新型インフル:子どもや20代の感染が増加 学校から家庭に移行か
201回目の記事は「新型インフル」のネタを、はずそうと思ってたのですがねえ・・・。
新型インフル関連の論文も投稿したし、今日は、あらためて、命がけの「iPS細胞研究」の論文が胸突き八丁なので、ブログには「ワインのネタ」でもと・・・。
しかし大事なNewsなので、またまた。
国内で確認された新型インフルエンザ感染者の年齢層が、当初の中高校生を中心とした10代から、10歳未満の子どもや20代の若者などに広がったことが25日、分かった。
18日までの感染者(計163人)と、19-24日の感染者(計180人)に分けて比べると、10歳未満の比率が1%から6%に、20代は3%から10%に上昇。一方で10代の比率は88%から75%に減っていた。
感染者のほとんどを占める兵庫県や大阪府で休校措置が取られたため、中高校生同士の接触が減った半面、家庭内できょうだいや親子間の感染が起きた可能性がある。
京都産業大の大槻公一教授(獣医微生物学)は「家族は狭い空間におかれるので最も感染しやすい。感染者は別室で休ませ、窓を開けて換気をする必要がある」と指摘している。
今回のウイルスは若年層の感染が多いことが分かっており、米疾病対策センター(CDC)は高齢者に何らかの免疫がある可能性を指摘。一方、けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫小児科部長は「どの年齢層でも感染はありうるので油断できない。感染したら早期の受診を」と呼び掛けている。
家庭内での感染を防ぐには手洗いやマスクの着用も有効。大阪府では兄と父親が感染して治療薬のリレンザを予防的に服用していたにもかかわらず発症した中学生もおり注意が必要だ。
コメント:
だから、患者さんには、マスク着用な。他の家族らは、まあ、ご自由にという程度。
ただし、皆さん、外から帰ったら、手洗いと嗽はお願いします。
最後の行・・・へえ、リレンザを予防に使ったのか・・・。
きっと、中学生だからということで、例のタミフルの副作用を考慮して、リレンザを処方されたんだろう。ただし、タミフルでも、たぶん同じ結果だったろうな。
なお、全体的に、これらの治療薬を予防的に使うのは、私としては、あんまりお勧めしませんけどね・・・。
塩野義がインフル新薬を発売 10年めど、大流行に備え・・・に関するコメント
このところ、「インフル」の話ばっかりで、すみません。
まるで「インフル・ブログ」だな(笑)。
では、ブログ記事200本目記念ということで「インサイダーの(投資)情報」を(笑)。
まず、新聞記事(日経)から。
塩野義製薬は2010年をめどにインフルエンザ治療薬を日本市場に投入する。すでに最終的な試験を実施しており、年内に厚生労働省へ申請し承認を得たうえで発売する。治療薬は現在、実質的にスイスの製薬大手ロシュの「タミフル」など2種類しかなく、大流行に備えて供給体制の拡充が急務となっていた。第一三共も開発を進めており、国内各社の相次ぐ参入で、治療の選択肢も増えることになる。
新薬は注射剤で、投与には医師の診察と処方が必要となる。タミフルでは発症から48時間以内の服用が必要とされているが、新薬は48時間以上が過ぎた後の投与でも効果を期待できるのが特長。研究所での試験結果では毒性が強い「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスにも効果があったという。
コメント:
塩野義製薬のは「ペラミビル」というやつ。15分間の点滴1回ですむ。
2007年にアメリカのバイオベンチャーから、日本・韓国・台湾での販売権を買い取ったもの。H5N1にも効果があるって?・・・あのね(笑)、タミフルやリレンザでも、効果はあるよ。だから、今、求められてるのは、それらに耐性のあるウイルスにでも効果があるもの。この薬には、そこまでの実力があるのかは???。
しかも、順調に日本での審査が進んでも、ようやく2010年後半に使える。
一方、第一・三共製薬のは、CS-8958(開発コードネーム)。
1日1回の「口内噴射」でOK(なお、タミフルやリレンザは1日2回で、5日間の服用)。これも、上記の薬と「実力状況は同じ」。
それで、富山化学工業のは、T-705(開発コードネーム)。
タミフル・リレンザと違って、ウイルスの増殖そのものを抑制する働きをもつ。
しかし、早くて(かなり順調に進んでも)、使えるのは2011年後半。飲み薬です。
試験では、全体として、タミフルよりも、治療効果が高いようだが・・・。
まっ、このタイミングだから、各社は、「株価対策」で必死ですな。
繰り返すけれども、今、求められてるのは、タミフルやリレンザが効かないウイルスにでも効果があるもの。上記の薬には、そこまでの実力があるのかは???。そういう薬が出るころには、タミフルやリレンザ耐性のウイルスが、季節インフルであれ、新型であれ、多くなってしまってる可能性が高いから・・・。
まあ、でも、「必死のパッチ」の臨床的工夫によって、ある程度、使い物にすることはできるでしょうけれどね・・・。ただ、どうも、みている限り、上記の薬は、我々が提案するような「モノ」ほどではないな・・・。
まっ、前にも書いたように、特に「インフルエンザ」と戦う武器は、いくらあっても良い。
ただ、製薬企業っていうのは、余りにも、リスクが高すぎて「この種の薬」の開発に力は、あまり入れない。最も力を入れるのは、「メタボ」対策の「くすり」!
