かなり昔、漫画の原作を売り込みに出版社を回っていたことがある。
とにかく数撃ちゃあたる、って感じでやたらな頻度で持ち込んでは撃沈。若かったからそのダメージも割とすぐに回復、「次、次」と前向きだった。
まあ10本に1本採用されれば良い方で、採用されてその気で進めても急にボツになることもあった。
このブログで前回4回に渡って、パソコン講師のバイトを辞めた話を書いたけど、その理由の一つに時給の安さがあった。
だけど、この漫画の原作という仕事、時給で考えてみたらそれより遥かに安い。当時同業者さんと、「〇クドナ〇ルドより安いよね」なんて言い合っていたのを妙に覚えている(当時はマ○○ナ○○はかなり時給が低いことで有名だった)。
漫画原作というのは成果主義だから、そういう計算は無意味だとは思うのだけど、つい。出来上がってちゃんと掲載されれば、きちんとそれなりの対価は払っていただいたし。
漫画の原作は、漫画家さんと同様、漫画のページ数1枚当たりいくらで計算され、消費税もついた。読み切り30ページでもなかなかの金額になった。
でも、時給で計算するとすると。
まず、アイディアを思いつくまでああでもないこうでもないと何時間も悩む。電車移動や食事の支度している間とか、隙間時間すべてがそれに染まる。。。
どうにか「このテーマで行こう」と決まったら、あれこれ資料を集めたり話聞ける人を探したり。それを読む時間、聞きたい質問の整理、相手の方との連絡、調整、そして聞き取り。それらのデータのまとめ。何時間というか何十時間というか。
並行してざっくりストーリーやキャラを決める。これが先のこともあるし後のこともある。とにかく手に入った材料を物語でどう使うかを考えることにまた何時間も費やす。考えても考えても何一つ出てこないという生産性ゼロの時間も長い。
その間に何度か出版社に行って編集者さんと「こんな感じでどうでしょう」とすり合わせながら進める。交通時間をふくめると結構な時間話し合う。
私の場合、ト書きセリフの形で書き始めるのはこの後だった。
ざっと叩き台として書いたそれを持って行って読んでもらい、指摘を受けて直す。また持って行っては直す。ものにもよるけど、OKとして受け取ってもらえるまで、大体4,5回かかったかと思う。
ただし先ほども書いたけど、突如何かの理由で吹っ飛ぶ危険性を常にはらんでいる。
ということで計算の結果、そのときは時給200円くらいになったと思う。
こだわって何度も手を入れば入れるほど、かかる時間は増えるわけだから、更に低くなっていく。
ついでに言うと、自腹でたくさん資料本を買うこともあり、交通費とかお話を聞いた方へのお菓子代などコストとして差っ引くとマイナスなことも。まあこれは当時の私のような駆け出し原作者のお話。
でもね、好きだから。やりたいことだから。
「持ち込んだ原稿に批評やアドバイスをもらった上にお金をもらえるなんて!」「私の書いた原作が漫画化されて雑誌に載っている!」という興奮は、時給では計れないほど大きかった。
(了)
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