人前で話すことはもちろん、日々の、仕事上だとかご近所や親戚、知り合いレベルに至るまで、どうもうまくしゃべれない。
ウマの合う人にならいくらでも、何の話題だったかも覚えていないくらいあれこれ話せる。そういった気詰まりなく話せる相手なら何も気にならないし、わだかまりも後悔も残らないのだが、何だろう、金縛りに遭ったみたいにダメダメになることも多い。
つまり、基本的にしゃべるのが苦手なのだと思う。
そもそも口数が多い方じゃない。それなのになぜか失言が多い。直後からそれ言っちゃダメなやつ、と自覚するものだから、その後全然話が盛り上がらなくなる。
一度そうなると、以降その相手としゃべるのが怖くなり、ますます会話がおかしくなってしまう。
そうして別れた後も延々後悔し続けるのだ。
あの失言はこういう意図だったのだから、こんな言葉で置き換えればよかった。説明不足だったせいであんまりな発言として受け取られてしまったかも、ならばもう少し補足すべきだった。などとかなり長いことウジウジしてしまう。
これは何かと似ているな、と思っていたが、小説を書くときの「推敲」じゃないだろうか、と気づいた。
私が小説を書く場合、まずは叩き台としてとにかくEndマークまで書き上げる。
その後、流れを見てシーンを入れ替えたり、登場人物の言動を見直す。
この文章じゃ意図が伝わらないから別の言葉に替えよう。このセリフは読者にわかりづらいからもう少し説明を加えた方が。
などと書き直していく。
完全に満足できることはないけれど、不自然さや唐突感やわかりづらさは減らしていける。
だからなのかな、私が「書く」ことに流れたのは。
何度でも書き直し、適切な言葉選びをやり直せるから。そのページまで戻れば誤解や説明不足を訂正できるから。
「しゃべる」ことは怖い。一度口を出てしまうと、直せない。
大して考えずにしゃべると、不用意に誤解を招く言葉を放ってしまう自分。そのせいで苦手になってしまった相手に対するとガチガチに緊張し、自分でも意味不明の暴言を重ねてしまう羽目にもなる。
それを取り繕える即興性も持っていないものだから、結局相当の時間が経ってから、この言葉が正解だったんだ、こういう説明が必要だった、となる。
「しゃべる」ことも推敲出来たらいいのに。取り消したり直したりできれば。
そんなことを思いながら、今日も文章を書き直している。
(了)
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