今治の視察後は、しまなみ海道をバス移動して広島へ。原爆ドームと平和記念資料館は学会出張などで一通り見た記憶がありますが、資料館がリニューアルされ、おぼろげな記憶を一新するほどのインパクトがありました。
私たちの世代は、小学生時代は戦後わずか四半世紀、NHK朝ドラは夏休みの時期は決まって戦争場面を描き、夏休みの課題図書には必ず戦争をテーマにした児童文学が入っていたものです。「アイリーンの灯ろう」「神がくしの八月」など憶えていますが、広島の原爆投下を現代(といっても昭和50年くらい)の少年の視点から振り返る「二人のイーダ」(松谷みよ子)が圧巻でしたね。大人の感性にも響く作品ですので、読んでなかった方はぜひ。
10月の広島は修学旅行生や外国人観光客で混雑していましたが、私たちは平和祈念資料館副館長の丁寧な解説付きで効率よく見学することができました。
まずパノラマ仕立ての、原爆投下後に焼け野原になった広島の風景に圧倒されます。その後、暗がりに次々に現れる記録写真や被爆者の衣類の数々…資料保存のために照明を抑えているそうですが、電灯を好きなだけ使えなかった時代をも思い起こさせます。最近規制緩和になって空襲時の遺体などショッキングな写真もメディアで扱うようになりましたが、それもあるのか、前回見たときより衝撃度が増していると感じました。
※入場してすぐ、圧巻のパノラマ焼け野原展示。
原爆症や後遺障害についても多くのスパースをさいている。アメリカは原爆障害調査委員会(ABCC)を作って調査研究はしても、患者に金銭的な補償はしていない。それを容認している日本は優しい国だなあと思いますが、せめて核廃絶に関しては先頭を切って主張する国でありたいですよね。
こういうことも教育として必要。
※照明的にはアンドンと言われる手法。巡回先の美術館でこの演出をするのは手がかかるだろう。
修学旅行で訪れる児童生徒は、時間に追われて慌しく巡回し、去っていきます。
これらの展示は来年、オリンピックに合わせ東京にも巡回するそうですが、修学旅行でじっくり見られなかった分、首都圏の学生さん、政府中枢で働く若い世代にも見て頂きたい…二度とこのような戦禍を起こさないために。テレビでも特集をお願いします。