9月に読んだ本は8冊(図書館本7冊・購入1冊)でした。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
<お気に入り順>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ
『ブランド』吉田修一(KADOKAWA 2021.7)
【満足度】★★
【概要・感想】
有名ブランド(ティファニー、エルメス、パナソニック、日産など)の広告×文学という吉田修一の短編集&エッセイ。初期の頃の、ゆったりのんびりした文体が好きな自分はかなり楽しめました。そもそもたった数ページの分量で読者を引き込む物語が書けるんだから凄い。最初の方が短編っぽく「世田谷迷路」「ティファニー2012」「日常前夜」などお気に入り。後半はANAの機内誌っぽいエッセイかな?
『日本酒テイスティング』北原 康行(日本経済新聞出版社 2016.3)
【満足度】★★
【概要・感想】
類書でありがちな醸造の工程の話など、本書ではほとんどなく、ソムリエの著者がエリアとタイプに分けた26種類の日本酒を2本づつテイスティングしながら、味をわかりやすく解説してくれます。東はエレガント=香りは高く、味わいは淡麗(静岡含む)、西はパワフル=香りは低く、味わいは濃い複雑。実際にそういったイメージはありましたが、本書を読んで納得。焼肉に白ご飯を考えればステーキにワインではなく日本酒が合わない訳がないという指摘も考えたことがなかったです。
【ポイント】
*土地のものと合わせること。山形県のお酒なら、山形県の郷土料理と合わせれば喧嘩しない。
どちらも同じ水でつくられているから、当然(p.63)
*精米歩合60%というのは、玄米の表層から40%を削りとって、中心部の60%を残した
(p.111)
⇒雑味になるたんぱく質や脂質は米の表面に。磨かなければお米本来の風味が残る。
*精米歩合40%のとき、純米大吟醸・特別純米酒・純米酒のどれを名乗るかは、蔵元の意向で
決められます。(p.146)
*純米酒や本醸造は、料理あってのお酒(p.148)
⇒本醸造は味わいが淡い。どんな料理にも合わせやすい。
*純米酒の最大の特徴は、お米の風味が味わえること。=中略= お米本来の甘味。(p.150)
*出回っている生酛づくりの大半は純米酒です。(p.174)
*山田錦には男性的な力強さが、五百万石には女性的な繊細さがある。(p.194)
*雄町(おまち)と山田錦に共通するのは、戦前生まれで、長い歴史をもった酒米だということ(p.202)
⇒出羽燦々、五百万石、八反錦、美山錦は戦後生まれ。
『日本酒の科学』和田 美代子(講談社ブルーバックス 2015.9)
【満足度】★★
【概要・感想】
日本酒について科学的にわかりやすく解説。数年前の本ですが、当然、酒造りは劇的に変わることはなく、日本酒に興味があれば読んで損ありません。日本酒に関する雑学が増えました。
【ポイント】
*米の出来がかんばしくなかったからといって、「今年の酒はまずい」という消費者の声を耳に
することはまずありません。(p.98)
⇒味を揃える技術が確立されている日本酒にはワインでいう当たり年はない。
*ワインはブドウの糖分、ビールは麦芽の糖分、日本酒は米のデンプンからの糖分を原料
として酵母がアルコール発酵したもの(p.114)
*山邑太左衛門は、=中略= 京都の寺を訪れた折に「臨済正宗」の経典を見てひらめいた
というのが有力な説です。太左衛門は清酒に語感が似ていることから、経文通りセイシュウ
のつもりでしたが、江戸っ子はみなマサムネと呼び習わしました。そして灘の酒が下り酒
として江戸で人気が上がったこともあって、「正宗」の名にあやかる蔵元が続出しました。
(p.189)
*早春に搾って火入れをしてから貯蔵し、夏を越す間に熟成させ、=中略= 出荷時にも
火入れをせずに貯蔵時の冷や状態のまま卸すので、「ひやおろし」(p.208)
『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』高津 臣吾(アルファポリス 2022.10)
【満足度】★★
【概要・感想】
20~22年夏までのペナントレースでの高津監督流マネジメント術。自分の抱えている課題や問題を、高津監督の言葉と重ねてみるとその答えやヒントになるかもしれません。ノムさん語録が多いように思いましたが、野村チルドレンだからそりゃそうか。また、野球ファンとしてスワローズが上昇気流に乗っていく過程をたどる物語としても読んでも楽しいと思います。
【ポイント】
*野村さんは常々、「監督とは気づかせ屋だ」と話していた。選手が自らさまざまなことに
気づくよう仕向けるのが、監督の仕事であるという意味だ。(p.30)
*何か責任を与えることで、人は一気に成長する。周りも、そしておそらくは本人も気づいて
いなかった新たな一面を引き出すことができる。(p.113)
*凡打に終わった場面で、どういう気持ちで打席に入ったのか?あるいは、エラーをした場面
で、どういう準備をして臨んだのか? そこに改善すべき点、反省点は無かったのか?
