晴れ時々ジャズ -36ページ目

晴れ時々ジャズ

日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

STEPHANE HUCHARDのリーダー作は、なぜかいつも造語のような、オマジナイの言葉みたいなヘンテコリンなタイトルです。辞書引いても意味は明確に分かりませんが、それがかえって想像力を刺激させられます。1作目がTRIBAL TRAQUENARD、2作目がTOUTAKOOSTICKS(←これ傑作です)、そして2005年6月録音、同年リリースの本作はBOUCHABOUCHESという、これまたケッタイなタイトル。で、予想以上の素晴らしい作品に仕上がっています。

父親がメトロ(パリの地下鉄)の運転士をしていたことがあるとのことで、STEPHANE HUCHARDが(子供の頃に?)魅了されたというメトロの様々な騒音のサンプル、例えばレールと車輪がこすれ合う時のキーキーいう音、駅構内のメロディアスなざわめきの中に響く人々の足音、使い古されたエスカレーターの運転音に呼応するかのように(電車の?)スライドドアがたてる鋭い開閉音、人の話し声、電車が駅構内へ滑り込んでくる音、空気圧のシューシューいう音(?)などを、リズムトラックとして、あるいは効果音的に多用しています。

ということで、本作のテーマは“メトロ”です。12曲のうち11曲がSTEPHANE HUCHARDの作曲とアレンジで、ラストの1曲だけが4人の共作。16ビートなどが中心のかっこいいフュージョンで、楽曲の素晴らしさはもちろんのこと演奏もハイレベル。ワンホーンカルテットを主体にゲストも加わります。生楽器と電気楽器による緻密なアンサンブルに、サンプリングされた地下鉄の様々な音を巧妙に配し、それらが一体となって近未来的、幾何学的、メタリックなサウンドが生まれています。聴き手のアナタがちょっと想像力を働かせれば、メトロという、いわば地上とつながってはいるけれど隔絶された不思議な地下世界(異界)へと誘われるようなトリップ感覚が味わえるかもしれませんよ。

サイドメンを見てみますと、まず、凄腕のERIC LEGNINI(1970年、2月20日、ベルギー生まれ)は、本作ではクラヴィネット、フェンダーローズ、ウーリッツァーといったエレクトリックピアノを駆使していて、アコースティックピアノを演奏しているのは1曲だけなのですが、これは作品の趣向に統一感を持たせるためなのでしょう。
ALEXANDRE TASSEL(1975年、フランスのアンジェ生まれ)は、18歳のときにそれまでのピアノを止めて、以後トランペットとフリューゲルホルンを独学でマスターした人。25歳の時にGUILLAUME NATUREL(ts)と双頭で、FRANCK AVITABILE(p)、GILDAS SCOUARNEC(b)、ANDRE CECCARELLI(ds)が加わるTHE PARIS JAZZ QUINTET / ST (TCB)というオリジナル曲だけで構成されたハードバップの良盤を2000年にリリースしており、私はALEXANDRE TASSELの演奏についてはそれぐらいしか知りませんが、本作では彼のフリューゲルホルンがフロントとして、またアルバムの印象を創りあげるうえでも大きく貢献しているのではと思います。
LAURENT VERNEREYは初めて名前を聞くベーシストですが、演奏は良いです。
ゲスト陣のRICK MARGITZA(1961年10月24日、ミシガン州、デトロイト生まれ)は2曲に参加。OLIVIER LOUVELは6曲に参加していますが、私にはブズーキとサズの聴き分けが出来ないのが悲しい(T_T) 1曲だけに参加しているANDRE MINVIELLEはいったい何者?HPを見てもいまひとつよく分からなかったのです(^_^;)
お気に入りの曲について簡単に書きます。
2曲目のRUSHは力強い疾走感がみなぎるハードボイルドでかっこいい曲。演奏に様々なサンプルを効果的に組み込んで一種独特の雰囲気を醸し出しているのは本作のどの曲にも共通して言えることです。クールなフリューゲルホルンが印象的。
3曲目のJAZZY DANS L'METROは、生ドラムとサンプル音源を巧みに組み合わせることにより、タイトなリズムとグルーヴ感を生み出しているのが面白い。ERIC LEGNINIのアコースティックピアノはこの曲だけで聴くことが出来るのですが、やはり生のピアノはええわ~。だって、プレイヤーの唸り声が聴こえるんやもーん!(←演奏中の空気感やプレイヤーの気配のようなものを感じるのが好き)
7曲目のRAGGA RAPTは、チューニングを極端に低くしたようなタムの音色が面白い。ANDRE MINVIELLEが披露するのはスキャットやヒップホップふうの奇妙で楽しいヴォーカリーズ。シューッとか、ヒューッとか、ピュルピュルというヘンテコリンな効果音も入ってユーモラス。
STEPHANE HUCHARDのドラミングは大変に手数が多くエネルギッシュで、その切れ味の鋭さはまるでカミソリのよう。バスドラの使用頻度も高く、曲によっては時にドラムンベースのようになったりもします。むっちゃ手数が多いのに、ちっともうるさく感じないどころか演奏にどんどんのめり込んで行く自分に気づきます。で、忘れてならないのは、彼は作曲の腕とアレンジのセンスの素晴らしさが並大抵ではないということ。ハードでかっこいいハイテンションの曲だけでなく、胸キュンな美メロ曲も任せとけ!の頼もしさ。そういう意味でも本作の出来は素晴らしいですし、表現者としてのSTEPHANE HUCHARDのドラミングを堪能するには格好の一枚なのではないでしょうか。トータルで70分を超えますが、退屈とは無縁の聴き応えのある一枚です。
不思議で騒々しくて、ちょっぴり奇妙で神秘的な“メトロ”の世界へようこそ!

御用とお急ぎでないかたはSTEPHANE HUCHARDの↓HPをご覧ください。
             http://www.stephane-huchard.com/
ALEXANDRE TASSELのHPは↓こちらです。
             http://altassel.free.fr/HOME.html
謎のヴォーカリストANDRE MINVIELLEの↓HP。
             http://www.larticole.org/
RICK MARGITZAのことは↓こちらで。
             http://www.moutin.com/rickm.html
OLIVIER LOUVELのHPは↓こちら。
             http://olivierlouvel.free.fr/

■STEPHANE HUCHARD / BOUCHABOUCHES (Nocturne NTCD 384)
ERIC LEGNINI (clavinet, Fender Rhodes, Wurlitzer and acoustick piano)
ALEXANDRE TASSEL (flh)
LAURENT VERNEREY (b)
STEPHANE HUCHARD (ds)

guests
ANDRE MINVIELLE (vo)
RICK MARGITZA (ts)
OLIVIER LOUVEL (bouzouki, saz, acoustick, electrick and fretless guitar)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
毎日暑いですね~。皆さん、夏バテなどなさっていませんか?
今日のお天気は晴れときどき曇りで、にわか雨も少々。雷のため2回停電しました。
実は私、雷が大好き!子供の頃は、雷が鳴り始めると二階へ上がって窓を開け、空を眺めてわくわくしながら稲光や轟音を楽しんだものです(ちょっと変わった子供だったかも)。
今でも雷は好きですが、オーディオで音楽聴いてる時には鳴ってほしくないですねぇ...。
届いた新ドングリのうち1個だけ味見しましたので、お盆明けにでも記事にいたします。
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新ドングリ

