ガイドブックのモデルコースほどではないにせよ、
オスロではずいぶんとあちこちを見て歩いています。


そぞろ歩きも楽しからずやではありますけれど、

低床型のトラムから眺める街の感じもまたよろしですし、
くったくたにならないようにするためには適宜交通機関を利用することも

必要なことでありましょう。


ですが、最初の方でオスロは物価が高い と記したように交通機関もまた同じでありまして、
トラムやバスの初乗り運賃は30Nok、日本円で約480円という具合なのですね。


というところに登場して大活躍をするのが、「オスロパス」というもの。
昨年もストックホルム、ウプサラ、ヘルシンキでそれぞれに同種のカードを使い倒しましたけれど、
有効期間内ならば市内の交通機関が何度でも利用でき、
美術館・博物館など主要な観光施設に無料入場できるというわけなのですよ(一部施設は割引)。


オスロパス


3日間で495Nok(約8,000円)とやはり結構なお値段にはなりますが、
出かけた施設の入場料と使った交通機関の運賃をざあっと計算したところ、
十二分に元を取ってお釣りがくるという勘定。


でもってパスを購入しますと、

使える施設等が紹介された小冊子が付いてきまして(上の写真の右側の冊子です)、
よく目を通してみると「日本のガイドブックには載っていないものの、面白そうだ」という施設が
見つけられるのも一興なのですね。


ここではオスロパス使い倒しの一例を少しばかり記してみるといたしましょう。
まず、ホテル最寄りの乗り場(中央駅)から、たったふたつばかり先の電停までですが、
トラムに乗って移動、これが無料。


カフェテリア風のレストランで夕食をとりましたが、
何と親切なことに店の親父が「オスロパスを持っておるか?」と聞いていたものですから、
「イエス、イエス!」と取り出して見せるとここで食事代が20%オフ。


カフェテリアではアルコール類を扱っていなかったので、
その後にはちょっと一杯ひっかけに…と出向いたのが件の小冊子で見つけたお店でありました。


ま、飲み屋というよりは話のタネになる観光施設というべきでしょうか、
その名も「ICE BAR」であります。


ICE BAR Oslo


スウェーデンのユッカスヤルヴィというところに

「ICE HOTEL」という建物も部屋も氷で作られたホテルがありますけれど、
そのホテルがプロデュースしておりまして、

氷に囲まれた店内(当然に氷点下の室温)でグラスを傾けることに。


一度の入店が45分ぽっきりとなっておりまして、
この45分の酷寒体験にワンドリンク付きというのが、オスロパスで無料になるのでありました。


ICE BARのドリンク・クーポン

時間制ですので、受付をして次の回の入場待ちをすることしばし。
さあ、お時間という時にさも大型冷蔵施設と思しき内部へ入り込みことになりますが、
逆に出てくる人がいなかったというのはあまり人気ではないのでしょうか、もしかして…。

たまたまかもですが、自分が入るときには別にふた組の二人連れがいましたけれど。


まずはかなりがっしりしたフード付きジャケットを頭から被せられ、
これまたごつい手袋とワンドリンクの引換券を渡されます
(追加オーダーも可)。
そして、導きいれられた氷の宮殿はこんなふう。


ICE BAR Osloの店内


鏡のようにも見えますが、壁から床から、テーブルや椅子もすべて氷。
ワンドリンクで飲めるカクテルは種類豊富で選びようがあるものの、当然に全て冷たい上に
グラスまでが氷でできているという。


氷のオブジェもありまして…

最初のうちこそ、もの珍しさで

「うわ~」だの「おお~」だの(他のグループですが)言ってましたが、
だんだんと寒さが身に沁みてくるわけで自ずと誰もが寡黙になり、

やがては我慢大会の様相に。


滞在時間30分を過ぎたところで、まずカップルひと組が退場。
こうなると自分たちを含め残りの者たちも「あ、出ていいんだ!」とばかりに

早期退場の連鎖反応でありますね。


まあ服装から何から入念な対策というわけではありませんから比べようもありませんけれど、
ナンセン が出かけた北極やアムンゼンが踏破した南極はともかくとも、
さぞや厳しいものだろうと推測するオスロの真冬でノルウェー人たちは45分と言わず、
日常的な活動をしているのでありましょうから、所変わればだなぁと。


と、移動でも食事でも一杯ひっかけるのも、そして酷寒体験も
オスロパスの恩恵で過ごしたひとときでありましたよ。