人はなぜソシャゲに課金するのか 「射幸性」 | ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ)

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ソシャゲプロデューサー歴4年のぐだぐだ人間によるブログ。ボカロPもしてました。最近の興味は地方創生。

ぢゅです。どもども。

今回は「射幸性」(「しゃこうせい」と読む)をテーマに、ソシャゲのガチャにのめりこんでしまう理由について考えていきたいと思います。

「射幸性」は「ギャンブル性」と言ったりもします。「射幸性が高い」というのは「運良く獲得できることは稀だが、その分、見返りも大きい」ということを指します。

射幸性が高ければ高いほど、人間は快楽を感じてしまいます。当たり前の話、年賀状はがきで3%の確率で当たる切手シートをゲットするよりも、年末ジャンボ宝くじで当選率わずか0.000005%の1等賞を当てるほうがドーパミンが出ます。ソシャゲのガチャならば、高確率で排出される雑魚アイテム(既に所持)をゲットするよりも、超低確率でしか排出されない超強いアイテム(未所持)をゲットしたほうが嬉しいです。

低確率の超強いアイテムをゲットするにしても、その過程により感じられる快楽度合いは変わってきます。たったの10連でサクッと当たったケースより、100連分しかガチャを引く予算がない状態で最後の100連目でなんとかギリギリ当たったというケースのほうが、快楽度は強くなります。これは心理学で「リバーサル効果」と言われているもので、人は、ピンチ・脅威・不安から生還することで、より強い快楽を得られるのです。ジェットコースターやお化け屋敷を好む人が多いのも、リバーサル効果だといえます。

そして人間を含む動物は、一度快楽を得られることを知ってしまうと、それを反復する習性があります。ガチャに多大なる課金額を費やし心理的に辛い中で超レアアイテムを引き当てた経験をしたことがある人と無い人とでは、経験のある人のほうが、そのような行為におよぶ可能性が高くなります。一度経験すると、引き当てたときの大きな安堵感や達成感を具体的にイメージすることができるようになりますからね。ちなみに、人間は、うれしかったときの記憶は残りやすいものの、辛いときの記憶というのは忘れやすいようにできています。つまり、引き当てる前の辛さは忘れがちになり、引き当てたときの快楽は強く覚えている傾向にあるということです。よって、快楽が得られることを知ってしまうと、困難が待ち構えていようとも、人はその先にあるゴールを求めて、行動を繰り返してしまいがちなのです。

さて、ソシャゲのガチャにおいては、このような射幸性の高い体験が、いつでもどこでも手軽にスマホで味わえるというのが厄介なところです。同程度の手軽な快楽がまわりに無い場合、このようなガチャ体験ばかりを繰り返してしまう…つまり「依存」してしまうことになります。現代は高ストレス社会です。ストレスから手っ取り早く逃れるために、無意識のうちに何かへ「依存」してしまうのはよくあることです。手軽な高射幸性とストレス社会、それらがソシャゲ依存を生み出す要素になっています。

射幸性の高さが依存症を生み出すことは、ソシャゲがカジュアル化する前からも問題視されていました。例えば、パチンコ業界では、射幸性の高いギミックが法律で規制されるということがしばしば起こりました。私個人の意見にはなりますが、ソシャゲについも法律による規制を継続的に検討していく必要があると思います。既に海外では法規制が入っている国が多くあります。ただ、短絡的にガチャだけを規制すると、形を変えて射幸性の高い仕組みが導入されるだけですので、難しいところです。

【事例①】
とある中国産のソシャゲにはガチャがありません。とはいえ、強いアイテムを誰でも手に入れられるというわけではありません。この中国産アプリをやりこんでいるあなたは、アップデートが入る月初めの日が待ちどおしくてたまりません。毎月のアップデートでは、続きのストーリーと、いくつかの新ステージが追加されます。新しいステージには、一定の確率でドロップする強い装備アイテムが設定されます。あなたは、強い装備アイテムを入手するために、新ステージを誰よりもはやく周回します。ステージをプレイする毎に、体力と呼ばれるパラメータを消費するため、装備アイテム目当てにステージを周回しているとあっという間に体力が0になってしまいます。体力が尽きたあなたは、体力アイテムを課金購入し、周回を続けます。お目当ての装備がドロップするまで、ひたすら体力アイテムに課金し続ける他ありません。

…と、このように、一般的なガチャとは異なる形で、射幸性を課金につなげることができます。結局、何かの結果に「運」の要素を混ぜると、似たような仕組みが作れてしまうのです。

となると、「運」の要素をゲームとして採用すること自体が悪なのか…と言いたくなってしまいますが、ここが難しいところで、「運」の要素がまったくないゲーム=射幸性のないゲームは大多数の方にとっては退屈なものです。同じアクションに対していつも同じ結果が返ってくる…これはもはやゲームではなく、単なる作業かもしれません(人は単純な作業に快楽を感じることができるのですが、それはまた別の回で)。ですので、依存にならない程度の適度な射幸性はあるべきかと思います。

【事例②】
「おつかれさまでしたー。」今日もお客様対応でストレスのたまる一日を過ごしたあなたは、職場を出て地下鉄に乗り込むやいなや、スマホを取り出しソシャゲを起動します。今朝の通勤中に手に入れたキャラクターを育成しようと、適度なクエストを選んで挑戦。このアプリは技を使ったときに一定の確率で技のランクがアップします。あなたのキャラクターが技を使った瞬間、技のランクがアップした演出が入り、ストレスでこわばっていたあなたの表情が少しやわらかくなります。しかし、クエストを何度か繰り返していると次第に不満をたまってきます。新しいキャラの育成レベルが低いせいでクエスト突破に多くの時間が必要になることがあなたは気に入らないのです。ゲームにストレスを感じることが耐えられないあなたは、このクエストが終わり次第、アプリを閉じようと決心します…が、そのとき、新しいキャラの攻撃が一定確率で出現するクリティカルヒットとなり、今までよりも少ないターン数でクリアできました。あなたは冷静さを取り戻し、クエストでドロップしたアイテムを使用して、新しいキャラのステータスをアップすることにしました。強化を実行したそのとき、画面に「大成功」と表示され、5%の確率で発生するアイテム効果が2倍になる仕組みが発動し、あなたの新キャラは想像よりもはるかに強くなったのでした。「今日は運がいいな。」そうつぶやいて地下鉄を降りたあなたの足取りは軽やかでした。

…この事例は美化しすぎなところもありますが、要するに、運がいいと嬉しいんです。運要素は適度に大事。

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今回はここまでです。ちょっとダークな話になってしまいましたね(依存とかね)。

 

さて、次回は「確率」の話をしたいと書こうかなと思っています。
 

ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー