コンクールに応募しすぎて、いつの頃からかその回数を数えるのをやめた。そして、初めて応募したのは何のコンクールでどんな話を書いたのかも忘れてしまった。
今となっては「〇日までに完成させる」という〆切り設定代わりのコンクール応募となっているのだが、当初は「やるぞ、受かるぞ、物書きになるぞ」という気合があった。
私の場合、シナリオ学校で書く勉強を始めたので、自然とシナリオコンクールに応募する流れとなった。
日テレの「シナリオ登竜門」(現在は廃止)が4月、NHKの「創作テレビドラマ大賞」が6月、フジの「ヤングシナリオ大賞」が2月(以前は10月)、テレ朝の「新人シナリオ」が11月、NHKの「創作ラジオドラマ大賞」が1月。
時期が少しずつズレているので、毎年全部に応募していた。どれも大賞に選ばれれば放送されるとあって、それを夢見て頑張ったものだった。
そういう公募情報は、通っていたシナリオ学校から得ていた。受賞者についても、そういった雑誌の発表ページを見て知るのが普通だった(受賞当人には連絡がいっていたはず)。
その頃の私は、書きたいことを書きたいように書いていたと思う。つまり、読み手がどう思うか、主催者がどういうものを求めているのか、流行りに安易に乗っかると他に同じような応募作がウジャウジャあるとか……そういうことを何も考えずに。
少し考えるようになったのは、主催者によっては事前に公開講座があり、そこに参加するようになってから。そこでは主催者側の思惑や人気脚本家の経験談、以前の受賞者のお話などが聴けた。自分が応募するしないに関わらず、面白かった。
いまだに応募を続けているこちらは変わらないのだが、時代は変わった。
シナリオの公募情報は、それ専門の雑誌を探さなくてもネットで簡単に見られるようになった。一次通過や二次通過もツイッターに流れてくる。いちいちそれ専門の雑誌を探しに本屋に駆け込む必要はなくなった。
公開講座は、ありがたいことに毎年開講され続けている(今年はコロナで中止)。ただ、参加料が倍になった。参加者も昔はそうそういなかったのに、会場は広くなり、毎年満杯。
ドラマ離れが進んでいるという。でもそういった状況を見ると、書き手希望者は激増傾向に思う。
コンクールの公募HPは、大体Q&Aが充実していて「制限文字数を守ってください」「提出後に訂正したものを提出し直さないでください」などと至れり尽くせり。私が昔通っていたシナリオ学校からも、例えば応募するときの原稿の紐の綴じ方などの動画が流れてくる。
応募するための手はずは手取り足取りになった。でもその分当選するのはぐっと狭き門になった。
そんな気がしている。
(了)
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