◆倉山満『嘘だらけの日本古代史』を読み解く




★要旨



・自ら戦場で武器を振るって天皇の地位を得たのは、神武天皇と天武天皇だけである。



・大事なのは、「そういう話が語り継がれてきたという事実」なり。



・国譲りは、大和朝廷が山陰地方を征服していった時の様子が神話に組み込まれている。



・日本の神話を見ていると、負けた側のメンツが立つように物語が作られている。



・伝説の時代から男系継承が積み重ねられ、歴史として続いてきた。



・皇族の数は、多すぎても少なすぎても困る。



・皇室というのは千年単位で物事が動くことがありえるのだ。



・古代において祭祀とは、未知の現象に対し未来を示す科学なり。



・皇室は、男性排除の原理によって皇位継承の安定を図ってきたのである。



・我が国は、神武天皇から一貫して万世一系を続け、次世代の皇子には悠仁親王殿下がおられる。



★コメント

やはり、古代史を学ぶのは重要だ。

この国の原点と未来を、教えてくれる。




 

 



 

 

◆奥山真司さん新刊『新しい戦争の時代の戦略的思考』に注目します。



★ポイント



・最近の国際ニュースを題材に、

アクションとリアクションの逆説的論理、

戦争の三位一体、シーパワー優位の継続、

抑止破綻、大国の恐怖、

三大戦略地域、攻撃の限界 点、

セオリーによるモデル化・ウォーゲームの重要性など、

国際社会では常識なのに日本ではなかなか教わらない戦略論の

基本概念をわかりやすく紹介する。



・すでに戦時に突入してしまった世界で生きのびるための新常識。

トランプ再選、

中東での戦争拡大と台湾新政権にともなう緊張激化。



・中国とロシア、北朝鮮に大きなチャンスが訪れる中、

日本はどうすればよいか。



・いま待望される国際政治のリアリズムに基づいた、日本人向けの最新解説。



・最悪の事態に対処できるようになるために最低限知っておくべき、

世界を動かす論理。



★コメント

国際政治でも、人生にも、

役立ちそうな戦略キーワードが満載で、嬉しいかぎりです。


 

 



 

 

◆峯村健司さん新刊『台湾有事と日本の危機』に注目します。


★副題

→習近平の「新型統一戦争」シナリオ。



★ポイント



・一切の楽観を排し、

軍事マニアの戦争ゲームとも一線を画した、

徹頭徹尾「習近平の目線」による驚異のシミュレーション。



・台湾有事の焦点は、アメリカ大統領選挙にある。



・「第2次トランプ政権」が中国に対して強硬になっても緊張緩和に向かっても、

台湾をめぐる現状は崩れ、

日本は厳しい情勢に追い込まれる。




・2024年の「選挙イヤー」は、国際秩序を激変させるだろう。



・中でも第二次世界大戦後、

80年近くにわたり奇跡的に平和を享受してきた日本が、

最大の被害国になりかねない。

その最大の引き金が、台湾有事なのだ。



★コメント

今こそ、総力をあげて、

東アジアの危機に立ち向かう時であろう。


 

 



 

 

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◆岩井秀一郎さん新刊『軍務局長・武藤章』に注目します。



★ポイント



・武藤が務めた軍務局長は昭和10年代、

軍内外に強い政治力を発揮し、時の政権をも左右するほどの権勢を誇った。



・昭和史の折々に登場する武藤、その生涯を追うことで、昭和史と昭和陸軍を読み解く。



・武藤家等への取材で得られた、貴重な証言および写真も掲載。



・武藤章は昭和陸軍のなかでも強い存在感を放っている。



・2・26事件後に成立した広田弘毅内閣では組閣に介入、

盧溝橋事件後は日中戦争を推進し、

近衛文麿の新体制運動に参画したが、日米間に暗雲が漂うと避戦に尽力。



・開戦後は師団長、方面軍参謀長として戦闘に従事した。



・戦後は東京裁判においてA級戦犯とされ、巣鴨拘置所で処刑された。



★コメント

現代ではなかなかわかりずらい、

激動の昭和史を武藤章を通して学びたい。



 

 



 

 



 

 



 

 