■STEPHANE HUCHARD / BOUCHABOUCHES (Nocturne) (聴きまくり中)
■LAURENT DE WILDE / THE PRESENT (Nocturne) (未聴)
■THOMAS SAVY / ARCHIPEL (Nocturne) (未聴)
■FLORIAN ROSS / BIG FISH & SMALL POND (Intuition) (未聴)
■ALFIO ORIGLIO / ASCENDANCES (Cristal Records) (未聴)
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旧ドングリ

■ENRICO PIERANUNZI, MARC JOHNSON, GABRIELE MIRABASSI / RACCONTI MEDITERRANEI (Egea Records) (未聴)
■KENNY WHEELER, JOHN TAYLOR / MOON (Egea Records) (未聴)
■PAUL MCCANDLESS, BEBO FERRA, PAOLINO DALLA PORTA / ISOLE (Egea Records) (未聴)
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では皆様、良いお盆を!!
STEPHANE BELMONDOと(前から一度聴きたかった)OLIVIER HUTMAN(1954年12月12日、フランス生まれ)が参加ということで試聴のうえ購入してみました。
STEPHANE SPIRA(1966年生まれ)は、1995年に音楽活動とともに続けていた本業の科学工学のキャリアを捨ててジャズ一筋になった人で、1999年から2000年にかけてピアニストのMICHEL GRAILLIER(1946~2003年)とステージで共演することにより、数多くのパリのジャズメンとも共演して腕を磨くことになったそうです。そんなSTEPHANE SPIRAの初リーダー作となる本作は、故MICHEL GRAILLIERに捧げられています。
全10曲のうち8曲がSTEPHANE SPIRAのオリジナル曲で、他にJ. ROWLESのTHE PEACOCKSやA. C. JOBIMのLUIZAを収録しています。いわゆるメインストリームでハードバップやビバップスタイルを含みながら、アルバム全体に漂っているのは洗練された知的でクールな大人のフィーリング。ゲストのSTEPHANE BELMONDOがフリューゲルホルンで3曲参加しています。
以下は曲についての印象を簡単に。
一番のお気に入り、1曲目のBRIC A BROCは5拍子。イントロのウッドベースのリフにまずやられます。躍動感と爽やかさを併せ持つかっこいい曲で、STEPHANE SPIRAのテナーサックスは内に秘めた情熱を表に出さずクールに攻めております。
2曲目、FIVE TIMES A DAYはゆったりめの3拍子。バップフィーリングがありながらも知的で上品な印象なのはOLIVIER HUTMANのピアノのせいでしょうか。STEPHANE SPIRAのソプラノサックスもやはりクールな印象。
これもお気に入りの4曲目、L' EXCES A PETITES DOSESは、気楽な感じの3拍子と、アッチェレランドしてすぐリタルダンドする緊張感をはらんだ4拍子が交錯する面白い曲。
6曲目のTHEN HE KNOWSは7拍子が混在する爽快で溌剌とした趣の曲。STEPHANE BELMONDOのフリューゲルホルンのソロも渋かっこよく、STEPHANE SPIRAのテナーサックスのソロもステキ。OLIVIER HUTMANのバッキングも光る。
8曲目のNAZZAはミディアム4ビート。気楽で楽しげな雰囲気ながら、ここでもSTEPHANE SPIRAのテナーはオ・ト・ナ。OLIVIER HUTMANのピアノのソロがいい味出してます。

STEPHANE SPIRAの作曲能力はイイ線いっているのではないでしょうか。全体にオーソドックスな演奏には派手さや驚きはないものの、丁寧な音作り、渋くクールな演奏には好感が持てますし、何回聴いても飽きが来ない感じです。プレイヤー同士の火花飛び散る超絶技巧なジャズをじっくり聴きこむのもいいけれど、毎日こう暑いと集中力が続きません(それはきっと歳のせい)。涼しいお部屋で渋く洗練されたジャズを聴くのが今の私の気分にぴったりなのでした。
でもね、クールで大人なSTEPHANE SPIRAさんもステキですが、次の作品では汗が飛び散るような、紅蓮の炎に包まれるような、そんな演奏もぜひ聴いてみたいなと思った私です。そう、ジャズファンってけっこう身勝手で欲張りなのですよ(^▽^;) (←私だけか?)

御用とお急ぎでないかたはSTEPHANE SPIRAの↓HPへどうぞ。試聴も出来ます。
               http://www.spirajazz.com/

■STEPHANE SPIRA / FIRST PAGE (Bee Jazz BEE 012)
STEPHANE SPIRA (ts,ss)
OLIVIER HUTMAN (p)
PHILIPPE SOIRAT (ds)
GILLES NATUREL (b)
STEPHANE BELMONDO (flh)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
え~、今頃になって突然ですが、楽器略号を一覧にしてテーマリストに追加します。これは読んでくださる皆様と自分の利便(いちいち調べるのが面倒だから)のためです。
楽器によっては略号の表記が様々な場合がありますが、当ブログでは以下のように統一しておりますので、楽器の略号に???と思われましたらここを参考にしていただきますようお願いいたします。
今後、加筆(訂正も?)も致します。

*なお、フランス盤やイタリア盤に原語で表記されている楽器は、記事上ではなるべく英語の略号にしています。また、原語表示のままにすることもあります。
また、ハモンドオルガン、フェンダーローズなど社名がそのまま楽器名になっているケースでは、頭文字を大文字にしてそのまま表示することもあります。

*この一覧で、一部の楽器に関してはフランス語表記も付け加えています。そのうちイタリア語表記も加わります。
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A
(acc) アコーディオン(ボタン式と鍵盤式あり)
(as) アルトサックス
(afl) アルトフルート / フランス語表記は(flute en sol)。音域が標準のフルートより完全4度低いG管。
(alto) ヴィオラ(仏) / 英語表記は(va)
(arr) アレンジ、編曲

B
(b) ウッドベース、ダブルベース、アコースティックベース
(bagpipe) バグパイプ / フランス語表記は(cornemuse)
(batterie) ドラムス(仏) / 英語表記は(ds)
(balafon) バラフォン(木琴やマリンバの祖先)
(bandneon) (bandoneon) バンドネオン
(basson) バスーン、(仏) / 英語表記は(bassoon) / (fagott)独 (fagotto)伊 = (bassoon)英 (basson)仏
(bassoon) バスーン / 仏語表記は(basson)
(bcl) バスクラリネット
(bfl) バスフルート
(bois) 木管楽器類(仏)
(bombarde) ボンバルド(フランスのブルターニュ地方を起源とする伝統的木管楽器でオーボエの祖先。ケルト音楽で使用される)
(bongo) ボンゴ
(bouzouki) ブズーキ(ギリシャの民族楽器で弦楽器)
(bs) バリトンサックス
(btb) バストロンボーン
(bugle) フリューゲルホルン(仏) / 英語表記は(flh)