(p.216)
『 独ソ戦』大木 毅(岩波新書 2019.7)
【満足度】★★
【概要・感想】
1941年から始まった人類史上最大の殺戮と惨禍をもたらした独ソ戦。詳しく知らなかったため、本書で知識を習得。ドイツは戦争目的を達成すれば講和で終結するといった戦争ではなく、人種主義に基づく社会秩序の改編と収奪による植民地帝国を目指し、「敵」と認識した者の命を組織的に奪う、絶滅戦争を行ったという点がまずはよくわかりました。なので、ああいう殺戮を生むことになったのかと。作戦面などの部分は正直あまりイメージできませんでしたが、日本も然り、結局、戦争は合理的な判断などは無くなり、滅茶苦茶な結末を迎えることが必然的なのかもしれません。
『ソニーデジカメ戦記』石塚 茂樹/述 (日経BP 2023.5)
【満足度】★
【概要・感想】
本書は、デジカメ登場からコニカミノルタのカメラ事業を継承し、プロジェクトを牽引してきたソニーの元・副会長・石塚茂樹氏へのインタビューをまとめたもの。ソニー本にハズレなしだったのでとても期待していたのですが、本書はあまりにもカメラの性能や技術的な話とその歴史にフォーカスされ過ぎて、素人にはよく理解できません。第11章で、盛田氏本人が新しい技術に好奇心を持ち、いきなり現場に電話をかけ疑問点を聞いてきたエピソードは興味深かったですが・・・。
『中先代の乱』鈴木 由美(中央新書 2021.7)
【満足度】★
【概要・感想】
北条氏は先代、足利氏が当御代、そしてその間の中先代とは北条高時の遺児・時行のこと。鎌倉幕府滅亡後に後醍醐天皇による建武の新政~室町幕府成立と時代が流れていく中で、中先代の乱とは北条氏の残党が幕府再興のため、時の政権に不満を持つ武士勢力を取り込んで、鎌倉を一時占拠するも出陣した足利尊氏に敗れる一連の出来事。要は、こういった話なのですが、本書はなにかと枝葉になり過ぎていて何が言いたいのか、非常に読みにくい内容でした。ページ数の半分は中先代の乱に関する記述ではないし、北条時行にのみクローズアップすればよかったのではないかと。
『 1年で億り人になる』戸塚 真由子(サンマーク出版 2022.11)
【満足度】★
【概要・感想】
amazonで評価が高く、図書館の予約件数も異常に集中しているのは謎というか驚き・・・。億り人は目指していませんが、なにか資産運用のヒントが無いかと思って読んでみましたが、要は借金で元手を作り、現物投資(不動産・時計・車・宝石など)せよと。つまりハイリスクハイリターン。(複式簿記を個人に当てはめる考え方は斬新でしたが・・・) なにより行動は大事だと思いますが、行動すればうまくいくという訳ではなく、そもそも著者の師匠某も何者かわからないし、信用に足る人物なのかと。