感染拡大、現時点で強い証拠なし 警戒水準を維持
【ジュネーブ7日共同】世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理は7日、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)の「6」への引き上げについて「現時点では(焦点となっている英国などで)地域社会レベルでの感染拡大を示す強い証拠はない」と語り、同日時点では警戒水準を維持する考えを示した。
フクダ氏は、過去に世界的大流行(パンデミック)となったインフルエンザの感染者が人口の3分の1に達したことを例に挙げ、現在の世界人口から「20億人が感染する可能性」もあると述べた。ただ、あくまで過去の事例を単純に当てはめただけで、WHOの推定ではないと強調した。
フクダ氏はその上で、弱毒性とされる今回の新型インフルエンザが今後どのように変化し、どのような健康被害をもたらすかは分からないと語った。
だから、フェーズをあげるあげないではなく、昨日書いたように、重症度カテゴリーを設定し、フェーズと併記しろと、あれだけ、言ってるのに・・・。
非常に重要な見解だか・・・、今からはだと?
今やらんでどうするの?「第2波」がヤバイのですがね。
欧州の感染者急増が認定の焦点 WHOのパンデミック
各国の保健当局がインフルエンザ対策に忙殺される中、WHOは同日、加盟国の代表による会合を開催。年に1度の最重要会議であるWHO総会の会期を当初予定の今月18-27日から18-22日に大幅短縮することで基本合意した。
警戒水準についてWHO事務局内には「内部の評価としては既に『6』だ」との認識が出ているほか、警戒水準引き上げの是非を事務局長に勧告する緊急委員会のメンバーに対し、委員会開催に備えて待機要請が出されている。
しかし一部のWHO関係者によると、感染疑いの人に対する米欧間の検査基準に違いがあるほか、英国とスペインが加盟する欧州連合(EU)内の調整が難航。パンデミック認定に予想以上の時間がかかっているもようだ。
英国とスペインの感染確認数はそれぞれ34人と81人で、メキシコや米国、カナダに次ぐ感染数。欧州で、感染源の特定が不可能な地域社会レベルの感染拡大が確認されれば、パンデミックが認定される。
英、スペイン両国で既に「人-人-人」の感染報告が出ているとの情報もあるが、WHOでインフルエンザ対策全般を統括するフクダ事務局長補代理は6日、一部記者団に対し、感染は学校内など閉鎖的な空間に限られており「感染源が特定できないような地域社会レベルの流行に至ったとの証拠はない」と警戒水準維持の理由を説明した。
う~ん、確か、フェーズ6にあげるには、3次感染が焦点だとか言ってたよね・・・日本の代表さんは。要は、WHO内部でも、フェーズの上げ下げの判断については、いまだ統一的な基準ができていないわけだ。
この際だから、前にも言ったように、重症度のカテゴリーを4段階くらい設定し、たとえば、「フェーズ5、カテゴリー2」というように、「感染の拡大レベルと感染した場合の医学的な重症度」を分別して、同時に示すようにしたほうがいい。
これからは、こうした発表方法が最も、市民にとって好ましいのでは?
