WHO、重症度の判断公表へ 新型インフルで
【ジュネーブ12日共同】世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理は11日の定例記者会見で、新型インフルエンザがもたらす症状の重さに関する判断を近く公表する考えを明らかにした。
WHOの警戒水準(フェーズ)は、症状が極めて重いとされる鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の変異が念頭にあり、それほど毒性が強くないとされている今回の新型インフルエンザにそのまま当てはめることに対して、一部から「感染の地理的な広がりのみを重視し過ぎている」などの批判が出ていた。 症状の重さについてWHOが判断を公表することは、こうした批判に応える意味があるとみられる。 今後も感染拡大が続き、警戒水準を世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」に引き上げるとしても、WHOが症状についての判断を示すことで、事実上の「マイルド(軽微な)パンデミック」の宣言につながる可能性がある。 フクダ氏は、新型インフルエンザの症状が一部の専門家が指摘するように軽いかどうかは「まだ分からない」と強調。 その上で「病気の流行に対してどう対応すべきか勧告を出す際には、人々の心配を考慮に入れなければならない」として、病状の重さに関してWHOが見解を出すことで、学校閉鎖など各国政府が取るべき対応の目安にしたい意向を表明した。 コメント:昨日の続報ですが、ようやく重症度の併記がなされるようですね。 いちいち、文句つけた甲斐がありましたが・・・。 問題は、(WHOの)フクダ氏が、「新型インフルエンザの症状が一部の専門家が指摘するように軽いかどうかは「まだ分からない」と強調。」していること。 まあ、立場上、軽々しくは、言えないわな。 |
睡眠時間と死亡の関係
昔から「寝る子は育つ」などというが、今日は「睡眠時間と死亡」の関係について。
平均睡眠時間が7時間の人の死亡率が最も低く、8時間以上眠っている人は、5~6時間の人よりもむしろ死亡率が高いというデータがあります。( Arch GenPsychiatry. 2002;59(2):131-6.)
新型インフルの警戒水準判断、毒性の追加検討 WHO
【ジュネーブ=藤田剛】 日本経済新聞
世界保健機関(WHO)は、新型インフルエンザの感染の広がりに応じて6段階に設定している警戒水準(フェーズ)に、ウイルスの毒性に関する判断を追加する検討に入った。2005年につくられた現行制度は強毒性の鳥インフルエンザを主な対象にしているにもかかわらず、すべての新型インフルエンザにそのまま適用していることに批判が出ているためだ。
現在の警戒水準は地理的な感染の広がりを示す数字のみで、WHOはメキシコでの感染拡大を受けて4月27日に「3」から「4」に、米国での感染拡大を受けて29日に「5」に引き上げた。
ようやく、私が、ここでも、再三にわたり書いていることがWHOで正式に検討されるようですな。
新型インフルエンザ・・・「流行の深刻さ」を致死率で評価する意義
米国では、致死率をもとにパンデミックの被害規模を5段階で評価し、下記の図1のような「Pandemic Severity Index」という指標(カテゴリー)として提示することになっている。患者の自宅待機や学校の臨時休業、不要不急の集会などの自粛や企業の不要不急の業務縮小などの対策は、それぞれのカテゴリーに応じて対策が発動する。
図1 「流行の深刻さ」を示すPandemic Severity Index(CDC)から
これはハリケーン対策を元にした考え方といわれているが、今回の新型インフルエンザがWHOによってフェーズ6の段階に至ったと判断されれば、米疾病対策センター(CDC)は、パンデミックの「流行の深刻さ」を評価し、どのカテゴリーに該当するのかを発表する。
だから、WHOも、これに習って新たに重症度カテゴリーを創設し、今のフェーズ5(もう、ほとんど6)の段階で併記しろと、口すっぱく言っているわけです。
ちゃんと米国のようにやってくれる国とそうでない国があるから・・・。
たとえば、米国では、学校の休業は、カテゴリー2~3で4週間以内、カテゴリー4~5では12週以内などとなっている。また、室内イベントの中止や劇場などの閉鎖は、カテゴリー2~3では状況に応じて実施し、カテゴリー4~5では実施を推奨するなどとなっている。職場の対策については、カテゴリー2~3では状況に応じて実施し、カテゴリー4~5では実施が推奨とされている。
こうした被害の深刻さに応じた対策の実施は、合理的とする専門家は少なくない。
