晴れ時々ジャズ -35ページ目

晴れ時々ジャズ

日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

それは雨がよく降る日の夕暮れ時だった。学校から帰って来た中3の息子が「ただいま」も言わずに玄関で叫ぶ。
「お母さ~ん、こっち来てー!ほら、見て!」
その一言を聞いたとたん、まだ見ないうちから、なぜ私はそれが子猫だとわかったのだろう?

玄関へ行くと、息子が抱えるカバンの中から顔だけ出してこっちを見ている。可愛い!!
「雨に濡れてかわいそうやったから連れて来た。」
と、息子が言った。

ニャーニャーいう子猫の足を二人がかりで雑巾で拭いて、床へ下ろしてやると、子猫はさっそく家の中を探検し始めた。軽々とした足取りと身のこなしで階段を駆け登り、廊下の突き当りまで行き、各部屋のあちこちをまわり、くまなく匂いを嗅ぎまわって点検する。
脚、腹、顔の中心は白く、そのほかは黒っぽいグレーのシマシマ模様で、わき腹の斑点模様が「ワイルドで行こう」(なんじゃそら?)の綺麗な猫だ。生後3ヶ月ぐらいだろうか。黒いアイラインに縁取られた金茶色の目をしたかなりの男前で、将来が楽しみだ。身体をなでてやるとゴロゴロと喉を鳴らし、尻尾をピーンと立てているので機嫌が良いと分かる。この家が気に入ったのだろうか?

食堂のテーブルにはすでに晩御飯の支度が整っていたので、二人と一匹は応接間に閉じこもった。息子が子猫を連れて帰るときの話に耳を傾けながら、子猫の可愛らしい仕草をうっとり眺めていると、早くも私の頭の中では、キャットフード、エサ入れ、猫用トイレ、猫用キャリーケース、赤い首輪、猫じゃらしだのといった買い物リストがぐるぐると渦を巻き、子猫に予防注射を受けさせる動物病院までリストアップしている始末(笑)
ああ、とうとう我が家でも猫を飼える日がやってきたのか?いつかこんな日がやって来るのではと思っていたけれど...。そう思ったとたん、嬉しさで急に胸がドキドキしてきた。と、そのとき、
「ただいまぁ~。」
と、夫が帰ってきた。
「お帰りなさ~い!」
と言ってドアを開けると、夫が食卓に着くのと子猫がテーブルに飛び上がるのが同時だった。マズイ!
夫はすぐさま
「こら!」
と言って、猫を追い払った。

私:「ねえねえ、この猫、飼ってもいい?」(ちょっと上目づかい)
夫:「だめ。」(私と目を合わそうともしない)
息子:「やっぱりな。」
子猫:「ゴロゴロ...」(もうこの家に住むと決めている?)

子猫は人に慣れているし毛並みも綺麗で健康そうなのでノラではないだろう。きっと飼い猫に違いない。このまま家で飼うと、元の飼い主を悲しませることになるかもしれない。たとえノラであっても、これだけ元気で可愛らしい子猫だもの、そのうち親切な人が拾ってくれるだろうし、たとえ誰も子猫を拾ってくれなかったとしても、ここまで元気に育った子猫なら、独りでたくましく生きて行けるだろう。
そんな理屈で無理やり自分を納得させて、私は息子に言った。
「もといた場所に子猫を返して来なさい。」

