべき重要な情報が隠匿されてしまう可能性があるとすればこれは政府による恣意的な情報操作を容易にしてしまう深刻な事態を意味していよう。

 ただでさえ安全保障に関してアメリカの圧力に屈し、日米合同委員会による密約が幅をきかせている現状の中でこの法律は日本政府自ら国民の知る権利をさらに制限し、情報の隠蔽を正当化する結果を招くだろう。元々が怪しかった日本の議会制民主主義にいよいよとどめを刺しかねない法律と言えるかもしれない。

 

【独自】「辺野古」軟弱地盤工事にお墨付き与えた委員に230万円 受注業者から資

   金提供 就任前にも570万円 東京新聞 2023.11.12

辺野古の設計変更は「出来レース」 受注業者から政府委員への資金提供だけではな

   い 産官学の密接ぶりとは… 東京新聞 2023.11.12

 またまたこの問題の根っこにある深い闇の世界を垣間見るような報道が出てきた。福島原発の事故の際にも表面化した原発の安全性を点検するメンバーへの疑惑とも重なるだろう。大阪万博開催を強行しようとする政府、大阪府、大阪市に同様の疑いが向けられても不思議ではあるまい。

辺野古に”軟弱な地層” 2007年時点で報告 (23/11/02 19:10)

   OTV沖縄テレビ 2023/11/02 1:20

辺野古完成は2037年 軍事的には普天間が優位 在沖米軍の幹部発言に垣間見える

   本音 (23/11/08 19:40) OTV沖縄テレビ 2023/11/09 4:04

   大阪万博の夢洲問題とよく似た手口で、難工事が予想されていても最初は知らんぷりをして工事費用の見積もりを安くしておき、人々の負担感を軽くすることで工事の着工を急ぐ。そして工事が始まったとたんに地盤の軟弱さなどを口実にしてさらなる経費負担増と工期の延長を要求してくる。まさに詐欺師の手口である。

【特定秘密保護法案】米は日本を民主主義国として扱わなくなっている/インタビ

 ュー:孫崎享氏(元外務省国際情報局長)

 2013/11/30 videonewscom 40:02

 安全保障上、大国同士の間では本当に極秘にすべき内容が現在、少なくなってきている、との指摘は貴重な意見だろう。アメリカは決して核による先制攻撃をしない、という姿勢を示すべく、中国やロシアに対しては装備や戦略に関する情報、手の内を一部公開しておくことで中ロからの余計な不信を排除し、関係を安定化する方策をとっているとのこと。とすればそうした大国間の流れに反するかのような特定機密保護法は異様であろう。安倍内閣に批判的な勢力を排除する手段の一つとして利用されかねない、極めて危険な法律であると考えられるだろう。

日本で報道の自由が危機に瀕している・国連特別報告者が特派員協会で会見

 2016/04/21 videonewscom 1:27:55 

 重要な内容なのだろうが、かなり分かりにくいので次の動画を視聴されたし。

国連報告者の会見で露呈したメディア問題の本質

 2016/04/23 videonewscom 49:39

 日本のメディア側の問題も大きいとの指摘は重要。とは言え日本の報道自由度の低さは大きな問題。記者と政治家との会食などを通じて政府が報道を統制できるといった危うい構造を記者クラブの廃止や放送法の改正などを通じて改革することが急がれる。政府閣僚の記者会見が今や完全に猿芝居、ただの「やらせ」となっている現状は民主主義国家として最早、悲惨の一語に尽きるだろう。

「特定秘密保護法案」とは? 詳しく解説(13/10/29)

 2013/10/29 ANNnewsCH 1:57

記者がポイントを解説 「特定秘密保護法案」(13/11/20)

 2013/11/20 ANNnewsCH 4:28

総理「一般人は巻き込まれない」 特定秘密保護法(13/12/09)

 2013/12/10 ANNnewsCH 1:55

新たに35件を「特定秘密」に指定 全部で551件に(19/05/16)

 2019/05/16 ANNnewsCH 0:42

特定秘密保護法の法令違反が増加 防衛省や国土交通省で違反

 2019/06/07 テレ東BIZ 0:59

森友学園関係公文書廃棄問題

 2016年9月に大阪府豊中市の国有地売却に不審を感じた市議が財務省近畿財務局に情報公開請求をした。実は森友学園へ払い下げた土地と隣接するほぼ同じ面積の土地は2010年、豊中市に売却された時の価格が14億2300万円ほどであった。しかし森友学園には1億3400万円ほどで隣接する土地を売却していたのである。本来の鑑定価格は9億5600万円ほどであったので当然、売却の際に不当な政治的圧力が働いたことが疑われた。実は売却された土地に開校予定だった小学校の名誉校長は安倍首相の夫人昭恵氏であった。また籠池理事長は首相との親密さを示す狙いで安倍晋三の名を冠した校名を申請していた。しかし2017年2月、衆議院予算委員会で財務省理財局長佐川氏(現国税庁長官)は関係文書が廃棄されており詳細不明であると答えている

※その後2018年になってさらに財務省が資料の改竄を行っていた事実も判明し、佐川氏以下、多くの財

 務省職員が処分されている。改竄に携わった役人の一人は責任を感じて自殺。

 本来、公務員の世界は「文書主義」であって口頭のみでは重要な決定が行われる事は無いはず。まして総事業費5880億円を超える巨大事業であり、しかもいまだ建設途中にある事業に関する文書が存在しないこと自体、有りえない事態なのだが…なぜこのような不祥事が続発しているのかが、今、問われている。

参考記事

改ざん 佐川氏停職3か月 麻生大臣は閣僚給与1年分を自主返納

 NHK 2018年6月4日

決裁文書改ざん訴訟 国側 一転して賠償責任全面的に認め終結

 NHK 2021年12月15日 17時54分

国が請求を認諾するとは 東京法律事務所公式ブログ  2021/12/16

団藤重光・元最高裁判事「この種の介入はけしからぬ」…公害訴訟の内幕、ノート

 に残す 読売新聞 によるストーリー 2023.4.20

 最高裁という密室で本当は何が話し合われているのか、結局、国民は知ることができない、という絶望的な現状がこのケースからも理解できよう。

中国は「世界最大の監獄」=報道の自由でワースト2位―国境なき記者団

 時事通信 2023.5.3

 北朝鮮、中国やロシアなどが報道の自由度の低い国となっている。180の国と地域の中で日本は68位と微妙な順位。戦時中の翼賛体制への反省は生かされているのだろうか?なお、ここでも北欧の国々の自由度は高い。

参考動画

森友改ざん“訴訟終結”も「国に一層追及は可能に」(2021年12月16日)

 ANNnewsCH 2021/12/16 2:46

 この経緯は政府が真相を隠蔽しようとしていることを公言したとも言えるのであり、今後は司法の場からついに世論、マスコミによる、あるいは国会での厳しい追及へと真相究明の舞台は移ったとも考えられよう。この事件に対する真相追求の姿勢を今後とも緩めない事こそ肝要。

【ダイジェスト】瀬畑源氏:公文書隠して国滅びる

 2018/04/07 videonewscom 9:50

1億円を払ってでも政府が隠したかったことと、それでも「認諾」が許されない理

 由 VIDEONEWSCOM 2021/12/18 45:23

 森友学園問題で改竄を命じられた赤木氏が改竄した自責の念から自殺した件で、赤木氏の妻からの国家賠償請求が出されていた。大阪地裁での協議で国は1億1千万円もの賠償責任を気前よく認める一方、「認諾」という表現を用いて事件の解明や本島の責任者の処罰を不可能とした。その結果、噂されていた安倍元首相夫妻の事件への関与も不明のまま、事件の真相は闇に葬られることとなった。本来、最も重い責任を負うべき者は1円も払うことなく、また責任を追及されることすらなく、国民の税金を用いて臭いものに蓋をすることに成功したわけである。

 また2019年にも裁判所は賠償を認める一方でやはり「認諾」という表現を用いて日米合同委員会に関する情報公開を回避している。日米合同委員会のOBの裁判所の判事となってきた理由が良く理解できる事例であり、非常に貴重な指摘。国民主権の内実が問われる判決である。政府がピンチの際にも何度か国民の知る権利を圧殺してきた伝家の宝刀こそ、裁判所の「認諾」なのではあるまいか?

