読書9月 ミス・サンシャイン | 読書日記

読書日記

自分用の読書備忘録。
なので、よほどのことが無い限り画像とか一切無いです。
そしてアップはけっこう遅延しがち。

9月に読んだ本は5冊(図書館本2冊・購入3冊)でした。
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<満足度>★★★ 感動 ★★ 面白い ★ 収穫少

 

<お気に入り順>

クリップ『ミス・サンシャイン』吉田修一(文藝春秋 2022/1
【満足度】★★★

【概要・所感】鈴さんこと長崎出身の「和楽京子」という昭和の大女優と、たまたま大学のゼミの教授に依頼され、彼女の倉庫の整理を任された主人公の一心の物語。(一心と桃ちゃんの恋愛もイイし、和楽京子と林佳乃子の関係もイイ)ドロドロ感はなく、安心して読め、文句なく面白かった!特に主人公の一心が魅力的で、少し横道世之介と重なるキャラかも。 吉田修一作品群の中でマイベスト3に入る本です。本書こそ映像化して欲しい。。。

 

クリップ『ネガティブフィードバック 「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術』難波 猛(アスコム 2024.2)
【満足度】★★

【概要・所感】 著者は人事コンサル。耳の痛いフィードバックをして、部下の行動を変えるメソッドについて書かれています。叱るとかではなく「解決すべきギャップ」にフォーカスし、支援するのがネガティブフィードバックです。その際、身につけておきたいのが、部下のWILL・MUST・CANのフレームワーク。そこを把握した上でズレを修正していくアプローチになります。アドラー心理学がネガティブフィードバックの土台のようで、伝えるのは上司の責任・それを受けて行動するかしないかは部下の責任という「課題の分離」の考え方だけでも覚えておけば、感情的にならず粛々と部下の指導できる気がしますね。
【ポイント】

*「人は変わりたくないのではない。変えられたくないのだ」(p.8 ピーター・M・センゲ)

ダニング=クルーガー効果(p.33)

 能力が低い人ほど、自分の能力や状態を客観的に認知・修正する能力も低いため、自分を

 過大評価ないしは状況を認知できず、結果さらにギャップが拡大する

*私たちが進歩するには、フィードバックを与えてくれる人が必要だ(p.47 ビル・ゲイツ)

 ⇒適切なフィードバックは組織のため、本人のため、周りのため、上司自身のため

*ネガティブフィードバックが「できない」のではなく、何らかの目的があって「やらない選択」

 をしている(p.61)

 ⇒厳しい事を言うより言わないことの方によるメリットが大きいと判断している(損失回避)

*「人」に焦点を当てると感情的に泥沼化します。=中略= 「発生しているギャップやズレ」に

 焦点を当てて一緒に解決していく姿勢のほうが対立的でなく協調的に対話が可能になります。

 (p.74)

*「私の仕事のスタイルはこれだ」「私はこの仕事が役割だ」と自分で限定すると、会社の新しい

 仕事の進め方に対応できなくなる人もいます。=中略= 頑なに自分のやり方にこだわれば、

 周りからは「あの人は、会社の流れとズレているよね」と思われるようになり、やがて成果も

 出なくなります。(p.97)

 ⇒MUST(会社が求めているやるべきこと)のズレ

*ネガティブフィードバックにおいては、=中略= 日常の信頼関係有無による「誰が言うか」

 が成否を分けます。(p.114)

 ⇒「自分を認めてくれる人」の言うことに部下は耳を傾ける(返報性の原理)

*自分が何を言うかということと、相手がそれを聞いて何を感じるかは別問題(p.145)

 ⇒アドラー心理学の「課題の分離」

*上司の役割は、「部下に好かれること」ではありません。「部下を成長させること」で、「組織の

 成果を最大化」すること(p.153)

*自己決定理論@エドワード・デシ、リチャード・ライアン(p.180)

 人間は自分で選択したと自律性がある状態のほうが動機付けされる

 「耳が痛い事を言うがいいか?」「気になる点を伝えても良いですか?」と部下の合意を取る

 ⇒「耳が痛いこと」を「寝耳に水」で聞かされる状態では部下も感情的になる可能性高

*組織内で自分の要望を受容してもらうには、シビアですが「あなた自身の戦略的な交渉術」

 「交渉力の原資になるあなた自身の価値や結果」が必要です。(p.302)

