◆兼原信克『権力の使い方。官邸官僚が本音で語る』を読む
★要旨
・危機管理における総理のリーダーシップは、
決断をしてくれること、
方向性を示して優先度を判断してくれること、
これに尽きる。
→そして、その決断を国民に対して
分かりやすく直接伝えること。
・日本政府には、数多くの実力部隊がある。
警察官、30万人。
自衛隊、25万人。
海保、15,000人。
消防組織も、消防団を入れると100万人いる。
・第二次安倍政権になってからは、
総理、副総理、官房長官、外務大臣が
全部一緒で、防衛大臣も小野寺さんが2年近くやった。
全員がずっと経験を蓄積していった。
危機管理のときも、
ナレッジベースが高いので、
我々が何らかの報告を上げても理解のスピードがものすごい早い。
・実際の事務方のチームワークはどうだったかというと、
当時は内閣危機管理監をヘッドとする、
危機管理関係省庁会議などがあった。
けれど、飲み会というか懇親会と体育会系の行事の2つを
けっこうやっていた。
・懇親会というのは、
それぞれの局長なり次長なり、
危機管理の際に緊急参集チームとして
必ず来なきゃいけないような人間を
一堂に集めて食事をする機会を持つこと。
→
お互いいろんな話をすることで
人的つながりもできるし、発想なり感覚なりも共有できる。
暗黙知というか別にして、
そういう人間的つながりを作っておくことは重視していた。
・飲み会は、けっこう大事である。
日頃から相手が考えていることが
分かるくらいに意思疎通ができないと、
いざという時にうまく動かない。
・内閣官房では、
定例飲み会を以前やっていた。
1週間に1度、当番を決めて、飲み会をやっていた。
→
参事官といのうは、
旧省庁ベースで22から23人いて、
任期が2年くらいなので、交代で当番を決めてやった。
会費制で、お酒は持ち込みOK。
→
そこで、各省出身の参事官が
お互いに利害が対立するようなことも、
本当はこうだよね、
と言って裃(かみしも)を脱いだ感じで話す。
→
そういうベースがあるとすごく総合調整がやりやすい。
危機のときなんか、なおさら、
そういうベースがないと
スムーズに動かないだろうなと思う。
いまは、あんまり飲み会は推奨されないかもしれないが。
★コメント
国家はどうやって動くのか。
組織は、どのように動かせばいいのか、
ここに大きなヒントあり。