SCOTT JOPLINのラグタイム(ボラちゃんのラグタイムは聴きものでっせー!)、20世紀初頭のタンゴ、スタンダードナンバー、自作曲のほか、なんとTHE BEACH BOYSの"DON'T TALK"(どんな曲?)、またLOUIS ARMSTRONGやNAT KING COLEの曲も演奏しているとのこと。う~む、盛りだくさんで面白そう。早く聴きたい!
■STEFANO BOLLANI / PIANO SOLO (ECM Records ECM 1964)
STEFANO BOLLANI (p)
サックスやトランペットなどに比べると、フルートはジャズ界の花形とは言い難い楽器なのかもしれません。フルート奏者のリーダー作というのも少ないような気がしています。
本作のリーダーHERVE MESCHINETは、NICOLAS FOLMER(tp)とPIERRE BERTRAND(sax, fl)率いるPARIS JAZZ BIG BANDの主要メンバーの一人でもありますが、本作はそのPARIS JAZZ BIG BANDのピアニストでもあるALFIO ORIGLIOが参加するジャズフルート作品ということで入手してみました。ALFIO ORIGLIOも、私のお気に入りドラマーANDRE CECCARELLI参加のリーダー作など数枚をリリースしているなかなか素晴らしいピアニストなんですよ。つい最近、ASCENDANCES(Cristal Records)という新作も出しています。
1曲目のIL EST 5 HEURES, PARIS S'EVEILLE.は軽快な4ビート曲で、ROGER BOURDIN(フルート奏者らしい)に捧げられています。リズム感抜群でノリが良いのはピアノのALFIO ORIGLIOをはじめとするバッキングが素晴らしいからなんですね。ピアノソロに入ってトリオだけの演奏になるところなんかもエエ感じです。ドラムスのCHRISTOPHE BRASは名前聞くのも初めてですが、この人、他の曲でもなかなかいい演奏しています。
お気に入りは2曲目、NICOLAS FOLMER作曲のTANGO。もちろんタンゴなんですけれど泥臭さがなく洗練されていて、ラテンの明るさと哀愁が交錯する美しいタンゴになっており、聴き応えのある1曲。ドラムスのほか、カホン(ペルー発祥の箱型打楽器)などのパーカッション類やハンドクラッピングによるリズムが耳に心地よく響き、全体のアンサンブルも素晴らしいです。
3曲目はTABLEAUX DE DANIEL HUMAIRというタイトルですが、DANIEL HUMAIR(ds)の肖像画なんていうのは、お顔がちょっと怖くないですか?(笑)ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」に出てくる例の有名なフレーズをテーマに借り、モーダルにキメています。ALFIO ORIGLIOのピアノもかっくいー!
4曲目はHERVE MESCHINETが書いたタイトル曲で、ドラムス、エレクトリックベース、フェンダーローズがファンキーで強烈なリズムを繰り出しているNIGHT IN TOKYO。都会的で洗練されたHERVE MESCHINETのフルートときたら、めっちゃクールで最高のかっこよさなのです!
もうひとつのお気に入りはGILLES RENNE作曲の9曲目、雷鳴を思わせるドラムを合図に始まるLE DERNIER PYGMEE(英語ですとTHE LAST PIGMYです)。バラフォン(木琴やマリンバの祖先)というアフリカの楽器を用いているのが特徴の変わった趣の曲で、耳慣れない不思議な音階を使っているせいか、聴いているうちに部屋がアフリカのジャングルになって湿度が一気に上昇し、逆に室温は下がるような気がします。低いフルートの音色はおそらくアルトフルートなのでしょう。歌いながらフルートを吹くことによって、ヴォイスの混じったダーティーな音色を出しているのが面白い。豊かな表現力で聴き手のイマジネーションを刺激してくれるこういう曲は大好きです。
*ピグミーって何?というかたは↓こちら、ウィキペディアのページをご覧くださいね。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%B0%E3%83%9F%E3%83%BC
最後に苦言を。
10曲目、DJ CHEERSによるEARLY MORNING IN TOKYO REMIXは、打ち込みによるサウンドで好きではありません。作品をトータルとして見た場合、むしろこの曲は無いほうが良かったのではないでしょうか。
それから!