◆門田隆将『狼の牙を折れ。爆破テロに挑んだ警視庁公安部』を読む



副題→「史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部」



★要旨



・死亡者8名、重軽傷者376名という被害者を出した、

三菱重工爆破事件が起こったのは、

昭和49年のことだった。



・犯行声明を出したのは、

「東アジア反日武装戦線『狼』」である。



・正体がまったくつかめない、

途方もないこの覆面の相手を追い詰めるため、

真っ向から勝負を挑んだ組織があった。

「警視庁公安部」。



・それは、国民の前に

ベールを脱いだことがない秘密の組織であると同時に、

あらゆる手段を駆使して敵を追い詰め、

手錠をかけるプロフェッショナルな捜査機関である。



・三菱重工爆破をきっかけとする連続企業爆破事件は、

9か月後、

この警視庁公安部によって犯人グループが

一網打尽にされた。



・だが、その後に発生した国際的な人質事件、

クアラルンプール事件とダッカ事件によって、

犯人の一部は、

超法規的措置で釈放されて国外脱出された。



・公安一課長の小黒は、柴田からあることを命じられた。

「シンクタンクをつくれ」



・犯人像に迫るためには、

テロの教本『腹腹時計』の解析が不可欠だ。

その中にちりばめられている思想は何に通じるのか、

そこには犯人に迫るヒントは、

隠されていないか。



・極左暴力取締本部にとって

それを探りあてることこそ、

目を付けた人間を片っ端から行動確認することと同時に、

重要なことだった。



・田村町に裏本部にそのチームをつくらせるとき、

柴田は「シンクタンク」という言葉を用いて、

小黒に命じた。



・柴田が求めたのは言葉通り、

頭脳を武器に戦いを挑む集団だった。


「左翼、極左の論文を全部読み込め。

そして、『腹腹時計』の裏に潜むものを炙り出せ。

文章から、文脈から、抱いている思想を読み解いて、

誰がこれを書いたのか、

影響を受けたのはどんな思想なのか、

どういう人間の影響を受けたのか、

それを徹底して分析せよ」


「誰が書いたのかが分からなくても、

どういう思想のやつが書いたのか、

そこに辿りつけ。

左翼の論文の葉脈から、

あらゆるものを割り出していけ」



・小黒は江藤にそう指示した。

極本のなかで、10名ほどが要員になり、

手当たり次第に論文の分析をつづけた。


「いいか、読書百遍だぞ。

何度でも読み直せ。

百遍でも二百遍でも、

文章を諳んじるぐらいまで読み込め」



・巡査部長に過ぎない、ある若い捜査官は、

膨大な量の左翼の論文を分析し、

『腹腹時計』の底に流れている思想は、

「窮民革命論」ではないか、

と主張した。



★コメント

テロ捜査の執念を垣間見た。

学び取りたい。


 

 



 

 


◆佐々淳行『ザ・ハイジャック。日本赤軍とのわが7年戦争』を読む



★要旨



・アメリカの社会史に、

「ロアリング・トゥエンティーズ」(吼える1920年代)

という言葉がでてくる。

禁酒法の時代、全米で暗黒街のマフィアが暴れまわり、

とくにシカゴは、

凶暴なアルカポネが君臨し、

市民を恐怖のどん底に陥れた。



・1970年代の

「ロアリング・セブンティーズ」を彩る国際犯罪は、

日本赤軍が次々と敢行した「ハイジャック」だった。

私は、この時代の

「よど号事件」に始まるハイジャックを、

「ダッカ事件」以外、すべてを担当した。



・半世紀に及ぶ危機管理人生において、

私は「東大安田講堂事件」や「あさま山荘事件」

「ひめゆりの塔事件」などで「警備屋」として知られているが、

じつは「外事警察」の情報・捜査官の経歴が一番長い。



・かつて、作家・麻生幾の原作にもとづく、

NHKドラマ「外事警察」が放映された。



・「よど号事件」(1970)から

「ダッカ事件」(1977)までの7年間に、

テルアビブ事件も空港が舞台であり、

シンガポール・シー・ジャック事件も

最後の舞台が空港であったことを考えて勘定にいれると、

7件の日本赤軍ハイジャック事件が起きている。



・これらの国際テロと戦い続けたのが、

日本警察の「外事警察」だったのだ。



・そもそも、「外事警察」の本来の任務は、

「スパイ取締り」である。



・この本を読み終えた読者は、きっとこう呟くだろう。

「これで日本は、本当に『国家』などだろうか」と。



・プロローグで、

私は「全共闘」の「団塊の世代」に、

狂乱の70年代の革命家たちに、

「総括」と「自己批判」を求めた。



・しかし、いま書き終わってみると、

全共闘世代にそれを求めるのは

無理などだと寂しく思う。



・なぜならば、破邪の裁き、

正義の実現を果たすべき「国家」を司る自民党政権が、

自ら法的制裁を放棄し、

獄中の犯人たちを超法規釈放し、

法治国家の為政者として許されない責任の回避、

問題解決の先送りを、やってきたからだ。



・クララルンプール事件とダッカ事件では、

時の総理、三木武夫と福田赳夫は、

「人命は地球より重い」との迷言で

獄中の凶悪犯合計11名を、超法規釈放して、

とくにダッカ事件ではテロリストたちを

600万ドルの身代金を添えて世界に放って、

ごうごうたる国際世論の非難を浴びた。



・読者の読後感は、

きっと日本政府の腰抜けぶりに対する激しい不信感と、

もってゆき場のないやり切れなさの念を覚えることだろう。



・いまは治安は回復され、

見通し得るかぎりの将来に

国内でロアリング暴力革命が起こる兆しはない。

しかし、10年後、20年後、

「狂瀾怒涛」の時代が再来しないという保証はない。



★コメント

近現代史から学べることは多い。



 

