11月に読んだ本は5冊(図書館本4冊・購入1冊)でした。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
<満足度>★★★ 感動 ★★ 面白い ★ 収穫少
<お気に入り順>
『こえび隊、跳ねる!』 監修・北川 フラム/編著・こえび隊 (現代企画室 2025.3)
【満足度】★★★
【概要・所感】瀬戸内国際芸術際外伝という副題の通り、こえび隊から見た芸術祭(黎明期の1985~2025年まで)の記録。芸術祭のオモテは、アート鑑賞や旅という楽しく華やかな一面で、ウラはそれを滞りなく進めてくれている運営面ですが、そこに考えを廻らしたこともあまりなかったですね。(運営の段取り悪いと激しくバッシングされ、スムーズが当たり前の仕事・・・。) 会場の島、作品や各会期、こえびさん一人ひとりにそれぞれドラマがあり、特に大島の山本隆久さんと理沙さんの文通は泣けました。いつか芸術祭のボランティアに関わって恩返しをするのもいいかもと思わせてくれる、非常に面白い1冊。
『リボルバー』原田マハ(幻冬舎文庫 2023.7)
【満足度】★★
【概要・所感】「ゴッホの死」の謎に迫るミステリー小説。史実をベースにしながらも史実に無い行間は脚色し、ゴッホ他殺説、そしてゴッホが自殺に使ったとされる「リボルバー」をネタに、ゴーギャンの子孫のサラ、日本人オークショニアの冴を登場させ、現代のストーリーとして成立させています。お見事です、ページをめくるまで想像がつかず面白かった。
『保阪正康と昭和史を学ぼう』保阪 正康(文藝新書 2025.7)
【満足度】★★
【概要・所感】 保阪氏が「文芸春秋」に寄稿した中で、氏の昭和史に向き合ってきた姿勢がうかがえる原稿を15本厳選。後半の半藤一利や戸部良一との対談が一番学びがありました。他でも書きましたが、昭和(=太平洋戦争)は何も総括されておらず、今の時代が歴史に学んでいない、昭和を克服出来ていないことを思い知らされます。
【ポイント】
*東條内閣のもとでは石油がどれだけ足りないか、足りない分の石油をいかにして調達するか、
という真剣な議論がなされた形跡が見たらない。(p.92)
⇒開戦しないとあと何年で枯渇するとか南方から調達すれば国力が維持できるという話のみ
*「玉砕」を繰り返すことは、確実にアメリカ兵の「日本兵を徹底的に叩く、絶滅させる」という
意識を増幅させてしまったはずだ。(p.144)
⇒撃たれても撃たれても向かってくる日本兵
*海軍には伝統的に、日本の艦隊の戦力がアメリカの七割あれば勝てるという考えがある(p.163 半藤)
⇒七割のうちに戦争を始めないと勝てない
*天皇は独裁者ではなくて立憲君主(p.171 保阪)
⇒開戦時は政府も統帥部も一致して開戦に賛成だから反対はできない。終戦時は戦争終結と
継続の意見が一致せずだったから鈴木首相が憲法違反だと知りながら無理やり天皇に判断を
仰いだところ、ポツダム宣言賛成の「聖断」を下した
*皇族で軍令部総長の伏見宮博恭は、激しい対米強硬派で、この三人(山本五十六・米内・
井上)のことを大嫌いだった(p.174 半藤)
*開戦直後の十二月十一日に、単独不講和を定めた日独伊三国協定を結んでしまいました。これ
があるおかげで、日本だけ先に講話することができなくなった。(p.179 保阪)
*明治維新以降に政治家、軍人と立場が分かれても、軍事と政治の両方を分かっている人が
多かった(p.189 戸部)
⇒伊藤、山県など下級武士出身とはいえ軍事エリートであり、政治エリート
*「原発は絶対安全」という発想は、「戦艦大和は絶対沈まない」という発想と同じです。=中略=
「完璧だ」となった瞬間に、そこを破られたときのことを考えなくなる。(p.249 戸高)
*太平洋戦争の三年八カ月の間、大本営発表は八百四十六回あるんですが、そのうち八十数回は
開戦直後の十二月八日から同三十一日の間に、それこそ一時間おきくらいに集中 =中略=
それが戦況の悪化につれて、頻度が減り、「撤退」を「転進」と言い換えるなど言葉をごまかす
ようになる。その後は、台湾沖航空戦みたいに嘘をつく。=中略= 昭和二十年の四月ごろに