二人で子猫をカバンに入れようとするが、するりと抜け出してしまい、なかなか入ろうとしない。ニャーニャー鳴いていやがる子猫を優しくカバンへ押し込むようにしてようやくファスナーを閉めた。
  カバンに押し込まれてご機嫌ななめだけど、可愛い!
子猫を見つけた場所の近くに息子の友達の家があるそうで、友達が子猫にメロンパンのかけら(笑)を与えている間に、息子はダッシュで帰ってきたという。
人間が保護してやらないと生きていけないほど幼かったとしたら、あの子猫はきっと我が家か、あるいは誰か他の人の家で飼われる事になっていただろう。
あれから一週間が過ぎたけれど、今でも思い出すと、夫の前で、わざと未練がましく、ため息混じりに口に出してみたりする。
「あの猫、可愛かったな...。今頃どうしてるかな~。」と。
  小浜市へ向かう途中の海は嵐の前の静けさ
台風前の蒸し暑い一日となった今日、福井県小浜市へ行ってまいりました。
小浜市内のフレンチレストランでの昼食が目的だったのですが、この日はちょうど“放生祭(ほうぜまつり)”の二日目とのことで、食事を済ませるとさっそく見物となりました。
“放生祭”とは
 八幡神社の例祭で、古くは放生会(ほうじょうえ、すなわち殺生を戒め、捕らえられた魚や鳥を池や山に放つ儀式)が行われていたので「放生祭(ほうぜまつり)」の名で親しまれている。
 大太鼓・神楽・獅子・御輿、山車の演し物が、旧小浜町内を巡行し、芸や囃子を披露する。演し物は江戸時代に小浜城下の町人町の居住区であった24区が担当し、隔年で12区ずつが出ている。中には、江戸時代の祇園祭礼の頃から300年以上の歴史をもつ物もある。 (パンフレットより引用)
今日は「渡御・還御の儀」が行われるとのことで、JR小浜駅前の商店街の通りは、小浜市民はもとより、一眼レフのカメラを構えるおじさんたち、犬を連れた家族連れ、若いカップルなどなどの観光客も混じり、沢山の人出で賑わっていました。沿道には屋台もずらりと出ていました。
  太鼓の男の子たちは真剣です(浅間山)
  大人は笛と鉦(浅間山)
  浅間山の後ろ姿は西陣織かな?
  休憩中の女の子たちは楽しそう(貴船山)
  貴船山の後ろ姿は若狭富士と天女?“羽衣伝説”かもしれません
  大きな布袋さんのお顔が(布袋山)
  布袋山の後ろ姿は中国画
  勇壮な若衆による御輿
  練り歩く大太鼓
さすがは若狭の小京都と呼ばれるだけあって、どれも素晴らしい山車で見ごたえがありました。時間の都合で神楽・獅子・山車の演し物などのクライマックスのシーンは観ることが出来ませんでしたが、“放生祭”の雅な情緒、伝統行事を守る小浜市民の心意気が十分に感じられて、とても良い観光が出来ました。
気になる新譜をいくつか。
ベースがTHOMAS BRAMERIEなのです。私は歌伴でしか聴いたことがないMULGREW MILLERですが、最近リーダー作を次々に出していて気になるピアニストではあります。

■PIERRICK PEDRON / DEEP IN A DREAM (Nocturne NTCD 399) (2006年9月4日発売)
PIERRICK PEDRON (as)
MULGREW MILLER (p)
LEWIS NASH (ds)
THOMAS BRAMERIE (b)

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JEAN-PIERRE COMOの新譜が出ます!

■JEAN-PIERRE COMO / L'AME SOEUR (Nocturne NTCD 390) (2006年10月2日発売予定)
PAOLO FRESU (tp, flh)
SYLVAIN BEUF (ts, ss)
DARIO DEIDDA (b, el-b)
MININO GARAY (perc)
CHRISTOPHE GIOVANINETTI (vn)
PIERRE BERTRAND (direction)

これまで編成が分からなかったのですが、キャットフィッシュレコードさんで本盤が紹介されていました。う~む、なかなか豪華な顔ぶれですね。

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NICOLAS FOLMERのリーダー作第2弾がいよいよリリースされます!PIERRE-ALAIN GOUALCH参加。
■NICOLAS FOLMER / FLUIDE (Cristal Records) (2006年10月12日発売予定)
NICOLAS FOLMER (tp)
PIERRE-ALAIN GOUALCH (p)
JEROME REGARD (b)
THOMAS GRMMONPREZ (ds)
STEPHANE HUCHARD (ds)

