医学ニュースの深層 -77ページ目

新型インフルの国内感染拡大

 新型インフルエンザ(Novel swine-orign influenza A [H1N1] virus・・・S-OIV)は、国内でも感染拡大が始まったわけだが。


 少し前から、東大、京大をはじめとして各大学は、感染者発生国への渡航を強く自粛(どころか禁止)している。ならば、今回、まず、関西で発生・拡大しているわけだから、たとえば、今なら、東大から京大や神戸大学あたりへの出張は原則できないわけか?


 さて、どんなお達しが週明けにくるのか?(笑)


 大学単位なんかで禁止したところで、どうにもならないことくらい、いい加減理解しろよ、日本トップクラスの大学のお偉方たち。・・・と思いますがね。

 

 まあ、彼らの知的レベルも、今回の件で曝されたわけだな。







<内臓脂肪>飲酢に減少効果 ミツカン中央研確認

 新型インフルエンザの話は、例の「第2波」対策用の論文がほぼ書けたので、私の頭を切り替える意味もあり、今日は、別ネタを・・・。


 酢を飲み続けると内臓脂肪が減ることを、ミツカン中央研究所(愛知県半田市)が成人対象の実験で確認した。長崎市で開かれる日本栄養・食糧学会で21日、発表する。

 実験は、肥満度を示す体格指数(BMI)が25~30の「軽度肥満」に該当する成人男女175人(うち女性64人、平均44.1歳)を対象に実施。過度の運動を避けてもらうほかは通常の生活を送りながら、リンゴ酢を配合した飲料を1日2回、12週間飲み続けてもらった。

 腹部のコンピューター断層撮影(CT)画像による内臓脂肪面積の変化や体重、血中中性脂肪などの変化を比較。データが得られた155人を分析したところ、1日30ミリリットル(酢酸量1500ミリグラム)摂取した群は内臓脂肪面積が平均約6.72平方センチ減り、腹囲は同1.85センチ減少。15ミリリットル(同750ミリグラム)摂取した群も減少した。酢を含まない飲み物を飲んだ群には変化が見られなかった。また、酢を摂取した群は、血中1デシリットルあたりの中性脂肪が28.2~42ミリグラム減った。

 研究チームはこれまでに、酢の主成分である酢酸が脂肪の合成を抑えたり、燃焼を促進することを動物実験で確かめている。岸幹也チームリーダーは「BMIが25未満の人については、酢の減量効果は見られなかったが、酢酸には血圧を下げたり、血糖値の上昇を抑える効果もある。ドリンクや調味料として摂取し続けることで、健康への効果が期待できる」と話している。【毎日新聞 元村有希子】


 酢の効果か・・・。1日に大匙1杯だと、あんまりないが、1日に大匙2杯(30ミリリットル)だと良い。前から、メタボリックシンドロームの改善には非常に有効とされています。ただし、こうした日常的な酢の摂取をやめると脂肪は元の水準に戻ってしまいますがね・・・。

 まあ、この研究所の「ミツカン酢」ではなくて「タマノイ酢」を継続的に飲んでみたら?(笑)・・・この「シャレ」がわかる人は頭が良い(*^▽^*)


 なお、この取材記事を書いた元村記者は、かなりの美形ですよ≧(´▽`)≦

Swine Flu Not an Accident From a Lab, W.H.O. Say

 今日のNY Timesの記事タイトルにあるように、昨日報道された下記のニュースはWHOによって否定されました。


 フクダ氏によると、この研究者が信用できるウイルス専門家であることなどから「仮説」を受け取った先週末以降、日米欧などの5都市にあるWHOの「協力センター」や国連食糧農業機関(FAO)などの機関に、仮説に対する評価を依頼した。

 その結果、新型ウイルスが、ウイルス培養やワクチン製造に使われる鶏卵で人為ミスにより発生した可能性があるとする、仮説の根拠は乏しいとの結論が出たという。


 これで今回の「バイオテロ」説は一見落着のようですが・・・。

「根拠は乏しいか」・・・(笑)。完全否定ではないですね。


 まあ、当局として「公式には」否定しておくのが当然。

 なお、人為的に、変なウイルスを創ろうと思えば、ラボでできてしまうことは、ありえますからね。だから厳しい倫理規定と基準のもとに研究されているわけです。

患者自身の細胞から透析用の血管移植片シャントを作製

 さて、久しぶりに、新型インフルエンザ以外の医学ネタです。


患者自身の細胞を用いて組織工学により作製した血液透析用シャントに良好な成績が認められたことが、英医学誌「The Lancet」4月25日号に掲載された。

 現在、透析患者の約半数は合成樹脂性チューブのシャント(動脈と静脈を結ぶ管)を通して週3回の透析治療を受けているが、合成樹脂は患者自身の静脈で作ったシャントに比べて長持ちしにくいという問題がある。また患者の半数は、自己静脈がシャント作製に適していない。今回の研究を率いた米Cytograft Tissue Engineering社(カリフォルニア州)のTodd N. McAllister氏によると、合成素材をいっさい使用せずに作製された血管移植片(vascular graft)に、長期移植に耐える強度および耐久性が認められたのは今回が初めてであるという。


 今回の研究では、透析を受ける末期腎疾患(ESRD)の患者10人にこのシャントを使用した。被験者は全例、過去にシャント移植に失敗したか、合成樹脂シャントの使用が必要な患者であった。患者の手の甲から採取した細胞を培養して細胞シートを作り、これを管状に形成して患者に移植した。3カ月にわたりこのシャントの安全性、安定性を追跡した後、透析開始後の有効性を評価した。


 その結果、安全性を確かめる段階で3例のシャントの機能に問題が生じたほか、1人が試験を中断、1人がシャントとは無関係の原因により死亡した。残る5人については、6~20カ月間にわたり移植片を透析治療に使用することができた。シャントの開通を維持するために外科手術を必要としたのは1人だけであった。全体では、7人が1カ月以上、5人が6カ月以上シャントを使用することができ、標準に近い性能が認められた。


 McAllister氏によると、透析患者の平均余命は約6年であり、自己静脈から作製した血管移植片を1~2回使用した後、合成樹脂チューブの移植が必要になるという。合成樹脂チューブは約12カ月しか持たないのに対し、この新しい血管移植片は1~5年使用することができ、患者の細胞を保存しておけば必要に応じて新たに移植片を作ることもできる。作製費用は高価だが、使用できる期間を考えれば費用対効果がよく、作製を効率化すればさらに費用を削減することも可能だと同氏は述べている。なお、実用化には3、4年かかると予測している。同社はこのほか、冠動脈や他の血管損傷の修復用血管についても研究中だという。


 専門家らは、この新しい技術について「組織工学の歴史に残る画期的な技術」と述べており、将来的には心臓弁や心臓組織にも応用できる可能性もあるとする一方、費用対効果が問題であると指摘している。別の専門家は、この知見は予備段階のものであり、さらに多大な研究を重ねる必要があると指摘。広く利用できるようになるのはずっと先のことであり、現行の技術に比べてどれほど優れているのかもわからないと述べている。

(日経ネット)


・・・ということです。

 今後、こうした技術の進歩と、ヒトiPS細胞テクノロジーとの学融合が当然、考えられます。1歩、1歩ですが・・・。 

新型インフル3分の1が発熱せず 米医師が報告、早期発見困難に

メキシコ市の病院で新型インフルエンザの感染者を調べた米国の医師が「患者のうち約3分の1に発熱がなかった」との報告をまとめた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が13日、報じた。

 発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ。

 同医師はメキシコ市の2つの病院で5月上旬、4日間にわたって検診に当たった。報告によると、重症者の多くは高熱を出したが、症状が軽い患者の半数ほどは発熱がなかった。せきや倦怠感は、ほぼすべての患者が訴えた。