実際、日本の企業の中にも、事業継続計画に「被害規模の想定」を盛り込み、それぞれの段階に応じた対策を立てているところも出ている。
社会的あるいは経済的な活動を可能な限り維持しながら、パンデミックの被害の最小化を図る対策が、今、求められているのである。
後でも、いつか述べるが、「希望のある社会」を実現するために、分野を問わずに日本政府がとるべき政策の基本姿勢とは「最悪を回避すること」なのだ。
新型インフルエンザ・・・マスクの効果
マスクについての質問があったので、まとめておきます。
まず、 医療従事者が、ある一定期間、感染防御のために使用するにはマスクは有効です。その際、予防用手袋、ガウン等と併用するのが一般的でありますが。
一般の方々がインフルエンザ感染予防用としてマスクを用いることは・・・
?なのです。ちなみに、アメリカでは、一般市民がインフルエンザ予防のためのマスク着用に関しては否定的です。
では、非発病者の方々が感染予防目的にマスクを着用することの効果について、もう少し述べれば・・・。
マスク着用時間内だけ、呼吸器にウイルスが侵入することを防止することは可能と考えられるが、接触感染、空気感染を完全に防ぐことは不可能です。
十分な手洗い、そしてマスク着脱の際、表面に付着している可能性あるウイルスに汚染しないように注意、そして十分な洗顔、洗髪等と併用して、初めて効果が発揮されると考えられるとされています。まあ、このように予防効果は万全ではないが、しないよりは、マシである。
たたし、咳・くしゃみのしぶきが主な感染経路なので、感染者がマスク着用を徹底すれば、感染拡大を抑える効果は多少は期待できる。
なお、大事なのは「せきエチケット」。マスクを着けずに咳をする時は、人のいない方を向き、ティッシュなどで口を覆うか、前腕部の袖口で口を押さえる。
今回の新型インフルエンザのケースによって、個々人の日頃のマナー度・常識度も、あぶりだされることになった。
待ちに待った新型インフルエンザに関する臨床研究データの公開
ようやく待ちに待った新型インフルエンザに関する臨床研究論文です。
新型の豚インフルエンザの症状をめぐり、米疾病対策センター(CDC)の研究グループが全米の患者642人を分析し、論文にまとめた。慢性疾患のある人や幼児が重症化する傾向だったほか、通常のインフルエンザではあまりみられない下痢、嘔吐(おうと)が目立った。国内流行に備えるヒントになりそうだ。
調べたのは4月15日から5月5日まで全米41州で新型インフル感染を確認した3カ月~81歳の患者で、18歳以下が6割を占めた。感染者全体のうち16%は学校で感染したと推定される。また渡航歴が確認できた381人のうち、発症の7日以前にメキシコを訪れていたのは18%だった。
入院した患者で、医学的データが確認できた22人のうち、12人に慢性の病気があったり、5歳未満の子どもだったりして、ふつうの季節性インフルエンザでも症状が重くなりやすい人たちだった。
死亡したのは2人。うち1人は生後22カ月の男児で、生まれつき筋無力症があり、心臓にも障害があった。もう1人は妊娠中の33歳の女性だが、ぜんそくや関節リウマチなどの病気を抱えていた。
典型的な症状は発熱やせき、のどの痛みなど、季節性インフルでもよくみられるものと同じだが、38%で下痢ないし、嘔吐の症状があった。研究グループのファティマ・ダウッド博士は「まだはっきりしないが、ウイルスが感染者の便に混じって、そこから他の人にうつる可能性も考えたほうがいい」と話している。ただ、今回のウイルスは腸管には感染しないという報告もある。
成果は論文にまとめ、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載した。(朝日新聞田村建二)
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)は、Lancetとともに世界最高峰の医学誌。
基礎研究限定ならば、Cell, Nature, Science。この5誌が、世界の医学・生命科学の流れをリードします。(私、このうちで、まだ4本掲載・・・さらにガンバルゾ)
さて、内容としては、私もここの記事で指摘していたけれども、NEJM誌の記載データでも、通常のインフルエンザではあまりみられない下痢、嘔吐(おうと)が目立っています。
我々が、主に「第2波」用のためにと準備している治療薬ですが、ここでもう論文投稿しようか否か、悩んでいます。それは、「第2波」用の最終ラインの薬となるでしょう。それで耐性ができちゃえば、後は、当分、手のうちようがなくなるから・・・。
関係者と十分な協議の上、決めます。
新型インフルエンザ・・・「マスク」の件
わが国でも、新型インフルエンザが発生した。
厚生労働大臣が大変嬉しそうに見えるのは私だけか?
