IDSアライグマ・ハクビシン・スズメバチ駆除日記 -11ページ目

IDSアライグマ・ハクビシン・スズメバチ駆除日記

ハチ・有害獣駆除担当のヴェスパ1号、アライグマ駆除担当の変人プロチョーネ1号、太ったネズミ駆除担当ムスムスクルスムスクルス初代 そして、ハクビシンのツヨシとヨワシの日常の奮闘ブログです♪
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 どうも、プロチョーネです。じわじわと読んでくださる方が増えているみたいで嬉しいですが、たまに「過激」と見られそうな写真が運営に報告されないか怯えてもいます。まっ、狩猟とかを本格的にやってる人なんかも狩った動物の写真を掲載してますからいいですよね?たぶん・・・

 

 ともかく今日は急に涼しくなってずいぶん過ごしやすくなりましたけど、そのためなのか連休前にアライグマが3頭捕獲されました。いずれもこの季節を示してくれる子たちです。

前回https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12522209314.html

 で扱った場所でネズミに負けずに罠を仕掛けていたところ、またアライグマが捕まりました。周囲を荒らされましたがやはり今週に捕まったのと同じく10ヶ月程度の個体でした。まさに親下から旅立った直前くらいだったのではないでしょうか。

 また別の所では、驚かされる形での捕獲がありました。

 大きなアライグマが2頭同時に入っていました。これよりもっと小さな幼獣が同時に捕まったことは何度かありましたが、ほとんど成獣な大きさなので2頭の関係性も最初は分かりかねておりました。

 ですが、見て下さいこの身の寄せ方。

 会社の人たちには「肉玉」と形容して写真を送りましたが、絡みつくように身を寄せています。

 で、しばらくすると落ち着いたらしい姿を見せてくれました。体重は片方が3.5㎏、もう片方が4.5㎏と結構差がありましたがいずれも牙の大きさからみても10カ月前後の姉妹だと判断できました。

 こうして互いに仲良くふれあって育つのがアライグマのきょうだいです。オスの場合はこのくらいの時期になると母親から離れて遠くに行く傾向にありますが、メスはあまり母親のいる地域を離れずに暮らすようです。危険を冒して近親交配を避ける役割はオスというわけなのでしょう。かといって、オスたちもきょうだいや旅先で出会った仲間同士で捕まることもあったりするのでアライグマは結構な社会性を持った生物と考えられています。そのあたりはセミナーで詳しく扱われたので後日書くことにします。

 

 こうしてアライグマの仲睦まじい姿を見ることができるのも、彼らを捕獲して処分する立場にあるからこそだと考えると何とも言えません。役得と言っていいのか?この仕事を楽しいと思っていいのか?難しい問題です。

 月曜の台風から2日続けて熱帯雨林みたいな夕立(と呼ぶには野太過ぎる)に降られて改めて気候の極端化を感じます。

 毎日渡る荒川も濁って増水してます。おそらく、河川面積占める面積約4%で日本一だという埼玉県のどこかではこのさなかに橋の下や林などに潜んでいたアライグマや野生動物が流されているのではないかと思います。気温も急上昇して昨日はその日に捕まったアナグマが僕が到着したときには既に死んでしまいました。間違いなくこの気候は野生動物にも堪えているようです。

 

 かといってアライグマが捕まらないわけではなく、月曜にはとんでもない大きさの個体が捕まりました。

 

 この腹のでかさですが、中身は子供ではなく脂肪を大量に蓄えたメスです。重さは8.9kgと体脂肪率、重さともにこれまでに見てきたメスの中では最重量でした。いい餌場を独占して、長年(おそらく5年以上)生きていたような個体が、もしかすると台風を経て飛び出してきたのかもしれません。

 で、今日はこのメスが捕まった近くで子供が2頭捕まりました。直接の子供かは分かりませんがどちらとも既に70cm以上で体重も4kg前後でほとんど成獣と変わりがありません。ただし、成獣かその年に生まれた子供であるかを見分けることはできます。牙を見ればいいんです。

 

 これが月曜の母親の歯並びです。上下の牙はしっかりとした太さと鋭さを持っており、健康状態のよさと成長度合いを教えてくれます。アライグマの場合、上下の牙が生え揃うのにだいたい12ヶ月ほどかかるのでいい判別基準になります。では子供を見てみましょう。

 これが今日捕まった幼獣の牙です。角度が違って比較しづらいですが、明らかに牙が細く短いことが分かるかと思います。おそらく10ヶ月程度で独立寸前の段階で、牙が成獣のものになるにはあと2,3ヶ月ほどかかるところにいると思われます。