【新型インフル】 重症化防ぐには?・・・の産経記事に関するコメント
毒性が「季節性並み」であることが強調されている新型インフルエンザ。過剰な反応は必要ないが、油断は禁物だ。専門家は「糖尿病や喘息(ぜんそく)など基礎疾患がある人を中心に重症化することもある」と警戒を呼びかけている。また、妊婦の場合、症状が重くなるという報告もある。どのような人が、どのような点に気をつけたらいいのかをまとめた。(長島雅子)
【妊産婦】米国では、新型に感染疑いのある妊婦が、治療薬の投与を受けずに出産後、死亡したことが明らかになっている。
日本産婦人科学会も、妊産婦への注意などをホームページ(http://www.jsog.or.jp/)で公表している。
学会では、感染が疑われる場合には、医師と相談の上で、抗ウイルス薬のタミフルやリレンザを服用することを推奨している。米疾病対策センター(CDC)によると、これらの薬の妊婦や赤ちゃんへの副作用報告はない。薬を服用しながらの授乳も問題はないとしている。
同学会の周産期委員会副委員長で北里大学医学部産婦人科の海野信也教授は「妊娠中はウイルスを排除する免疫機能が低下する。母体が高熱になると、胎児も苦しいので、高熱が最も心配だ。抗ウイルス薬を処方されたら心配せずにのんでほしい」と話す。
毒性が「季節性並み」であることが強調されている新型インフルエンザ。過剰な反応は必要ないが、油断は禁物だ。専門家は「糖尿病や喘息(ぜんそく)など基礎疾患がある人を中心に重症化することもある」と警戒を呼びかけている。また、妊婦の場合、症状が重くなるという報告もある。どのような人が、どのような点に気をつけたらいいのかをまとめた。(長島雅子)
【妊産婦】米国では、新型に感染疑いのある妊婦が、治療薬の投与を受けずに出産後、死亡したことが明らかになっている。
日本産婦人科学会も、妊産婦への注意などをホームページ(http://www.jsog.or.jp/)で公表している。
学会では、感染が疑われる場合には、医師と相談の上で、抗ウイルス薬のタミフルやリレンザを服用することを推奨している。米疾病対策センター(CDC)によると、これらの薬の妊婦や赤ちゃんへの副作用報告はない。薬を服用しながらの授乳も問題はないとしている。
同学会の周産期委員会副委員長で北里大学医学部産婦人科の海野信也教授は「妊娠中はウイルスを排除する免疫機能が低下する。母体が高熱になると、胎児も苦しいので、高熱が最も心配だ。抗ウイルス薬を処方されたら心配せずにのんでほしい」と話す。
コメント:
「米疾病対策センター(CDC)によると、これらの薬の妊婦や赤ちゃんへの副作用報告はない。薬を服用しながらの授乳も問題はないとしている。」
・・・実際に人間の妊婦に投与して、どうなったかのデータが十分でないし、まして母体内の赤ちゃんへの影響に関するデータをや・・・だ。
そこで、この「タミフル」の下記の「添付文書」(の抜粋)を見てみなよ。
ちなみに「添付文書」とは医薬品の取り扱い注意書であり、非常に重要な書類です。
タミフルの妊婦、産婦、授乳婦等への投与
新型インフルエンザ:米、散発感染が夏以降も・・・そりゃそうでしょう
【北米総局】世界的に感染が広がる新型インフルエンザ。米国では新型の人から人への感染が4月に断定されて約1カ月になる。米疾病対策センター(CDC)のジャーニガン・インフルエンザ部副部長は20日会見し、新型への感染が各地で散発的に起きる状態が「夏を越えて続く」との見通しを示した。春夏にはいったん収束する季節性インフルエンザに比べ、「全く違う様相」を見せている。