C
(cajon) カホン(ペルー発祥の箱型打楽器)
(caxixi) カシシ(ブラジルの民族楽器で籠の中に乾燥した種子や小石が入ったシェイカーみたいなの)
(cb) コントラバス(弦楽アンサンブルの場合)
(cemb) チェンバロ、ハープシコード
(chant) ヴォーカル(仏) / 英語表記は(vo)
(chitarra) アコースティック・ギター(伊) / 英語表記は(g)
(cl) クラリネット
(clarinette) クラリネット(仏) / 英語表記は(cl)
(clarinette basse) バスクラリネット(仏) / 英語表記は(bcl)
(clavinet) クラヴィネット
(comp) 作曲
(cond) 指揮 / フランス語表記は(direction)
(conga) コンガ
(contrabbasso) ウッドベース(伊) / 英語表記は(b)
(cor) コルネット
(cor) フレンチホルン(仏) / 英語表記は(frh) (上記コルネットの略号と混同しないよう注意)
(cor anglais) イングリッシュホルン(仏) / 英語表記は(ehr)
(cornemuse) バグパイプ(仏) / 英語表記は(bagpipe)

D
(dholak) ドラク(インドの民族楽器で太鼓)
(direction) 指揮(仏) / 英語表記は(cond)
(ds) ドラムス / フランス語表記は(batterie)
(duduk) ドゥドゥク(アルメニアに古くから伝わる民族楽器の笛)

E
(ehr) イングリッシュホルン / 仏語表記は(cor anglais)
(el-b) エレクトリックベース
(electronics) エレクトロニクス
(el-g) エレクトリックギター
(el-p) エレクトリックピアノ
(euph) ユーフォニウム

F
(Fender Rhodes) フェンダーローズ
(fisarmonica) アコーディオン(伊) / 英語表記は(acc)
(fl) フルート
(flh) フリューゲルホルン / フランス語表記は(bugle)
(flute en sol) アルトフルート(仏) / 英語表記は(afl)。音域が標準のフルートより完全4度低いG管。
(frh) フレンチホルン / フランス語表記は(cor)

G
(g) アコースティックギター(クラシックギター、エレクトリックアコースティックギターを含む)
(ghatam) ガタム(インドの民族打楽器で、見た目はただの素焼きの壷)
(guitare) ギター(仏) / 英語表記は(g)

H

(Hammond Organ) ハモンドオルガン
(handclapping) ハンドクラッピング / フランス語表記は(palmas)
(harp) ハープ
(hautbois) オーボエ(仏) / 英語表記は(ob)
(hca) ハーモニカ
(hg) ハーディーガーディー(欧州の古楽器で、現在もフランス、スペイン、ポルトガル等で日常的に演奏される。ハンドルを回すと木の円盤が弦をこする仕組みで、キーを使って音の高さを変えられる)

I

J

K
(kalimba) カリンバ(親指ピアノとも呼ばれるアフリカの楽器)
(kanjira) カンジーラ(インド南部の民族楽器でフレームドラムの一種。見た目はタンバリンに似ている)
(kaval) カヴァル(バルカン半島や小アジアを中心に分布する木管の縦笛)
(key) キーボード

L

M
(marimba)(marim) マリンバ
(merodica) メロディカ

N

O
(ob) オーボエ / 仏語表記は(hautbois)
(ocarina) オカリナ
(org) オルガン
(orgue) オルガン(仏) / 英語表記は(org) Orgue Hammond B3 = Hammond Organ B3
(oud) ウード(アラブ音楽圏で使われるフレットレスで12弦の撥弦楽器)

P
(p) ピアノ
(palmas) ハンドクラッピング(仏) / 英語表記は(handclapping)
(pianoforte) ピアノ(伊、英) / 英語表記は(p)
(piano preparato) プリペアード・ピアノ(伊) / 英語表記は(prepared piano)
(piccolo) ピッコロ
(perc) パーカッション
(percussioni) パーカッション(伊) / 英語表記は(perc)
(percussions) パーカッション(仏) / 英語表記は(perc)
(prepared piano) プリペアード・ピアノ(弦の上にペンなどの異物を置いたり挟んだりして特殊な音色を出させるように細工を施したピアノ。作曲家ジョン・ケージが考案したとされる)

Q

R
(rec) リコーダー

S
(samp) サンプリング
(saw) ミュージカルソー。例のヒュ~ンンンッっていう人魂やら幽霊が出るときの音がするノコギリみたいなの。
(saxophone alto) アルトサックス(仏) / 英語表記は(as)
(saxophone soprano) ソプラノサックス(仏) / 英語表記は(ss)
(saz) サズ(トルコ、バルカン半島周辺の弦楽器)
(shell) 法螺貝
(sitar) シタール
(sopranino sax) ソプラニーノサックス
(ss) ソプラノサックス
(syn) シンセサイザー

T
(tabla) タブラ
(tb) トロンボーン
(timbales) ティンバレス(ラテンパーカッションの一種で、ボトムにヘッドが無い太鼓を2個1組で使用し、リムショットを多用する)
(tp) トランペット
(trombone) トロンボーン(英・仏) / 英語表記は(tb)
(trompette) トランペット(仏) / 英語表記は(tp)
(ts) テナーサックス
(tuba) チューバ

U

V
(va) ヴィオラ / 仏語表記は(alto)
(vc) チェロ
(vib) ヴィブラフォン
(violon) ヴァイオリン(仏) / 英語表記は(vn)
(violoncelle) チェロ(仏) / 英語表記は(vc)
(vn) ヴァイオリン / 仏語表記は(violon)
(vo) ヴォーカル
(voice) ヴォイス

W
(whistle) 口笛
(Wurlitzer) (ウーリッツァー社製のエレクトリックピアノ)

X
(xenophone) ゼノフォン(BOJAN Zが使う謎の鍵盤楽器)

Y

Z
(zurna) ズルナ(中近東~バルカン地方を中心に広く使われる民族楽器でダブルリードの木管)

ソロ
実は、初めて本作を聴いたときはDANIEL HUMAIRのドラミングがモタっているのが気になって仕方がありませんでした(HUMAIRファンの皆様、ゴメンなさい<(_ _)>)。ただ単に彼のタイム感がいちいち私の気に入らないだけということなのかもしれませんが、演奏をぐいぐい引っ張ってゆく感覚に乏しいDANIEL HUMAIRのようなドラミングはどうも苦手なのです。(以前に聴いたDANIEL HUMAIR / LIBERTE SURVEILLEE(Sketch)でも、HUMAIRのドラムスには感銘を受けませんでした。)そのような訳で、最初は本作をあまり好きになれず、特に後半は集中力がそがれるせいか聴きながら寝てしまい気が付くと終わってたということが一度ならずありました(;^_^A が、何度も繰り返し聴いているうちにピアニストのGABRIEL ZUFFEREYの才能と本作の良さが分かるようになりました。