 古谷先生の講演内容にあったように、アライグマが各地をうろついて出会いを目指す繁殖期は目前に迫っており、こうした子供たちもそろそろ親元を離れて(特にオス)旅立つ時期にいます。各地の道路、田畑、河川などがいつも以上に賑わうかもしれません。この時期に行ったことの無いところに移動することもあるかもしれませんので、「アライグマなんて見たことない」と思っているところ(特に埼玉県内)にいる方々の近くにもアライグマがやってくる可能性がありますのでご注意ください~。

 プロチョーネです。先日賢いアライグマに横から手を突っ込まれて餌だけ取られていた罠の様子をお伝えしました。

 

 これに対策をして金曜日に巡回をしたのですが、今度は・・・

 フックは動いてないにも関わらず餌だけとられていました(扉は僕が閉めました)。有害駆除業務を始めたころにはこの状況の原因がよくわからなかったのですが、今では分かっています。

 以前同じところで同じようなことがあったので動体カメラを仕掛けてみたら撮れた映像です。映っていたのは小さくてわかりづらいですが、ネズミです。餌の袋に大胆に飛び乗っています。この時に映っていたのはこれだけでしたが、こいつなら罠の格子の間からも出入りできますし、好きにエサを食べることが出来るのでアライグマとはまたちがった形で罠を攻略してしまうのです。

 ネズミは専門外なのであまり詳しくないですが、たぶんクマネズミではないかと思います。森の中に住んでいてこうして身軽ですからね。

 これは6月に会社の外で出くわしたネズミですがどうやら尻尾が胴体より長いのがクマネズミの特徴みたいなのでクマネズミだと思います。なんでこんなのが会社のすぐそばにいたかって?会社に夜な夜な侵入しては電源コードを齧ったり飼育してる鳥の餌なんかを食べに来てたからです。害虫、害獣駆除会社のくせに会社にネズミに入られてしまうのが弊社でございます。まあ、一応対処はして最近はいなくなったようですが。

 

 で、以前はネズミ捕りをアライグマの罠の中に入れてみたのですが

 (上にアライグマ用の餌と、興味を惹けるかと思ってカラーボールを入れました)

 

 

 数日後こうなってました。

 ネズミ捕りはいったいどうやったらこうなるのか分からない形で宙に浮かび、壊されてしまいました。この時はアライグマが先に罠に突っ込んだのでしょうが、結局ネズミがいつ来るかもわからないし、こうしてネズミ対策をしてもアライグマに壊されるのでネズミ獲り作戦はこれ以降やってません。

 

 山の中でもネズミに悩まされるとは思いませんでしたが、この感覚の方が異常かもしれませんね。それが当然であって、なんで街の中にネズミもアライグマもハクビシンもうろうろしてるのかという話です。これが現代、としか言いようがないです。

 

 前回1-2

https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12510789027.html

 

さてさて、今日うってつけの実例があったのでセミナーの内容に合わせてお送りします。

 

 アライグマの行動には大きく時期がありまして、この図のように

 幼獣の捕獲はほとんど5月~8,9月に渡って発生します。そして彼らの被害(特に住宅被害)も春先から5,6月から増加します。これもこの時期に住宅や建物に侵入し、子育てをして糞尿、騒音などの被害が目立つためです。そこから子供が歩けるようになるにつれて住宅被害は減り、農作物被害が増えてくるのが6月以降から秋。親子が一緒に行動しているためです。そして秋から冬にかけては捕獲も被害も減っていき、彼らの気配も減っていきます・・・。

 つまり、アライグマは11月のあたり(9月の時点でもオスがうろついている気がしますが)から生後10か月近くを迎えた子供は独立分散し始め、成獣のオスたちの移動範囲はさらに拡大します。なぜか?近親交配を避けるためと、できるだけ自分の遺伝子を広く残すためです。で、この11,12月はだいたい発情期を迎える為に各地で人知れずアライグマの出会いがあり、だいたい60数日くらいの妊娠期間を経て出産が行われます。早い者なら1月から、遅くて4月くらいから各地で順次子供が生まれていくわけです。

 

 皆さんにしっかり知ってほしいので箇条書きでも。

・アライグマの発情期(通常)は11~12月。

・60数日の妊娠期間を経て1~4月にかけて子供が生まれる。

※ただし、古谷先生の次に発表して下さった加藤先生の研究では、この通常の発情期で交尾の機会を逃す、出産しても子供をすべて失うなどしたメスは夏場から秋にかけて2度目の発情期を迎えることが分かっています。これにより、アライグマの生まれる時期は晩冬~春の他に夏から秋でもある・・・つまりほぼ一年中あり得るということになります。非常に厄介ですね。道理でこれだけ増えるわけっすね。だからたまに冬なんかにかなり小さな子供が捕まったりもします。

 