まあ、それはさておき「マスク」である。
代表的なのが、N95マスク。
ちなみに、産業用の使い捨て式防じんマスクには、わが国の国家検定が行われており、
DS2というクラスのものがN95と理論上では同様の効果があると考えられる。
もしN95マスクが底をついた時には、DS2の防じんマスクの使用も考慮する必要がある。
N95の方は、米国労働安全衛生局が認定している。
ちなみにN95マスクの認定を受けているマスクは、何百種類もある。
N95の認定にあたっては、機械的な捕集効率しか評価されていない。
そのため、どういう人の顔にもある一定の確率でフィットすることをN95マスクの認定の条件にすべきという議論が専門家の間では、起こっている。では実際のフィット率はどうなのよ?
以下、知人からの紹介の実験研究だが・・・。
最近、1295人の医療従事者を対象にカナダの医療機関で定性的なフィットテストが行われた。
第1選択のマスクは様々のマスクのなかでもフィットする可能性が高いと言われているものが使用された。
その結果、男性では93%程度、女性では80~88%が第1選択としたマスクにフィットした。
特徴的だったのは、女性の40歳未満の場合は、80%しかフィットしなかった点だ。
また、3種類のマスクを準備した結果、ほぼ99%の人が自分にフィットしたマスクを見つけることができた。
ところが、6人は6種類のマスクに増やしても、そのどれもがフィットしないことが分かった。
6人はすべて40歳未満の女性であった。
この結果から言えることは、最低3種類のN95マスクを準備することが必要である。
これはCDCの勧告とも一致している。
医療機関にとっては1種類のマスクを大量に購入した方が価格が下がるためよいように思われるが、
これは間違っている。
また、40歳未満の女性で20%が別のマスクを必要としたことは、重要な事実である。
つまりフィットテストをしないとどれがあうかは分からないということだ。
なぜあわなかったのかについては、おそらく顎のサイズの問題と考えられる。
この調査対象はカナダの医療機関であるが、多くのアジア人やその他の人種の人が含まれていた。
日本人ではどうかということも検証する必要があるが、それほど大きなずれが生じる結果ではないと思われる。
以上の話は、主に医療機関用の話だが、一般の方々も知っておいたほうがいい情報なので掲載しました。
発熱患者の医療機関での診察拒否(続報)
「発熱患者が医療機関で診察を拒否されるケースが相次ぎ、問題になっている。」ことは、私は、僭越ながら、再三、この記事でも述べて苦言を呈してきた。
今回は、以下に私の共同研究者の先生からのメールを紹介。
「私も有熱患者の診察をしていますが、先生のお怒りはごもっともです。
有熱患者は病院の入り口でマスク装着、噴霧消毒液使用もしくは手洗いで済むことだと思いますね。」
これが、まともな医師(彼も大学教授ですが)の本来の対応です。
まあ、タクシーなどに乗車する際には、マスクをしてあげるのが、より好ましいですが。
「攻撃性」注意喚起を指示 抗うつ薬パキシルなど
共同通信のNewsから。
「抗うつ薬の「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者に、他人に暴力をふるうなど攻撃性が高まる症状が表れた問題で、厚生労働省は8日、メーカーに対し、攻撃性についての注意書きを盛り込むよう添付文書の改訂を指示した。
対象はパキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4社4製品と、作用が似ているトレドミンの計5社5製品。医師や患者への注意喚起も行う。 同省薬事・食品安全衛生審議会の部会で、家族へ暴力を振るったり、他人にけがをさせたりした症例35件を詳しく調査。服用との関係が否定できないケースが4件あったことなどから、注意喚起が必要と判断した。 SSRIは、脳内の神経伝達物質セロトニンの濃度を調節して神経の活動を高める薬。3環系と呼ばれる従来の抗うつ薬より副作用が少なく、うつ病治療に広く使われ、国内でも100万人以上が使用しているとみられる。」 欧米では、かなり前から。日本でも、私をふくめてSSRIの添付文書改訂を提言してたが、ようやくか・・・。 |