根っこは同じ
共同通信の2つのNewsから・・・
1) 6県1政令市でも“診察拒否” 発熱相談センターなどに申し出
新型インフルエンザ感染の疑いが少ないのに、発熱などを訴える人が医療機関で診察を断られたとして「発熱相談センター」などに届け出たケースが、判明している東京都以外に少なくとも6県1政令市であることが7日、共同通信の調べで分かった。東京都では同日までに212件に上り、医療現場に新型インフルエンザをめぐる誤解や過剰な反応が広がっていることが浮き彫りになった。厚生労働省は6日、都道府県を通じて医療機関などに適切な対応を求める通知を出している。
厚労省は医療機関に対し、患者が発熱などの症状に加え発生国への渡航歴などがある場合には、発熱相談センターに電話で相談し、紹介される医療機関で受診することを患者に勧めるよう、指導している。
こうした条件に当てはまらないのに診察をしなかったり、センターへの電話を促された例があったのは、埼玉、千葉、滋賀、島根、岡山、高知の各県と神戸市で、東京以外はいずれも数件程度。
「中学生の息子が発熱したのでかかりつけの病院に電話したら、海外に行っていないのにセンターに相談するよう言われた」(神戸)「渡航歴はないが、感染の可能性もあるので診察できないと拒否された」(埼玉)など明確な理由がないまま診察を拒む例が並ぶ。
2)医療事故調査委にずさんな例も 大学医学部側に改善勧告
全国医学部長病院長会議の医療事故対策委員会(委員長・嘉山孝正山形大医学部長)は7日、医療事故の原因究明のため大学病院が設置した調査委員会がずさんな報告書を作成している例があるとして、会議を構成する全国80大学の医学部長らに改善するよう勧告したと発表した。
全国医学部長病院長会議の医療事故対策委員会(委員長・嘉山孝正山形大医学部長)は7日、医療事故の原因究明のため大学病院が設置した調査委員会がずさんな報告書を作成している例があるとして、会議を構成する全国80大学の医学部長らに改善するよう勧告したと発表した。
勧告では、大学病院の調査委が当事者の医師本人に聞き取り調査をしないまま、報告書を作成したケースがあったとし「(事実の)隠ぺいや改ざんに結び付き、犯罪となる可能性もある」と指摘。調査方法に不備があった場合には、患者や家族に謝罪するよう求めた。
国は医療事故の原因究明と再発防止に向け、医療版事故調(仮称・医療安全調査委員会)の創設を目指しているが、医療界の反発などで議論は停滞。
会議は、大学病院の調査委を活用するよう提案、受け皿としての機能を強化するため、勧告を行った。
上の記事と下記の記事の根っこは・・・同じヽ(`Д´)ノ
少量のワイン摂取で寿命が延びる ?
たまには、ワインの疫学の話でも、しましょう。
最近のNews(日経ネット)から。
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1日にグラス半分のワインを継続的に飲んでいる男性は
寿命が5年長いことが、オランダの研究グループにより報告された。
また、種類にかかわらず少量(1日20g)の
アルコール飲料を長期間摂取している人は、
飲酒しない人に比べて寿命が2.5年長いこともわかったという。
アルコールの同様な利益は多数の研究で示されているが、 今回の研究はさまざまなアルコール飲料を対象に 40年という長期にわたり定期的に追跡したという点で 注目に値するものだと、研究著者のオランダ、ワーゲニンゲンWageningen大学のMartinette Streppel氏は述べている。 この研究は、医学誌「Journal of Epidemiology and Community Health(疫学・コミュニティーヘルス)」 4月号に掲載された。 研究グループは、ズトフェン研究 (Zutphen Study、ズトフェンはオランダの工業都市)に 参加した男性1,373人を対象に、 1960年から2000年まで飲酒の習慣のほか, 体重、食事、喫煙、重篤な疾患の診断などの データを追跡した。 期間中、1,130人が死亡(半数は心血管疾患が原因)。 アルコールを飲む男性の比率は1960年の45%から 2000年には86%とほぼ2倍となり、 ワインを飲む人の割合は2%から44%と大幅に増加した。 このほか、以下のことが明らかにされた: ・少量のアルコールを長期間摂取すると、 飲酒しない人に比べて寿命が2.5年延長した。 