 次は、彼らの学習能力についてです。

 こうして複数の罠にアライグマが捕まっていますが、よく見ると

 こうして親や子供が捕まった仲間の近くをうろつきます。

 見づらいですが同じ位置に朝になってもいます。アライグマの習性として、仲間が捕まっても2,3日は捕獲場所にやってくる点があるようで、いかに捕獲をしてすぐに回収をするのは勿論、捕獲地点に出来るだけ早く罠を再設置するかが重要になるわけです。でなければ獲り残されたアライグマは各地に逃げ出し、さらに仲間が捕まった罠のことを学んでいますのでかなり捕まりにくくなってしまいます(まだ数日であれば捕まる可能性はあります。目の前で捕まってるのを見ているのに、何故か捕まります)。

 このような形で罠を学んだり、元から警戒心が強いアライグマは厄介な対応を見せてきます。

 これは今日罠を巡回した所の様子です。罠の中には餌をぶら下げるフックがあるのですが、見ての通り、外側から手を突っ込んで引き寄せられて餌の入った袋が破られています。この罠には両脇に手を入れられないように猫よけのシートを張り付けているにも関わらず、さらに外側から手を突っ込んでいるわけです。このような真似はハクビシンやタヌキには絶対不可能で、アライグマの仕業であると断定できます。この点に関しては次回詳しく扱いますね。

 こうやられてしまうと捕まえるのは困難で、せいぜいこうして手を入れていた場所に板を立てたりして防ぐ他ないです。(後ろとか上がガラ空きとか言わないでね・・・)こうした連中を捕まえる可能性を増やす罠はあるのですが・・・、これも次回で。

 で、こうした連中はまだ罠と餌への興味を持っているのでまだ捕まる可能性があるのでいいですが、さらに厄介な連中がいます。その名も・・・ トラップシャイ と呼ばれている個体たちです。

 このスライドにもあるように、彼らはそもそも罠に近づかない、興味を示さない個体の事です。おそらく仲間が捕まった姿を見てきて学習したのか、どうやっても捕獲が出来ないので現状では対処が困難となっています。先日神奈川の環境保護団体の方と会った際にも話したように、神奈川はまだ一定数アライグマを減少させることに成功しているのですが、それはトラップシャイ個体が多く残ることを意味し、今残っているアライグマはそうそう捕まらず、タヌキが捕獲のほとんどを占めるらしいです。こうした個体への対処も先を見据えると考えなくてはなりません。

アライグマたちを仮に減少させることが出来ても、トラップシャイたちへの対処ができないことにはアライグマの根絶は不可能なのです。

 これまた大きな問題です・・・。今回はここまで。

 

 

 プロチョーネです・・・。なんでこんな23時前にブログを書いているかと言えば、この30日にやたらと各地でアライグマが捕まって対処に追われていた為です。金曜なので別にいいですけどね。

 親子らしきメスと兄妹2頭が同時に捕獲されるわ、ブドウ園では腰の曲がった確実に6歳以上はいってるような婆さんアライグマが捕まったり(掲載できる写真を撮り忘れました・・・)、

 畑ではタヌキの子供が捕まったりしたうえ、県の南から県北までやたらと渋滞が多い中を駆け回ったために帰りが大変遅くなってしまいました。今年の8月は例年に比べると大した捕獲数でもなかったのですが月末に急に捕まってきたあたり、まだ残暑が続くとはいえ一番ひどい時期からすれば気温も5度以上は下がってきたので動物たちも動きやすくなってきているようですね。

 

 とりあえず今日は報告程度にとどめさせてもらいます。きついわ。

前回1-1

 https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12502921779.html

 

プロチョーネです。アライグマ対策セミナーのご報告、前回からの続きです。隙あらば記していきます。

 古谷先生が指摘された問題として、現在の日本列島各地にはアライグマを始めとした野生動物にとって住みやすい環境が整っている点が大きいという話でしたが、食べ物があちこちにある上、住処、休息場所、潜伏場所が各地にあることが問題視されています。安全な場所であるからには当然繁殖をして子育てをする場所にもなりますから、こうした場所が多いほど野生動物の増加も促されてしまいます。

 「野生動物の住みか=自然の中」という思い込みが皆さんにはぼんやりとあるかもしれませんが、埼玉県の場合はもはやさいたま市ですら年間300頭台のアライグマが捕獲されており、周囲の自治体でも増加していますからその見解が正しいとは到底言い難いです。県北や中央部のように里山や丘陵地帯があるところならまだしも、平地の都市部であればなおさらに野生動物、とくにアライグマやハクビシンは使用されずに草が生い茂る農地、空き家、神社仏閣、物置、そして侵入出来る穴がある人家に多く住みついていると考えられています。

 このような屋根板の脆く、人目から死角になったところはおなじみの侵入口候補です。

 床下と壁、天井が繋がっていない家ならまだいいのですが(古い家に多い)、つながっている家ならばこうした床下の格子が壊れたところ(または壊す)から侵入するルートも定番です。アライグマは手の力が強いので天井板や格子を壊す事ができてしまいます。

