人はなぜソシャゲに課金するのか 「キャラ性能」 | ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ)

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ソシャゲプロデューサー歴4年のぐだぐだ人間によるブログ。ボカロPもしてました。最近の興味は地方創生。

ぢゅです。どもども。

今回のテーマは「商品のパラメータ設定」…つまり、キャラやアイテムの性能設計について話します。今現在、様々なジャンル・形態のソシャゲがリリースされていますが、昔ながらのフォーマットであるパーティを組んで敵を倒していく形態のソシャゲ(パズドラ、モンスト、グラブル、FGO、ロマサガrs等)に題材にして、運営目線で紹介します。

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一般的に、商品価値の高いアイテムをリリースすると、そのキャラを入手しようとするプレイヤーが多くなり、結果として売上が向上します。商品価値の高いアイテムをリリース…というのは、例えば、性能の良い新キャラをガチャイベントで提供するなどをイメージいただければと思います。

パーティを組んで敵を倒していくようなソシャゲにおいて、キャラクターの商品価値を高める最も重要な要素は「強さ」です。この「強さ」の種類が豊富であればあるほど、商品のバリエーションが増える…つまり、課金対象が増えるというメリットがあります。そのため、昨今のソシャゲでは多様な「強さ」が開発されています。

代表的なところでは、「強さ」のカテゴリには、基本ステータス、属性、役割、攻撃範囲、特殊スキル等があります。これらのカテゴリそれぞれに、ベクトル(軸)があります。

カテゴリ① 基本ステータス(ベクトル:攻撃力、防御力、素早さ、魔力…)
カテゴリ② 属性(ベクトル:火、水、風、光、闇…)
カテゴリ③ 役割(ベクトル:アタッカー、タンク=防御役、アシスト、ヒーラー…)
カテゴリ④ 攻撃範囲(ベクトル:単体攻撃特化、全体攻撃、1列攻撃、複数回攻撃…)
カテゴリ⑤ 特殊スキル(ベクトル:時間を止める、ダメージ無効化、技のモーションが短いので周回向き…)

これらのカテゴリを実装できるようにアプリ開発しておけば、あとはそれぞれのカテゴリからベクトルを選んで組み合わせれば、強いキャラを無限に生み出していくことができます。実際にやってみます。「攻撃力が高く、火属性で、アタッカーで、単体攻撃が得意で、特殊スキルは持っていない」という方向性で商品価値が高いキャラを作るとしましょう。これは、難しくないですね。既存の火属性キャラたちよりも高い値に攻撃力を設定し、アタッカーらしいスキルを持たせればよいでしょう。

もう1キャラ作ってみましょう。「素早さが高く、闇属性で、アシストで、複数回攻撃が得意で、特殊スキルは持っていない」という感じでどうでしょうか。味方キャラのステータスを一時的にアップしたり、敵を状態異常にするスキルを持たせたうえで、素早さを高く設定し誰よりも早く行動できるようにすれば、商品価値の高いキャラになるでしょう。そして、このキャラは、先ほど作った火属性のアタッカーとはまた違った強さを持っています。ですので、火属性アタッカーを入手したプレイヤーに対しても、この闇属性アシストキャラは商品価値が高く感じられるでしょう。これが商品のバリエーションです。このようにして課金をしてでも欲しいと思える商品を増やしていきます。

「強さ」にバリエーションがあるというのは、ゲーム性の面から見てもとても良いことです。様々なタイプの強キャラが存在するゲームには、パーティ構成を考える楽しさがあります。運営側は、プレイヤーそれぞれがオンリーワンのパーティを組めるゲームを目指して設計すべきです。バリエーションが少ない残念なゲームは、最強パーティが決まってしまいがちで、遊びや選択の幅が少ないため、プレイヤーは運営にコントロールされている感覚を持ちます。人間がモチベーションを継続するには「自身でコントロールできている」と感じられることが大事な要素ですので、バリエーションが無くなると、プレイヤー離れを加速させます。

とはいえ、カテゴリやベクトルを増やすための開発が追い付かない場合、やむを得ず、似たような強さのキャラをリリースをすることもあるでしょう。そのとき運営は、似たような既存キャラよりもパラメータを高くすることで商品価値を高めます。すると何が起こるでしょうか。問題となるのは、既存キャラの商品価値が落ちてしまうことです。例えば、この既存キャラが1か月前の期間限定ガチャで実装されたものであったとして、そのキャラに5万円や10万円を投資したプレイヤーがいたとした場合、彼らはどのように感じるでしょうか。それだけ投資した商品がたったの1か月で価値を失ったとしたら、大きな投資は次第に控えられていくでしょう。私個人の感覚になりますが、強さをウリにして登場したキャラは、せめて4か月~6か月の間は第一線で輝いていてほしいものです。

余談になりますが、カテゴリ⑤の特殊スキルは、バリエーションを無限に広げられる可能性を持つ一方、ひとつひとつの開発が大変になりがちです。特定の条件下で正常動作しないことがリリース後のプレイヤーからの申告でわかり、慌てて改修することになったりします。

ちなみに、1つのキャラに、同じカテゴリに含まれるベクトルを複数採用すると、「人権キャラ」や「ぶっこわれキャラ」と呼ばれるようなとても強いキャラが簡単に作れます。例えば、アタッカーでありヒーラーの役割も果たすことができるキャラや、火と光といった2つの属性を持つキャラは、ベクトルを1つしか持たないキャラと比較すると圧倒的な「強さ」を表現できていることになります。アプリリリースから1~2年くらい経ったあたりから、複数属性を持つキャラが登場するなんてのは、よくある話ですよね。

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今回はここまでです。次回は「人権キャラ」について書きますー
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー