CAPE HORN/T.HORTA & ARISMAR DO ESPIRITO SANTO
テーマ:MUSICA BRASILEIRA !(LABEL UNKNOWN/NO No.)
ブラジルが世界に誇るマエストロ2人による連名デュオ作品。
トニーニョ・オルタ TONINHO HORTAはその知名度・高評価のわりにアルバムが手に入りにくいのが理解出来ませんし(リーダーアルバムが結構再発されましたが、彼の参加作でまだまだ入手困難なものが多過ぎるのです)、一方のアリズマール・ド・エスピリト・サント ARISMAR DO ESPIRITO SANTOにいたってはその天才がなぜにこうも世界的に知名度が低いままなのか、というまあ言ってみれば知る人ぞ知る的なコンビなのかも知れません。
しかし、彼らのプレイを一度でも聴いたことがある人なら、飛びつかずにはいられないアルバムですよね。
本作はTONINHOのヴォーカル&アコギ&エレギ、ARISMARのギターに始まるマルチプレイに加え、「ブラジルの天才両JOAO」の一人、ジョアォン・ドナート JOAO DONATOのピアノとドラムのホベルチーニョ・シゥヴァ ROBERTINHO SILVAというこれまたマエストロ、さらにはフルートでヒカルド・ポンテス RICARDO PONTESやTONINHOの妹のレナ・オルタ LENA HORTAが曲によりゲスト参加して、ただでさえクォリティが高いに決まっているこのデュオのサウンドにより華を添えているのです。
どうですどうです、気になって来たでしょう?
音楽的にはゆったり目のテンポのアコースティックブラジリアンサウンドが多くを占め、「癒される」と仰る方も少なくないでしょうが、演奏のレヴェルの高さ、深みという意味でも言うことなしの素晴らしさ。
ROBERTINHOの雨季のスコールのようなパーカッションワークと、瑞々しいTONINHOとARISMARのアコギデュオ、そしてTONINHOのなごむヘタウマスキャットがこれ以上ないくらい素晴らしいチームワークで映像的なサウンドを作り上げるオープニングのタイトル曲から最高。
ARISMARはかなりベース的にアコギを弾いてます。
その彼がスキャットでユニゾンしつついきなり盛り上げにかかる後半のパートも移り変わりの激しい大自然を描いているようでいいですねえ。
このたった4分30秒の間に器楽奏者が度肝を抜かれ感激させられ見習うべき点がてんこ盛りになっています。
だからって決して押し付けがましい暑苦しい音楽になっていない、これぞマエストロ。
TONINHOの大傑作ソロライヴ『SOLO AO VIVO』でやられた変拍子満載のポップな変態ナンバー「レンブランド・エルメート LEMBRANDO HERMETO」も収録。
ここではLENAのフルートとROBERTINHOのパーカスに2人のツインアコギのクァルテットで演奏されています。
TONINHOが尊敬するヘンリー・マンシーニ HENRY MANCINIの「ドリームズヴィル DREAMSVILLE」はオーソドックスなギタートリオ編成+オーヴァーダブのギターで、メロウなムードの中にも彼ららしい緊張感のある絡み合いが楽しめます。
ARISMAR作「ヴェスチード・ロンゴ VESTIDO LONGO」は作曲者自身によるピアノのコンピングとギターカッティングが極楽気分のかっちょええグルーヴィなサンバジャズ。
RICARDOのフルートソロもブンブク言ってるROBERTINHOのパーカスもコイサー!
ブラジリアンファンにとって見逃せないのはTONINHOの名曲「ベイジョ・パルチード BEIJO PARTIDO」とDONATOのブラジル音楽史に残る傑作「アマゾナス AMAZONAS」でしょう。
前者は完全アコギデュオのみによる滋味溢れる演奏。
たった12本の弦が織り成すこの複雑で馥郁たるハーモニー、そして美しいメロディ・・・・たまりません。
根っからギタリストのTONINHOと、ベーシストとしての感性を中心にマルチプレイをするARISIMARとのセンスの違いが如実に現れていて、それもまた深い味わいにつながっています。
「AMAZONAS」は作曲者自身のピアノとRICARDOのフルート、そしてTONINHOのギター&スキャット、ARISMARのエレベ、ROBERTINHOによるクィンテットで、あの名盤『ナラと素晴らしき仲間たち OS MEUS AMIGOS SAO UM BARATO/ナラ・レアォン NARA LEAO』の最強アレンジを踏襲した演奏になっています。
幾つになってもグルーヴの塊のようなDONATOのピアノも相変わらず最高ですし、うねりまくるエレベ、浮遊するギターワーク、そしてすすり泣くフルート、大地そのもののようなどっしりしたビートのドラム、この面子が同時に演奏すること自体が奇跡としか思えない名曲の名演です。
完全ギタートリオ(アコギ、エレベ、ドラム)のみの「ウン・ソニャドール UM SONHADOR」も、シンプルなようでいて深い、そして聞こえて来る以上に複雑なものが絡み合っているようなテイクです。
このゆったりしたムードの中に、テクニックだけでは決して届かない天才達の境地が達成されているように思います。
一転して「ソニャンド・アコルダード SONHANDO ACORDADO」では2人のスキャットと絡み合うアコギ、そして八面六臂の大活躍的パーカッションのトリオによる軽快なスキャットサンバ。
これがまたすぐ終わるんですけれどこれはこれで凄い世界だなあ。
どちらの曲も、大変残念ながら、私がどんなに努力してもこんな演奏は出来ない、というような素晴らし過ぎる世界のように感じます。
だからこそ感動もひとしおなんですけれど。
ところでこのアルバムには3曲ジャズスタンダードも収められていて、それぞれ「酒とバラの日々 THE DAYS OF WINE AND ROSES」「インヴィテイション INVITATION」「ウォッチ・ワット・ハプンズ WATCH WHAT HAPPENS」なのですが、中でもオススメはDONATO、ROBERTINHOとのクァルテットによる「INVITATION」。
これもまたこのメンバーならでは、という個性的なムードの演奏になってまして、もちろんジャズ的に見ても超一流のレヴェルです。
彼らの用いる音のマジカルさって本当に素晴らしい。
自分の拙い言葉が、それを表現するのに到底届かないのがもどかしくて仕方がありません。
というわけで逃げの一手として↓に視聴出来るウェブページへのリンクを張ってみました(笑)。
ブラジル音楽があらゆる人に開かれた素晴らしい世界であることをしっかりと感じさせてくれる名盤です。
入手が大変に難しい作品ですので、街やネット上で見かけられた時は絶対に逃さないで下さいね!
http://www.arismardoespiritosanto.com.br/cd_capehorn+.html
Personnel:TONINHO HORTA(EG,AG,VO),ARISMAR DO ESPIRITO SANTO(EB,EG,AG,Pf,VO),ROBERTINHO SILVA(DS,PERC),JOAO DONATO(Pf),RICARDO PONTES(FL),LENA HORTA(FL)
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