ALFIO ORIGLIO / ASCENDANCES | 晴れ時々ジャズ

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日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

はい、フランスのジャズピアニストALFIO ORIGLIOのほやほやの新譜です。と書いてみたって、
「またまたアーティチョークさんたらぁ、こんなマイナーなピアニスト、誰も知らんがな。」
という声がどこからともなく聞えてきそうなので、そんな皆様のために少し調べてみました(せっかくだから読んでね)。
リーダーのALFIO ORIGLIOは、グルノーブルとアヌシーの国立地方音楽院でクラシックピアノを学んだ後、早くにジャズに転向し独学の後、さらにBERNARD MAURY、MARTIAL SOLAL、RICHIE BEIRACHに師事。ANDRE CECCARELLI、STEPHANO DI BATTISTA、DENIS LELOUP、DIDIER LOCKWOOD、また、HENRI SALVADOR、SALIF KEITA等とツアーで共演。PARIS JAZZ BIG BAND、NICOLAS FOLMER、HERVE MESCHINET、HENRI SALVADOR、CLAUDE NOUGARO等々のアルバムレコーディングに参加しています。

ALFIO ORIGLIO(生年不詳、フランスの南部出身)の演奏を初めて聴いたのは、彼の初リーダー作RICORDO (Cristal Records)でした。これはANDRE CECCARELLI(ds)、REMI VIGNOLO(b)が参加するピアノトリオ作品で、現在でも愛聴しています。その後、PARIS JAZZ BIG BAND、NICOLAS FOLMER(tp)のリーダー作、HERVE MESCHINET(flutes)のリーダー作などで演奏を聴くうちに、ALFIO ORIGLIOはすっかり私のお気に入りピアニストとなりました。
ALFIO ORIGLIOのピアノの特徴を一言で表現するなら“エレガント”。特に、彼の卓越した和声感覚が凄い!抜群のセンスによる美しい和声の組み立て方としなやかなタッチによって生み出されるメロディアスで流麗なピアノパフォーマンスからは、気品とロマンティシズムがにじみ出ています。一方で、曲の盛り上げ方も上手く、唸り声とともに繰り広げる彼のアドリブにはパッションを感じますし、ときおり特殊奏法も交えたピアノも確かな技量に基づくもの。甘ったるいだけの軟弱ピアノなら私も御免こうむりたいですが、ALFIO ORIGLIOは違う。もちろん作曲も素晴らしいのです。

ALFIO ORIGLIOの3作目にあたる本作は2004年11月録音、2006年リリース。アルバムタイトルのASCENDANCESとは「祖先」とか「遺伝」という意味のようですが、ALFIO ORIGLIOの名前から想像するに、彼の祖先はスペイン人なのかもしれません。本作にはフラメンコスタイルの曲もありますし、ほとんどの曲にスペイン音楽のフィーリングが感じられます。
全10曲のうち8曲がALFIO ORIGLIOの作曲。あとはVINCENTE AMIGO(1968年(?)スペイン、セビリア生まれのフラメンコギタリスト)の曲とメンバーによる共作です。
XAVIER SANCHEZ(1968年7月3日、フランスのグルノーブル生まれ)は、ALFIO ORIGLIOの2作目から参加し、ORIGLIOと共にPARIS JAZZ BIG BANDやHERVE MESCHINETのリーダー作にも参加していたパーカッション奏者。本作ではカホンを中心に、タブラ、カウベル、ウッドブロック、シンバル、コンガ、ハンドクラッピングなどを駆使(オーヴァーダビングあり)しています。
LAURENT VERNEREY(生年不詳)は初めて聴くのですが、ポップスシーンで活動するベーシストだそうで、本作ではフレットレスのエレクトリックベース(1曲のみウッド)を弾いています。
ほかにはフランスで活動するブラジル出身のMRACIA MARIAがヴォーカルで、フラメンコダンサーSHARON SULTANがステップ音(!)で1曲ずつに参加しています。

以下お気に入りの曲について簡単に。
1曲目、タイトル曲のASCENDANCESは、優美な和声の響きを持つピアノとキレの良いパーカッションによってそこはかとなく美しいラテンフィーリングを醸し出す軽快な曲。中間部ではALFIO ORIGLIOのソロが唸り声を上げてしだいに盛り上がりを見せます。
2曲目のSACHAは、ゆったりしたテンポのカリプソ的フィーリング、切なく甘美なピアノと美しく官能的なベースラインがステキ!SACHAというのは女性の名前だと思うのですが、彼女はしとやかでミステリアスな雰囲気をたたえるとびきりの美人ですぞ。
哀愁と陽気が交錯する7曲目のTRES NOTAS、8曲目のフラメンコダンサーのステップ音がフィーチャーされた小曲のLA BLONDE DES RIVOIRES、9曲目のBIANCAVILLAなどはいずれもスペイン音楽やフラメンコのフィーリングがたっぷり。XAVIER SANCHEZのパーカッション類が小気味良いリズムを生み出し、ALFIO ORIGLIOのピアノが叙情と内に秘めた激情を感じさせる素晴らしい演奏を聴かせます。
このほかにもステキな曲がいっぱい。
ご参考までにリーダー作と参加作品をピックアップしてみました。
■ALFIO ORIGLIO / RICORDO (Cristal Records AO 1001) (愛聴盤)
■ALFIO ORIGLIO / PASSEGGIATA (Cristal Records CRCD 0169) (持っていないので注文済み。LOUIS WINSBERG(g)等が参加)
■ALFIO ORIGLIO / ASCENDANCES (Cristal Records CRCD 0617) (本作)
■HERVE MESCHINET / NIGHT IN TOKYO (Cristal Records CD06-01) (当ブログの記事 をご覧ください)
■PARIS JAZZ BIG BAND / MEDITERRANEO (Cristal Records PJBB 02) (けっこうお気に入り)
■PARIS JAZZ BIG BAND / PARIS 24 H (Cristal Records CRCD 0401) (当ブログの記事 をご覧ください)
■NICOLAS FOLMER / I COMME ICARE (Cristal Records CRCD 0409) (当ブログの記事 をご覧ください)
*どうでもいいオマケ
当ブログ名物(ホンマかいな)の「唸るピアニストシリーズ」です。
  1.「ユニゾってますね」的唸り声:ちゃんとピアノの演奏とユニゾンになっている唸り声。
  2.「ご機嫌ですね」的唸り声 : 本人はきっとユニゾンのつもりだが、
    実際にはぶら下がっていたり大きく音が外れている唸り声。
  3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、
    悪夢にうなされているかのような唸り声。
  4.「救急車呼びましょか!?」的唸り声 : 明らかに尋常ではなく、一刻を争う場合の唸り声。
ALFIO ORIGLIOさんは明らかにレベル3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声です。うっとりするほどのロマンティシズムとはうらはらの、唸り声を上げてのアドリブは、やはりラテンの血のなせる業なのでしょうか?

XAVIER SANCHEZのHPはこちら。 
    http://www.xaviersanchez.net/

■ALFIO ORIGLIO / ASCENDANCES (Cristal Records CRCD 0617)
ALFIO ORIGLIO (p)
LAURENT VERNEREY (el-b, b)
XAVIER SANCHEZ (perc)

SHARON SULTAN (dance) (8)
MARCIA MARIA (vo) (5)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)