新型インフルエンザ・・・「流行の深刻さ」を致死率で評価する意義
米国では、致死率をもとにパンデミックの被害規模を5段階で評価し、下記の図1のような「Pandemic Severity Index」という指標(カテゴリー)として提示することになっている。患者の自宅待機や学校の臨時休業、不要不急の集会などの自粛や企業の不要不急の業務縮小などの対策は、それぞれのカテゴリーに応じて対策が発動する。
図1 「流行の深刻さ」を示すPandemic Severity Index(CDC)から
これはハリケーン対策を元にした考え方といわれているが、今回の新型インフルエンザがWHOによってフェーズ6の段階に至ったと判断されれば、米疾病対策センター(CDC)は、パンデミックの「流行の深刻さ」を評価し、どのカテゴリーに該当するのかを発表する。
だから、WHOも、これに習って新たに重症度カテゴリーを創設し、今のフェーズ5(もう、ほとんど6)の段階で併記しろと、口すっぱく言っているわけです。
ちゃんと米国のようにやってくれる国とそうでない国があるから・・・。
たとえば、米国では、学校の休業は、カテゴリー2~3で4週間以内、カテゴリー4~5では12週以内などとなっている。また、室内イベントの中止や劇場などの閉鎖は、カテゴリー2~3では状況に応じて実施し、カテゴリー4~5では実施を推奨するなどとなっている。職場の対策については、カテゴリー2~3では状況に応じて実施し、カテゴリー4~5では実施が推奨とされている。
こうした被害の深刻さに応じた対策の実施は、合理的とする専門家は少なくない。
実際、日本の企業の中にも、事業継続計画に「被害規模の想定」を盛り込み、それぞれの段階に応じた対策を立てているところも出ている。
社会的あるいは経済的な活動を可能な限り維持しながら、パンデミックの被害の最小化を図る対策が、今、求められているのである。
後でも、いつか述べるが、「希望のある社会」を実現するために、分野を問わずに日本政府がとるべき政策の基本姿勢とは「最悪を回避すること」なのだ。