人はなぜソシャゲに課金するのか 「サンクコスト」 | ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ)

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ソシャゲプロデューサー歴4年のぐだぐだ人間によるブログ。ボカロPもしてました。最近の興味は地方創生。

ぢゅです。どもども。

 

Q.「人はなぜソシャゲに課金してしまうのか」

 

A.「それは、人だから」

 

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そう、人間だから仕方がないんです。

 

ただ、だからといって、衝動にかられて無理な課金をしたり、楽しいはずのゲームに嫌な気持ちで課金をしたりするのは不幸ですし、人が課金をしてしまう仕組みを知らずにゲームを開発し何も生み出さないアプリになってしまうのも非常に残念だと思います。

 

ですので、「人はなぜソシャゲに課金してしまうのか」という語りつくされているだろうテーマについて、今さらながらではありますが、自分なりに発信してみようかと思います。

 

ときどき心理学とか行動経済学とかを持ち出しつつ、事例を交えて書いていくよ!

 

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ではでは、第1回となる今回のテーマですが、有名なやつです。それは「サンクコスト」。ソシャゲのプロデューサーをかれこれ4年間ほど務めてきまして、その中で、新米プロデューサーさんや、ディレクターさんに課金の設計方法をお伝えしてきましたが、その中で一番理解していただきやすいのが、この「サンクコスト」です。

 

サンクコストとは、投資を語るときに出てくるワードでして、「もう取り返すことのできない過去の投資」のことです。

 

ソシャゲでは、「ガチャ」や「期間限定イベント」というギミックで、このサンクコストが関係してきます。

 

サンクコストが人に与える影響は、取り返すことのできない過去の投資を「このままでは勿体ない」と感じてしまい、本来狙った効果が表れるまで投資を継続したい衝動を引き起こす…といったものです。ここまで語ると、勘のいい方…というか、実際にソシャゲでガチャをまわしたことのある方はお気づきになるでしょう。そうです。そういうことです。

 

【事例①】

運営から配布された無料のダイヤ(ガチャをまわすための課金アイテムの名前:専門用語では「アプリ内通貨」という)で、10連ガチャを5回連続でまわしたあなた。しかしながら、お目当てのキャラは排出されず、無料で獲得したものであったにも関わらず、あなたは15,000円分のダイヤがなくなったことに深い落胆を覚えます。そう、人は、「15,000円を獲得できなかった」ことよりも、「持っていた15,000円を失った」ことに強い落胆を感じるよう、できています。ですので、この連続ガチャでの大外れは、かなりの打撃です。この落胆を直視できないあたなは、今まで無料で遊んできたこのアプリに初課金をし、「追いガチャ」をしてしまうのでありました。

 

サンクコスト…こわい。

 

【事例②】

追いガチャでお目当てのキャラを入手したあなた。これで、今回の期間限定イベントは有利に進めることができます。さて、期間限定イベントの最終日。このイベントがはじまった2週間前、あなたはゴールにたどり着くために日々必要となる作業量を逆算し、今日まで順調に進めてきました。しかし、思いのほかラスボスが強く、あと1日でクリアすることができないとわかりました。最低でもあと4日間はかかりそうです。このままでは、いままでコツコツと頑張ってきた2週間の投資が無駄になってしまいます(サンクコスト)。いやだ。勿体ない。あきらめきれない。そのとき、ラスボス挑戦回数をリカバリする課金アイテムの存在に気が付くあなた。これがあれば今日中にクリアできる。…そして、あなたは、再度、課金をしてしまうのでありました。

 

サンクコスト…こわい。

 

上記の事例①は、投資したお金あるいはダイヤ(アプリ内通貨)のサンクコストに耐えられなかった例。事例②は、投資した時間のサンクコストに耐えられなかった例です。

 

さて、このような事態を招かないためにはどうしたらよいのでしょうか。例えばビジネスの世界では、サンクコストが気になっていつまでも赤字の事業を続けることがないよう、投資を始める前に「撤退ライン」を決めておいたりします。ですので、それにならうなら、ガチャを引く前に、外れ続けた場合に何回までまわすのかを決めておくというのが良いでしょう。とはいえ、一度課金をすると、サンクコストへの未練が強くなることに加えて、課金慣れしてしまい、どんどん中断しにくくなるので、今持っているダイヤの分だけガチャをしてそれが無くなったらあきらめようという判断だったり、2~3か月後には今回のお目当てキャラよりも強いキャラが実装されるので今回はあきらめよう(ダイヤ温存)という判断だったり、そういう判断を含めたダイヤ活用戦略を練るところに面白さを見出して遊ぶというのが、私のおすすめです。

 

一方、ソシャゲの運営側を担当されている方は、今回の話、どのように感じられたでしょうか。確率の低いガチャを提供したり、意地悪なラスボスを設置すればいい…と、安直に考えてしまうと、ユーザー離れを簡単に引き起こします。プレイヤーさん側の視点に立ってみると、サンクコストの誘惑に駆られて課金をすることは、課金の中でも納得感の低い「つらい課金」です。運営側は、その「つらさ」を少しでも緩和すべく、ガチャであれば「天井」(一定回数ガチャればお目当てのキャラが確実にもらえる仕組み)を設けたり、ガチャが外れたときの獲得物の価値を高めるなどの工夫をしなければいけません。

 

…と、書き出すと、止まらなくなってきた(笑)

 

一旦、今回はこの辺りでストップします。次回、また、ガチャの話をしようかと思います。ガチャは語る要素が豊富なのですよ(日本で禁止されているコンプガチャとか、依存性とか、確率の錯覚とか)。

 

ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。

 

ばいみー