 

公文書軽視の伝統

 瀬畑氏は不祥事の背景に公文書に対する日本の伝統的な考え方が根強く存在していることを指摘。豊洲移転問題から始まった情報公開と公文書管理をめぐる問題は国民の知る権利の保障を土台として成り立つ民主主義の根幹を揺るがす大問題であった。日本は戦前から「知らしめず、よらしむべし」という封建的な発想から明治以降も官僚は国民への説明責任を軽んじてきた経緯があった。

 実際、戦争責任を回避すべく敗戦のドサクサまぎれに各省庁では多くの公文書が燃やされてしまっていた。そしてこうした戦前からの体質が安倍政権の下に連発する不祥事によって今、日本のお役所に復活しつつあることが明確に示された。その下地を特定秘密保護法が用意したことは歴然たる事実であろう。特定秘密の名の下にこれからも数多くの重要案件が国民の監視をすり抜け、これに便乗してズルをし、得をする人々が相次ぐことだろう。さらには国民がまったく関知できぬところで国家の行方を左右しかねない重大な舵取りが秘かに行われてしまうかもしれない。つまり豊洲移転問題は戦後民主主義を土台から崩壊させかねない深刻な事態の招来を予言していたのである。

公文書館や法制の不備と遅れ

 日本でも情報公開法の制定を求める運動は1970年代からあった。アメリカでは1966年に情報自由法が制定され、1974年に大幅な改訂を行って情報公開がどんどん推進されていたことが日本を刺激していたようである。しかし自由民主党の反発が強かったため、一向に法制化が進まなかった。1995年の高速増殖炉「もんじゅ」の事故隠しや1996年の薬害エイズ問題に関する重要な資料が厚生省(当時)で「再発見」されたことが大きなきっかけとなり、1999年にようやく情報公開法が制定されたが、内容的には不十分なものにとどまり、近年の不祥事を防げなかった。しかもアメリカとは違い、制定時から一度も改正されずにきてしまっている。

 2009年成立の公文書管理法で公文書の廃棄に一定の制約が設けられて情報公開法の弱点を補うことになったが、やはり抜け道が多く、知る権利の保障はいまだに不十分のままである。またフランスに遅れる事180年余り、1971年に設置された日本の国立公文書館は欧米の施設と比べて貧弱そのもの。その所蔵する文献量自体がけた違いに少なく、職員の数もけた違いに少ない(アメリカ2500人余りvs.日本190人)。少ないだけでなく、日本には資格を持った「アーキビスト」と呼ばれる専門家がいない。年間350万冊を超える公文書をたったの12人でチェックしているという、お寒い限りの日本の公文書館の実態であり、これでは近年の不祥事が防げるはずもなかったのである。

知れば笑える!「桜を見る会」の爆笑ポイントを徹底解説!【せやろがいおじさ

 ん】 4:38

 日本の米軍基地問題に深く関わる日米安全保障条約、日米行政協定(⇒1960年日米地位協定:ほぼ米軍の治外法権を認定した密約)の締結、改訂等に関与した日本側の責任者は吉田茂(1951年、旧安保)、岸信介(1960年、新安保)、佐藤栄作(1970年、新安保改訂)の3人。そして彼らの孫達が、麻生太郎元首相(現財務大臣で吉田の孫)、安倍晋三元首相と岸信夫防衛大臣(二人とも岸の孫)である。⇒閣僚の世襲化=不平等な日米安保体制の継承?

 さすがに血は争えない。安倍元首相もウソを公言し、公文書を破棄するなど隠蔽工作常習者のようである。かつて「日本を取り戻せ」と格好良く見得を切ってみせた安倍氏だが、一体、誰が日本をアメリカに売り渡してきたのか・・・厳しく問い直すべきかもしれない。

 とは言うものの、もちろん日本が1945年8月14日にポツダム宣言を受諾して連合国に対して無条件降伏した事から日本の戦後政治が始まった・・・という原点を忘れてはならない。無条件降伏せざるを得なくしてしまったそれまでの日本の政治が悪かったのだ。日本の戦後政治は敗戦までのダメな政治のツケを戦後になってもずっと払い続けてきた側面があるのは否定できまい。加えて敗戦当時の日本側の認識として日本が敗北した相手とは連合国という不特定多数の国々ではなく、日本中に爆弾を落とし、沖縄を占領し、広島と長崎に原爆を落としたアメリカに敗北し、無条件降伏した・・・という主観的思いが強かっただろう。アメリカに無条件降伏した日本が1952年、表向きは主権を回復し、国際社会に復帰できたとしても、それは基本的にアメリカのお蔭であったこともまた事実である。だからアメリカに日本国の主権をある程度制限されていても正面切って文句は言えないのかもしれないのだ。

 ソ連の侵攻が北海道まで至らなかったのもアメリカのお蔭であり、日本の奇跡的な復興と経済成長もアメリカ抜きでは語れない。憲法を始めとする戦後の国造りの根幹はアメリカが中心となっていた。安保体制はその一つに過ぎない。

 またA級戦争犯罪容疑者だった岸や児玉、正力らが釈放後にCIAのエージェントとしてアメリカの言いなりにならざるを得なかったのも不思議ではあるまい。第一、当時の関係者に対米従属一辺倒の罪を問うのは的外れであろうし、あまり建設的でもない。それに誰が首相になったとしても当時のアメリカに日本が立場上逆らえるはずはなかっただろう。

 ただ戦後70年以上を経た現在もなお対米従属一辺倒であり続ける・・・その事の可否は問える段階に来ているのではあるまいか。そしてもういい加減、日本は無条件降伏の占領状態から抜け出しても良いのではないか・・・と思うのであるが、いかがか。

日米合同委員会は米軍の超法規性を話し合う場

 2015/12/05 videonewscom 52:28

戦後レジームに対する「アリの一穴」となるか・日米合同委員会議事録の情報公開

 訴訟の持つ意味 2015/12/05 videonewscom 58:04

何が何でも外交文書は一切公開しない政府の姿勢は異常としかいいようがない 

 2016/09/17 videonewscom 26:07

 情報公開と公文書保管に対する日米の姿勢の違いに慄然とする。

福田康夫元首相が「高市発言」を痛烈批判!

 「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2023.7.9

裁判に負けてでも外務省がどうしても隠したかったこと

 2018/03/03 videonewscom 1:12:06

政治の質が低いと公文書管理も情報公開も機能しない

 2018/04/07 videonewscom 1:03:39

「外交は情報公開の対象外」のままでいいのか

 2018/11/24 videonewscom 52:36

「真相に蓋をする国の姿勢について」コネラジ 第273回 特別ゲスト 赤木雅子さん

 2021/12/22 31:35

【沖縄で感染爆発】米軍由来のゆるゆるコロナ対策に一言

 ワラしがみ 2022.1.7 3:22

【地位協定】「アメリカに外交ルートで要請を」日本の検疫ルールが通じない?米

 軍基地クラスターでも検査なし?沖縄の高齢者どう守る?|#アベプラ《アベマで

 放送中》 2021/12/21 16:12

玉城デニー知事「激しい怒り」米軍を非難 オミクロン市中感染 日米地位協定の

 改定訴える 2022/01/02  琉球新報 14:36

【トモダチ】なぜ在日米軍からコロナ拡大?元防衛大臣「日米地位協定は1行1字を

 変えるだけで大変な仕事」第6波が本格襲来か|#アベプラ《アベマで放送中》 

 2022/01/06 ABEMAニュース【公式】 20:40

 日米地位協定とコロナ禍との関係がよく分かる。なお沖縄以外でも岩国基地、三沢基地、横須賀基地などで感染が拡大している。番組中に元防衛大臣が再三口にしている「合同委員会」とは日米合同委員会のことであり、「日米地位協定」以上に問題を抱えている組織。

 なおこの番組で使われている図表やデータ類は授業で活用できるものが多い。

「公益性」か「プライバシー保護」か 再発防止の観点から問われる通報体制のあ

 り方 OTV沖縄テレビ 2024/07/13 6:05

 繰り返し多用されるイジメ加害者の「プライバシー保護」がイジメ事件の隠蔽を正当化し、同様の事件を連鎖的に発生させてしまっている、と推察されるような状況が日本の学校教育界隈では続いている。日本の教師の多くが公務員でありながら公益通報の義務を果たせていない、残念な現状があるのだ。そしてそのことで日本社会は酷く公益性を損なわれてしまっている…そうした身近な事例についても紹介しつつ、この件を取り上げるべきだろう。

 米軍による深刻な性加害問題が半年もの間、公表されなかったことによる公益性への打撃は決して小さくあるまい。このような状況下で情報公開を渋り、国家機密漏洩ばかりを厳しく罰しようとする政府の人権軽視の姿勢は徹底的に批判されるべきであると思うが、いかがだろう。

 ただでさえ日本は原発関連で膨大な数の事件事故の隠蔽を行ってきた過去がある。国家機密漏洩を厳しく罰したいならば、同じように公益通報を怠った公務員をも罰するべきではあるまいか。そうでなければこうした事件も、イジメ隠蔽事件も、原発の重大事故も解決に至らないだろう。

 

・戦後日本と「進撃の巨人」

「進撃の巨人」徹底解説wall 1胸を打つ“新現実主義世代のロックンロール”【山

 田玲司-346】 2022/03/02 山田玲司のヤングサンデー 1:02:00

「進撃の巨人」徹底解説wall 1.5“進撃”は1stガンダムになれるのか? 序盤から

 仕込まれた諫山創のヤバい法則!!【山田玲司-347】

 2022/03/09 山田玲司のヤングサンデー 1:06:30

ナウシカを超える「進撃の巨人」中盤に込められた現代日本「7つの大罪」“進

 撃”徹底解説wall.2【山田玲司-351】

 2022/04/06 山田玲司のヤングサンデー 1:03:00

「進撃の巨人」はなぜあんなラストになったのか?「進撃の巨人」徹底解説

 wall.Final諫山創が成し遂げた7つの断罪【山田玲司-356】

 2022/05/11 山田玲司のヤングサンデー 59:11

『進撃の巨人』のMVPは誰だ?それぞれの壁の物語と『ショーシャンクの空に』

 山田玲司-357】 2022/05/18 山田玲司のヤングサンデー 1:04:27

 世界的なブームとなった「進撃の巨人」に対する山田氏の考察が戦後日本への痛烈な批判に結びついていく点は大いに刺激的。

 

沖縄に関してカッパが用いた主な参考文献

「徹底検証 沖縄密約~新文書から浮かぶ実像~」

 藤田直央 朝日新聞出版 2023

・「沖縄返還とは何だったのか?~日米戦後交渉史の中で~」

 我部政明 NHKブックス 2000

 密約問題に詳しいが、余りにも文章があまりにも難解でとっつきづらい。

「沖縄現代史」櫻澤誠 中公親書 2015

 沖縄の戦後史を概観するにはうってつけの好著。ただし多少の予備知識がないと理解困難な箇所もある。

「知ってはいけない~隠された日本支配の構造~」

 矢部宏治 講談社現代新書 2017

・「日米合同委員会の研究~謎の権力構造の正体に迫る~」

 吉田敏浩 創元社 2016

 「知ってはいけない~隠された日本支配の構造~」と共に日米合同委員会が果たしてきた役割に焦点をあてており、日本の民主主義の根幹に関わる重大な問題提起がなされている。

「公文書問題~日本の「闇」の核心~」瀬畑源 集英社文庫 2018

 国民の知る権利の保障があまりにも不十分な「民主主義国家」日本の実態が理解できる。マスコミによる報道の限界や教科書検定制度の問題点も絡めて説明できれば、沖縄の人と本土の人との沖縄に関する密約問題に対する認識の差が生じた原因についての理解がより深まると考える。

・「沖縄と核」松岡哲平 新潮社 2019

 NHK特集で話題になった番組のスタッフが執筆しており、核兵器の配備を中心とする沖縄米軍基地の諸問題を元米兵や沖縄住民の生々しい証言や資料に基づいて明らかにしている。授業で利用できるデータが豊富に含まれており、是非とも授業で活用したい資料の一つである。

「歩く・知る・対話する琉球学~歴史・社会・文化を体験しよう~

 松島泰勝編 明石書店 2021

 沖縄を多角的な視点から理解したい人にはオススメ。

「沖縄50年の憂鬱~新検証・対米返還交渉~」

 河原仁志 光文社新書 2022

 核兵器の配備への詳細な説明や日米合同委員会への言及がほとんど無い点に不満は残るものの、返還交渉での問題点が要領よく整理されていてとても分かりやすい。手早く沖縄返還を概観したい人にはオススメ。

 

 カッパとしては太字の資料を参照すればほぼ沖縄の基地問題の概要を知ることが出来ると考えている。まずはこの4冊を読んで頂くことをオススメする。また基地問題に止まらず、多様な視点から沖縄への理解を深められる資料としては「歩く・知る・対話する琉球学~歴史・社会・文化を体験しよう~」が読みやすく、修学旅行の事前学習上、大いに参考となる。

その1.性差別をめぐる話題(後編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・防災と性差別

避難所の夜、男性が勝手に布団の中に… 被災地で性被害も懸念 性犯罪で初の逮

 捕者も 電話「#8891」に相談を 東京新聞 2024.1.21

女性避難者への配慮「いやぁ、考えたこともなかった」 能登半島地震でまた表面化

 した防災のジェンダー問題 東京新聞 2024.2.9

防災担う女性職員、全国自治体の半分以上で「ゼロ」 避難所の運営や備蓄で抜け

 落ちる「視点」 東京新聞 2024年2月9日

 避難所での生理用品や授乳施設の不足、性被害の頻発は東日本大震災で既に顕在化し、問題化していた。しかし10年以上前の反省が今回、十分に生かされたのかはかなり疑問だろう。防災担当者、あるいは知事や市長レベルでの石川県での女性の少なさがこの問題の背景にあるのではあるまいか。男性中心社会での盲点がそこには根深く潜んでいるように思えるのだが…こうした問題の背景に何があるのか、ぜひ生徒たちに考えさせたい。

 なお防災担当者に女性ゼロの自治体が関東で最も多いのが千葉県である、というデータが個人的には気になる。高校教師にしめる女性の割合も少ない千葉県の問題はかなり深刻ではないのか。

・女性の貧困問題

参考記事

オーストラリア人が「日本のシングルマザー」困窮に漏らした、衝撃の感想…養育

 費はもらえず、「女手一つ」の”美談”が追い詰める

 現代ビジネス 池畑 修平 の意見 2024.2.17

 女性差別と貧困問題の両方にまたがる記事で視野を広げる上で有効な内容。特に外国人の視点で捉えられていて、日本の伝統的価値観に潜む差別的側面に注目できる点で極めて貴重な資料と言えるだろう。

学力レベルは高いのに日本の労働生産性が低いのはなぜか?

   ニューズウィーク日本版 によるストーリー 2024.1.17

 日本の学力レベルが本当に高いと言えるのかは疑問の余地がある(高度化している産業構造の中では平均値での国際比較にかつてほどの重要性はあるまい)が、IT化の遅れと男女格差の大きさが日本経済の足を引っ張る大きな要因であることは間違いなかろう。

埋まらないジェンダーギャップ 昭和の家族モデルと平等を阻む「壁」

 ハフポスト日本版 によるストーリー 2023.10.13

 統計データが豊富で資料として非常に役立つ記事。女性の貧困問題を考える上で必須となる基本的なポイントをつかめる。

EU、男女の賃金格差公表を義務づけ 罰則も導入へ

 朝日新聞社 2021/03/05 10:26

男女の賃金格差、なぜ埋まらない? 「仕方ない」論が見落とす2つの視点

 ITmedia ビジネスONLiNE 2023.10.11

外国人女性が働きやすい国ランキング 日本が最下位に

  Laura Begley Bloom  Forbes japan 2022/07/20 08:30

日本の大卒女性の賃金は“高卒男性並み” ジェンダー賃金格差めぐり国際会

 議で議論 FNNプライムオンライン 2022.12.3

女性の半数以上が非正規…日本はこうして貧しくなった 格差が作られ固定

 化された40年の歴史 現代ビジネス 小林 美希 2022.12.4

世帯年収725万円でも将来が不安女性ばかり負担が重い日本社会の「厳し

 い現実」 現代ビジネス 小林 美希 2022/11/16 06:00

 女性の就職先として人気のある保育園、幼稚園だが、給与の安さや労働条件の厳しさに大きな問題があることは広く知られるようになった。しかし改善は遅々として進まず、若い女性の貧困化は十分な解決を見ないままである。

 コロナ禍において日本にけるエッセンシャルワーカーの重要性とその待遇の悪さが徐々に表面化してきているが、エッセンシャルワーカーの多くが非正規雇用の女性である事の重大さにもっと注目していきたい。

 

・ジャニー氏と中居氏の性加害問題

【CM見合わせ50社以上に】『フジテレビ』加速するスポンサー離れ番組でなく

 「局全体にNO!」突き付ける“前代未聞の事態は「変わってほしいというメッセー

 ジ」【専門家が解説】MBS NEWS  2025/01/21  11:23

フジテレビ社長会見・専門家は「企業が疑問視」指摘 山口真由弁護士「現在確定

 している事実と調査体制を早急に明らかにすべき」CM相次ぎ見合わせ

 FNNプライムオンライン  2025/01/21 5:31

 中居氏やフジテレビの問題で揺れる昨今だが、ジャニー氏の性加害問題をも振り返った時、日本の芸能界、テレビ界の深部には相当深く性差別の闇が広がっていそうである。ジャニー氏の死を待たなければ彼による性加害は決して表面化しなかったのかもしれない。同様に通称「ナベツネ」氏の死を待たなければフジテレビや中居氏の問題もまた表面化しなかったのかもしれない。仮に「これを口にすれば芸能界から消されかねない」と怯えてしまうような、忖度を強いてくる強大な闇の力がマスコミ、芸能界にはびこってきたとすれば、由々しきことである。

 元A級戦犯容疑者だった正力松太郎氏は逮捕後、CIAの協力者となって真っ先に巣鴨拘置所から釈放され、アメリカのバックアップも加わってたちまちのうちに日本のマスコミ、とりわけテレビ界とプロ野球界、原子力業界に君臨してきた、という見方がある。もしかするとその強大な影響力は正力氏から「ナベツネ」氏に禅譲されたのではあるまいか。だとすれば、今、騒がれている問題は戦後間もなくの日米関係にも遡れる根深い問題となる。加えて「巨人の星」などのスポコン漫画、アニメの影響を駆使して我々の世代を洗脳してきた正力氏の手法もまた「ナベツネ」氏に受け継がれていたのだろうか。

 こうした戦後の動きが学校教育とまったく無縁であるはずはない。昨年の流行語大賞を受賞した「フテホド」で話題となったテレビドラマの主人公は中学校の野球部顧問である。彼は良くも悪くもパワハラ、セクハラを駆使してスポコン漫画よろしく部員たちを鍛えてきた。正力氏らが復活させた戦前からの皇国民錬成教育の流れがそこにうかがえなくもない。

 戦前と戦後をつないできた中心人物こそ、正力氏、岸信介氏ら、かつてのA級戦犯容疑者たちではなかったか。その流れは正力氏から「ナベツネ」氏へ、岸氏から孫の安倍氏へと途絶えることなく、連綿と受け継がれてきたと見ることは可能であろう。