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来年1月発売予定の新譜とその音源(たぶん)について。
当ブログの3月11日付けの記事 「新譜と来日アーティスト」で
PIERRE-ALAIN GOUALCH (p)
DARRYL HALL (b)
REMI VIGNOLO (ds)
のトリオが、2006年1月18日、19日にパリのジャズクラブLE DUC DES LOMBARDSで行なったライヴを収録したアルバムがリリースされるとのことです。
と書いたことがありましたが、そのトリオの音源(たぶん)が見つかりました。
ベーシストのREMI VIGNOLOがドラムスを担当しているというちょっと珍しいギグです。
このページでお聴きになれます。
1.NOT FOR SALE
2.YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
3.CHEROKEE
1.はLOVE FOR SALEを下敷きにしたPIERRE-ALAIN GOUALCHのオリジナル曲なのですが、GOUALCHの唸り声が凄いのなんのって、あーた。オーディエンスの「こいつ、大丈夫か?」という呆れ顔が目に浮かぶようです(笑)
LE DUC DES LOMBARDSで行われたこのライヴは、Cristal Recordsより2006年1月にCDが発売されるとのこと。タイトルはまだ分かりません。早く聴きたい!
PIERRE DE BETHMANN(1965年、フランスのボローニュ・ビランクー生まれ)がピアノで参加するバスクラリネット奏者の初リーダー作ということで入手してみました。サイドメンは他にSTEPHANE KERECKI(b)(1970年9月2日パリ生まれ)(←どっかで名前見たたことあるな~と思ったら、PARIS JAZZ BIG BANDのベーシストでした)、KARL JANNUSKA(ds)(1975年12月31日、カナダ生まれ。パリ在住)、MICHAEL FELBERBAUM(el-g)(生年不詳、イタリア生まれ、アメリカ育ち。フランス在住)という面々。それぞれがリーダー作を出して活躍中のジャズメンばかりとあって、アンサンブルも素晴らしいです。

THOMAS SAVYをご存知の方はほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。私もそうでした。で、少しググッてみましたら、THOMAS SAVYは、バスクラリネット以外にクラリネット、テナーサックス、バリトンサックス、フルートをマルチにこなすプレイヤーだということです。以下にTHOMAS SAVYのプロフィールを簡単に。

THOMAS SAVY(1972年、パリ生まれ)はパリの国立地方音楽院でクラリネットのクラシック奏法を学び、そこで1993年に受賞もしています。1994年からパリ国立高等音楽院のDEPARTMENT JAZZ ET MUSIQUES IMPROVISEESで、FRANCOIS JEANNEAU、HERVE SELLIN、JEAN-FRANCOIS JENNY-CLARK、DANIEL HUMAIR等の指導を受けて腕を磨き、そこで1997年に受賞。ジャズを学ぶことと平行して、リーダー、サイドメンとしてジャズクラブに精力的に出演。 -中略- ジャズのスモールコンボ、ビッグバンドはもちろんエレクトロまで、ライヴとレコーディングの両方で幅広く活動。ここ数年では、VINCENT ARTAUD / ARTAUD(B-Flat Recordings)、PIERRICK PEDRON / CLASSICAL FACES (Nocturne)、CHRISTOPHE DALSASSO / EXPLORATION (Nocturne)(←あ、コレ持ってるやん。ピンと来んかったけど(;^_^A)といったアルバムに参加しています。

さて、本作は2004年11月と2005年6月に録音、2006年にリリースされたフランス人マルチリード奏者THOMAS SAVYの初リーダー作。10曲全て彼のオリジナルで、彼が本作で演奏するのはバスクラリネット一本だけです。4ビートジャズから、8ビートロック、現代音楽的あるいはクラシック的な趣の即興ソロ、ごくゆったりとしたテンポの静かな楽曲まで様々な表情を見せていますが、散漫な印象は受けませんでした。
ではお気に入りの曲を中心に印象を書きましょう。
1曲目のVALSE EN T'ATTENDANTは、軽快なワルツ。中間部からしだいに盛り上がってエキサイティングに。
2曲目のROCK ONは、ハードで厳つい8ビートロック。悲鳴に似た超高音から肋骨を震わせる重低音までの縦横無尽なバスクラのソロがド迫力で迫ります。あ、それからギターの人、ソロのときは遠慮せんと思いっ切りブチ切れてくれたらええのよん(笑)
3曲目のPOUR PIERREは、バスクラの中~高音域を生かした素朴な美しさのある優しいメロディがルバートで軽やかに流れる曲。
一番のお気に入りは4曲目のSINGLE TRACK ROAD。7拍子を主体に変拍子と4ビートを組み込んだスピード感と都会的雰囲気がかっこええのなんのって。エネルギッシュでタイトな演奏が素晴らしく、特にKARL JANNUSKAのドラミングが光る。
これもお気に入り、6曲目の《ARCHIPEL, ARCHIPEL...》は、美しく、哀愁を帯びた叙情がステキ。優雅さと気品のあるバスクラ、少々翳のあるピアノソロがいいです。
8曲目のTHE DREAM OF THE KINGは、メルヘンチックなメロディかと思いきや、転調を繰り返しながら複雑怪奇で実にややこしい展開になって行くところが面白い。
10曲目のSOME OF THE THINGS WE AREは、バスクラとベースのデュオで、古きよき時代の雰囲気が漂う気楽な感じの4ビートジャズ。遊び心も見せるウォーキングベースと暖かな音色のバスクラがいい感じ。
THOMAS SAVYのバスクラはコントロールが効いており、不安定なところは微塵もありません。滑らかな運指で高音域から低音域まで綺麗でまろやかな音が出ていますし、ジャズには欠かせない(?)ヘンな音だって任せとけ!なのです。バスクラ一本をフロントに据えたジャズ作品を聴いたのは初めてだったのですが、なかなか素晴らしいのではないかなと思いました。作曲の腕も確かで、聴き応えのある楽曲が揃っています。
それから、サイドメンの中で初めて演奏を聴いて注目したのがドラマーのKARL JANNUSKA。この人上手いですね。少々手数が多くセンスの良い凝ったドラミングで聴き応えがあり、しかも出しゃばらない。曲の変化に合わせてムードを創っていくのが上手いし、オカズの入れ方も私好み。今度KARL JANNUSKAの新作(とか気になる参加作)が出たら是非聴いてみよっと。
御用とお急ぎでないかたはPIERRE DE BETHMANNのHPをご覧ください。
            http://www.pierredebethmann.com/
こちらはTHOMAS SAVYが所属するTHE PEPPER PILLS BIG BAND(←ヘンな名前)のHP。どんな音なんでしょう。
            http://www.penelope04.com/PPBB/Bienvenue%20.html
MICHAEL FELBERBAUMのHPもありました。
            http://www.michaelfelberbaum.com/