 また、患者の約12%が激しい下痢を起こしたという。同医師は、患者の便に新型インフルエンザウイルスが含まれているかどうか調べるようメキシコ側に促したと説明。「ウイルスが便を介して伝染すれば、特に発展途上国での感染拡大の抑止は難しくなるだろう」と話した。(共同)




 さて、あらためてNEJM誌掲載論文に書いてある「米国での確定例」における患者の症状の内訳をみると・・・。発熱した患者は94%(371/394)、咳は92%(365/397)、

下痢は25%(82/323)。

ちなみに、入院の有無がわかった患者399人のうち36人(9%)が入院。


 両国で、発熱に関してのデータは、かなり食い違うな・・・。死亡率も違うけどね。

下痢は米国のほうが多いのか・・・。


 今のところ、新型インフルエンザ患者の中には、上記のNewsの報告ほどではないだろうが、発熱しない患者もいる(少なくとも6%くらい)ということになるだろう・・・。


 まあ、「発熱外来」って呼び名は、変えたら?





新型の感染力「通常のインフルエンザ以上」…政府諮問委見解

 政府の新型インフルエンザ対策本部の専門家諮問委員会は13日、新型ウイルスの感染力について「通常のインフルエンザと同じかそれ以上」という見解でほぼ一致した。通常の季節性インフルエンザでも毎冬、約1000万人が感染しており、尾身委員長は「(新型ウイルスは)より感染しやすい可能性もあり、注意が必要だ」と訴えた。一方、病原性について米サイエンス誌は、致死率を(通常のインフルエンザの約4倍にあたる)0・4%とする報告を掲載したが、同委員会は国内で発生した4人の患者の病状なども踏まえ、「0・4%までは高くないだろう」とした。(読売新聞)


・・・Science誌での推定死亡率は0.4%(0.3%-1.5%)。

低く見積もって、国際的には0.3%といえる。


 日本の場合、今のところ「0.4%までは高くないだろう」と思いたい・・・どころか、もっと抑えたい。季節インフルと併せても。


人為ミスでウイルス発生? 新型インフルWHOも調査

 【ジュネーブ13日共同】世界的な感染拡大が続いている新型インフルエンザのウイルスについてオーストラリアの研究者が「人為的なミスで発生した可能性がある」との説を主張、世界保健機関(WHO)が各国の保健当局に調査を依頼するなどの騒ぎになっている。

 「人為ウイルス説」を主張したのはオーストラリアのベテラン科学者(75)で、抗ウイルス薬タミフルの開発にかかわったこともある人物という。カナダ通信などによるとこの研究者は、新型インフルエンザウイルス(H1N1型)が、ウイルスの培養やワクチン製造に使われる鶏卵の中で、偶然出来上がった可能性があると指摘。WHO報道官によると、WHOはこの説を先週末ごろ受け取り、日米欧の保健当局や研究機関に調査を依頼したが結論は出ていないとしている。

 イタリアのANSA通信によると、WHOの依頼を受けた国連食糧農業機関(FAO)のウイルス研究者は「人為的にできたという説は根拠が不十分」などとしている。



ああ、これね。

騒ぎの最初のころから、言われてたよ。

「4種混合なんて、人工的にしか創れないだろうからとかね。


上のFAO以外では、米国のCDCも独自調査したけれど、証拠不十分という結論。

まあ、上記が本当なら、第2波や第3波と、ここでも言っている「最悪のウイルス」がテロ集団によって創れることになる。


 じゃ、その対応薬(治療法)の有力候補を持つ(今、論文書いている)我々は、拉致されるわけ?


新型インフル重症率10%程度か 進藤WHO医務官

 今日は、何事もなければ、1日中、論文などを書ける日なので、ちょっと生協にコーヒーを買いに行って、帰ってきたら、表題のNews。

 【ジュネーブ13日共同】世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子医務官は12日、新型インフルエンザに関する定例記者会見で、米国、メキシコ両国での患者のデータから、感染者のうち入院が必要な重症に至るケースが「9-10%に達する可能性がある」との見方を示した。2009/05/13 09:49

 通常の季節性インフルエンザに比べて「明らかに」高率で、新型インフルエンザがこれまで考えられていた以上に強力な可能性がありそうだ。

 WHOで新型インフルエンザ対策の技術部門を統括する進藤医務官は、致死率を季節性インフルエンザより高い約0・4%とした米科学誌サイエンス(電子版)で発表された分析結果については「現在利用できる情報に基づいた最良の分析」として、今後変動する可能性があるものの、少なくとも現時点では妥当な分析だとの認識を示した。

 進藤医務官は会見後、日本人記者団に対し、現在の感染状況について「水際作戦だけでは食い止められない。(既に)WHOの中ではパンデミック(世界的大流行)として次の行動に移っている」などと話し、感染被害の軽減に各国が努力すべきだと訴えた。



 でも、NEJM誌の論文では、既報のように(入院が必要な)重症率が9%だったことから、そのままの数値が述べられたというわけ。私も前の記事で、そう書いた。


 今の「第1波」でも、罹れば身体的には結構辛い。また、他の重症患者を多く抱える医療機関も、新型インフル患者が入院してくれば、対応で結構辛い。


 おかげさまで、私も辛い。


さて、これから、第2波用の論文の続きを書くとするか。



 


新型インフル「症状穏やか」一転 WHOが見解を修正

 【ジュネーブ=玉川透】世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補は11日の記者会見で、新型の豚インフルエンザの症状について「現段階で穏やかだと決めつけるのは早すぎる」と述べ、穏やかな症状が多いとしてきたWHOの見解を事実上修正した。

 WHOはこれまで、重症者が多く出ているメキシコを除き、穏やかな症状が多いとの見方を示す一方で、新型ウイルスへの感染が若年層に集中しているのは「メキシコなど感染地域に若者が旅行に行きがちなことの反映」と説明していた。

 しかし、関係筋によると、最近になって米国の症例が多く集まり、分析の結果、季節性のインフルエンザでは重症化しにくい若い世代に、肺炎などの重症者が一定数、メキシコ以外でも見られることが分かってきたという。

 WHOは「感染が広がれば若い世代に重症者が増える可能性があり、社会的なインパクトが大きい」(同筋)と判断、軌道修正を余儀なくされた格好だ。フクダ氏はこの日「(症状は穏やかだという)当初の見方は変わりつつある」と発言。特にこれからインフルエンザの流行しやすい冬を迎える南半球では、若者の人口比率が高い途上国が多いことから、一層の警戒が必要だとの認識を示した。



  昨日のブログ記載記事の関連記事です。

入院が必要な重症者は、米国でも9%いたわけで(NEJM誌)、まだ注意が必要です。


 なお、日本では、衆議院選挙が行われるあたりと「第2波の到来」が重なるかもしれません。


新型インフルの致死率は推定で約0.4% 国際チームが分析

 【ワシントン11日共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

 チームは、世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)評価に携わる英ロンドン大インペリアルカレッジなどで「20世紀に起きたパンデミックに匹敵する大流行になる可能性がある」と指摘している。

 チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。

 1人から何人に感染するかを示す感染力は、1・4-1・6人と推計。季節性のインフルエンザよりは強く、1・4-2人だった過去のパンデミックの低い方に近いという。

 メキシコでは、1月12日ごろに最初の1人に感染し、4月末までに人から人への感染が14-73回繰り返されたと推定されるという。今回の解析では、最も早く感染が確認され、住民の半数以上が発症したベラクルス州ラグロリアが発生地になったとの説を支持する結果が得られたとしている。


コメント:Science誌に掲載された論文の報道。

 論文を見たら、感染後の推定致死率は、0.4%(0.3%-1.5%)。

 重症度カテゴリーが、もし5段階ならば、2(3に近い)ですね。


 たぶん、近日中のWHOからの発表は「フェーズ6、カテゴリー2」と思われます。