 思えば中居氏も、ジャニー氏も野球好きであった。タケシこと北野武氏も野球好きで知られる。ジャニー氏の性加害をめぐる北野氏の発言からうかがえるジャニー氏への尋常ならぬ恐怖感はまた、中居氏への発言ともつながっているように思える。中居氏の問題は性加害問題にとどまらず、何やら闇深い、日本の戦後政治、戦後マスメディア、戦後教育の土台に関わってくるのかもしれない。ジャニー氏があれほどまで芸能界、マスコミ界に大きな影響力を持てた背景に、一体、どんな黒幕がいたのか…

 が、なにはともあれ、テレビ局では相変わらず男尊女卑の発想がはびこり、「女子アナ」を接待要員として利用する習わしがフジテレビの場合、一種の社内文化として根付いてしまっているようだ。また彼女たちを芸能人であるかのように扱い、あからさまにルッキズムを煽るような各テレビ局の人選と起用の仕方も、日本のテレビ界に共通する極めて差別的な体質と言えるだろう。

【ジャニーズ問題の戦犯はマスメディア】TV局の歪なガバナンス/芸能事務所と組

   みすぎ/客を失い続けるマスコミ/TVを見ない学生が6割/アマゾンが最強/誰で

   もマスメディア/国の責任【東工大 柳瀬×塩野誠】

   PIVOT 公式チャンネル  2023/10/06  22:26

   マスメディアの闇と学校教育の闇とは国民の洗脳という点において強い共犯関係にあると思われる。テレビ、ラジオ、新聞がSNSの発達によって顧客を失いつつあるということは、同時に学校もまた同じ理由で顧客(児童、生徒、学生)を失いつつつあるのではあるまいか。それは不登校児童生徒の増加が続いている現状が物語っているのではあるまいか。「一芸能事務所に忖度する程度のマスメディアに戦争反対をいう力は無い」との指摘は刺さるだろう。であるならば当然、イジメ、不登校、自殺に対して無力であり続ける学校という組織に戦争に反対する力は無いのだ。

【ジャニーズと日本企業】スタンフォード大学教授が見たジャニーズ問題【国際人

   権とは?】 ReHacQ−リハック【公式】  2023/10/04  53:38

 「国際人権」というキーワードからジャニーズ問題を論じている貴重な動画。日本の人権意識が欧米の標準に追いつく上で考えておくべき点が明確に示されており、大いに参考となる。性加害問題に限らず、人権問題全般を考える上で不可欠の土台となる内容。教師必見の動画。

【ひろゆきがジャニーズ問題追及!】見えているものが全てではない!隠された問

   題も切る!【ひろゆき 切り抜き 論破 ジャニーズ 東山 ジュリー ビッグモーター

    hiroyuki 】  2023/09/16 11:31

 多数決の危険性に鈍感な日本人を生み出しているのが、周囲の空気を読むことを優先する同調圧の強い日本の集団主義である、との指摘をどう思うか、ぜひ、生徒たちに問いかけたい。

【ジャニーズ会見の問題点】の授業を終えて中田が思った事は?

   中田敦彦のトーク  2023/09/15 32:25

【元NHK紅白歌合戦責任者/元民放報道担当が語る】“ジャニーズ性加害”にメディ

 アはなぜ向き合ってこなかったのか [クロ現] |

 NHK 2023/09/15 9:59

ジャニー喜多川氏による性加害 フォーリーブスの北公次氏 34年前の告白ビデ

   オ|TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/09/05 2:08

国連人権理が性加害調査へ ジャニーズ当事者聞き取り

 KYODO NEWS  2023/07/12 1:07

「タレント数百人が性的搾取」ジャニーズ性加害問題めぐり国連人権理事会の専門

 家が会見、当事者ら涙「35年かかった」【news23】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/08/05 4:06

 とうとう国連の介入まで招いてしまった日本政府の無策ぶりにまずは驚く。本来、BBCの放映で激震が走った3月段階でジャニーズ事務所へは司法の捜査がすぐにでも入るべきであり、とっくの昔に重大な人権問題があることは判明していたはず。この国家としての対応のあきれるほどの遅さはまさに「人権後進国」の面目躍如である。こと人権問題に関しては「黒船」に頼らなければ、自らは何もできない、何もしようとはしないのがいかにも日本らしい。しかも日本の場合、多くのマスメディアがそもそも加害者側に立っているのだから実に始末が悪いと言える。国連の場で日本のマスコミと芸能界や政界、経済界などとの癒着を問題視してくれると多少は事態の改善につながるのかもしれない。この問題に関してはこの動画から入ると日本における人権問題の一例として展開しやすいだろう。

 ※参考記事

  ◎ジャニーズ問題、日本企業が知るべき「海外の視点」 ビジネス優先で「見て見ぬふり」は許されない

   東洋経済オンライン 安部 雅延 によるストーリー 2023.10.13

   良きにつけ悪しきにつけグローバル化が進む現在、人権問題に無頓着な企業や国家は国際社会の

   中で冷遇されるようになってきている。古くから人権後進国と揶揄されてきた日本だが、このま

   まで良いはずがない。NHKが次第に毅然たる姿勢でジャニーズ問題に望むようになったのは倫

   理的な観点だけではなく、それが時流にかなったあり方であるからであり、経営上も合理的であ

   るからだろう。日本の人権問題における後進性は早急に改善していかないと世界の進運からさら

   に取り残されてしまい、経済的な行き詰まりから脱出できなくなるだろう。

  東山紀之社長は「社長に適任だと思いますか?」と聞かれ…イギリスBBC記者が問い詰めた“

   迫の場面 文春オンライン 水島 宏明 によるストーリー 2024.4.8

   相変わらずこの問題に腰が引けている日本のマスコミの現状は情けないの一言。

  ◎BBC記者「被害者たちはこの会見で、救われたのか?」「圧倒的にNOだ」 ジャニーズ事務所

   会見に 日テレNEWS によるストーリー 2023.9.8

  〇ジャニーズ性加害、国連専門家が被害者らと面談へ…「ビジネスと人権」作業部会

   読売新聞 2023/07/15 10:27

  ジャニーズ性加害問題「タレント数百人が性的搾取と虐待」 国連人権理作業部会が記者会見

   産経新聞 2023.8.4

   BBCや国連の介入が無ければこの問題は一歩も前に進めなかったことがより鮮明になった。つ

   まり経済界や政界=政府はこの件に関してほとんど無視してきたか、何一つ力にならなかった。

   人権後進国日本の面目躍如である。

    この事態は各地の教育委員会や学校が引き起こしたイジメ事件隠蔽に対して市長らが第三者委

   員会を設置し、真相究明を図ろうとする動きとよく似た図式。そもそも日本社会全体が事件、事

   故の真相究明にあまり積極的でない傾向が昔からあるのではあるまいか。

    そういえば敗戦時の戦争責任追及も外国任せで中途半端に終わった感は否めまい。日本人全体

   に人権感覚の鈍さが蔓延しているのかもしれない。日本人に人権感覚の鈍感さが見られるとすれ

   ばそれは何に由来するのか、問いを深めていく必要があるだろう。

  ◎「政府が被害者の実効的救済を」ジャニー氏の性加害際に国連ビジネスと人権の作業部会【声明

   全文】ENCOUNT によるストーリー 2023.8.4

   日本政府の動きの鈍さに国連もとうとう業を煮やしたのか、政府を主体とする被害者の救済を国

   連は迫った。

  〇元ジャニーズ7人が糾弾「人類史に残る史上最強の性加害」 被害者は数百人か

   東スポWEB によるストーリー 2023.8.4

  ◎「人類史上最悪の性虐待事件」ジャニーズ性加害問題当事者の会が会見で主張 ジャニーズ事務所

   「できるだけ早く会見」TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2023.8.4

   「人類史上最悪の性加害」を放置してきた日本の政府、マスコミの責任は重い。

      〇NHKスペシャルで「ジャニーズ性加害問題」を語ったらテレ東OBにかかった「一本の電話」が示

         すテレビ局の体質   プレジデントオンライン 田淵 俊彦 2024.11.18

 

育った畑に乱入して荒らす!TVのジャニーズごり押しの終焉が近い理由

 元テレビD さっきーch  2022/07/21 9:43

 この動画はBBCの番組が放映される前のもの。ジャニーズ事務所のテレビ局への大きな影響力が分かる。ジャニタレの扱いの難しさ、番組の裏側が分かる。

BBC、故ジャニー喜多川氏の加害について取材 言葉を詰まらせる元ジュニア 

 BBC News Japan  2023/03/08 3:37

グルーミングとは……性的被害専門のセラピストに聞く ジャニーズ事務所取材の

 BBC記者 BBC News Japan  2023/03/24 2:40

BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」【日本語字幕

 つき】 BBC News Japan  2023/06/17 52:29

 この問題の厄介でなかなか理解しがたい特異性は名前と業績、その性癖に関してまで誰もが知っている芸能界の大御所、ジャニー喜多川氏の素顔を、実はほとんど誰も知らない、知ることすら出来ない、知ろうともしてこなかった…という奇妙な事実に象徴されているのだろう。

