と、「MMK1 」で現代アートをぐるぐる回った後に

ひと休みを兼ねて向かった先は教会でありました。


前日に開催された「Olgelmeile 」と類似のイベントである「Chormeile」が始まるのでして、
(要するに合唱マラソンというか、合唱ウォークラリーというか)
「MMK1」から程近い「Heiliggeistkirche」(聖霊教会)がスタート地点だったものですから。


とはいえ、実は聖霊教会の場所を思い込みで勘違いしていたがために、

違う教会のあたりをぐるぐるしてしまったというひと幕があり、

これもこの旅の「間違い」のひとつではありますが、

最初の方の間違いに比べればかわいいものなので、さらりと過ごしておきましょう。


ということで、聖霊教会から始まる「Chormeile」ですけれど、

前日の「Olgelmeile」のようす(演奏の余韻もそこそこに、われ先と次の教会へ向かう様)には
個人的に付いていきにくいものを感じておりましたので、

今回は聖霊教会での合唱を聴くだけに留めようと最初から考えていたような次第です。


聖霊教会@フランクフルトのステンドグラス


教会堂内での合唱という点では、
先にマインツの聖シュテファン教会で聴いたバッハ に「うぉお」と感じたこともあり、
これも楽しみにしていたですが、今回は至って穏やかな歌声が響いてくるというふうでありました。


プログラムには、メンデルスゾーン、ブラームス、ブルックナーといった
名立たる作曲家の合唱曲(必ずしも宗教曲でなく)が含まれておりまして、
普段はあまり接することの無い曲に触れる機会となったのでありますよ。


思えば昨年ハンブルクで訪ねたブラームス博物館 では、
ブラームスが女性合唱の指導をしつつ、曲もたびたび提供し…てなことに触れてありましたが、
この時に歌われた「14のドイツ民謡集」WoO34(から数曲)など作品番号無しの合唱曲の多くは
合唱指導上に作られた作品だったのかもしれませんですね。


とかように、ドイツでは合唱が(歌うも聴くも)広く愛好されていると気付かされますけれど、
歌う方に関しては、合唱人口の多さでは日本も決して負けてはおらないような気がしないではない。


にもかかわらず、どうも聴く方の人口はそれに追いついていないのではなかろうかと。

かく言う自らも合唱の演奏会に足を運ぶこともほとんど無いのですけれど、
出かけてみれば「聴く機会がない」といった曲の数々とも
そっと親しく接することができるのかもしれませんなあ。


そんなことを思いつつ、聖霊教会で合唱に耳を傾けたおりましたですが、
メンデルスゾーンの作品48の歌曲集の「春のきざし」や「春の祭り」、
そしてブルックナーのモテット「正しき人の口は」といった曲には
実に心地よく漂うメロディーに身を浸すといったふうでありました。


ですが、演奏が終わるや、予想通りに
次の教会(前日にオルガンを聴いたドイツ騎士団教会)へ向かう一群が足早に移動を開始。


これをやり過ごしてゆっくりと出入口へと進んだところ、CD販売をしている人がいたのですね。
てっきり今出ていた合唱団のCDかと思えば、ここ聖霊教会のオルガン演奏を収録したものという。


前日の「Olgelmeile」では、三王教会、ドイツ騎士団教会のオルガンを聴いた後、
目指すは聖霊教会のオルガンということになっていたわけですが、

これをパスした関係上からすれば、生ではないけれど聖霊教会のオルガンも聴いておくかと

CDを購入してきたのでありました(5ユーロと安かったこともありまして…)。


Virtuose Orgelmusik der Romantik


買うときに「おや?」と思ったのは、もしかしてこのCD販売人は演奏者本人なのでは?と。

確かにフランクフルト聖霊教会のパイプオルガンによる演奏のようですけれど、

どうも教会が売店を出しているふうでもなし、CDには特段のレーベルもなし。

自費制作のCDなのだろうと気付いたのでありますよ。


ワーグナー、メンデルスゾーン、ブラームス、リストと

主にロマン派の曲(本来的なオルガン曲に限らず)を集めて、

たっぷりした響きを鳴り響かせてくれている点で、内容をとやかく言うつもりはありませんけれど、

こうしたメジャー手前の音楽家たちというのもまたたくさんいるのがドイツなのでしょう。


後から検索してみると、演奏者はフランクフルト近郊の教会でカントルを務めているらしい。

昔だったら、小都市での活動が認められてより大きな都市のカントル職を任され、

大作曲家になっていった…なんつう出世物語もあったでしょうが、

今ではどうなのでありましょうかね(少なくとも生活はできる状況にあるとは思いたいですが)。


ブログランキング・にほんブログ村へ