CDCによると、米国での感染や発症による入院はいまだに継続している。累計47州で感染が確認され、うち南西部を中心に22州は感染が拡大している。感染者の累計数の伸びは収まっておらず、疑い例をカウントするようになった14日以降も1日数十~数百人単位で増加。18日には5000人を突破した。
現在、インフルエンザの疑いのある患者を検査した場合、新型インフルエンザと季節性インフルエンザは半々に見つかる。季節性インフルエンザの発見例もこの時期としては多く、CDCは、本格的なインフルエンザシーズンを迎える秋に向け、この2種類のウイルスが複合的な作用を及ぼすことを警戒。秋冬には「何が起こるかわからないが、感染が増加するだろう」と話す。
また、同副部長によると、ニューヨーク市やその周辺では学校を中心に感染の広がりがみられる。コネティカット、ニュージャージーなど周辺州でも、インフルエンザようの病気が「(この時期としては)異例に増加している」ため、休校している学校がみられる。
入院患者のうち164人を分析したところ、平均年齢は19歳で、18%が10~18歳、11%が5~9歳と、高校生までが大きな割合を占めていた。CDCは、児童生徒の感染に注意を払っている。
ただCDCは休校措置は奨励せず、現場の判断にまかせている。地域レベルで感染が拡大している中、学業継続と感染拡大防止のバランスを考えるべきだとしている。
日本でも米国と同様に新型の感染が続くのだろうか。国立病院機構仙台医療センター(仙台市)の西村秀一ウイルスセンター長は「新型はほとんどの人が免疫がない。感染力が季節性より強く、国内でも夏になっても感染が終わることはないだろう」と、CDCと同じ見解を示す。
日本での季節性インフルエンザは例年、12月から4月ごろまでが流行期間とされ、その後は収束する。ウイルスが低温で乾燥した環境の中で活発に働くためと考えられているが、明確な理由はいまだに分かっていない。
国立感染症研究所は、全国5000カ所に上る小児科・内科の定点医療機関で発生したインフルエンザ患者数を毎週集計している。4月下旬の1医療機関当たりの患者は過去5年の平均が0・92人。流行の指標となる1・0人を割り、すでに流行が終わっている時期だ。しかし、今シーズンは4月27日~5月3日に3・23人、最新集計(4~10日)は1・68人と依然、「流行」状態だ。
一方、西村氏によると、近年は沖縄県で夏に季節性インフルエンザが流行する傾向がみられている。
西村氏は「新型を含めたインフルエンザウイルス全般にとって、高温多湿の気候は流行にマイナスの影響があることは間違いない。今後急速に大流行になる事態にはならないだろうが、新型への感染が夏以降も続くと考えられる」と予測している。【関東晋慈】:毎日JP
コメント:
要は、これからは、年間を通して、インフルエンザには悩まされるわけだ。
今後の展開予測ですが、新型インフルでも季節インフルでも、まったりと持続するでしょうね。日本では、新型のほうは、いちおう「減速」しつつも密やかに持続する。一方、これから南半球では拡大するでしょう。
そして、その間、新型のウイルスが確実に変異を遂げて、秋以降に「第2波」がくるでしょう。
そうなれば、今、開発が楽観視されている「新型用のワクチン」なんぞは、効果が???でしょうね。おまけに、今は新型でも効果が確認されているタミフル・リレンザも効きにくくなる・・・。
・・・これが、考えられるシナリオです。
そのうえで、H5N1(強毒性の鳥インフル)と今回の新型との「変な、コラボレーション」なんかは見たくもないが、想定内のこととして考慮しなければならないでしょう。
このような「最悪」を回避するために開発した治療法に関するわれわれの研究論文は、ただいま投稿審査中(*^▽^*)
新型インフル:「念のため」診察の医師が機転…国内1例目・・・アッパレ!!!