 



 

 



 

 

◆小泉悠さん新刊『オホーツク核要塞』に注目します。


★副題

歴史と衛星画像で読み解くロシアの極東軍事戦略。



★ポイント



・ウクライナ戦争と極東ロシア軍との関わり、

日本のあるべき対ロ安全保障政策についても解説せり。



・人知れず極東で進められているロシアの核戦略を、

超人気軍事研究家がロシア軍内部資料と

衛星画像インテリジェンスから明らかにする。



・日本の北方に、ロシアの「核要塞」が広がっていた。



・消耗戦略論と破壊戦略論について、解説せり。



・シムシル島。

カルデラに建設された秘密潜水艦基地について。



・ドゥーギンの「縮小版超大国」論について、説明せり。



・大演習から読むロシアの極東戦争シナリオについて。



・オホーツク要塞の城壁とウクライナ戦争の関係について。



★コメント

マニアック過ぎる解説に期待せり。



 

 



 

 


◆兼原信克『権力の使い方。官邸官僚が本音で語る』を読む



★要旨



・危機管理における総理のリーダーシップは、

決断をしてくれること、

方向性を示して優先度を判断してくれること、

これに尽きる。


→そして、その決断を国民に対して

分かりやすく直接伝えること。



・日本政府には、数多くの実力部隊がある。

警察官、30万人。

自衛隊、25万人。

海保、15,000人。

消防組織も、消防団を入れると100万人いる。



・第二次安倍政権になってからは、

総理、副総理、官房長官、外務大臣が

全部一緒で、防衛大臣も小野寺さんが2年近くやった。

全員がずっと経験を蓄積していった。

危機管理のときも、

ナレッジベースが高いので、

我々が何らかの報告を上げても理解のスピードがものすごい早い。



・実際の事務方のチームワークはどうだったかというと、

当時は内閣危機管理監をヘッドとする、

危機管理関係省庁会議などがあった。

けれど、飲み会というか懇親会と体育会系の行事の2つを

けっこうやっていた。



・懇親会というのは、

それぞれの局長なり次長なり、

危機管理の際に緊急参集チームとして

必ず来なきゃいけないような人間を

一堂に集めて食事をする機会を持つこと。


お互いいろんな話をすることで

人的つながりもできるし、発想なり感覚なりも共有できる。

暗黙知というか別にして、

そういう人間的つながりを作っておくことは重視していた。



・飲み会は、けっこう大事である。

日頃から相手が考えていることが

分かるくらいに意思疎通ができないと、

いざという時にうまく動かない。



・内閣官房では、

定例飲み会を以前やっていた。

1週間に1度、当番を決めて、飲み会をやっていた。


参事官といのうは、

旧省庁ベースで22から23人いて、

任期が2年くらいなので、交代で当番を決めてやった。

会費制で、お酒は持ち込みOK。


そこで、各省出身の参事官が

お互いに利害が対立するようなことも、

本当はこうだよね、

と言って裃(かみしも)を脱いだ感じで話す。


そういうベースがあるとすごく総合調整がやりやすい。

危機のときなんか、なおさら、

そういうベースがないと

スムーズに動かないだろうなと思う。

いまは、あんまり飲み会は推奨されないかもしれないが。



★コメント

国家はどうやって動くのか。

組織は、どのように動かせばいいのか、

ここに大きなヒントあり。


 

 



 

 


