銀行ローンを利用して、物件を複数棟買い進
めていく為には、銀行の信用力(担保余力)を
意識していく必要があります。
最初の物件だけで信用力(担保余力)を使い切
ってしまえば、それ以上物件を買い進めるこ
とはできなくなります、それは、[信用毀損]
に陥るからです。
よくあるのは、自分の信用力(担保余力)につ
いてあまり意識しないまま、一棟目の物件に
とにかく融資をつけて購入してしまうパター
ンです。
これは特に、個人で投資を行っている属性が
良い人に多いパターンでしょう。
たとえば、大企業に勤めている人や公務員な
どは、この[属性]が良いと判断されます。
すると、金融機関はその人の本業での給与収
入等を返済原資として見込み、極端なことを
言えば、どんな物件でも、最初はある程度の
融資をつけてくれます。
しかし、2件目の物件についてはそうはいき
ません。
返済原資としての本業での収入は、すでに一
件目の返済原資として計算に入れられていま
す。
そのため、純粋に物件の評価で融資が判断さ
れます。
このとき、一件目にキャシュフローが出ない
、評価が低い物件を購入してしまっていると
、残債が担保価値を下回る[担保割れ]の状態
になっています。
この状態を[信用毀損]といい、この状態にな
ると2件目以降の物件を買い進めなくなります
従って、融資を利用して複数の不動産を買い
進めるためには、金融機関から見て自身が常
に融資出来る状態、つまり担保余力がある状
態を維持する必要があります。
それには信用を毀損しないよう、物件の評価
価格を意識する必要があります。
金融機関の物件評価方法には、主に[積算評価
]と[収益還元評価]の二つがあります。これら
について詳しく説明いたします。
1)積算評価
金融機関の多くが、主体的に物件評価をする
ときに活用しているのがこちらの評価です。
・積算評価額=土地評価額+建物評価額
・土地評価額=土地面積×路線価
・建物評価額=再調達価格×建延面積×(法
定耐用年数-築年数)/法定耐用年数
<建物の再調達価格のおおよその相場>
構造 ・ 再調達価格 ・ 法定耐用年数
・ (万円/m2) ・ (新築・住宅用)
木造 ・ 13 22
S造(軽量鉄骨) 13 27
S造(重量鉄骨) 16 34
RC造 20 47
SRC造 20 47
<土地の路線価の求め方>
国税庁ホームページ[財産評価基準書 路線価図
・評価倍率表]下記のURLで調べることが出来ます
http://www.rosenka.nta.go.jp/
<金融機関の担保価値の考え方>
・担保価値=積算価格×担保掛け目(70~100%)
・余剰担保= 担保価値 > 融資額
・担保不足= 融資額 > 担保価値 (信用毀損)
<純資産の考え方>
純資産:(銀行の不動産評価額-借入金額) > 0
2)収益還元評価
金融機関の中には、物件の収益性を主体に評価
をしている金融機関もあります。
収益物件から生じるキャシュフローを借入の返
済原資として評価する方法。
端的に言えば、キャシュフローが0からプラス
となる価格が収益評価額です。
*積算評価と収益還元評価が高い物件はどちらも
価値の高い物件ということが出来ます。
・積算評価の高い物件
銀行から見ると担保価値の高い物件となります
から、借入金を多く借り入れることが出来、
フルローン、オーバーローンの可能性が高い物
件といえます。
・収益還元評価の高い物件
物件の収益力から換算して物件価格を割り出し
た価格となりますから、当然価格は高くなりま
す。
購入する場合は、積算評価と収益還元評価が高く
、売値の安い物件が一番価値が高くなりますが、
なかなかそういう物件は現れない為、どちらか片
方が高くて、片方が低い場合は、低いほうを値引
きの理由にして価格交渉するという方法も考えら
れます。
いずれにしても、積算評価と収益還元評価をしっ
かり把握しておくことが購入時点で必要なことで
す。