このブログ記事でも「アッパレ!」と紹介した神戸の医師の紹介です。
(毎日JPからの記事です)
臨床医たるもの、こうでなければと私は思います。
「新型インフルエンザの国内感染の発覚は、1例目となった兵庫県立神戸高校の男子生徒(3年)を診察した神戸市内の男性医師(52)の機転だった。発熱、だるさ……。生徒に海外渡航歴はなかったものの、一抹の不安が脳裏をよぎった。「新型インフルエンザをまん延させてはいけない。念のために」。医師としての責任感に押され、市医師会を通じて、市に検査するよう訴えた。
医師は診療所を開業し、神戸高の校医を務める。男子生徒にとっては10年以上の「かかりつけ医」だった。生徒は11日午後、医院を受診。発熱はなかったが、せきやのどの痛みを訴えた。薬を処方したが、「同じバレー部でインフルエンザの生徒がいる」と話していたことが気になった。
生徒は翌日、再び来院。体温37.4度で全身の「だるさ」を訴えた。新型インフルエンザで、海外で同年代の多くの「高校生」が感染していたことがひっかかったが、生徒は海外渡航歴がなく、38度を超える高熱という典型的な症状もない。「風邪で間違いないだろう」。しかし、簡易検査の結果はA型陽性。市に検査を要望した。
市環境保健研究所は15日午後、検体の検査を行った。午後9時半。ソ連型か新型インフルエンザか、どちらかであることを示す「H1」の反応が出た、と研究所から医師に連絡が入った。翌16日午前1時には改めて連絡が。患者第1号の事実上の「確定」だった。
「弱毒性で症状が軽ければ、潜伏期に水際の検疫で見抜くのは難しい」。医師は指摘する。今回は「新型」を完全に否定する根拠が見当たらなかったため、検査をアピールしたという。医師は「新型インフルエンザは未知の領域。常に危機意識を持って対峙(たいじ)することが、われわれには求められている」と話した。【村上正】」
東京都の対応(昨日の記事)と比較すれば、この国の闇の1部のおおよそが見えてくるでしょう。
新型インフル:妊婦への抗ウイルス剤投与は「OK」、18歳未満の解熱剤投与は避けよ
同指針によると、これまで分かっている範囲では、大半の感染者が入院や抗ウイルス剤の投与を必要とせず、サリチル酸系でない解熱剤などは補助的に投与することは可能。
タミフルなどの抗ウイルス薬は妊婦、肺炎などの呼吸器疾患のある患者などには効果があり、初期の段階での投与が望ましいという。
コメント:
前半は良いとして、タミフルなどの抗ウイルス薬の妊婦への投与については、若干、注意すべき点があるけれど・・・。
季節インフルでの妊婦や授乳中の女性への安全性が確立されていないので。
ただ、彼女らは、今回のハイリスク対象者なので、日本の学会も急転、使用に踏み切る声明を出しました。
ただし、こういう事情があることは、皆さん、知っておいてね!
新型、ワクチン種選択は容易 免疫反応の特性同じ
また、ウイルスは豚由来と確認し、今後は豚の群れでの感染状況の監視が重要だと指摘した。
チームは両国の感染者から採取した70以上のウイルスを遺伝子解析した結果、毒性や感染力が強まる変異は起きてないことが確認された。ワクチンの効果に関係する抗原性もほぼ同一だった。
一方で、チームは「豚の体内にあるうちは変異が遅いが、人間に入った今後は、季節性インフルエンザ並みに頻繁に変異する可能性がある」と警戒を強めている。
ウイルスの起源については、3種の遺伝子が交雑した豚インフルエンザが北米で1998年ごろに出現。その後、ユーラシア大陸起源の豚インフルエンザウイルスが混ざって誕生したことが分かり、豚がウイルス交雑の現場となったことが再確認されたとした。
コメント:
今の「第1波」については、論文が書かれた時点では、このくらいでしょうね。
ただ、やはり・・・
「一方で、チームは「豚の体内にあるうちは変異が遅いが、人間に入った今後は、季節性インフルエンザ並みに頻繁に変異する可能性がある」と警戒を強めている。」としています。
すでに、ヒトーヒト感染が出ており、実際には「変異の兆候」も見られますし、
季節インフルなども含んで、タミフルやリレンザ耐性にも効く新しい治療薬の更なる開発が望まれます。
首都圏の新型インフル事情
夕刊紙掲載の記事だから、割り引いてみたほうがいいが、まあ意外にも(失礼!)正確な情報なのでアップしておきます。
都内の医師が言う。
「東京では先週まで、海外渡航歴や確定患者との接触がなければ、
A型の陽性患者でも新型か季節性かを調べる遺伝子検査 は行なっていませんでした。
実際、病院で遺伝子検査 を拒否された人も多い。
都は18日から検査対象を広げたが、
それでも『病院で38度以上のA型入院患者が3人以上出た場合』など、ケースはかなり限られています」
元東京都衛生局職員でジャーナリストの志村岳氏はこう指摘する。
「関西では神戸の医師がたまたまA型患者の遺伝子検査
をして新型が発覚したが、
東京の体制では感染者が『いない』といった方がいい。
A型インフルエンザの流行は例年3月いっぱいで終わるのに、都内では4月以降も続出している。
季節性ではなく、新型がとっくに入り込んでいた証拠です」
WHOの新型インフルエンザ
対策に携わる東北大教授の押谷仁氏(ウイルス学)は、
「米国の公表は数千人だが、恐らく10万人規模」とし、日本も少なくとも数千人規模になっている、
とみている。つまり、首都圏も関西と同じかそれ以上、数百人規模の感染者がいてもおかしくないのだ。
遺伝子検査
費用は4万円
「東京には“事情”がある。遺伝子検査
にかかる費用は4万円。
A型患者すべてに検査をやっていたら、財政がパンクします。
また、感染者が続出すれば、東京五輪招致へのイメージも悪いですからね」
とっくの昔に、周囲には感染者がウヨウヨ。都内1人目で大騒ぎするのがバカらしくなる。
(日刊ゲンダイ 2009/05/21 掲載)
冷静に受け止める・・・京都大学式新型インフルエンザ対応!
