今回の都知事選、候補者の演説をしているのを(リアルに)見かけたのは、『石丸伸二』と『桜井誠』(日本第一党)だけである。

 

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石丸氏を見かけたのは、」6月25日のことである。

この日、私は(東京・京橋の)『国立アーカイブ』で『酔いどれ天使』(1948年、東宝、黒澤明監督)という大昔の映画を上映していたので、それを見に出掛けていた。

(ちなみに、この映画は、私の生まれた年に公開された、非常に古い映画だ。映画のことはまたどこかで書くかもしれない。)

 

この日は、カミさんを初めて、この『国立映画アーカイブ』に連れて行く日だった。

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こういう企画(『日本映画と音楽』特集)の一環として、『酔いどれ天使』は上映されていた。

 

すると、最寄り駅の東京メトロの『京橋駅』の出口を上がったところで、石丸氏が選挙活動をやっていた。

意外と小柄な感じの人が、宣伝カーから降りて来て、支援者と『ハイタッチ』を繰り返していた。

(その前に、少し話をしているのも聞こえてきた。)

 

恐らく、何らかの動員をされた感じの人たちの集団のなかに、ほとんど埋もれそうな感じで、石丸氏はいた。

(意外と)おとなしい感じの人だなと思った。

たしかに、その宣伝カーの周囲には、『人気者をとりまくファンたちの集まり』というような独特の雰囲気が漂っていた。

 

他方、『桜井誠』というのは、(私のこれまでの知識でいうと)外国人に対して『ヘイトデモ』を繰り返すような人物の一人という認識だった。(たしかに、政見放送でも、そのような感じの話をしていた。)『日本第一党』の党首だというが、『日本第一党』というのは、トランプなみに、『ジャパン・ファースト』という主張らしい。

 

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7月4日に、古くからの友人の一人と神保町で一杯やろうということで待ち合わせをしていた。

すると、待ち合わせ場所の近くの神保町の交差点わきで、『桜井誠』の選挙用の宣伝カーを止めて、街頭宣伝をやっていた。

候補者本人は、後ほど合流するということで、他の人々がやっていた。

 

第一印象は、妙に『おとなしい集団』のように見えた。また、『車椅子の人たち』用の専用セクションまで設けられていた。

最初、『ずいぶん、おとなしそうな人たちだな』と思ったが、『大阪から応援に来た女性』などがマイクを握ると、『ヘイトっぽい』雰囲気を醸し出していた。

 

面白い?と思ったのは、(一般的にいうと、『同じ系統の人たち』という印象のある)田母神俊雄候補(もと航空幕僚長)について激しい批判を行っていたことである。

 

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田母神氏は、『統一教会』の系列新聞である『世界日報』に何度も大きく取り上げられている。そのことは、<彼らが『統一教会』と事実上、連携しているのと同じだ。信じられない。ニセの『保守』だ。>と非難していた。

 

たしかに、そこで発言されていたことがもし事実であれば、『田母神氏はおかしい』という主張も成り立つのかもしれない。

これは、街頭で『田母神氏』と『桜井氏』と両方で、論戦でもやれば面白い、というような気もした。

(だが、櫻井氏はなかなか、合流してこなかったし、友人と一緒に出掛ける場所は、ずっと先の店にする予定だったので、結局、友人と一緒に『桜井氏の演説を聞く』ということにはならなかった。なお、もちろん、私は『桜井氏に賛同しているということでは全くない』。念のために書いておきたい)

 

ここで、石丸氏の印象について少し書いておく(これは、政見放送で見聞きしたことも含める)。

彼は、少し癖のある演説のし方をする。

 

あまり、アジるというよりも、何だか、諄々とさとすというより、(宗教か何かの)『教え』を伝えるというような印象も受ける話し方である。

 

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既に故人になったかたで、昔、渥美俊一という経営コンサルタントがいた(1926年3月~2010年7月、83歳で死去)。

 

東大法学部を卒業、学生時代(60年安保よりさらに前の時代)には、学生運動(当時の共産党系なのではないかと思われる)の中心でやっていたという口である。

この人は、読売新聞記者を経て、日本の流通業のチェーンストア理論の元祖みたいなもの(?)を打ち立てる人となった。

 

『ペガサスクラブ』という勉強会(から、コンサルティングの研究集団、運動。さらに体へ)を組織し、今のジャスコ、ダイエー、イトーヨーカドーなどの流通業の創業者となった人達を対象に、アメリカのチェーンストア理論をさらに、日本に当てはめたような理論体系を打ち立てた。

 

このペガサスクラブに参加したのは、日本の有名な小売業や外食産業のチャーンストアのかなりの数にのぼっている。もっとも、その理論を聞いて、『わが社には合わない』と思ったところもあるだろう。さらに前の経営者は、その理論を信奉していたが、代が変わると離れていったということもあるのかもしれない。

 

この渥美氏の書かれた本の記述の仕方(いちいち、『理論の体系めいたもの』の存在を示しながら、その中の一部であることをにおわせつつ、記述していく)とどこか、石丸氏の話し方が似ているのである。

 

もしかしたら、石丸氏の選挙参謀のなかに、『渥美俊一のチェーンストア理論』に触れた人もいるのかもしれないな、という気がした。

 

あと、石丸氏の話し方は、どこか、これまでの政治家の話し方と異なっているところがある。

その経歴(広島県の安芸高田市長を一期務めただけで、それほど『業績』がわるわけでもないのでは?という気もしてしまう)は、大したことがなさそうなのに、なぜ、あんなに『自信を持っているような話し方』が出来るのだろうか?という気もしてしまう。

 

石丸氏は、その政策や考え方の全体を必ずしも明らかにしていないような気もしている。

選挙報道によると、『参政党』などと協力している部分もあると書かれていたものもあった。

(警戒感も感じてしまうが、彼らは、何やら『新しい風』を起こしつつあるのは、事実なのかもしれない。今回の選挙で、一体、何位になるのか、注目すべき存在だと思う。)

 

選挙戦の最後の集会には、(報道によっては)『5000人を集めた』と記しているものもあるようで、一体、どこからそれだけの人を集めたのか(東京の有権者でない人も多いのかもしれない。また、『提携している政党や運動体』からの動員もありそうな気がする)気になるところではある。