◆村上政俊『フィンランドの覚悟』を読む




★要旨



・フィンランドによる、

ウクライナに対する連帯表明の背景には、

フィンランドに広がる強い危機感がある。



・フィンランドは、

ロシアとの間で、1340キロの陸上国境を有している。



・実際に過去に、

ソ連による侵略という辛酸をなめたフィンランドにとって、

ウクライナへの侵略は、

決して対岸の火事ではない。



・フィンランドの「はじまり」とは、

いったいどのようなものなのか。

フィンランドの神話的世界が最もよく描かれているのが、

『カレワラ』である。

この民族的叙事詩は、全50章からなる。



・19世紀のロシア統治下で『カレワラ』が刊行され、

フィンランド人の胸奥に、

愛国の熱情が掻き立てられた。

『カレワラ』は元来、

カンテーレという竪琴の伴奏とともに、

まるで平家物語のように語られる。



・世界帝国の侵略からはのがれてきたフィンランドだが、

有史以来、フィンランドは2つの勢力から

多大なる影響を受け続けてきた。

それは、スウェーデンとロシアである。



・フィンランドは、

約600年間のスウェーデンによる支配を経験した。



・マンネルヘイム元帥は、

のちに大統領も務めたフィンランドの英雄であり、

現在でも尊敬を集めている。



・現在に至るまで、

フィンランドにおける元帥は、マンネルヘイムただ一人であり、

フィンランドで元帥(マルスキ)といえば、

彼のことを指す。



・1939年、冬戦争を始める前にソ連は、

フィンランドを1カ月以内に占領する計画を立てていた。

しかし、短期間でフィンランドを制圧するという

ソ連の目論見は、結局のところ失敗に終わった。



・フィンランド側の抵抗が、

ソ連の事前の予想を上回る強さだったことが、

まず挙げられる。



・なかでも、

伝説的なスナイパーである、

シモ・ヘイヘ(ハユハ)は、542人を射殺し、

ソ連から「白い死神」と恐れられた。



・他にもフィンランド軍は、

「モロトフ・カクテル」と呼ばれる火炎瓶で、

ソ連の戦車部隊に応じた。



・スマホで敗れるも5G時代に復活したノキア。



・フィンランドは、人口が約550万人であり、

日本でいえば北海道と同じ程度の規模である。

したがって、内需が小さく、外需に依存している。



・フィンランド経済を語る上で、

ノキアは外せない。



・ノキアの創業は、19世紀にさかのぼる。

製紙会社として出発したノキアを

世界的に有名にしたのは、携帯電話だ。



・しかし、スマホが登場すると

ノキアの業績は悪化した。

当時のストゥブ首相は、

「アイフォンがノキアを殺し、アイパットが製紙産業を殺した」

と述べた。



・だが、ノキアは通信、

そして5Gによって復活を遂げた。

2020年には、

5G基地局の世界のシェアで、

ファーウエイ、エリクソンについで、

第3位となっている。



★コメント

安全保障でもフィンランドから学べることは多い。