■THOMAS SAVY / ARCHIPEL (Nocturne NTCD 382)
THOMAS SAVY (bcl)
MICHAEL FELBERBAUM (el-g)
PIERRE DE BETHMANN (p)
STEPHANE KERECKI (b)
KARL JANNUSKA (ds)

VINCENT ARTAUD (artistic director)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
しぶちゃさん から速報が。
STEFANO BOLLANIが11月に来日するらしいのです。
やったーっ!今度こそ絶対に行くもんね。気合だぜっ!
ここ(ECM)をご覧くださいね。
それから裸天馬様よりご親切にボラちゃん来日情報についてコメントを頂戴しましたので、追加訂正(9/10)致します。
ここ(ECM)と、
ここ「中川ヨウのミュージック・ダイアリー」もご覧ください。
「中川ヨウのミュージック・ダイアリー」によりますと、銀座インターナショナル・ジャズ・フェスティバルで来日する可能性ありとのこと。
詳細はまだ発表されていませんが、第2回ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル2006のページは、
こちらです。
ということで、ボラちゃんの来日公演は10月31日から11月5日までの6日間ということになります。
しぶちゃさん、それから裸天馬様、情報提供ありがとうございました。
会場は?メンバーは?チケット入手法は???
詳細が分かりましたら、また書くことにいたします。
つい最近届いたドングリです。

1)■BEBO FERRA - PAOLINO DALLA PORTA / ARIA (Obliqsound OS 505) (ただいま聴きまくり中)
2)■MICHEL PORTAL / DOCKINGS (Label Bleu LBLC 6604) (未聴)
3)■ALFIO ORIGLIO / PASSEGGIATA (Cristal Records AO 2311) (未聴)
4)■TOMASZ STANKO QUARTET / LONTANO (ECM Records ECM 1980) (未聴)
5)■STEFANO BOLLANI / PIANO SOLO (ECM Records ECM 1964) (未聴)
6)■JOHN SCOFIELD / LIVE - ENROUTE (0602498613573) (未聴)


1)すずっくさん のお薦め盤。国内盤は10月25日に出るらしいですね。これは秋の夜長に静かに聴きましょう。
2)泣く子も黙る(?)フレンチジャズ界の重鎮マルチプレイヤーは、これで3枚になりました。
3)お気に入りピアニストの2作目。これで3枚とも揃いました(^_^)v
6)ふっふっふ...。ジョンスコさんのリーダー作を初めてゲット♪
はい、フランスのジャズピアニストALFIO ORIGLIOのほやほやの新譜です。と書いてみたって、
「またまたアーティチョークさんたらぁ、こんなマイナーなピアニスト、誰も知らんがな。」
という声がどこからともなく聞えてきそうなので、そんな皆様のために少し調べてみました(せっかくだから読んでね)。
リーダーのALFIO ORIGLIOは、グルノーブルとアヌシーの国立地方音楽院でクラシックピアノを学んだ後、早くにジャズに転向し独学の後、さらにBERNARD MAURY、MARTIAL SOLAL、RICHIE BEIRACHに師事。ANDRE CECCARELLI、STEPHANO DI BATTISTA、DENIS LELOUP、DIDIER LOCKWOOD、また、HENRI SALVADOR、SALIF KEITA等とツアーで共演。PARIS JAZZ BIG BAND、NICOLAS FOLMER、HERVE MESCHINET、HENRI SALVADOR、CLAUDE NOUGARO等々のアルバムレコーディングに参加しています。