DANIEL HUMAIRが1998年のMARTIAL SOLAL COMPETITION(詳しくは最後の「*オマケ」をご覧ください)でGABRIEL ZUFFEREY(1984年4月、スイス生まれ)の演奏を初めて聴いたとき、ZUFFEREYはたったの14歳(!)だったそうで、彼はこのコンペでBEST NEW-COMER AWARD FROM SACEMを受賞しているそうです。
本作は、GABRIEL ZUFFEREYが大御所ドラマーのDANIEL HUMAIR(1938年、スイス生まれ)とベーシストのSEBASTIEN BOISSEAU(生年不詳、フランス)を迎えてフランスの振興レーベルBEE JAZZからリリースした初リーダー作で、全13曲のうちGABRIEL ZUFFEREYのオリジナルが8曲。3人の共作が3曲。スタンダードのHERE'S THAT RAINY DAYと、JOHN LEWIS(って、MJQの?)作曲のSKATING IN CENTRAL PARKが入っています。オリジナル曲はよく書けていて、シリアスでどことなく現代音楽的なところもあったり、美しく屈折したメロディを生かしたところなどが気に入りました。フリーインプロ的な演奏もありますが、私はあまり気に入っていません。3人がスタジオ入りしたのが2003年10月のことで収録はリハなしのぶっつけ本番だったとライナーノーツにありますが、本作の出来と録音当時GABRIEL ZUFFEREYはまだ19歳だったということを考えますと、ちょっと俄かには信じられないような話です。

お気に入りの曲について少し書きましょう。
本作を聴いて最初にハッとしたのは2曲目のSMILING、イントロで右手の隙間を縫うように左手が単音で鍵盤をあちこち飛び回るところです。けっこうアグレッシヴなピアノでこの曲が一番好きかもしれない。こういうのを聴きますと、GABRIEL ZUFFEREYというピアニストには素晴らしい才能がありそうです。
6曲目、HURRY UP ! は、少々とんがったテーマで、スピード感と緊張感があって良いのですが、2:36で終わってしまうのが物足りないような。
7曲目、LA TSUは3人の共作。ドラムスは原始的で力強いリズム。ピアノは相変わらず無調っぽいけれどいい感じ。ウッドベースが自由奔放なスラップ奏法やらスライド奏法みたいなの(って、ウッドベースにもあるのか?)を多用して面白い効果を出しており、只ならぬ雰囲気が漂う土俗的な趣の曲。
これもお気に入りの8曲目、ENTRE DEUX, ENTRE TEMPS ET A TROIS TEMPSは、センスの良い綺麗なフレーズを綴ってゆくピアノが魅力的な、ちょっぴり内省的なムードの曲。
11曲目のSTRANGEや12曲目のLA BAL - HELENEの深く沈静した表情を持つ曲などにおけるGABRIEL ZUFFEREYの演奏を聴いていると、彼の、既に成熟した美意識のようなものを見せ付けられたような気がして、この人はやはり只者じゃないのかもしれないなどと思ったりもします。

GABRIEL ZUFFEREYの作曲と演奏のスキルはなかなか素晴らしいんじゃないでしょうか。磨けばもっといい玉になりそうで先が楽しみなピアニストなので、次回は違うプレイヤーと組んだ演奏もぜひ聴いてみたいと思います。
余談ですが、DANIEL HUMAIRは長年に渡りドラマーとしてだけでなく、画家としても活躍しているのですね。知りませんでした。以前に記事を書いたHERVE MESCHINET / NIGHT IN TOKYO (Cristal Records)にはTABLEAUX DE DANIEL HUMAIRという曲が収録されていますが、「HUMAIRの肖像画」ではなく「HUMAIRの描いた作品」という意味のタイトルだったのですね。

*オマケ
MARTIAL SOLAL JAZZ-PIANO COMPETITIONについて補足しますと、第1回は1989年に行われており、以後は1998年と2002年です。GABRIEL ZUFFEREYが受賞した1998年度のグランプリはANTONIO FARAO(イタリア)、2位はFRANCK AVITABILE(フランス)、3位はPETER BEETS(オランダ)。ちなみに2002年度のグランプリがBAPTISTE TROTIGNON(フランス)ということでもお分かりのように、国内外から強豪が集まるコンテストのようです。
詳しくはMARTIAL SOLAL PIANO-JAZZ COMPETITIONのページ↓をご覧ください。
              http://www.civp.com/solal/solalgb/asolalgb.html
受賞者をご覧になるのは↓こちらで。
              http://www.civp.com/solal/solalgb/palmares.htm

■GABRIEL ZUFFEREY / APRES L'ORAGE (Bee Jazz BEE 006)
GABRIEL ZUFFEREY (p)
SEBASTIEN BOISSEAU (b)
DANIEL HUMAIR (ds)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
BOJAN ZULFIKARPASIC(1968年、セルビアのベオグラード生まれ)を初めて聴いたのは、フランス人サックス奏者SYLVAIN BEUFのリーダー作、IMPRO PRIMO(RDC Records)だったのですが、最初は、けったいな名前やけどなんて読むんやろ?ぐらいにしか思っていませんでした。が、その後BOJAN Zのリーダー作、TRANSPACIFIC(Label Bleu)や、SOLOBSESSION(Label Bleu)を聴いてそのユニークさと卓越した演奏能力に感心して以来、要チェックピアニストの仲間入り。私はバルカン音楽というものをちゃんと聴いたことがないのでよく分からないのですが、BOJAN Zの音楽性はバルカン音楽とジャズの融合が特徴だといわれているそうで、あの独特のフレーズはそういう音楽性から生まれてくるのだなと今では納得しています。

お待ちかねの新作は、お気に入りで個人的にも注目しているベーシストのREMI VIGNOLO(1972年、フランスのトゥーロン生まれ)と、JEAN-MICHEL PILCの来日公演でその凄すぎるドラミングを生で観てブッ飛んで以来、こいつぁー只者じゃないと注目しているARI HOENIG(1973年、フィラデルフィア生まれ)という辣腕の2人が参加するトリオということで、前々からめっちゃ期待していました。