 「ジャニーズ帝国」と呼ばれるほどに権勢を誇った喜多川氏の影響力は、少年たちへの性加害を記事にした文春報道の真偽を巡る最高裁の判決後すらまったく衰えることがなかった。多くのマスメディアが判決のもつ重大な意義を黙殺したことで、判決後も同氏による少年たちへの性加害は続いてしまったのである。しかもこの「少年の捕食者」が芸能界に君臨することを許し続けてしまった日本社会の闇を体当たりの取材で暴き、60年余にもわたった喜多川氏の性犯罪の歴史を明るみに出すきっかけを作れたのは結局のところイギリスのBBCであった。

 自己保身を優先させて権力者におもねり、妙な忖度ばかりしてきたがゆえにすっかり自浄能力を失った芸能界やマスコミ、それらを含む日本社会の危機的状況を象徴する事件としてこの問題を捉えたい。ことは当然、芸能界のスキャンダルにとどまらないだろう。東京オリンピック時の一連の騒動、相次ぐ学校での事件・事故の隠蔽・責任逃れ、原子力発電に関わる事故隠し・不祥事の数々…そのすべては敗戦という現実にまともに向き合うこともなく、無責任にも戦時中の国家的犯罪行為の隠蔽に走ったあの「昭和の妖怪」たちの時代の、まさに延長線上での出来事だったのではないか… 

 日本の公文書管理の杜撰さに見られる、政治家や官僚たちによる「歴史」への冒とくの度重なる連鎖が招いた、しっかりと反省することの出来ない、それゆえに政治家らの都合次第でいくらでも書き換え可能な日本の戦後社会…ボタンの掛け違いが一体どこで生じてしまったのか、もう一度、本当の歴史を振り返ってみたい…もちろん日本の場合、極秘資料の大量廃棄によってそれすらも叶わぬ願いにすぎないのだが…

【告白】ジャニーズと性加害問題 2人の元所属タレントが実態を知ってほしい

 [クロ現] | NHK  2023/05/25 9:57

【元ジャニーズJr.】89年に告発するも、"売名行為"と非難され【ジャニーズ問

 題・平本淳也さん】たかまつななチャンネル 2023/06/01  14:31

検証・ジャニー氏 性加害問題 2度の裁判とメディアの責任【報道特集】|

 TBS NEWS DIG Powered by JNN   2023/06/17  19:26

「メディアは"共犯"」ジャニー氏の性加害の構造的な問題とは?【ゲスト:松谷

 創一郎】【ジャニーズ問題】 たかまつななチャンネル  2023/05/18  13:00

【テレ朝との蜜月】ジャニーズのタレントをキャスターにしてはいけない本当の理

 由!報道倫理違反の可能性も

 長谷川良品「テレビ悲報ch」  2023/05/25  17:40

 各テレビ局のジャニーズ事務所への忖度が報道倫理規定に違反する重大なレベルに及んでいたという。ジャニー氏の性加害報道を巡ってマスメディアの信用失墜行為の数々が暴かれつつあるようだ。

櫻井翔氏がようやくJ問題に言及!ジャニタレを報道番組キャスターに起用してはい

 けない理由【news zero】

 長谷川良品「テレビ悲報ch」  2023/06/08  9:25

ニュースゼロ櫻井翔がジャニーズ騒動に初コメント全文紹介、「臆測で傷つく人」

 へのズレた配慮と仕事放棄発言

 元テレビD さっきーch  2023/06/07 6:58

ジャニーズと全TV局のふざけた状況と報道番組の忖度、火に油をそそぐ東山、ズレ

 た対策、今後のスポンサー離れや共演NGで崩壊の可能性など!

 元テレビD さっきーch   2023/06/04 10:28

ジャニーズ問題について語る山下達郎に「なぜモヤる」のか言葉にしてみた。

 ワラしがみ 2023/07/10 17:52

世界でジャニーズ排除の動き!国連の調査が決定でデヴィ夫人の被害者批判が炎上 

 元テレビD さっきーch   2023/07/20 7:38

 黒船が何度も来航しないと動かない日本の異常さ、人権意識の低さはどうやって育てられてきたのだろうか。ここでも学校教育の犯罪性が問われる。

参考記事

「ジャニーさんに食われるぞ」13歳の自分には忠告の意味すら分からなかった ア

 イドルへの道は暗転、うつに悩み自殺願望も 「ジャニーズ性加害問題」(2)

 47NEWS 一般社団法人共同通信社 によるストーリー 2023.6.20

ジャニーズ性加害糾弾の中村一也氏 SNSでは誹謗中傷の被害「嘘をついて楽しい

 ですか?とか」 東スポWEB によるストーリー 2023.6.20

 上の二つはこの問題が明らかに深刻な犯罪であったことを示す貴重な証言。同時に日本の性教育の遅れが生み出した事件であったことも示唆されているだろう。

「ジャニー氏の闇」BBC特集が日本語字幕付きでYouTube無料配信の大波紋!大緊

 迫の「事務所突撃120秒」!!ジャーナリスト「完全に人間性が欠如している」

 ピンズバNEWS によるストーリー 2023.6.20

NHK「クロ現」ジャニー氏特番実現の裏側番組スタッフが漏らした局内の内部

 圧力 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2023.5.23

 マスコミが「マスゴミ」と揶揄されるようになった原因の一つがジャニー氏による性加害の黙殺、隠蔽であったかもしれない。20年以上前に文春の報道が裁判にまで発展したにも関わらず、その後も一部を除いて大手マスコミ各社は沈黙を守った。そのため、残念ながらジャニー氏による性加害が続いてしまったようである。被害拡大の責任の一端は芸能界とマスコミにあることは疑いようがない。

 BBCの報道が突破口を開いてくれなければ、日本はこの問題を今後も葬り去り続けていたのだろう。まさに幕末の黒船来航と同じで、日本はこの問題でも自己解決能力、自浄能力を失ってきている。表向きは基本的人権の尊重をうたってきた日本でありながら、立場の弱い被害者は長い事、泣き寝入りを余儀なくされてきた。マスコミと芸能界の闇は深い。当然、このことをまともに国会で論じてこなかった政界の闇はもっと深いだろう。

 かねてから宮台氏らが指摘してきた日本におけるマスコミと政界との癒着は不自由で保守的な学校教育の不備と相まって「知らしめず、依らしむべし」の愚民化政策を推進し、とうとう深刻なまでの民意の劣化を招いてしまいかねない…とい心配ははたしてただの「杞憂」であろうか。

オールドメディアのオワコン化から、戦後78年の「既得利権」の崩壊へ もう「社会

 的もみ消し」は起こらない? 現代ビジネス

 大原 浩 によるストーリー 2023.5.27

 ジャニーズ事務所での性犯罪が放置されてきた背景には自社の利益を優先してかつて芸能界に君臨してきた喜多川氏に長らく忖度してきた大手メディア側の無責任な姿勢があった。もちろんかねてから反社勢力とのつながりを指摘されてきた芸能界をはじめ、若手タレントらに「枕営業」などを持ち掛るなどといったうわさの絶えない作曲家、作詞家や監督、プロデューサー、芸能事務所等による性犯罪の数々を見て見ぬふりをしてきた映画、テレビ、舞台等の演芸に係る業界全体の体質も根本から見直していくべきだろう。

 振り返ってこれまでもイジメ問題などの「社会的もみ消し」を得意としてきた学校教育業界はどうなのだろう。管理職を含む教師たちによるパワハラやセクハラ行為を横行させてきた学校という組織にもきっと大きな病根が宿っているはずである。

 生徒たちの関心がかなり高いこの事件を一つの切り口にして国民の啓蒙、ないしは洗脳に深く関わってきたマスコミや教育の問題点にまで迫っていくような展開が構想できるのならば、この記事は社会科授業の導入として大いに利用価値あり。

ジャニー喜多川氏に“グルーミング”されたのは「日本社会そのもの」だったのかも

 しれない《BBCが番組を無料公開》

 文春オンライン 水島 宏明 によるストーリー 2023.6.18

BBC「ジャニー喜多川氏の性加害番組」の背景“…死後400人以上に性的虐待を告 

 発された「伝説の男」の裏の顔 文春オンライン

 大山 くまお によるストーリー 2023.6.2

 BBCが喜多川氏の摘発に着手した背景には過去に苦い経験があったことが分かる。今後、最も大切なのは日本自身が過去から学べるかどうかだろう。

「しょせん週刊誌レベルの話だろって」事務所への忖度ではない…新聞が「ジャニ

 ーズ性加害」を報じなかった理由とは

 文春オンライン プチ鹿島 によるストーリー 2023.7.11

 テレビ局と新聞社との癒着、資本提携がこの問題の背後にあり、基本的にはそのためにこそ大手新聞社はジャニーズ性加害問題を報道してこなかったのだろう。テレビ朝日を忖度して朝日新聞が、TBSを忖度して毎日新聞が…

「ファンを共犯にするな」ジャニーズ問題で田中秀臣・上武大教授

 産経新聞 2023.8.4

 ジャニタレのファンは少なくない。この記事を授業の導入に利用するとこの事件が他人事ではない重大事件であることへの理解が進むだろう。特に「責任があいまいなままになってしまえば、全員が非常に不健全な共犯関係になってしまう。」との指摘は重要。

河野談話を裏付ける証拠は増えたのに、責任認めない主張が根強い保守層…発表30

 年、研究者の考えは 東京新聞 2023.8.4

 国連が調査に入ってきたことでついに国際問題に発展してしまったジャニー喜多川氏による性加害問題が意味することは何か?性差別解消に消極的な政府の性加害問題に対する認識の甘さは慰安婦問題に代表される戦争中の性加害問題への認識の甘さにも通じているのではあるまいか?