1日20gを超えるアルコール摂取では、 2年近い寿命延長が認められた。 ・1日に平均20g程度のワインを飲む人は、 50歳の時点の余命がビールまたは蒸留酒を飲む人に 比べて2.5年長く、飲酒しない人に比べると約5年長かった。 ・適度な飲酒と死亡リスクの低さとの間には関連がみられ、 ワインの摂取と心疾患、脳卒中などによる死亡リスクの 低さとの間には強い関連がみられた。 Streppel氏は、今回の知見は女性には当てはまらないとしている。 しかし、ワイン、特に赤ワインに多く含まれる ポリフェノール化合物が心臓によい影響を与えていると推察している。 アルコールの健康効果を長年研究しているArthur Klatsky博士 (カイザーパーマネンテKaiser Permanente メディカルセンター、 カリフォルニア州)によると・・・ 実際に関連しているのがワインを飲むことなのか、 それに関わる別の何かであるのか (例えば、ワインを飲む人は運動や健康的な食事をする 比率が高いなど)については不明であるという。 今回の研究で、アルコール総摂取量として 最も多かったのはビールやワインよりも 蒸留酒であったことも指摘し、 「わずかな量のワインが寿命延長の原因であるとは考えにくい」 と述べている。 また、この知見は比較的高齢の人に当てはまるものであり、 飲酒による利益を得られる可能性が最も高いのは 50歳以上の人だという。 「心疾患リスクを軽減するためには、禁煙、定期的な運動、 健康的な食生活および適正な体重の維持などがはるかに 重要である」とKlatsky氏は指摘している。 ・・・のだそうです。 ちなみに私は、Arthur Klatsky博士の意見に同意です。 しっかりと、この研究の問題点に答えていらっしゃいますね。 なお、提示された少量では、ワインなんて楽しめませんよ(笑)。 |
厚労相「診察拒否は医師法違反」 新型インフルで
舛添要一厚生労働相は6日、新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないにもかかわらず、発熱などした人が病院で診察を断られたケースが相次いでいることについて「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい」と、不快感を示した。新型インフルエンザ対策に関する厚生労働省内の会議で述べた。発熱などの症状を示した人への診察拒否については、東京都が5日までに92件を確認しており、厚労省も全国の実態把握に乗り出している。(以上、共同通信)
さて・・・今日は、3つの論文のうちの1つを仕上げた。論文のスペルなどの間違い探しをするには、間をあけて見直すのが最適なんです。その時間を使って、こっちの記事を書いています(*^▽^*)
なお、インフルエンザの治療薬の論文は、再三述べている「2の矢」で使うために、
もう1つ重要なデータをとってからにします。(大半は、できています。)
では、前置きが長くなりました。以下で、上記記事のコメントです。
拝啓 舛添要一厚生労働大臣 殿
公然と大きな病院全体で診療拒否を標榜しているところがありますが、大臣のお言葉から察するに、そういう病院には重大な処罰があると考えていいわけですね?
しかし、医療崩壊の最中、そういう病院を処罰すると、日本の医療に甚大な影響が出てしまい、更に医療崩壊が加速する可能性もありますが・・・。
そのリスクを考慮しても、事実とともに病院名と問題点をマスコミに公表させていただいて、よろしいのでしょうか???
発熱外来にはどうやって行くのか?
「発熱外来にはどうやって行くのか?」という主旨の疑問を読者の方が提示してくれました。回答が長くなるので、ここで紹介。
◆公共交通機関は使わない。家族や友人などの自家用車で送ってもらい、必ずマスクを付ける。救急車は呼ばないことが望ましい。通常の救急業務に支障が出たり、救急隊員が感染するのを防ぐため。
・・・と、いうように地方自治体のマニュアルにも、ありますが。。。
ここで、いつものように私見を・・・。
「家族や友人などの自家用車で送ってもらい・・・」だと?
住民のすべてが、このくらいはできると思ってるところが、馬鹿どもの発想である。
1人で、そんな人々のいない方々とかは、どうするの?
それに、マスクつけてて、他人に感染するなら、救急隊員はおろか、家族や、友人にも感染するじゃないか???