LABEL BLEUから出ているBOJAN ZULFIKARPASICの6作目にあたる本作は2006年リリース。入手してみるともう一人BEN PEROWSKY(ニューヨーク生まれ)というドラマーとKRASSEN LUTZKANOVというカヴァル(バルカン半島や小アジアを中心に分布する木管の縦笛)奏者も参加。BEN PEROWSKYとKRASSEN LUTZKANOV参加のほうは2004年録音、ARI HOENIG参加によるトリオは2005年録音で、それぞれが5曲ずつの全10曲、うちBOJAN Zらによるオリジナルが8曲となっていて、変わったところではDAVID BOWIEのASHES TO ASHESなんていうヒット曲を取り上げています。
BOJAN Zは本作でXENOPHONEという聞いたことのない名前の楽器を使っているのですが、それがどんな楽器なのか、どの音がそれなのか、いまひとつよく分かりませんでした。
以下、お気に入りの曲を中心に簡単に書きます。
1曲目のULAZは少々ダークでミステリアスなフィルムミュージックのような雰囲気。BOJAN Zがピアノの特殊奏法を駆使して面白い音を出しています。ピアノの乾いたライン、宙を漂うかのようなカヴァルのフルートあるいは尺八のようにも聞こえる不思議な音色、ウッドベースのスラップ奏法が印象的で、全体に漂う緊張感がいいです。
2曲目のZEVENは7拍子。BOJAN Z、VIGNOLO、HOENIGのトリオによる躍動感と一体感のある演奏は予想通りの素晴らしさ。これはひょっとすると最近聴いたなかでは最強のトリオかもしれません。ARI HOENIGのスネアを多用した溌剌としたドラミングには実に小気味良いものがあり、スネアでザッザッザーッという素早い連続音を出す技(ANDRE CECCARELLIもやってましたがあれは何ていう技でしょう?)も面白い。BOJAN Zのピアノソロも冴え渡っていますが、REMI VIGNOLOのベースラインも追っていると面白くて聴き応えがあります。
4曲目のBIGGUS Dは、まるでプログレを聴いているよう。中間部ではフリーインプロ的になったりもしてむっちゃ刺激的。それでいて演奏には無駄な音が一音も無くて研ぎ澄まされていると感じます。それにしてもARI HOENIGの縦横無尽、緩急自在なドラミングにはついつい注目してしまう。時にリズムをわざとずらしているような一筋縄ではいかない複雑なドラミング。しかもその少々手数が多くて凝ったドラミングでもって演奏をぐんぐん引っ張ってゆくところが凄くて、もう目が点になっちゃいました。BOJAN Zのピアノとフェンダーローズを巧みに弾き分けながら繰り広げる無調感漂うソロがかっこええのなんのってアナタ。この曲でREMI VIGNOLOはかなり自由奔放なベースですが、ビート感があって素晴らしい。
7曲目のXENOS BLUESはまるっきりのブルース。よく分かりませんが、BOJAN Zがここで演奏しているのがXENOPHONEという楽器なのでしょうか?この曲で面白いのは、REMI VIGNOLOがブルースギターさながらにウッドベースでソロを弾きまくるところ。う~む、かっこええわぁと感心するやら、あんな太い弦でようこんな演奏出来るわと呆れるやら。こんなん聞かされたら、ブルースギタリストも裸足で逃げ出してしまうかもしれません(^▽^;)
本作の白眉は8曲目、HORACE SILVER作曲のTHE MOHICAN AND THE GREAT SPIRITS。美しすぎる主旋律と副旋律が大変に印象的な9拍子の曲。REMI VIGNOLOのベースが主旋律を弾いて始まりますが、彼のウッドベースはメロディ、ベースラインともに、ピッチといい、音圧といい、実に素晴らしいです。
また、この曲でぜひ注目したいのがARI HOENIGによる特殊奏法。彼は、ドラムスで主旋律を叩くという独自の得意技を披露しています。といっても、様々な音程にチューニングした数々のタムを叩いてメロディを演奏する訳ではありません。ARI HOENIGが使用しているのはごく基本的なドラムセットだと思います。左の肘またはスティックを持った左手の中指と薬指の2本でヘッドを押さえて(おそらく肘と指でそれぞれ別々のヘッドを同時に押さえることもしていると思う)ピッチを変え、右手で片手ロールをすることによりメロディを叩くことが出来るんですね。しかもそのピッチは驚くほど正確で、ピアノと美しくユニゾンまでやってのけるという!もちろんその間もずっとハイハットによる正確なリズムをキープしていて、ここまでくるともう職人技としかいいようがありません。さらにはヘッドを手で叩き、ミュート奏法でボンゴみたいな音まで出しています。

4ビートが主体ではありませんし、楽曲は少々シリアスで重たいかもしれませんが、前作にも増してBOJAN Zのユニークな音楽性がよく分かる素晴らしい作品だと思います。ジャズの最もオーソドックスで基本的な部分を尊重しながらも、個性を強力に打ち出す作品が今後もさらに注目されるのではと思いますし、私もそういうジャズをもっとたくさん聴いてゆきたいと思っています。そういったジャズの先端を走っているグループの一人がBOJAN ZULFIKARPASICなのかもしれませんね。

御用とお急ぎでないかたはBOJAN ZULFIKARPASICの↓HPをご覧ください。
                  http://www.bojanz.com/
ドラマーのARI HOENIGのHPは↓こちらです。
                  http://www.arihoenig.com/
BEN PEROWSKYのHPもありました。
                  http://www.perowsky.com/

■BOJAN ZULFIKARPASIC / XENOPHONIA (Label bleu LBLC 6684)
BOJAN ZULFIKARPASIC (p, Fender Rhodes , xenophone)
REMI VIGNOLO (b)
ARI HOENIG (ds) (2, 3, 4, 8, 10)
BEN PEROWSKY (ds) (1, 5, 6, 7, 9)
KRASSEN LUTZKANOV (kaval) (1, 9)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
ベーシストのPIERRE-STEPHANE MICHEL(生年不詳、フランス)をリーダーとするピアノトリオの第3作目で、今回はレーベルがATELIER SAWANOからSKETCHへ変わっています。前の2作品は持っていないのですが、ピアノがJEAN-PIERRE COMO(生年不詳、フランス)に代わったということで前々から本作には興味津々でした。というのもJEAN-PIERRE COMOが他の人の作品でピアノトリオを演奏するのは珍しいからなんです。
COMOの一番最近のリーダー作2枚には大好きなANDRE CECCARELLI(ds)が参加しているということもありますが、COMOがイタリア人の両親を持つフランス人だからなのかどうなのか、そこはかとなくメランコリックで郷愁をさそう、古いイタリアの映画音楽のような独特の趣のある曲を書き、演奏も素晴らしいのでけっこう好きなんですね。本作の録音はそのANDRE CECCARELLI参加の2枚、STORIA...(Naive, 2001)やSCENARIO(Naive, 2004)が録音されたのと同じSTUDIO 26なのに気がつきました。
リーダー作以外では、COMOは1980年代にSIXUNというジャズフュージョンのバンドを結成して曲も書いており、9枚(?)のアルバムをリリース。さらに今年、結成20周年を記念するCDとDVDの2枚組がリリースされたとのことですが、SIXUNの演奏は聴いたことがないのです。と、なんだかJEAN-PIERRE COMOのことばかり書いてしまいました(笑)

さて、本作は全10曲(プラス隠しトラック1曲)のうちPIERRE-STEPHANE MICHELのオリジナルが9曲、スタンダードが2曲で、オリジナル曲はとてもよく書けていると思います。4ビート主体で、いかにもヨーロッパのピアノトリオらしく端正でリリカルな味わい。しかも各人の演奏がなかなかに素晴らしく引き締まっていて緊張感が保たれており軟弱さはありません。ベーシストがリーダーなので曲ごとにベースソロが展開されますが、なかなかよく歌っていますし、ソロが長すぎると感じることもありませんでした。