ALFIO ORIGLIO(生年不詳、フランスの南部出身)の演奏を初めて聴いたのは、彼の初リーダー作RICORDO (Cristal Records)でした。これはANDRE CECCARELLI(ds)、REMI VIGNOLO(b)が参加するピアノトリオ作品で、現在でも愛聴しています。その後、PARIS JAZZ BIG BAND、NICOLAS FOLMER(tp)のリーダー作、HERVE MESCHINET(flutes)のリーダー作などで演奏を聴くうちに、ALFIO ORIGLIOはすっかり私のお気に入りピアニストとなりました。
ALFIO ORIGLIOのピアノの特徴を一言で表現するなら“エレガント”。特に、彼の卓越した和声感覚が凄い!抜群のセンスによる美しい和声の組み立て方としなやかなタッチによって生み出されるメロディアスで流麗なピアノパフォーマンスからは、気品とロマンティシズムがにじみ出ています。一方で、曲の盛り上げ方も上手く、唸り声とともに繰り広げる彼のアドリブにはパッションを感じますし、ときおり特殊奏法も交えたピアノも確かな技量に基づくもの。甘ったるいだけの軟弱ピアノなら私も御免こうむりたいですが、ALFIO ORIGLIOは違う。もちろん作曲も素晴らしいのです。

ALFIO ORIGLIOの3作目にあたる本作は2004年11月録音、2006年リリース。アルバムタイトルのASCENDANCESとは「祖先」とか「遺伝」という意味のようですが、ALFIO ORIGLIOの名前から想像するに、彼の祖先はスペイン人なのかもしれません。本作にはフラメンコスタイルの曲もありますし、ほとんどの曲にスペイン音楽のフィーリングが感じられます。
全10曲のうち8曲がALFIO ORIGLIOの作曲。あとはVINCENTE AMIGO(1968年(?)スペイン、セビリア生まれのフラメンコギタリスト)の曲とメンバーによる共作です。
XAVIER SANCHEZ(1968年7月3日、フランスのグルノーブル生まれ)は、ALFIO ORIGLIOの2作目から参加し、ORIGLIOと共にPARIS JAZZ BIG BANDやHERVE MESCHINETのリーダー作にも参加していたパーカッション奏者。本作ではカホンを中心に、タブラ、カウベル、ウッドブロック、シンバル、コンガ、ハンドクラッピングなどを駆使(オーヴァーダビングあり)しています。
LAURENT VERNEREY(生年不詳)は初めて聴くのですが、ポップスシーンで活動するベーシストだそうで、本作ではフレットレスのエレクトリックベース(1曲のみウッド)を弾いています。
ほかにはフランスで活動するブラジル出身のMRACIA MARIAがヴォーカルで、フラメンコダンサーSHARON SULTANがステップ音(!)で1曲ずつに参加しています。