◆小谷賢『モサド。暗躍と抗争の60年史』を読む



★要旨



・一般に、

モサドはイスエラルの対外情報機関として、

アメリカのCIAや英国秘密情報部と並んで、

有名な組織である。



・モサドのスタッフ数は、

1500から2000人程度と見られており、

この数はMI6より若干少なく、

CIAと比べると10分の1程度。



・モサドは、世界中に張り巡らされた、

ユダヤ人情報網によって

情報収集活動を行う対外情報組織であり、

その具体的任務は、以下のようになっている。



1、イスラエル国外の秘密情報収集。

2、敵国の大量破壊兵器の入手、開発の阻止。

3、国外のイスラエル人をターゲットにしたテロリズムの防止。


4、外務省連絡事務所が

公式に活動できない地域において、

ユダヤ人の帰国を援助する。


5、作戦、政治、戦略情報の作成。

6、イスラエル国外における特別工作の実施。

7、非公式の外交関係の維持。



・イスラエルは、

国家自体がつねに緊張とともにあり、

さまざまな情報機関が機能しなくなれば

イスラエル国家は、あっという間に存亡の危機に立たされる。



・そのため、情報機能を特化させ、

ウサギのような長い耳を持つことによって

これまで生き延びることに成功してきた。



・そして常にその最前線にいるのが、

モサドのオフィサーたちであり、

過去、不可能とも思える様々なミッションを実行してきた。



・イスラエルは、

なんとか第一次中東戦争を生き残った。

1949年2月から7月にかけて

各国との休戦協定が結ばれ暫定的な国境線が確定したことで、

イスラエル国家およびインテリジェンスの以上命題は、

この国境線を守り抜くことになった。



・モサドの存在意義は、

以下のとおり設立当初から変わっていない。



1、アラブ諸国に関する情報を集め、

イスラエル国家の安全保障を確立する。



2、モサドが首相に直結する情報機関となることで、

他の情報組織をまとめ上げる。



3、モサドとCIAの紐帯によって、

イスラエルとアメリカの関係を裏から支える。



・21世紀になってもイスエラル国家にとって、

モサドがその外交・軍事戦略を支えていく上で、

不可欠の存在であることには変わりない。



★コメント

常にサバイバルを意識するイスラエルの情報機関から

学べることは多い。



 

 



 

 


◆村上政俊『フィンランドの覚悟』を読む




★要旨



・フィンランドによる、

ウクライナに対する連帯表明の背景には、

フィンランドに広がる強い危機感がある。



・フィンランドは、

ロシアとの間で、1340キロの陸上国境を有している。



・実際に過去に、

ソ連による侵略という辛酸をなめたフィンランドにとって、

ウクライナへの侵略は、

決して対岸の火事ではない。



・フィンランドの「はじまり」とは、

いったいどのようなものなのか。

フィンランドの神話的世界が最もよく描かれているのが、

『カレワラ』である。

この民族的叙事詩は、全50章からなる。



・19世紀のロシア統治下で『カレワラ』が刊行され、

フィンランド人の胸奥に、

愛国の熱情が掻き立てられた。

『カレワラ』は元来、

カンテーレという竪琴の伴奏とともに、

まるで平家物語のように語られる。



・世界帝国の侵略からはのがれてきたフィンランドだが、

有史以来、フィンランドは2つの勢力から

多大なる影響を受け続けてきた。

それは、スウェーデンとロシアである。



・フィンランドは、

約600年間のスウェーデンによる支配を経験した。



・マンネルヘイム元帥は、

のちに大統領も務めたフィンランドの英雄であり、

現在でも尊敬を集めている。



・現在に至るまで、

フィンランドにおける元帥は、マンネルヘイムただ一人であり、

フィンランドで元帥(マルスキ)といえば、

彼のことを指す。



・1939年、冬戦争を始める前にソ連は、

フィンランドを1カ月以内に占領する計画を立てていた。

しかし、短期間でフィンランドを制圧するという

ソ連の目論見は、結局のところ失敗に終わった。



・フィンランド側の抵抗が、

ソ連の事前の予想を上回る強さだったことが、

まず挙げられる。



・なかでも、

伝説的なスナイパーである、

シモ・ヘイヘ(ハユハ)は、542人を射殺し、

ソ連から「白い死神」と恐れられた。



・他にもフィンランド軍は、

「モロトフ・カクテル」と呼ばれる火炎瓶で、

ソ連の戦車部隊に応じた。



・スマホで敗れるも5G時代に復活したノキア。



・フィンランドは、人口が約550万人であり、

日本でいえば北海道と同じ程度の規模である。

したがって、内需が小さく、外需に依存している。



・フィンランド経済を語る上で、

ノキアは外せない。



・ノキアの創業は、19世紀にさかのぼる。

製紙会社として出発したノキアを

世界的に有名にしたのは、携帯電話だ。



・しかし、スマホが登場すると

ノキアの業績は悪化した。

当時のストゥブ首相は、

「アイフォンがノキアを殺し、アイパットが製紙産業を殺した」

と述べた。



・だが、ノキアは通信、

そして5Gによって復活を遂げた。

2020年には、

5G基地局の世界のシェアで、

ファーウエイ、エリクソンについで、

第3位となっている。



★コメント

安全保障でもフィンランドから学べることは多い。