なると、月にせいぜい二、三回ですよ。(p.258 保阪)
*日本軍人に捕虜はいない、ということになってましたから、捕虜になった後の教育もできなか
った。米英軍の兵士は、「捕虜になったら名前と認識番号以外はしゃべるな」と教育
(p.264 半藤)
*アメリカは戦力とは総合力と考える、=中略= 港や、さらに奥にいる牧場の牛、つまり食糧
まで含めて”戦力”と定義 =中略= ところが日本で戦力といえば、単に戦艦であり、兵士
(p.265 保阪)
*アメリカとすれば、世界中が全面的に日本と戦争している構図を作りたかった。実際、そう
なった五月から八月までの間、たった一国で四十ヵ国以上と戦争をやっている。(p.277)
『太平洋戦争』大木毅(PHP新書 2025.8)
【満足度】★★
【概要・所感】戦略・作戦・戦術からなる戦術の諸階層から太平洋戦争諸戦役の検討した内容。太平洋戦争史は失敗した作戦がクローズアップされることが多いですが、本書は真珠湾作戦やマレー作戦など初期の圧倒的勝利を戦術的成功と分析して紹介している点が珍しいですね。しかし、結局のところ日本には最初から最後まで統一された戦略が存在せず、つまり、戦略なきまま開戦して各個に作戦を展開し、敗北していったというプロセスと結果はこの戦争での押さえておくべき反省点でしょう。なお、本書は「歴史街道」の連載記事の再構築したものであるため、ある程度知識のない人には分かりにくいと思います。
【ポイント】
*国運を賭した大作戦、南方攻略といえども、十一個師団の兵力しか割り当てられなかったので
ある。(p.22)
⇒当時の師団数は五十一個。対中戦争、ソ連への備えが必要。
*少なくとも南方攻略に関しては、それなりに論理的な戦略にもとづき、巧妙な作戦を実行して
いた(p.24)
⇒マレー攻略は戦略目標が明確、それに応じて戦略立案など本来のプロセスが機能した
*マレーとフィリピンを押さえることが、蘭印作戦発動の前提(p.83)
*国際情勢に戦雲が垂れこめ、日米開戦が現実味を帯びるまで、日本陸軍は、具体的なフィリ
ピン攻略計画を準備していなかった(p.97)
⇒大本営はフィリピン軍を植民地軍と侮り、殲滅戦も首都奪取も楽観視していた
*本間(雅晴)は、駐英武官を務めたこともある知英派で、ドイツとの同盟や対米戦にも反対
していたという、健全な戦略的識見の持ち主である。(p.99)
*南方攻略=第一段作戦終了後に何をなすべきかは、まったく検討されていなかった(p.111)
⇒南方攻略作戦で手いっぱいで、余裕がなかった。
*MI作戦は、かくも量的に貧弱なスタッフにより、拙速で策定された計画であったことは否定
できない。(p.136)
*いわば、太平洋戦争は昭和十八年に水面下で決定的な転換点(p.172)
①早期にパイロットの大量育成に踏み切った米は3倍増、日本は昭和十八年にかけて1.6倍
②米は新艦隊を完成。硫黄島や沖縄の作戦を支援した艦艇は真珠湾以降に建造された
③米の海上輸送路への攻撃
『うまくいくチームはカリスマに頼らない』 三浦 将(三笠書房 2024.1)
【満足度】★★
【概要・所感】人材育成・組織開発系コンサルがリーダーシップを発揮する具体的な方法を体系立てて解説。その根幹はメンタルコーチング・アドラー心理学・認知心理学に支えられたメソッドとなっています。類書を読んだことがあれば、内容については特に目新しい話はありませんが、入門書として読みやすく学ぶべき内容も多いです。
【ポイント】
*リーダーシップとは、「変化に対応する力」(p.18)
⇒一人では変化に対応しきれない。チーム全体で考え、施策を実行していける体制を作る
*本物のコーチは、「できたのは、ひとえにコーチのおかげ」でなく、「コーチのサポートを受け
ながら、自分が達成したんだ」と相手が思うような方向にリードしていくコーチ(p.157)
⇒マインドの変化を促すが行動をしたのは自分自身なので自分で達成したという感覚になる
*弱みとは強みを提示したのちに、控えめにさらすべきもの(p.200)
⇒しかし、強みを周りの人が認めないうちに、弱みをさらすことにはリスクあり