成田悠輔氏 ジャニーズ性加害問題に「日本社会全体がある意味で加害者」

 東スポWEB によるストーリー 2023.8.6

 マスコミやスポンサー企業、政府すべてに責任があるとすればこれは国家的な犯罪であったというに等しいだろう。だからこそ、この問題に対して政府が一貫して及び腰だったのだ。残念な国である。

「国として動いて」「温度感低い」 元ジャニーズJr.ら政府に訴え

 朝日新聞社 によるストーリー 2023.8.7

国連部会に「法的拘束力なし」 松野氏、性被害救済声明で

 共同通信社 によるストーリー 2023.8.7

 こんな当たり前のことを官房長がわざわざ口にした事自体が衝撃。国連部会の声明に法的拘束力があるわけはない。言われなくとも皆が承知していることを敢えて口にした政府の意図は明白である。国連の内政干渉的介入に反発して政府のメンツを守ろうとの発言だろう。

 しかし意に反してこの発言でさらに日本政府のメンツは丸つぶれとなってしまった。この人権意識の低さは 世界から猛烈な顰蹙を買うに違いない。

 

・イスラーム社会の戒律

人を破壊する「白い拷問」…ノーベル平和賞を受賞した女性がイランの女性刑務所

   で受けた「ヤバすぎる蛮行」を緊急告発

   現代ビジネス ナルゲス・モハンマディ の意見 2024.4.24

パキスタンで相次ぐ、宗教的少数派女性の誘拐と虐待、強制改宗

 Ewelina U. Ochab - Forbes JAPAN - 2021年2月21日

五輪出場後に“殺害予告”も。男女平等のために闘うアフガニスタンの女性柔道家の

 決意 テレ朝POST - 2021年3月7日

世界大会に“鈍足素人”出場 陸連会長が停職処分に背景にソマリア特有の事情 

 テレ朝news によるストーリー 2023.8.8

 ※参考動画

  ◎“遅すぎランナー”騒動 素人の身内を陸上100m走に出場させソマリア陸連会長が停職

  【知っておきたい!】(2023年8月7日) ANNnewsCH  2023/08/07 1:15

  スポーツにおける女性差別の問題はイスラーム世界で特に酷い。この動画は加えてソマリアの内政

   問題が絡むため、確かに反発を受けやすいが、この選手の複雑な背景を知ると考えさせられてし

   まう。突っ込みどころが多く、生徒の反応を大いに刺激してくれるはず。導入として視聴させる

   と差別問題の視野を広げていく役割が期待できるかも。

【ヒジャブ】なぜ逮捕?デモ参加で死刑に?イランの女性差別とは

 ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】 2022.11.18 12:56

参考記事

駆け落ちした14歳の娘を斬首、父親に禁錮9年の判決 イラン

 AFPBB News 2020/08/29 19:19

イラン、「ヘジャブ」巡る抗議デモ参加者1人に死刑執行

 読売新聞 2022.12.10

ISを倒したスナイパーが説く驚愕の男女平等

 JB press 勢古 浩爾 2020/12/30 06:00

 驚愕のレポート。激しい戦闘が続く中で先進的とも言えるような男女平等がしかもアラブ世界において見事に推進されていた。

サウジ女性活動家に実刑 バイデン氏側近は非難、人権重視の姿勢反映

 毎日新聞 2020/12/30 05:30

 アラブ世界における女性差別の実態が良く整理されている。

同性愛の男性カップルに公開むち打ち刑 インドネシア・アチェ州

 - AFPBB News - 2021年1月29日

マララさんをツイッターで脅迫=パキスタン・タリバン幹部

 時事通信 - 2021年2月18日

その3.差別と格差(後編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

同和問題

桐生市の生活保護問題 保護者半減 群馬県「水際作戦の疑い」 特別監査結果を公表 

 東京新聞 2024.6.22

水際作戦の一環か?生活保護の担当部署になぜか「警察OB」を採用 専門家も驚い

   た桐生市の手口 東京新聞 2024.5.1

 生活保護受給の前に立ちはだかる壁、「水際作戦」は1980年代の行政改革時から始まる伝統的な作戦であるが、各方面から批判され続け、多少は改善されてきたのか…と思いきや、桐生市ではかなり様子が異なるらしい。桐生市には差別戒名を伝える墓石があることで知られた同和地区が存在しており、30年以上前に社会科教員で訪れたことがある。はたしてこのことと桐生市での「水際作戦」とが関連していないのだろうか、非常に気になるところである。

参考動画

【部落差別】なぜネットで暴走する?地名やルーツを晒される被害が?就職や結婚 

 に今も壁?「知らない世代」どう学ぶべき?|アベプラ

 ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/09/27  36:27

【被差別部落】「別れろの一点張り。脅迫的な言葉も」結婚差別なぜ今も? 当事

 者が語る現実とは 

 2022/06/30 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】39:13

 日本の伝統的差別問題の一つといわれる部落問題が残存している現状に気付ける。子供の結婚を機に親世代の払拭されていなかった偏見が露出するケースは若者にとって無縁ではあるまい。

※参考記事:同和問題と在日差別

 100年前の負の歴史「なかったことにできない」 関東大震災直後、行商9人惨殺

  福田村事件の記録復刊 東京新聞 2023.8.8

 「朝鮮人が襲ってくる」「井戸に毒を入れた」…関東大震災から100年の今、映

  画 『福田村事件』が問う“日本人の本性

  現代ビジネス 西岡 研介 によるストーリー 2023.8.14

   「朝鮮人虐殺問題こだわった」 「福田村事件」上映で森監督

      共同通信 によるストーリー 2024.3.16

 

・神奈川県人権啓発センターをめぐる動き

【論説】AbemaTVの部落番組について

   神奈川県人権啓発センター 2023/09/30  9:48

【緊急】「恐怖の中に置かれている」被差別部落住民、投稿削除の仮処分を申請―

 という記事 神奈川県人権啓発センター  2023/11/06 9:35

 同和地区の地名や人名、集落の風景をネット上で公開することは人権侵害につながるのかどうかを討論させたい。この方はこれまで長年にわたり各地の同和地区の現状をさらす探索動画を公開してきていて、部落解放同盟や日本共産党への批判を展開してきた人物。

 同和地区の人々への差別感は自分には一切存在していなくて、悪いのは国の同和対策事業に悪乗りして公金を横どりし、私利私欲を満たしてきた暴力団やそれに加担してきた部落解放同盟であると主張して、その不正をただす自分の行為は正当なものであるという論理を展開している。

 授業では上のアベプラの内容を踏まえてその論理の是非を問いたい。

 参考記事

    被差別部落の地名公表、出版禁止など求めた原告側の勝訴確定 最高裁

       朝日新聞社 2024.12.6

 被差別部落の記事「削除を」 大阪府内全域、住民らが求めて提訴 大阪地裁

  産経新聞 2024.7.8

  表現の自由と差別されない権利とのぶつかり合いをどう考えるか、討論のたたき台にすると面白い

  記事だろう。

 ○申立人「差別はやっぱり許すわけにはいかない、その一言」被差別部落の情報サイトに自宅が写り

  込んだ写真…サイト運営の出版社側に記事削除を命じる 毎日放送 によるストーリー 2024.5.7

 〇被差別部落のネット記事削除求め住民提訴 「差別されない権利侵害」

      朝日新聞社 によるストーリー 2024.1.25

 〇被差別部落の地名掲載、再び違法 控訴審もネット、出版差し止め

  共同通信社 によるストーリー 2023.6.28

 

・Colaboへの誹謗中傷問題

人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」

   ニューズウィーク日本版 によるストーリー 2024.7.29

 仁藤夢乃氏を代表とするColaboをめぐる誹謗中傷により、様々な困難に直面する女性への支援が滞ってしまった結果、取り返しのつかない被害が生じているという。220万円程度の賠償金と誹謗中傷した投稿の削除程度の判決では被害の回復はほとんど不可能であり、同様の悪質な誹謗中傷を防止する力は全くと言って良いほど期待できまい。

 しかも誹謗中傷を繰り返してきた暇空茜と称する人物は東京都知事選に立候補して何と11万票も獲得したらしい。人道的な活動に対するいわれのない中傷が横行し、しかもそれがビジネスとして成立してしまっている日本の現状には空恐ろしさを感じる。社会的正義が嘲笑され、無責任で冷淡な中傷がビジネスとなる日本のネット社会の卑劣極まりない闇の世界…これが学校で多発してきた陰湿なイジメ事件と同じ土壌から生まれてきた世界であることはほぼ間違いあるまい。

 確かに人道の名を借りた詐欺的行為も一部にはあるだろうが、人道的支援のすべてが詐欺であるわけはない。仮に詐欺とみなすのであるならばきちんとした根拠を示すべきであろう。その根拠がでっち上げられたものであるならば、それこそが誹謗中傷であり、詐欺的行為そのものである。

 正論や正義を振りかざす行為への強い反発は近年、ネット社会でよく観察される現象である。どうやらネット民の多くはメディアで不用意に突出してしまった「良い子ぶりっ子」が大嫌いのようだ。しかしメディアにはある程度露出しないと支援のための資金を十全に集めることは難しい。支援団体は今後もこのような誹謗中傷に備える必要があるだろう。

 厳しく責められるべきは誹謗中傷に加担したネット民よりも、若者や女性を繰り返し絶望させ、ネット民の多くをただの冷笑的群集に傾かせている日本政治の無能さの方だろう。

 

・ルッキズム

【垢抜け方法】ダイエット以外!確実に変わりたい方に見て欲しいです!!