京都大学がHP上に掲載した新型インフルエンザ対応の文です。
メキシコのある農村で生まれた新型のインフルエンザ(A/H1N1)が、
北米各国のみならず世界的に流行しています。
日本でも西日本で相次いで発症者が出て、警戒体制に入っています。
歴史的に見ると、今回と同様のブタ・インフルエンザは1976年に米国で小流行しています。
また1977年に極東やアメリカで流行したソ連型インフルエンザも同じH1N1という抗原型を持っています。
それらによって当時の人々が免疫を獲得したせいか、
発症者は圧倒的に若い人に多くなっています。
免疫を持っていない集団の中にいったん病原体が持ち込まれると、瞬く間に広がっていくのです。
不幸中の幸いというべきか、毒性は強くありません。
しかし、持病のある場合や妊婦では重症化するおそれもあります。
また、秋以降に強毒化する可能性も懸念されています。
このインフルエンザに効くワクチンは当分ありません。
発症してしまった人はちょっと辛いのですが、これで免疫を獲得して今後同じタイプのインフルエンザにはかかりにくくなることが期待できますし、公衆衛生的観点からは集団免疫の成立にも貢献することになります。賢く行動してやり過ごしましょう。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news5/2009/090521_3.htm
コメント:
上記の最終段落に、いささか問題がある。
京大は、訂正したほうがいい。一般の方々にかなりの誤解を与える。
うがった見方かもしれんが、今のうちに「免疫獲得」のために「罹れ」と言ってるようなもんだ。
誰だ、こんな文章を書いたやつは!
「フェーズ6は地球規模の拡大で WHO、引き上げ条件変更」と「南半球の情況」
WHOによる現在の定義上は、国内感染が続く「地域社会レベルの持続的感染」が、既に確認されている米州地域以外で発生することが引き上げの条件。欧州のほか、感染が急拡大している日本が「パンデミック宣言の引き金になりかねない」との懸念が政府関係者らの間で広がっていた。
しかし、これまでのところ新型インフルエンザの全体的な健康被害が軽いのに対し、強毒性の鳥インフルエンザの流行を念頭にしたWHOの定義を機械的に適用すれば、社会的な混乱を引き起こしかねないとの主張が英国などから相次いだ。これを受け、事務局長として引き上げ条件を厳しくする政治決断を下したとみられる。
事務局長は開会中のWHO総会の会合で、警戒水準引き上げに慎重な対応を求めた英国などに答える形で発言。「(既に感染が広がっている)北半球が世界を代表しているわけではない。人々の(定義をめぐる)混乱を放置するわけにはいかない」などと述べた。
コメント:
まあ、今の経済危機状況を理由に、欧州と日本がフェーズの引き上げに強行に反対した成果ですね。理屈として、南半球での本格的拡大を引っ張り出してきました。
また、WHO緊急委員会の田代眞人委員も南半球への感染拡大に改めて懸念を表明しました。 彼曰く、「南半球で流行した場合には、大きな広がりを見せる可能性がある」 、季節性のインフルエンザと結びつき、ウイルスが変異する可能性も指摘し、「毒性が強まることも否定できない」と述べました。・・・私も、彼のような指摘は、前からしています。
ただし、例えば、南半球の要所の1つである「オーストラリア」では、もう感染拡大が始まっています。現時点で7人ですか・・・。
今は、もう事実上のフェーズ6ですが、5に据え置いて表面だけを繕うことに、いかほどの意味があるのか?
再三、ここでも述べていますが、社会的混乱を防ぐ意味では、感染症の重症度カテゴリーを設定し、フェーズと併記するのが一番有効のように思いますけれど・・・。