某は案山子にて候
雀どの


(夏目漱石)

 

 

夏目漱石(1867年 - 1916年)小説家、評論家、英文学者。俳号は愚陀仏。 

大学時代に正岡子規と出会い、俳句を学ぶ。帝国大学英文科卒業後、松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授などを務めた後、イギリスへ留学。帰国後、東京帝国大学講師として英文学を講じながら、「吾輩は猫である」を発表。これが評判になり「坊っちゃん」「倫敦塔」などを書く。

 

 

 

香薬のあじわい

 

 

 「吾輩は猫である。名前はまだ無い...」

 

 で始まる、

 あの有名な本の作者。

 

 えっ、俳句もやってたの?!

 と思いきや、

 

 同級生である正岡子規の影響で、

 小説を書くずっと前から、

 俳句をはじめていたらしい。

 漱石は、

 潔癖症でかんしゃくもち、

 おまけに被害妄想が強く、神経症体質。

 

 長い文章でも書いてたら、

 気がまぎれるんじゃないか?!

 

 と俳句仲間に勧められ

 「吾輩は猫である」を執筆。

 

 俳句雑誌「ホトトギス」に作品を

 載せてもらったのが、小説家デビュー

 のキッカケなんだそうです。

 

 

 この作品もそうですが、漱石の俳句は、

 神経症とは思えないくらいユーモラス。

 

 えっへん!えっへん!

 それがしは、案山子にてそうろう~。

 

 たとえ、

 スズメに、頭や肩に乗られちゃっても、

 

 ”田んぼの見張り番” という役職に

 誇りをもっていそうな案山子。

 

 気位が高い感じが可笑しい!

 

 

 名乗ったところで、

 水戸黄門の印籠のように

 

 「ははぁ~、まいりましてございまする。」

 

 なんて、

 すずめは遠慮してくれないだろうけど(笑)

 

 

『心の香薬』もくじ