 2021/08/20 足の裏から人間になるには 12:24

 「ルッキズム」を考える際の導入には役立つ動画だろう。この「垢抜け方法」は「詐欺」と言えるだろうか、「足の裏から人間になるには」というチャンネル名についてどう思うか、問いかけていきたい。

 ※参考記事

  ◎“詐欺メイクの神”と呼ばれた女性、幼少期から開いた悟り「物事をポジティブに置き換えない

   と、心がもたなかった」 ORICON NEWS によるストーリー 2023.4.24

渡辺直美さん「正直驚いた」“容姿侮辱”で演出トップ・佐々木宏氏が辞任(2021

 年3月18日放送「news every.」より) 2021.3.18 日テレNEWS 2:34

五輪開会式“容姿侮辱”演出案でトップが辞任 

 2021/03/19 TBS NEWS 5:21

日本が太っている人に厳しい理由?

 BrooklynTokyo 2021/12/16 14:37

 この議論の一つの落としどころが分かる。

【太ってる人】機内通路が狭いのは差別?デブは個性?自己責任?プラスサイズは

 多様性?豊ノ島と議論|アベプラ

 ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/06/16  15:51

 この動画は具体的な内容なだけに活発な論争を呼びそう。授業でも討論の題材になるだろう。

【ひろゆき&成田悠輔】冨永愛の劣等感アジア人の葛藤とは?【トップモデルの

 闘い】 日経テレ東大学  2022/12/25 41:15

座・高円寺 秋の劇場16『箱庭弁当 ―さ迷える愛・破』PV 

 劇団態変 2020/10/11 1:46

 相当、強烈にルッキズムの問題点を浮かび上がらせる動画。かなり衝撃を感じてしまうかもしれないが、この劇団のメンバーを普段は見えない場所に「隔離」してきた日本社会の暗い側面を感じてしまうが、いかがか。

[バリバラ] "生きづらさ"「見た目問題」を抱える女性が演劇に挑戦する理由 |

  NHK 2018/05/25 3:57

【ひろゆき】結局言わないだけで「顔採用」は存在します。そりゃ美女やイケメン

 が良いに決まってる【切り抜き/論破】ひろゆきのマインド

 2021/03/27 1:44

【ひろゆき/切り抜き】日本人って見た目にうるさすぎない?

 ひろゆきのマインド 2020/11/27 2:06

 ファッションにも言及。きれいごとを言うのは簡単だが、現実は厳しい…

【炎上】アメリカのアニメに出てくる日本人が偏見だらけで酷すぎた。

 SAGIRIX  2023/06/21 6:08

【炎上】海外のアニメに出る日本人が怖すぎる…

 SAGIRIX  2023/07/13 8:15

【炎上】アメリカのアニメに出てくる日本のシーンが失礼すぎた。

 SAGIRIX  2023/10/17 9:37

 差別する側と差別される側、双方の立場に立ってみないとお互いの理解は深まらないだろう。

日本人が持ってるアメリカ人の間違ったイメージ

   Kevin's English Room / 掛山ケビ志郎  2024/10/10  34:13

 非常に面白い観点で日本人にもアメリカ人への偏見が少なからず存在することに気付ける。上のアメリカ人が抱く日本人への偏見と併せて紹介したいが、視聴時間が長いのでこちらは一部だけ視聴し、残りは要約して紹介した方が良いだろう。

参考記事

その見た目に光源氏が卒倒した「末摘花」の強烈さ 紫式部が突きつける読者自身の

 心に潜むもの イザベラ・ディオニシオ 東洋経済オンライン 2024/03/10 

 このところNHKの大河ドラマ「光る君へ」が話題なのでこの記事はタイムリーか

もしれない。ルッキズムはもちろん日本でも古くから存在していたが源氏物語に登場する末摘花の容貌とキャラは突出して興味深い。そして光源氏がとったその後の対応(生活を支援…)について生徒たちに予想させると面白いだろう。

 

 

その3.差別と格差(中編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・メンタリストDaiGO炎上問題:自己責任論と親ガチャ問題

【メンタリストDaiGo】炎上元となったホームレス差別動画※閲覧注意です

 小林ニュースチャンネル 2021/09/02 2:17

【生活保護】こういう人たちに共通している特徴を教えますね…正直バカなんじゃ

 ねーのって思ってます。辛いのは自分だけだと思ってません?それ当たり前だか

 ら…人生終わってない。変えられる【青汁王子/切り抜き】2021/09/27 1:33

【ひろゆき】DaiGoさんのこの発言だけはマジで理解できない…他は結構賛同でき

 ますけどね。【切り抜き/論 2021/08/18 9:29

メンタリストDaiGoの炎上について【ホームレスは社会に不必要か?】

 原貫太国際協力師 2021/08/13 7:13

発達障害の子どもをもつ親が直面する「貧困と体験格差」の現実

 現代ビジネス 今井 悠介(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事)

 によるストーリー  2024.6.14

 親ガチャ問題と障がい者問題と母子家庭問題などが複合したケースで、幼少時からの体験格差が進学や就職面での大きな格差につながりかねない状況がよく分かる。

 

【成田悠輔vsビルゲイツが認めた日本人】日本で感じる生きづらさのワケ【ふるさ

   と納税の未来】ReHacQリハック【公式】2023/12/23  31:57

 日本にもかつてはお布施等の寄付、慈善行為の伝統はあったが、それは慈悲、慈善を説く仏教の影響が大きかったと思われる。しかし近代以降、仏教の国民への影響力が低下していくと同時に寄付や慈善活動の減少が生じているのではあるまいか。もちろん江戸時代まで宗教が果たしてきた役割を近代以降は福祉政策、社会保障政策などを通じて国家が受け継いできた側面はあるだろう。

   しかし個人資産2000兆円余りを保有する、世界有数の資金を持つ金満大国日本がなぜ国内の貧困問題に直面しているのか、その莫大な資金をなぜ世界の貧困問題の解消や環境問題などの問題解決に向けられないのか、問われるべき課題は多い。学校教育もまた問われるべき課題の一つだろう。無論、決して今の日本国民が自己中心的な心性に傾いているわけではあるまい。

 ガザでの悲劇を見れば日本人の多くはひどく心を痛め、自分に出来ることは何か、それぞれ思いを巡らせているはず。問題は日本の場合、そうした人々の心を寄付等の活動につなげていくことがなかなか難しく、結局はいつまでたっても多くの人ができないままでいる点であろう。

 では日本人が慈善活動を行う上で障害となっている主なハードルとは一体、何なのか、まず生徒たちに問いたい。そしてそのハードルを下げるために日本国が、また日本国民がすべきこと、出来る事とは何なのか、続けて問うてみたい。

これが日本食?!! 初来日した北朝鮮の女性がご飯を食べに行って衝撃を受けました...

   お米から全く違う... IKITERU【イキテル】  2024/11/21  21:51

日本のドラッグストアに北朝鮮の友達を連れて行ったんですが、大変なことになり

   ました...体が痛くても我慢しか出来なかったのに...爆買い

   IKITERU【イキテル】  2024/11/24  13:26

   北朝鮮の普通の人々の状況が察せられるだろう。日本のすぐ近くにこういう国があることを忘れてはなるまい。

大富豪8人=貧困層36億人の資産!?なぜ世界の格差はここまで広がったのか?

 原貫太フリーランス国際協力師 2021/03/27 20:53

「貧困は自己責任」「努力すれば報われる」は本当に正しいのか?

 原貫太国際協力師 2021/08/18 16:46

なぜ日本の貧困は連鎖するのか?【3つの理由をわかりやすく解説】

 原貫太フリーランス国際協力師 2021/07/21 17:11

【残酷な真実】日本は「知能」で分断されている!?

