とある小説コンクールで大賞を受賞された方のお話にあった言葉。
「1日10枚書くことをノルマにしていた」というところが印象に残っている。
これが私には未だに出来ずにいる。真似をしたくなる気持ちも抑えている。
なぜなら、恐らく物語の作り方が、根本的に違うのだろうと考えたせい。
私の場合の作り方は。
テーマとか題材を決めたら構成を決める。最後にどうなるかとか、出だしはどうするとか。
それからその間を埋めて転がすエピソードを作ったり調べたり。
その後、起承転結を考え、必要なら付箋を使ってハコ書きを作る。ハコ書きとはそれらのエピソードを羅列してつながりを一覧にする作業(他の人はもう少し違う意味合いになるかもしれないが、私の場合はそれをハコ書きと呼んでいる)。
そうやって全体像を大体固めた設計図を描かないと、私には物語を書き始めることができないのである。
そういった大まかな設計図にたどり着くまでに2,3日の時もあれば1週間、ときに1~2か月など、内容によってかかる時間が読めない。当然この間は1文字も書けないわけで(本文ではないあらすじやプロットは別として)、つまり1日10枚どころか0ページ、または0字。
書き始めてから数えたとしても、私の場合は前途多難。すいすい筆が進めばいいのだけど、1つのセリフに違和感を覚えて丸1日詰まっていたり、設計図と違った方向へ進んでしまうのをヒシヒシ感じたり。
そういうセリフはそのままにして進めると、後から思いついた「これだ」というものに代えたときに、大抵書き進めた分も変更することになる。
設計図と違う方向に進んだときは、その方が面白いなと思ったらそれまでの展開も変わってくるはずなので最初から書き直す。
そんな方向へ進みたくないのになぜかどんどん変な展開になっているときは、その原因を考えるために筆が止まる。やっと発見した原因の部分を直し、ドミノ倒し的にあちこち直し、結局大体全部書き直す。
この段階では、文字数的には1日10枚以上書いている気もするが、ボツ、削除、消去、上書きの嵐で、成果物は全然10枚に届かないわけである。
つまり、そういう数え方をすると、私の場合、進まないことにガッカリして落ち込んでどうせどうせ……となってしまうので、真似はしないことにしたのである。
代わりに今設定しているのが、2週間で1作投了というペース。参加している小説投稿サイトで、短編コンクールが2週に1度催されているので、それを皆勤してみようと。
これは最大20枚という規定なので、1日に換算すると1.4枚くらい。ああとても及ばないけど。
でも人はそれぞれだと開き直ることにした。とにかく作る手を止めたくないので、そんな感じで書いている日々。
(了)
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