1曲目のCHAPO-BASを聴いたとたん、JEAN-PIERRE COMOのピアノにはENRICO PIERANUNZIが乗り移っているのかと思ってしまいましたが(...なわけないって)、アドリブソロでいつもの唸り声が聞えてきたのて安心しました(^▽^;) PIERRE-STEPHANE MICHELのベースは安定していますし、ソロもよく歌っています。
で、このトリオ、思っていた以上に素晴らしい演奏だなぁとちょっぴりわくわくしつつ、3拍子系のリリカルムードの曲がアドリブに入ってだんだんと熱を帯び、テーマが出てきてもまだ終わらず、さらに盛り上がってきたところで「いいぞ、いいぞ!」と思いながら聴いていたら、なんと! >┼○ バタッ ...。(←力が抜けて椅子から転げ落ちるの図)途中でフェイドアウトって...(笑)
本作一番のお気に入りは2曲目、I'OCCITANE。テーマが面白くて思わず身を乗り出しました。高速4ビートで飛ばすJEAN-PIERRE COMOのソロ、PIERRE-STEPHANE MICHELのベースソロも◎。息の合った演奏が素晴らしく、短いけれど聴き応えのある1曲です。
4曲目のSTELLA MARISは、ちょっぴり甘く切ないフレーズを繰り返すテーマが美しいですね。そのせいか、出だしのCOMOのピアノにはGIOVANNI MIRABASSIが乗り移っているのかと思ってしまいました(だからちゃうって!)。中間部のソロでJEAN-PIERRE COMOが唸り声を上げてハイテンションになるところなども素晴らしく、メリハリの効いた演奏になっています。が、しかーし!こんなにええ曲やのに、またまたフェイドアウトやなんて...。
6曲目のRAYON VERTは、哀愁漂うロマンティックで美しいメロディのテーマですが、これをアップテンポの4ビートでスピード感のある演奏にしているところが良いですね。
10曲目の14 QUAI DE LA QUARANTAINEでようやく、ピアノのズチャーチャ、ズチャーチャのリズムが聴けてなんとなく安心したりして(笑)が、これに続く隠しトラックのSOMEDAY MY PRINCE WILL COMEもフェイドアウトで終わってしまうのだ(ちょっと多過ぎないか?)。

初めて聴いたPIERRE-STEPHANE MICHELですが、この人とても綺麗な曲を書く人だなあと思いました。演奏に驚きや派手さはないけれど、堅実なサポート振りとよく歌うソロがなかなか素晴らしいです。ドラムのFREDERIC DELESTRE(1971年、フランス生まれ)も初めて聴きましたが、オーソドックスながらもオカズがこちらのツボにはまるときが何度かあり、好感が持てる演奏だと思いました。
本作で曲を書いているのがリーダーのPIERRE-STEPHANE MICHELですから当然といえば当然なのですが、本作ではJEAN-PIERRE COMOの印象がいつもと少々違いますね。彼のよそ行きの顔を初めて見てしまったような気がするというか。でも、そういったよそ行きの顔をしているのもテーマの部分だけで、アドリブになると本性が露になってくるような気がして面白かったです。
*オマケ(これはぜひ読みましょう!)
ふっふっふ...(* ̄ー ̄*) これを読んでいるアナタだけに教えてあげましょうね。実は今年の秋、フランスの“N”レーベルからJEAN-PIERRE COMOの新作が出るらしいのです!ドラムがANDRE CECCARELLIだったら嬉しいな~。詳細が分かり次第、「私的ジャズ情報」に書くことにいたします。

*どうでもいいオマケ
「唸るピアニストシリーズ」(←私が勝手に作った)ということで、今回もおさらいをしておきましょう。
  1.「ユニゾってますね」的唸り声:ちゃんとピアノの演奏とユニゾンになっている唸り声。
  2.「ご機嫌ですね」的唸り声 : 本人はきっとユニゾンのつもりだが、
    実際にはぶら下がっていたり大きく音が外れている唸り声。
  3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、
    悪夢にうなされているかのような唸り声。
  4.「救急車呼びましょか!?」的唸り声 : 明らかに尋常ではなく、一刻を争う場合の唸り声。
JEAN-PIERRE COMOは第2段階の「ご機嫌ですね」的唸り声です。でもエキサイトしてくるとだんだんと第3段階の「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声になってきますから、第2段階と第3段階の混合型かな?(;^_^A

■PIERRE-STEPHANE MICHEL / RAYON VERT (Sketch SKE 333048)
PIERRE-STEPHANE MICHEL (b)
JEAN-PIERRE COMO (p)
FREDERIC DELESTRE (ds)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
2005年録音、リリースのELISABETH KONTOMANOU(生年不詳、ギリシャ人の血を引くアフリカ系フランス人)の新作です。全11曲のうち6曲がスタンダードナンバーで、ELISABETH KONTOMANOU作曲が2曲。ピアニストのLAURENT COQ作曲が1曲などとなっており、曲によって楽器の編成が変わります。
前作MIDNIGHT SUN(Nocturne)は、特にDON'T EXPLAINなどを聴きますと、フェイクというにはあまりにも原曲の面影を残さない異様ともいえる歌いまわしにちょっとびっくり。ユニークなヴォーカルといい、JEAN-MICHEL PILCのけったいでヘンテコリンなピアノといい凄く面白いのですが、フリージャズ的で聴く人を選びそうな感じでした。ああいった少々アヴァンギャルドな器楽的唱法は彼女の得意とするところのようですが、本作は前作のような異様さはなくて素直なアプローチで歌っており、随分聴きやすくなっています。いやいや、聴きやすいどころか、正統派としても実に素晴らしい一級のジャズヴォーカル作品なのではないでしょうか。

それから本作で注目なのは、ジャズギタリストのJOHN SCOFIELDが参加(4曲)していること。この人のギタープレイはフィーリングが素晴らしいですね!こんなに凄いプレイヤーだとは知りませんでした。私はこれまで彼の演奏を聴いたことがない(と思う)ので、「君ぃ、ジョンスコを知らんでジャズのブログを書いたらあかんよ。」と指摘されても「はい、すんません<(_ _)>」としか答えようがないのですが、今度ぜひ彼のリーダー作を聴いてみようと思っています(あの~、どなたか、お薦め作品を教えてくださいませ)。