以下お気に入りの曲について簡単に。
1曲目、タイトル曲のASCENDANCESは、優美な和声の響きを持つピアノとキレの良いパーカッションによってそこはかとなく美しいラテンフィーリングを醸し出す軽快な曲。中間部ではALFIO ORIGLIOのソロが唸り声を上げてしだいに盛り上がりを見せます。
2曲目のSACHAは、ゆったりしたテンポのカリプソ的フィーリング、切なく甘美なピアノと美しく官能的なベースラインがステキ!SACHAというのは女性の名前だと思うのですが、彼女はしとやかでミステリアスな雰囲気をたたえるとびきりの美人ですぞ。
哀愁と陽気が交錯する7曲目のTRES NOTAS、8曲目のフラメンコダンサーのステップ音がフィーチャーされた小曲のLA BLONDE DES RIVOIRES、9曲目のBIANCAVILLAなどはいずれもスペイン音楽やフラメンコのフィーリングがたっぷり。XAVIER SANCHEZのパーカッション類が小気味良いリズムを生み出し、ALFIO ORIGLIOのピアノが叙情と内に秘めた激情を感じさせる素晴らしい演奏を聴かせます。
このほかにもステキな曲がいっぱい。
ご参考までにリーダー作と参加作品をピックアップしてみました。
■ALFIO ORIGLIO / RICORDO (Cristal Records AO 1001) (愛聴盤)
■ALFIO ORIGLIO / PASSEGGIATA (Cristal Records CRCD 0169) (持っていないので注文済み。LOUIS WINSBERG(g)等が参加)
■ALFIO ORIGLIO / ASCENDANCES (Cristal Records CRCD 0617) (本作)
■HERVE MESCHINET / NIGHT IN TOKYO (Cristal Records CD06-01) (当ブログの記事 をご覧ください)
■PARIS JAZZ BIG BAND / MEDITERRANEO (Cristal Records PJBB 02) (けっこうお気に入り)
■PARIS JAZZ BIG BAND / PARIS 24 H (Cristal Records CRCD 0401) (当ブログの記事 をご覧ください)
■NICOLAS FOLMER / I COMME ICARE (Cristal Records CRCD 0409) (当ブログの記事 をご覧ください)
*どうでもいいオマケ
当ブログ名物(ホンマかいな)の「唸るピアニストシリーズ」です。
  1.「ユニゾってますね」的唸り声:ちゃんとピアノの演奏とユニゾンになっている唸り声。
  2.「ご機嫌ですね」的唸り声 : 本人はきっとユニゾンのつもりだが、
    実際にはぶら下がっていたり大きく音が外れている唸り声。
  3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、
    悪夢にうなされているかのような唸り声。
  4.「救急車呼びましょか!?」的唸り声 : 明らかに尋常ではなく、一刻を争う場合の唸り声。
ALFIO ORIGLIOさんは明らかにレベル3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声です。うっとりするほどのロマンティシズムとはうらはらの、唸り声を上げてのアドリブは、やはりラテンの血のなせる業なのでしょうか?

XAVIER SANCHEZのHPはこちら。 
    http://www.xaviersanchez.net/

■ALFIO ORIGLIO / ASCENDANCES (Cristal Records CRCD 0617)
ALFIO ORIGLIO (p)
LAURENT VERNEREY (el-b, b)
XAVIER SANCHEZ (perc)

SHARON SULTAN (dance) (8)
MARCIA MARIA (vo) (5)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)
ジャズの雑誌や本はほとんど買ったことがありません。これまでに買ったのは『ジャズライフ』が5冊、『スイングジャーナル』が1冊と『ジャズ批評』が1冊という(笑)
興味のある記事が載っていないし、お気に入りのアーティストのインタビューなどもめったに無いからというのが買わない理由ですが、今回は確実に入手するために本屋さんで取り置きしてもらい、書店から「入荷しました」の電話を貰うなりすぐさま気合とともに買ってまいりました(笑)そしたら気合が入りすぎて、書店へ向かう途中、制限時速30キロの道を50キロのスピードで走ってしまいました(;^_^A
『ジャズ批評』2006年9月号No.133です。
これにブログのお仲間であるオラシオ さんの投稿記事が掲載されているのです!いや~、凄いですねー。
オラシオさん、おめでとうございます!!
オラシオさんの記事は、いつもブログ『オラシオ主催万国音楽博覧会』で拝読しておりますが、有名ジャズ誌に掲載された文章を読むとなると、また格別の感慨があります。ポーランドジャズについて造詣の深いオラシオさんのことですから、漠然といつかこういうこともあるかもしれないとは思っておりましたけれど、実際に記事を『ジャズ批評』で拝読することが出来て私も大変に嬉しいです!だってだって、オラシオさんのブログがきっかけで、ジャズ初心者の私がポーランドのジャズの美しさを少しだけかじることが出来て、そしてさらには、ポーランドの重鎮トランペッターTOMASZ STANKOが率いるTOMASZ STANKO QUARTETの素晴らしいライヴを駐日ポーランド共和国大使館で体験することが出来たのです。
オラシオさんの記事のタイトルは、
ポーランドジャズ - 「磨かれた世代」のピアノ・トリオの名盤たち -
むむむ、まずこのタイトルが憎いじゃありませんか!つまり、記事の本文を見ると分かるのですが、
POLISHED GENERATION(磨かれた世代)
POLISHED「磨かれた」という形容詞に関連してPOLISH「磨く」「(知的に)洗練する」という意味の動詞がありまして、発音は違いますが全く同じスペルでPOLISH「ポーランド(人・語)の」という形容詞と「ポーランド語」という名詞もあるのです。とってもステキなタイトルですよね!
さっそく見開き2ページに渡るオラシオさんの記事を拝読しました。
ああ、やはり知らないミュージシャンの名前がずらり(笑)でもSIMPLE ACOUSTIC TRIOとSLAWEK JASKULKEの名前も見つけて、ちょっぴり嬉しい。私としては、この記事で紹介されている