本作は2006年リリースだと思うのですが、録音年月日やスタジオ名などが記載されておらず、プロデューサーらしき名前も見当たりません。CDの盤面にいたってはタイトルはおろかアーティスト名さえもないノッペラボウで、何かのロゴがぽつんとあるだけという有様。せめてもの救いはコンパクトディスクの表示がちゃんとあること。う~む、これはちょっと、困るのですよ。CRISTAL RECORDSは優良盤をたくさん出しているフランスのレーベルなのですが、もう少し気を配って欲しいなと思いました。
■HERVE MESCHINET / NIGHT IN TOKYO (Cristal Records CD06-01)
HERVE MESCHINET DE RICHEMOND (piccolo, soprano & alt flutes)
ALFIO ORIGLIO (p, Fender Rhodes)
CHRISTOPHE LEVAN (b, el-b)
CHRISTOPHE BRAS (ds)
XAVIER SANCHEZ (cajon, hand clapping) (2, 7)
CARL SCHLOSSSER (soprano flute) (8)
GILLES RENNE (key, g) (9)
OLIVIER RENNE (ds) (9)
ALY KEITA (balafon) (9)
CHRISTOPH GAUSSENT (g) (10)
DJ CHEERS (programming, drum machines) (10)
本作は2005年リリース。全員名前を見るのも初めてでしたので、Aphrodite RecordsというレーベルのHPで試聴のうえ購入。Aphrodite Recordsは2004年に設立されたばかりで、自前のレコーディングスタジオを所有するフランスのレーベルです。
で、このアルバム、なーんとオラシオ
さんが大ファンだと仰るフランスジャズ界の大物FRANCOIS JEANEAUが賛辞を寄せているではありませんか!
"De l'energie, un langage maitrise, de belles compositions : ces Tribulations font un excellent disque."
Francois Jeaneau
↑きっと褒めてます(このさい辞書引くのは省略)。
ほぼ全編が威勢の良いハードバップで、ミディアムテンポ以下のスローなのはござんせん。ストレートアヘッドで分かりやすいですが、どちらかといえば硬派な部類で程よい現代感覚を持った洗練された演奏が私好み。ドライヴ中の眠気覚ましにも持って来いのジャズですが、ノリが良いのでくれぐれもスピードの出し過ぎにはご注意を。
息の合ったダイナミックで溌剌とした演奏は文句なしの素晴らしさ。こんなに上手い人たちが今日まで無名だったのが不思議なのですが、それは日本だけのこと。パリの有名ジャズクラブSUNSIDEやLE DUC DES LOMBARDSに出演していますので、ご当地フランスではすでに話題の、ぶいぶいいわせてるクインテットなのかもしれませんね。
アルバムタイトルのTRIBULATIONは試練(あるいは苦難)というような意味ですが、彼等が本作を世に問うことで試金石とするという意気込みから生まれたタイトルなのでしょうか。9曲全てがSEBASTIEN JARROUSSEの作曲とアレンジで、彼の洗練された作曲センスはかなりのものです。テーマに一工夫も二工夫もなされていてありきたりになっておらず、曲のアタマで聴き手を惹きつける術を心得ている。各人のソロも聴き応えがありノリが良いので、アルバムの最後まで楽しく演奏にのめり込むことが出来ます。
特にSEBASTIEN JARROUSSEのソプラノサックスは高音から低音まで綺麗に出ており、いかにも木管的な音色なので気に入りました。それとOLIVIER ROBINの少々手数の多いドラムスがなかなかに素晴らしいのです。曲の途中で急速調オクトパス的ラテン系リズムに変わったとたんにモタってたどたどしいドラミングになったりするドラマーがいますが(笑)、この人は違います。ピアノも現代感覚を持った演奏を聴かせていて光るものがあり、磨けばもっといい玉になりそうな予感。と、まあ、とにかく全員が素晴らしいです。
洗練されたヨーロッパのハードバップを聴かせてくれるSEBASTIEN JARROUSSE OLIVIER ROBIN QUINTET。気に入りました!