 原貫太フリーランス国際協力師 2021/09/03 14:22

マイケル・サンデル教授インタビュー完全版「エリートは謙虚になるべき」「分断

 は能力主義によって起きている」【報ステ×未来を人から 完全版】【未来をここか

 ら】【Michael Sandel】ANN news CH 2021/05/03 22:12

 「親ガチャ」の問題、貧困の連鎖、生活保護とベイシックインカム…考えるべき課題は多い。

佐藤拓代×宮台真司×迫田朋子:子育てを「自己責任」にしてはならない【ダイジ

   ェスト】佐藤拓代×宮台真司×迫田朋子:子育てを「自己責任」にしてはならない

 【ダイジェスト】 2021/12/12 12:24

【生活保護】進学は贅沢?貯金や車があると?水際作戦の実態は

 2022/10/15 ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】19:38

 世帯分離の要件など「水際作戦」の実態が見えてくる。

スウェーデンで生活保護はいくらもらえる?| 北欧在住ゆるトーク

 Nord-Labo 北欧研究室  2023/07/08  15:38

 日本との比較が貴重。

日本で貧富の格差が広がった3つの理由【わかりやすく解説】

 原貫太フリーランス国際協力師 2021/10/06 22:21

【生活保護】「役所で“恥ずかしくないの?“と言われた」“ナマポ“とスラングで揶

 揄される現実も 40代の受給者が明かす減額の打撃とは?|#アベプラ 

 2020/10/21 21:23 

 生活保護世帯への差別・偏見が市役所にも存在。

生活保護「なめんな」 市職員がジャンパーに文言(17/01/17)

 ANNnewsCH 2017/01/18 51

【生活保護】ひろゆき「みんなで申請しまくっちゃえばよくないすか?」生活困窮

 者のためのセーフティネット理想の姿は?申請への高いハードルとは?【コロナ】

 【緊急事態宣言】|#アベプラ2021/02/15 23:18

【特集】『生活保護を受けるのはみじめ』受給に戸惑う思いの中...生活保護を使い

 再出発した人たち「ちょっと逃げたらいいやんと伝えたい」

 (2021年11月4日) MBS NEWS 2021/11/05 8:51

【ひろゆき】生活保護を受ける方法とお勧めする住む町

 ひろゆきØ配信【傑作編】2021/05/19 3:24

【副業時代】若新雄純「一部の強者が稼ぐ“新しい格差”に」副業者は本業でも高所

 得!?成功への一歩は? 2022/09/13 ABEMAニュース【公式】7:33

【ベーシックインカム】「日本人が働かなくても自信を持てるように」生活保護と

 の違いは?困窮者を救う?ひろゆき&成田悠輔と考える|#アベプラ 

 2021/12/18 21:39

 生活保護との差異に注目できる。

若者100人と衆院選挙の夜に考える「格差を解決する方法」【選挙ステーション

 2021】ANNnewsCH 2021/11/02 36:06

 平原依文、成田悠輔、たかまつなな、若新雄純の4氏の主張が非常に興味深い。特に「富ではなく運を分配する」という若新さんの主張には癒やされる。いずれにせよ4氏とも教育の無償化と見直しが鍵を握っているとの観点で共通しているようである。

今の時代「若者」なんていない 宮台真司の部屋 2022/10/24 8:03

 宮台氏の興味深い若者論。経済的な豊かさの実現によって個人化し多様化してきた現在の若者は若者としての連帯感を失い、ただの「若い人」でしかないがゆえに孤独を抱えて生きている・・・とすれば今の若い人の相談相手の多くが母親である事の理由も透けて見えてこよう。

 ※参考記事

  ◎相談相手は「お母さん」という若者が増える真因 友達と安定した関係を築けないZ世代の憂鬱 

   東洋経済オンライン井艸 恵美 の意見 2022.12.6

   「相手との関係を失う怖さから空気を読むことを最優先する一方で、何でも話せる関係性を求め

   る傾向」がZ世代に見られるという指摘は非常に興味深い。

参考記事

〈研修なしで夜勤〉〈座っていると『休憩』カウント〉元職員が訴えた千葉・児童

 相談所「超ブラック労働」の実態 

 現代ビジネス 佐藤 隼秀(ライター) によるストーリー 2024.6.27

 これまでも度々問題視されてきた児童相談所の過酷な勤務実態だが、同様の事は学校に派遣されているカウンセラーやケースワーカーにも該当するだろう。いずれも極めて高い専門性を必要とし、責任重大な仕事であるにもかかわらず、その待遇は余りにも酷すぎる。一人一人、異なる境遇の子供たちにきめ細やかな専門的対応を任されている専門家であるはずの人々に対する千葉県の冷遇は学校教育の杜撰さと対をなすものだろう。児童生徒たちの格差問題の最前線で戦う人々への支援の充実こそ、格差問題解消の重要な方途ではないだろうか。教育と福祉の予算を削ってきたこれまでの国家のあり方も問われる。

せっかく入れた学童に「行きたくない」。待機児童は解消しても継続率は低迷…保

 育に不満の声も All About 古屋 江美子(ライター)  2024.6.24

 穴だらけの日本の教育、福祉政策が格差問題や少子化問題を生み出している。

先進主要国なのに高すぎる貧困率…「貧困大国ニッポン」でこれほど貧困者が増え

 たワケ 現代ビジネス 橘木 俊詔 によるストーリー 2023.7.15

「体験格差」大人になったらどんな影響がある? 全国調査が明らかにした“ヤバい

   実態”   Real Sound ブック の意見   2024.4.25

 「体験格差」の是正にこれまで学校教育が果たしてきた役割はさほど小さくはなかったのではあるまいか。各種学校行事や放課後の活動など、日本の学校は長い間、教師たちの献身的,自己犠牲的な活動によって子どもたちに数多くの体験の場をほぼ無償で提供してきた。

 しかし、そうした献身的な活動が徐々に増やされていったことも手伝っていまやすっかりブラック化してしまった現在の学校に格差是正の役割を期待することはもはや難しいだろう。むしろ学校はブラック化の果て、イジメ再生産工場、格差拡大装置と化しているのが実情であると個人的には考える。

 今後、「体験格差の拡大」に対して学校教育以外の場で一体何ができるのか、行政側は真剣に考えていくべきではあるまいか。

 この問題に対してどうすべきなのか、ぜひ授業で討論させたい。

"飢え"を忘れた時代に彼が求められているのは何故か?Z世代とは何なのか?【ガチ

 で危機感持った方がいい】

 おっくんの眼【山田玲司のヤングサンデー 切り抜き】 2024/06/04 23:57

 結婚数や出生率の低下の背景には何があるのか、Z世代特有の感覚、思考を深掘りした山田氏の見解には非常に興味深いものがある。今の高校生にも届く部分があるのではないか。やや視聴時間が長く、論点も広範囲に及ぶ面はあるものの、生徒たちの反応は悪くないかもしれない。ただし授業で扱うためには教師側に現代の青年文化、青年心理、アニメ・漫画への予備知識が多少なりとも必要となるだろう。

超高齢ニッポンが沈没する前に「若者だけの街をつくれ」…「初耳学」の林修を夢

 中にさせた衝撃本の中身 現代ビジネス 河合 雅司 2022.12.7

 成田氏も同様のことを提案していたのでその是非を生徒達に問いたい。意見が噴出しそうな議題になるだろう。「老害」が社会の随所にはびこると言われる超高齢化日本の現状をどうするのか・・・若者にとっては切実なテーマ。

出生率「1.20」の衝撃 止まらない少子化子育て現場は

 テレ朝news によるストーリー 2024.6.8

 まずは合計特殊出生率の低落によってどんな問題が生じてしまうのか、低落にはどんな原因が考えられるのか、また低落に歯止めをかけるための政策としてどのようなものが考えられるのか、それぞれ列挙させ、優先順位をつけさせてみたい。少子高齢化というテーマは身近な問題を数多くはらんでいるため、社会問題に対してできるだけ多角的に物事を見ていけるようにする練習問題としては格好のテーマであろう。

「原子力研究開発の反対勢力とされ差別的扱い」と元従業員ら訴え、地裁が原子力

 機構に賠償命令 読売新聞 によるストーリー 2024.3.16

 事故隠しの常習犯で有名となったかつての動燃が、なぜ事故隠しに成功してきたのか、その一端が垣間見えるだろう。原子力発電に関しては大学でも原子力政策に批判的な研究者はどんなに優秀であっても講師レベルにとどめられてきたように動燃でも従業員に対して同様の人事政策が行われていたようだ。これでは相互監視のシステムが機能不全となってしまい、組織内での事故隠しが横行したのも無理はない。

 船場吉兆や雪印の引き起こした事件などで食の安全が脅かされた20年ほど前、時の政府はようやく重い腰を上げて食品に関わる従業員に会社の不正告発を奨励したことがあった。その少し前、動燃関連で事故隠しがもはや不可能なレベルの深刻な事故が連発。動燃は信頼回復を狙って原子力機構に組織替えされ、心機一転を図ろうとしたかに見えた。しかし、この訴えを見ると食品業界とは違ってその隠蔽体質に根本的な変化は無かったものと思われる。

 こうした、組織の安泰ばかりを狙う人事は教育界でも似たようなものであり、お上の教育政策に忖度しない人物は脇に押しのけられていく。こうして日本の随所でお上にひたすら忖度する風潮が蔓延する傍ら、健全な批判は封じ込まれていったように見受けられる。とりわけ学校教育界でのイジメ隠蔽と動燃の事故隠しはその背後に強い政治的圧力が働いている点でよく似た構造を持っているのではあるまいか。

 さんざん「パヨク」と馬鹿にされて労働運動への誹謗中傷が絶えない昨今である。このような歪んだ人事と事件事故の隠蔽を許してきたのは他でもなく、国民自身の側なのかもしれない。そしてこうした現象の背後には少子高齢化による深刻な「老害」問題が黒々と横たわっているように思えるのだが、いかがだろう。

 たとえば成田氏の「集団切腹」発言に起因する同氏への誹謗中傷は確かに「年齢差別」発言として批判される要素があるのは否めない。しかし彼は敢えて過激な表現を用いて一身に誹謗中傷を浴びることで「老害問題」への注意喚起を狙っているとも思える。一種の炎上商法かもしれない。

 これまでの事件事故の隠蔽、とりわけ裏金問題の隠蔽に老害政治家の影が見え隠れしている現在、安易な「成田叩き」の風潮には十分警戒すべきだろう。