■SCOTT HOLMAN / DON'T WAKE THE KIDS

っていう作品が凄く気になる。だって、ジャケが可愛いらしすぎ!(笑)これ、今でも手に入るんでしょうか。ポーランドジャズの素晴らしさが凝縮していて読者に伝わる記事になっていますよね、きっと。
それにしても、ポーランドジャズの素晴らしさを語るには、2ページという枠はいかにも少なすぎるのではないでしょうか。『ジャズ批評』一冊まるごとぐらいでないと。制限された文字数でいかにポーランドジャズの素晴らしさを語るかという点で、オラシオさんはずいぶん苦労なさったと思います。
ポーランドジャズにはピアノトリオ作品が少ないということですので、それならなおのこと、ぜひシリーズとして継続して掲載されることを望みます。そうでないと、今回せっかく記事が掲載されたものの、たったの2ページではオラシオさんのポーランドジャズの造詣のうち、ほんの一部を端折った感じがして、非常にもったいない。ポーランドのジャズが日本のジャズ人口に膾炙しているとは思えないので、これがシリーズ化されればポーランドジャズの認知度も少しは高まるのではないかと思うのです。
今日発売になったばかりの『ジャズ批評』2006年9月号No.133。ぜひ皆さんも書店で手にとってご覧になってくださいね。
FLORIAN ROSS(1972年、ドイツ生まれ)のリーダー作には、決まってタイトルに“and”とか“&”がついています。何故でしょうか???

1作目はSEASONS & PLACES (Naxos) (お気に入り。二管クインテット)
2作目はSUITE FOR SOPRANO SAX AND STRING ORCHESTRA (Naxos) (これだけ持っていないのです。)
3作目はLILACS AND LAUGHTER (Naxos) (あまり聴き込んでいない。大編成のブラスが入る)
4作目はBLINDS & SHADES (Intuition) (お気に入り。ピアノトリオ)
5作目はHOME & SOME OTHER PLACE (Intuition) (お気に入り。二管クインテット)


予想通り、新作のタイトルBIG FISH & SMALL PONDにも“&”がついていました(笑)全13曲のうちGIANT STEPSの1曲を除いてすべてFLORIAN ROSSのオリジナル。これまでの作品でブラスが入る編成では概ね4ビートが中心で、新感覚のハードバップのスタイルでキメてくれたりもして「うひゃー、かっこいいー!」とか「う~む、爽快!」となるのですが、4作目のBLINDS & SHADESや本作でのピアノトリオという演奏形態のときは、いわゆる4ビートではなく、変拍子系で少々先端を行く斬新で個性的な楽曲が多いです。

FLORIAN ROSSは、凄腕のピアニストであることはもちろんですが、まずなんといっても作曲とアレンジのセンスが素晴らしい!作品を追うごとにソリッドで完成度が高くなってきている感じさえ受け、本作などは何度繰り返して聴いても全く飽きないです。内省的で心象風景を表現しているかのような叙情性もあり、ただ甘美なだけで終わらない奥行きの深さとアイディアやイマジネーションも感じられて、彼の才能の豊かさと独創性にはいつも驚かされます。
DIETMAR FUHR(1964年、ドイツのケルン生まれ)は、1作目のSEASONS & PLACESから参加しているベーシストで演奏はなかなかの素晴らしさ。個人的にお気に入りの辣腕ドラマー、STEPHANE HUCHARD(生年不詳、モルディヴ生まれ)は、前作のHOME & SOME OTHER PLACEから起用されています。4作目のピアノトリオ作品BLINDS & SHADES も素晴らしかったのですが、本作のトリオの演奏も前作と甲乙つけがたくタイトで聴き応えがあり、高品質なアルバムになっています。