以下、お気に入りの曲について簡単に書きましょう。
もう1曲目のSUNNYから、ELISABETH KONTOMANOUの堂々とした歌いっぷりに引き込まれてしまいます。彼女の立派なボディから発せられるよく響く太い声は、いかにも丹田を意識して腹の底から出しているという感じ。ちょっぴりハスキーで姉御的な声質は、いわゆる美声ではないかもしれませんが、彼女のダイナミックでソウルフルな歌唱は素晴らしいですよ。
もう一つ、私の耳を奪ったのがJOHN SCOFIELDのギター。この人、バッキングの和音の選び方がセンス抜群。そしてそして、ギターソロも素晴らしいじゃありませんか!この曲はギター、ベース、ドラムスという編成ですが、もう、ヴォーカルとギターだけを追っている状態で「ええわ~♪」と、うっとりしている私なのでした。
2曲目、WAITIN' FOR SPRINGはギター、ソプラノサックス、ベース、ドラムスという編成ですが、ここでもやはり、ついついJOHN SCOFIELDのギターにのめり込んでしまう。彼のギターをずーっと追ってゆくと、バッキングにしろ、ソロにしろ、高度で複雑で独創的で、ソロときたらまるで二人で弾いているように聴こえて凄く面白い!曲はELISABETH KONTOMANOUの作詞作曲ですが、とてもよく書けていると思います。彼女のヒューマニズム溢れる歌声も素晴らしいのひとこと。
4曲目のTHE GOOD LIFEはLAURENT COQのピアノとのデュオ。抑制の効いたピアノとダイナミックなヴォーカルに聴き惚れましょう。
6曲目、CHARLES MINGUS作曲のDUKE ELLINGTON SOUND OF LOVEはベースとのデュオ。この曲は彼女が歌うのにぴったりで、独特の変わったメロディラインは彼女の歌いまわしにも共通する面白さがあります。後半のフェイクがまた素晴らしいですね。この曲でベースとヴォーカルのデュオというのは特に難しいと思うのですが、DARYL HALLのベースは安定していてなかなかに聴き応えがあります。
ラストのWE'LL BE TOGETHER AGAINはギターとのデュオ。ゆったりとしたテンポでしみじみと歌っているのがいいです。JOHN SCOFIELDのギターはやはりユニークで面白いですね。
さて、ELISABETH KONTOMANOUは2006年度のLES VICTOIRES DE LA MUSIQUEのジャズ部門でL'ARTISTE DE JAZZ VOCAL FRANCAIS(ベストジャズヴォーカリスト)を受賞しています。また、このCDはLE MONDE DELA MUSIC誌のCHOC、TELERAMAでffff(フォルテ4つで最高なのかな?)、MUSTなど受賞しているらしく、シールドの上からいっぱいシールが貼ってあってジャケが見えないほどでした。今、フランスでもっとも注目されているジャズヴォーカリストがELISABETH KONTOMANOUなのかもしれませんね。

*どうでもいいオマケ
実を申しますと、本作に参加しているSAM NEWSOMEのソプラノサックス、私は凄く苦手です(-_-;) JEAN-MICHEL PILCのリーダー作にも参加していますが、なぜかちっとも好きになれないのですね。で、本作ではどうかと申しますと、やはり肌が合わないというかなんというか、ダメなものはダメですわ(T_T)

それから!
金髪碧眼の美形ジャズヴォーカルばかり聴いて喜んでいらっしゃるオジサマ、はい、アナタのことですよ。いかがでしょうか、たまにはこういった現在進行形のジャズヴォーカル作品をお聴きになっては?けっこう癒されますよん。

JOHN SCOFIELDのHP↓ありました。
      http://www.johnscofield.com/
うわっ!作品いっぱいあり過ぎてめまいが...(笑)いったいどれを聴けばええのやら(^▽^;)

■ELISABETH KONTOMANOU / WAITIN' FOR SPRING (Nocturne NTCD 385)
ELISABETH KONTOMANOU (vo)
LAURENT COQ (p)
DARYL HALL (b)
DONALD KONTOMANOU (ds)
SAM NEWSOME (ss)
JOHN SCOFIELD (el-g)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
先日、ドングリ、じゃなかった、え~と、CDが届きました。
しかし...なんでいつもH○Vとナマズレコードさんから同時に荷物が届くんでしょう?謎だ!
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新譜
■ELISABETH KONTOMANOU / WAITIN' FOR SPRING (Nocturne NTCD 385) (これ、いいです!)
■BOJAN Z / XENOPHONIA (Label Bleu LBLC 6684) (未聴)
■PIERRE-STEPHANE MICHEL / RAYON VERT (Sketch SKE 333948) (未聴)
■STEFANO BOLLANI / I VISIONARI (Label Bleu LBLC 6695/96) (未聴)
■BENJAMIN KOPPEL Feat. PHIL WOODS And THE ALEX RIEL TRIO / PASS THE BEBOP (Cowbell Music ) (未聴)
■CHRISTOPHE DAL SASSO / EXPLORATION (Nocturne NTCD 388) (未聴)
■STEPHANE SPIRA / FIRST PAGE (Bee Jazz BEE 012) (未聴)
■GABRIEL ZUFFEREY / APRES L'ORAGE (Bee Jazz BEE 006) (未聴)
■EMANUELE CICI / URBAN ADVENTURES (Elabeth ELA 621054) (未聴)

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旧譜
■EMANUELE CICI, NICOLA MURESU, ZLATKO KAUCIC / HOW DEEP IS THE OCEAN (Splasc(H) Records CDH 935.2) (未聴、ジャケ買い)
■BIRELI LAGRENE / LIVE IN MARCIAC (Dreyfus Records FDM 36567-2) (未聴、ANDRE CECCARELLI参加♪)
■ERIC LE LANN / CAP FREHEL (Universal Music France 983 765-7) (未聴、再発もの)
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いや~、今日も暑かったですね。本日、当地の最高気温は30度だったそうです(∋_∈)
これからの季節は何をするのも暑いのですが、音楽聴くのもけっこう暑いと思いませんか?
最近のエアコンは随分音が静かになりましたが、それでもなんとなく送風音が気になる。で、私は部屋を冷え冷えにしておいてからいったんスイッチを切って音楽を聴き始めるのですが、オーディオ機器から発する熱と、天井の照明の白熱灯から発する熱の両方で室温はどんどん上昇。CDを何枚か聴き終わって、ふと気がつくと「うう~、暑いっ!」
これからもっと暑くなるとエアコンつけたまま聴くことになりますが、そうすると身体にもお肌にも良くなさそうだし...。暑い夏はどうも苦手です。
夏本番はこれからだというのに、今から秋が待ち遠しいと思うアーティチョークだった(;^_^A
DIDIER LOCKWOOD(1956年2月11日、フランスのカレー生まれ)とMARCEL AZZOLA(1927年6月10日、フランスのパリ生まれ)が、MARTIN TAYLOR(1956年10月20日、イギリスのエセックス州ハーロウ生まれ)とJEAN-PHILIPPE VIRET(生年不詳、フランス)をフィーチャーして2005年11月と2006年1月に録音したワルツ集です。以前からなんとなく気になる存在だった本作をCD屋さんでたまたま見つけたので購入してみました。
DIDIER LOCKWOODの演奏はANDRE CECCARELLI / CARTE BLANCHEやMAGMA / LIVEで聴いたことがあるぐらい。MARCEL AZZOLAは名前聞くのも初めて。MARTIN TAYLORはイギリスのジャズギタリストという認識はあったものの演奏を聴くのはおそらく初めて。JEAN-PHILIPPE VIRETはSKETCHレーベルや澤野工房から出ているJEAN-PHILIPPE VIRET TRIOの諸作品で私にとってはお馴染みのベーシストです。VIRETが参加していなければおそらく手に取ることはなかった本作で、ほかの3人の素晴らしさを認識できたのは収穫だったなあと思っています。DIDIER LOCKWOODとMARTIN TAYLORの2人については、一度ちゃんと聴いてみたいと思っていたところでした。

