グリシンは糖原性アミノ酸の一つで、
コラーゲンやゼラチンの主成分のアミノ酸です。
最近はゼラチンを使った本物のゼリーを探すのが大変です。
これまでにもグリシンに関する話題をお伝えしましたが、
今回は、今みなさんが過敏になっていると思われる
感染症という病態へのグリシンの効果を紹介します。
感染症では、エンドトキシンの存在が重要になります。
エンドトキシンとは?
エンドトキシンは、細菌(グラム陰性菌)の細胞壁にある毒素成分です。
別名をリポ多糖(lipopolysaccharide)ともいい、略称はLPSと書きます。
(以下:LPSとします。)
古くはワクチンのアジュバントとしても添加されていました。
アジュバントとは、わざと免疫を活性化させて、
それによる予防効果を得るという目的があります。
近年ではLPSが免疫を活性化させるとして、
サプリメントとしても注目されていますが、
免疫を活性化させるということが、
どんな結果になるのか、別の視点で考えることが大切です。
さて、LPSは数多くの炎症性の病気に関わっています。
またLPSによる症状は、感染症とよばれる症状の多くに一致することがあります。
そして時には、敗血症という死に至る病気まで引き起こすことがあります。
LPSは、どこから入るのかというと、
小腸、肺、粘膜、皮膚など、傷といった粘膜の機能低下によって入ると考えられます。
この中で小腸については、リーキーガットという現象が起きていると考えられます。
リーキーガットは日本語では小腸壁浸漏症候群ともいいます。
僕の健康の恩人である、崎谷博征先生が日本に持ち込んだ言葉ですが、
医学的にはまだ認められていません。
何らかの要因で小腸に隙間が空き、
そこから細菌などの異物が血中へと侵入することで、LPSが体内に巡ります。
リーキーガットを主張している論文はもちろんあります。[1]
医学会は何かと保守的なので、これを認めると色んな弊害が起こるものと考えられます。
(医学的には血中は無菌とされています)
次からはグリシンによるLPSへの効果をみてみましょう。
グリシンのLPSへの効果は?
マウスに体重の5%のグリシンを含んだ餌を4週間与えた後、
LPSを投与(5〜40mg/kg)したところ、全てのマウスが生き残りました。[2]
また、細胞内のカルシウム流入の低下、
サイトカインの一つ、腫瘍壊死因子(TNF-α)を低下させ、
さらに好中球の不活性化も見られました。
好中球は免疫細胞の一つですが、
過剰な活性化によって、血管血栓、組織浮腫、壊死を引き起こします。
好中球はLPSそのものではなく、サイトカインに反応しているとみられ、
重症の敗血症では、好中球が多いほど死亡率が高いことも知られています。
いわゆるサイトカインストームというものです。
免疫の活性化は本当に良いことなのか、よく考えてみてください。
マウスにLPSを静脈注射する実験では、
LPSのみとLPSとグリシンを与えたグループに分けた結果、
LPSのみは24時間以内に50%が死亡しましたが、
グリシンを与えたグループでは、全てが生き残り、
肝臓の壊死と肺障害が顕著に抑制されました。[3]
こちらの実験でも、グリシンが有害なエイコサノイドやサイトカインの産生を
最小限に抑えることができたと結論づけています。
3つのグループのマウスの実験では、
それぞれに生理食塩水のみ、グリシンとLPS、LPSのみを
エアロゾル化したものを1日1回が7日間与え、
8日目に全部のグループにLPSと生理食塩水をエアロゾル化したものを与え、
その結果がどうなったか?というものです。
結果は、グリシンを与えたグループでは、
炎症性サイトカインのレベルが低下し、
LPSによる誘発急性肺障害を改善することが示唆されました。[4]
グリシンには他にも、静菌作用があります。[5]
細菌の細胞壁の合成を阻害するため、細菌がうまく増殖できなくなります。
グリシンの効果は、これまでにお伝えしたように、多様なものがあります。
便秘や下痢、お腹が張るといったお腹の調子が良くない人、
原因不明の不調が続いている場合、
リーキーガットが起こりやすかったりする方は、
ひとつの要因として、LPSが関連していることが考えられます。
そんな方は、グリシンを含んだ食べ物を意識的に食べてみるのがいいかも知れません。
ボーンブロス、牛すじや鶏ガラスープ、ゼラチンを使ったゼリーなどがおすすめです。
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【参考文献】
[1]The Leaky Gut: Mechanisms, Measurement and Clinical Implications in Humans
Gut. 2019 Aug; 68(8): 1516–1526. Published online 2019 May 10.
[2]Dietary glycine blunts lung inflammatory cell influx following acute endotoxin
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol . 2000 Aug;279(2):L390-8.
[3]A diet containing glycine improves survival in endotoxin shock in the rat
Am J Physiol . 1996 Jul;271(1 Pt 1):G97-103.
[4]Glycine Attenuates Lipopolysaccharide-Induced Acute Lung Injury by Regulating NLRP3 Inflammasome and NRF2 Signaling
Nutrients . 2020 Feb 26;12(3):611.
[5]Mode of action of glycine on the biosynthesis of peptidoglycan
J Bacteriol . 1973 Nov;116(2):1029-53.
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