 ⇒自分が余人をもって替え難い人材なら、断って辞められるより、提案を受け入れ気持ちよく

  働いてもらおうと合理的に判断する上司は多い

 

本『まちの映画館』戸村 文彦(西日本出版社 2024.5)
【満足度】★★

【概要・所感】尼崎で71年を迎える塚口サンサン劇場の支配人・戸村氏のコロナ禍に書いたコラムがベースの本。サンサン劇場の近況は知らなかったのですが、今や全国津々浦々から集まる映画館になっているようで。マサラ上映に端を発した映画鑑賞という「体験」のイベント化、それに至るまでの奮闘が凄い。いろんな上映エピソードが紹介されていますが、予算はかけられないから常にアイデア勝負。そこには、なにか制約があっても工夫して、やれることはすべてやりきるという仕事の根本を考えるヒントがある気がします。ちなみに巻末にはJR立花駅の書店店主との対談も。(ローカル過ぎw)
【ポイント】

*私たちが目を向けるべきなのは、他の映画館でなく、足を運んでくださる目の前のお客様

 (p.69)

*映画館で仕事をする上で、=中略=「映画を楽しんでほしい」という思いの方が大切(p.94)

*映画を観ることができる媒体は増えて、エンターテインメントのあり方自体も大きく変わり

 ました。ただ、「映画を観る」という「目的」は失われていません。あとは、映画をどう

 やって観るかという「手段」について考えればいいだけ(p.177)

 

クリップ『アウトプット思考』内田 和成(PHP研究所 2023.6)
【満足度】★★

【概要・所感】内田氏の新刊と思いきや、2011年刊行の新書「プロの知的生産術」の加筆・訂正版でした。自身が実践してきた発想=「インプットは最小・最大のアウトプット」について書かれています。情報は多ければ多いほど良い気がしますが、その収集や分析に労力を費やします。また、VUCAと言われる現代はいくら最新の情報を集めまくったところでコロナ禍や戦争など想定外のことが頻発します。キモは「考える時間をいかに増やすか」で、下記にまとめておくことに。特にアイデア出しの仕事をしている人には役立ちそう。

【ポイント】

アウトプットとは「仕事の目的」であり、さらに言えば、「あなたの本当の仕事は何か」という

 ことにもなる(p.28)

 ⇒レポートや資料のような形としてのアウトプットではなく最終的に何に貢献するのか

*日々のあらゆる場面において、意識的に「短い時間で決める」経験を積む(p.48)

 ⇒情報を減らして不十分な中で決断する。失敗しても同じ情報量で決定できるかを追求する

異なる認識を持つ人同士が議論を効果的に進めるには、自分たちの間で何が共通の情報で、

 何が自分だけの情報か、あるいは何がお互いの間で食い違っているかを早い段階で把握する

 ことだ。(p.62)

 ex.相手が知っていることを延々しゃべってうんざりさせるセールスマン

*役割は監督が決めることでもあるが、選手自身が監督の「期待」を意識し、それにフィットする

 役割を果たすことができれば、それだけ出場機会は多くなる。(p.88)

 

メモ『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』児玉 光雄(アスコム 2023.11) 
【満足度】★★
【概要・所感】大谷選手自身が解説すると値打ちがあるのでしょうけど、大谷翔平語録を著者のフィルターを通して解説する形式。大谷選手しかり、聞けば当たり前のことしか言っていないのですが、野球にしても仕事にしても、決めたことを徹底的に習慣化するまで続けられるかどうかが分かれ道ですね。
【ポイント】

イチローさんでさえ、現役時代に「自分が一番やりたくない作業。それはバットを振る作業だ」

 と語っている(p.43)

 ⇒バットを振り続けない限りヒットを量産できないことを知っている

*DMN(p.153)

 デフォルトモード・ネットワーク。

 脳が意識的な活動をしていない時に活性化する神経回路。脳のアイドリング状態のため、情報

 が整理されているため、それらが結びつきやすい状態。