アルバムタイトルは「ワルツ・クラブ」。4人がそれぞれ自分の楽器片手にマホガニーのカウンターにもたれ、ダークスーツにブラックタイという改まったいでたちでお酒の入ったグラスを前に談笑しているジャケの写真には、何やらヨーロッパの高級メンバーズクラブ的な雰囲気が漂っております。ですが、この「ワルツ・クラブ」へ入会するのに会員の推薦やバカ高い会員登録料などは要りません。なあに、ジーンズスタイルでも、風呂上りの団扇片手にパジャマ姿でも大丈夫(^▽^;) CDをプレイヤーにセットするだけで「ワルツクラブ」のドアは開かれて「さあどうぞ!」と招き入れられたら、一流ミュージシャンによる美しいメロディの優雅でお洒落なワルツの数々が聴き放題!
このCDはDIAPASON D'ORという賞を受賞しているらしく、シールドの上から金色のまあるいシールが貼ってありました。ちなみにMARCEL AZZOLAは2006年度のLES VICTOIRES DE LA MUSIQUEのジャズ部門でLES VICTOIRES D'HONNEUR(名誉賞)を受賞しています。

本作は全編アコースティック楽器による演奏でおそらくオーヴァーダビングはありません。全16曲のうち、DIDIER LOCKWOODが2曲。ほかの3人が一曲ずつ。そのほかにショパン、ドビュッシー、ヴェルディのクラシックナンバーから、SERGE GAINSBOURG、TOOTS THIELEMANSの曲、EDITH PIAFの歌唱で有名なPADAMやディズニー・アニメ“シンデレラ”のテーマなど聴き覚えのある親しみやすい曲のほか、ミュゼット曲など多彩な選曲ですが、作品としてのトータルな雰囲気は保たれています。小粋でオシャレで洗練されていて、フランスのエスプリを感じる室内楽的雰囲気になっているものの演奏に軟弱さは一切ありません。ジャズのフィーリングやトラッド風味があちこちにちりばめてあり、この4人の溌剌とした演奏はさすがの素晴らしさなのです。

1曲目、MARCEL AZZOLA作曲のDOUBLE SCOTCHを聴いたとたんに「これはいい!」と思いました。フランスのエスプリに溢れたミュゼットの趣。そして、なにより4人の躍動感みなぎる素晴らしい演奏が聴いていて楽しい。アコーディオン、ヴァイオリン、ギターのそれぞれのソロも実に軽やかに歌っています!
お気に入りは2曲目のショパン。陽気で軽快なムードのアンサンブルは優雅の極み。それに、DIDIER LOCKWOODがヴァイオリンで女性の「アーッハッハッハー!」という甲高い笑い声を再現していて実にユーモラス。ほかにも「あら、まあ!」とか「いやん、もう!」といった感嘆詞に聞こえるところもあって(笑)凄く面白いのです。
4曲目、DIMITRI NAIDITCH(ロシア生まれのピアニスト)作曲のVALSE NOSTALGIQUEは、ゆったりめで哀愁の漂う美しいメロディのミュゼット調。ギターの入らない3人のアンサンブルで、JEAN-PHILIPPE VIRETのアルコも実に安定感があっていいです。VIRETは本作のいろんな曲をお得意のアルコで演奏していますが、この人の場合はピッチが正確で安心して聴いていられるので、いちいちハラハラしなくても大丈夫(^◇^)
これもお気に入りの5曲目、ヴェルディ作曲のLA TRAVIATAは軽快で陽気なトラッド調。メリハリの効いた溌剌としたアンサンブルが素晴らしく、ヴァイオリン、アコーディオン、ギターの各ソロも最高。3分に満たない演奏ですが、実に聴き応えのある1曲。
これまたお気に入りの6曲目、TONY MURENAとJOSEPH COLOMBO作曲のINDIFFERENCEは軽快で哀愁漂うミュゼット。アコーディオンとヴァイオリンのデュオが息の合ったユニゾンの後、絶妙なからみのアンサンブルで聴き手を唸らせます。う~む、素晴らしいっ!
8曲目、TOOTS THIELEMANS作曲のBLUESETTEは美しくロマンティックなメロディが印象的。4人のソロも聴き応えあり。
10曲目、MARTIN TAYLOR作曲のMUSETTE FOR A MAGPIEや、11曲目、SERGE GAINSBOURG作曲のLA JAVANAISEなどを聴いても、この4人のそれぞれがいかに素晴らしいプレイヤーであるかがよく分かる。とにかく絶妙のアンサンブルは聴き応え満点で素晴らしいのです。
15曲目のA DREAM IS A WISH YOUR HEART MAKES(ディズニー・アニメ“シンデレラ”のテーマ)は、DIDIER LOCKWOODのヴァイオリンが超高音で奏でるメロディや超絶技巧にびっくり。この曲に限らないのですが、LOCKWOODのヴァイオリンは実によく歌っているだけでなく、様々な場面で「おやっ?!」と思わせるテクニックを聴かせていて、それが実にセンスが良くて面白いので好感が持てました。また、初めて演奏を聴くMARTIN TAYLORは4人のうちでは最もジャズのフィーリングに溢れていると感じたのですが、ソロ、バッキングともに素晴らしいギタープレイを聴かせてくれるなあと思いました。

本作に汗ムンムンの男くさ~いバップフィーリングや不良っぽさは期待出来ませんけれど、16曲目が終わると隠しトラックがあるのです。で、この曲だけが「奥様(お嬢様)お手をどうぞ。」的な16曲とはちょっと雰囲気が違っている。3拍子系ですが、DIDIER LOCKWOODのヴァイオリンMARTIN TAYLORのギターはドスが効いて迫力満点で、4人のインタープレイも熱い!上品なお客様方がお帰りになった後、「さあ、ほんなら、いつものあれ、いっちょ思いっきり不良っぽくやったろかい!」てな感じになっているのです。ただ、残念ながら曲名が思い出せないっ!(;^_^A (分かれば追記します)

御用とお急ぎでないかたはDIDIER LOCKWOODの↓HPへどうぞ。
MARTIN TAYLORのHPはこちら↓です。
             http://www.martintaylor.com/

■DIDIER LOCKWOOD, MARCEL AZZOLA / WALTZ CLUB (Universal Music France 983765 9)
DIDIER LOCKWOOD (vn)
MARCEL AZZOLA (acc)
MARTIN TAYLOR (g)
JEAN-PHILIPPE VIRET (b)
入手先:JEUGIA京都三条本店