本当に、ため息が出ますね。
マスクをつけて、(事情を話して)救急車を呼んでください。
それでも、こないことがありえます。実際、救急の現場は、医療崩壊の中心地帯だから。
別に、タクシーでもいいんですよ。ちゃんとマスクをつけていれば。
WHOに望むこと
一方、WHOのフクダ事務局長補代理は5日、現時点では警戒水準を「6」に引き上げるべき兆候はないと指摘。「現時点では英国やスペインの地域社会レベルでの持続的感染はみられない」としながらも、引き続き両国保健当局と連携し情勢を注視する姿勢を示した。
いつも思うのだが、いい加減、重症度のカテゴリーを4段階くらい設定し、たとえば、
「フェーズ5、カテゴリー2」というように、「感染の拡大レベルと感染した場合の医学的な重症度」を同時に示せばいい。
こうしないから、国際的に、様々な混乱や誤解も生む。
上記のような基準を設ければ、「フェーズをあげたからといって、世界の終わりを示すものではない」などという、わけのわからない発言をせずに済むし、余計な労力をかけずに済む。
WHOとしては、正確な情報を、迅速に出すことに集中すること。
今回は、政治的見解までも述べるような、WHO関係者が目立つが・・・特に、日本のT氏・・・。職分をわきまえたほうがいい。
あくまでも専門家として、客観的なデータを提示することに徹してもらいたい。
発熱の診察拒否、都内で92件 新型感染の可能性低くても
都は「新型インフルの患者発生やほかの患者への感染を恐れているのかもしれないが、病院は冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。
都感染症対策課によると、都が設置した発熱相談センターへの相談電話で診察拒否が分かった。
感染国への渡航歴がないのに、診察を拒否されたり発熱相談センターに相談するよう言われたりした人が大半で、中には「成田空港に勤務している」「友人に外国人がいる」などと話した結果、拒否された人もいた。発熱相談センターに電話し一般病院に行くよう勧められた人が、病院で拒否された例もあった。
感染症対策課は、診察拒否は医師法に違反する可能性もあると指摘。「悪質な診察拒否をした病院には、何らかの対応を考えていきたい」としている。」
こういう事態も起こりうることが、新聞社のインタビュー記事での「病院や診療所に患者が押し寄せれば、パニックに陥ってしまう」というベテラン医師の発言からも匂ってきたから、そこで指摘はしておいたけれどね(4月30日)。まさか本当に、ここまでやるとはね・・・。
これが新型インフルエンザを引き合いに出し、堂々と診療拒否をするといった「医療崩壊」(という「流行語」は使いたくないけれど)が進行中の日本の現場。
タミフル耐性ウイルスに強い懸念 新インフルでWHO医務官
[ジュネーブ4日共同] WHOで新型インフルエンザ対策の技術部門を統括する進藤奈邦子医務官は3日、治療薬の中心である抗ウイルス薬タミフルに対し「耐性を持つ(新型インフルエンザ)ウイルスができてしまう可能性がある」と述べ、タミフルが効きにくくなる耐性ウイルスの発生に強い懸念を表明した。共同通信の取材に答えた。
ワクチン開発が完了していない現時点では新型インフルエンザの治療はタミフルに大きく頼る。耐性ウイルスが発生すれば、一般的にインフルエンザに対する抵抗力が弱い乳幼児や高齢者、エイズ、糖尿病などの患者が大きな危険にさらされるため、WHOや各国政府は根本的な治療体制の見直しを迫られることになる。
進藤医務官によると、新型インフルエンザと似たタイプで2007年から08年の冬に北米で流行した季節性のインフルエンザウイルス(H1N1型)の一部が、タミフルに強い耐性を持つようになった。「タミフルを通常の約400倍投与しないと効かない」とされるレベルで「事実上、治療に使えない」という。北米や中南米では現時点で、同タイプのウイルスのほとんどがタミフルに対する耐性を持っているという。
この WHOの「懸念」は、前から私も、ここで指摘しているとおりです。
さらに、インドネシアの豚から病原性の強い鳥インフルエンザが検出されており、
豚の体内で、こいつが単独でヒト型に変異しつつあります。今回の新型が「第1の矢」とすれば、それは「第2の矢」であります。
このあたりまでを射程においたグローバルな危機管理が望まれます。
「辛い」と「幸せ」
「辛い」と「幸せ」・・・たった棒1本の違いしかない。
医療・医学関係者ならば、この棒を患者さんに1つ加えることが仕事といえるのかもしれない。もちろん、口で言うほど容易くはないけれど・・・。
それにしても、たかが棒1本の違いゆえに、両者は非常に近いもののようだ。
私なんて、弱い人間なので、ちょっとした事で、一番上の棒が、はずれたり、ついたりする。難儀やな~(^▽^;)