では、お気に入りの曲について簡単に感想を。
1曲目のPUDDLES - SWIM Ⅰは水の揺らぎを思わせるピアノの音が印象的。これと4曲目、8曲目、10曲目は組曲になっていて、表現力も豊かです。
2曲目のLUCKY FOR A QUARTERは、牧歌的で爽やかな印象。FLORIAN ROSSの即興のセンスとフィーリングは素晴らしい。ベースソロもなかなかです。親しみやすいメロディでリラックスして聴けますので、7曲目、ゆったりとした3拍子のCOMPARED TO WHAT ? とともに一般受けもしそうな感じ。
一番のお気に入りは3曲目、TIZZIE WHIZZIE。奇妙でユーモラスなタイトルですが、どういう意味なんでしょうか。「ツンツン、ビュンビュン」っていうようなニュアンス?(笑)複雑なリズムや変拍子の面白さが堪能出来る楽曲の構築美といい、タイトでスピード感みなぎるアンサンブルといい実に素晴らしいです。特にFLORIAN ROSSのピアノ、STEPHANE HUCHARDのドラムスには目を見張るものがあります。これ聴くときは、ちょっとだけヴォリュームを上げて演奏にのめり込みたい。
4曲目のSMALL POND - SWIM Ⅱは、やはり水を連想させる音です。次々と水面に現れては消えてゆく波紋を表現するピアノ。水面を伝わってくる反響音を表現するかのようなドスの効いたベース(おそらく5弦ですね)。そして力強いベース音がクローズアップされるとピアノの特殊奏法も相まって不気味なムードを醸し出す。この池の底には何か得体の知れない生き物(大きな魚?)が潜んでいそう。
6曲目のHEADS UPなどで次から次へと紡がれるピアノの様々なフレーズを聴いていると、FLORIAN ROSSがいかに優れたひらめきを持つアドリブ奏者であるかが良く分かります。
8曲目のBIG FISH - SWIM Ⅲは無調でスリリングなアップテンポがリタルダンドして終わる。フリーフォームのようにも聴こえますが、綿密に計算された演奏のようにも聴こえます。
9曲目のPETIT PAULは美しいメロディが印象的。清新さと内に秘めた力強さを併せ持つ素晴らしい曲で、何度でも繰り返して聴きたくなります。STEPHANE HUCHARDの少々音数の多いドラミングも光る。
これらのほかにも良い曲があります。

日本におけるFLORIAN ROSSの知名度、人気、評価といったものがどの程度なのかいまひとつ分かりませんが、作曲、アレンジ、演奏ともに卓越しており、コンスタントに質の高い作品を創造し続ける彼には“才気煥発”という言葉が似合っています。現代のジャズシーンにおいてFLORIAN ROSSは逸材の一人として数えられるべき人物ではないでしょうか。彼のような優れた若いミュージシャンたちが活躍することで、ジャズの未来は明るいと考えています。ジャズは決して死んでなどいないのですよ。

御用とお急ぎでないかたはFLORIAN ROSSの↓HPへどうぞ。
              http://www.florianross.de/

■FLORIAN ROSS TRIO / BIG FISH & SMALL POND (Intuition INT 3396 2 )
FLORIAN ROSS (p)
DIETMAR FUHR (b)
STEPHANE HUCHARD (ds)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)

近々リリース予定の気になる新譜について。
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ボラちゃんとガットーさんのデュオで2枚組。2002年と2005年のライヴ録音らしい。

■STEFANO BOLLANI, ROBERTO GATTO / GERSHWIN & MORE...LIVE ! (Philology) (8月発売予定)
STEFANO BOLLANI (p)
ROBERTO GATTO (ds)
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3月11日付の当ブログにも少し書きましたが、只者じゃないマルチリード奏者STEPHANE GUILLAUMEの新譜のタイトルとレーベルが分かりました。早く聴きたい!

■STEPHANE GUILLAUME / INTRA-MUROS (O+Music) (9月発売予定)
STEPHANE GUILLAUME (sax, fl)
MARC BURONFOSSE (b)
ANTOINE BANVILLE (ds)
FREDERIC FARAVEL (g)
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只今↓コレを聴きまくり中。そのうち記事にします。
■FLORIAN ROSS TRIO / BIG FISH & SMALL POND (Intuition INT 3396 2 )