◆門田隆将『狼の牙を折れ。爆破テロに挑んだ警視庁公安部』を読む
副題→「史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部」
★要旨
・死亡者8名、重軽傷者376名という被害者を出した、
三菱重工爆破事件が起こったのは、
昭和49年のことだった。
・犯行声明を出したのは、
「東アジア反日武装戦線『狼』」である。
・正体がまったくつかめない、
途方もないこの覆面の相手を追い詰めるため、
真っ向から勝負を挑んだ組織があった。
「警視庁公安部」。
・それは、国民の前に
ベールを脱いだことがない秘密の組織であると同時に、
あらゆる手段を駆使して敵を追い詰め、
手錠をかけるプロフェッショナルな捜査機関である。
・三菱重工爆破をきっかけとする連続企業爆破事件は、
9か月後、
この警視庁公安部によって犯人グループが
一網打尽にされた。
・だが、その後に発生した国際的な人質事件、
クアラルンプール事件とダッカ事件によって、
犯人の一部は、
超法規的措置で釈放されて国外脱出された。
・公安一課長の小黒は、柴田からあることを命じられた。
「シンクタンクをつくれ」
・犯人像に迫るためには、
テロの教本『腹腹時計』の解析が不可欠だ。
その中にちりばめられている思想は何に通じるのか、
そこには犯人に迫るヒントは、
隠されていないか。
・極左暴力取締本部にとって
それを探りあてることこそ、
目を付けた人間を片っ端から行動確認することと同時に、
重要なことだった。
・田村町に裏本部にそのチームをつくらせるとき、
柴田は「シンクタンク」という言葉を用いて、
小黒に命じた。
・柴田が求めたのは言葉通り、
頭脳を武器に戦いを挑む集団だった。
→
「左翼、極左の論文を全部読み込め。
そして、『腹腹時計』の裏に潜むものを炙り出せ。
文章から、文脈から、抱いている思想を読み解いて、
誰がこれを書いたのか、
影響を受けたのはどんな思想なのか、
どういう人間の影響を受けたのか、
それを徹底して分析せよ」
→
「誰が書いたのかが分からなくても、
どういう思想のやつが書いたのか、
そこに辿りつけ。
左翼の論文の葉脈から、
あらゆるものを割り出していけ」
・小黒は江藤にそう指示した。
極本のなかで、10名ほどが要員になり、
手当たり次第に論文の分析をつづけた。
→
「いいか、読書百遍だぞ。
何度でも読み直せ。
百遍でも二百遍でも、
文章を諳んじるぐらいまで読み込め」
・巡査部長に過ぎない、ある若い捜査官は、
膨大な量の左翼の論文を分析し、
『腹腹時計』の底に流れている思想は、
「窮民革命論」ではないか、
と主張した。
★コメント
テロ捜査の執念を垣間見た。
学び取りたい。