 またアライグマは木登りが得意なのですが、当然建物の外壁、排水パイプ、柱も簡単に上ることができます。

 こうして5本指の爪痕が木の柱についていれば確実にアライグマです。

 こちらは僕が撮影したものですが、爪痕は柱全体につくわけではなくあくまで登る際に基点にされるのは手足で掴む力なので、爪を使う頻度はそれほど高くありません。掴んだ後に体を固定する時に爪を使うので、それほど深く爪痕はつかないようです。

 解像度が低くて申し訳ないですが、このようにほぼ垂直の寺の壁をフサフサの体を揺らして登ってしまいます。登ってしまえばあとは好きなように糞尿したり、子育てしたり、周りの食べ物を漁りながら暮らしてしまいます。彼らの住居事情は場合にもよりますが、大抵の場合はこうした滞在場所を複数持ちながら巡回するように生活している気がします。だからこそ都市部で被害連絡を受けて罠を仕掛けてもなかなか捕まらないのでしょう。

 

 さて、こうして野生動物は餌も豊富で滞在できる場所も多い人間社会に非常に近い領域で暮らしているわけです。ただ野良猫やカラス、スズメほど姿を見せないだけで・・・。今の状況を放置すればそのうち野良猫並みにアライグマがうろつくようになるかもしれませんね。

続きはまた次回。

 

次回

https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12520476710.html

 今月頭から蓮田のあるお宅でアライグマの防除をしているのですが、立て続けに2頭が捕まってからしばらく経って、あの死にそうなくらい暑い天井裏への侵入口を塞いだのが先週金曜日でした。そして昨日の夕方に再び捕獲の連絡がきました。

 駆け付けると・・・

 明らかに大きなアライグマが

 くつろいでました。

 手の部分は罠の格子から何度も手を出して擦り切れたのか皮がすりむけていますが、今度こそ立派に乳首が出ている、明らかに今年子供を持っている母親でした。おそらくこの前に捕まった2頭の親のはずであり、このお宅に2,3ヵ月ほど住み着いていた一家の家長だと思われます。後で測定すると全長83cm、体重も6㎏と立派な体格でした。おそらく年齢も5歳以上はいってると思います。仕掛けていた動体カメラにはしばらく罠の入口で警戒した上で、おそらく空腹に耐えられなかったのかそのまま入って捕まっていました。この2週間の間で家の人が昼間に茶色い動物を2度目撃していたり、夜に天井裏から5分ほど物音がしていたのも、おそらくこのアライグマのものだと思われます。

 長く捕まらなかったために警戒心もあったはずですが、この家を頻繁に訪れていたのもこの場所を気に入っていて執着していたためでしょうし、長期間に渡って来ているうちに罠の中の餌に対して警戒心が揺らいだのかもしれません。大抵の場合アライグマの気配がしてから時間が経つほど捕獲できる可能性は、別の場所に移動したり子供が成長しきったりして縄張りを移したりするので低下するのですが、このようにやたらと同じ場所に執着をして周りをうろついている連中に対しては、当初は捕まらずとも粘った上で捕獲できることがあったりします。今回はどうやら粘った甲斐があったようです。

 

 ひとまず家にアライグマが侵入出来る箇所は塞ぎ、母親を捕まえることができれば、少なくともその一区画の防除としては成功とみなしていい結果でしょう。こうした件数を増やすことができればいいのですが、捕獲を成功させるにはなるべく気配を感じてからの素早い御連絡が必要なのは間違いありません。

 皆様も奇妙な動物の気配を感じた場合はなるべく早く自治体や業者に御連絡を。

 

 プロチョーネです。いつも混んでる大宮市街も羽根倉橋も今朝はスカスカでずいぶん楽に通ることが出来ました。いつもこうならいいとは思いますが、交通情報ではあちこちの高速道路で20数kmの渋滞が発生しているようで、その流れが戻ってくればまたすぐにこのあたりも混むようになるわけでして。・・・あまり盆なんて関係なく仕事なのがこの業界の面倒なところでもあります。

 かといってアライグマたちも空気を読んでるのか、あまり捕まりません。以前そろそろ涼しい所に潜んでいるのも限界ではないかと言いましたが、思いのほか耐えるようです。しかし今日も一頭捕まってくれました。

 

 この数カ月で成獣のメスが3,4頭捕獲されたところで捕獲しました。到着した時には幼獣特有のキューキューといった鳴き声を出していたのでまだ1歳未満で、親がいるなら親離れしていない年のはずです。しかしおそらく、以前捕獲したメスの中にこの個体の母親がいるものと推測しています。アライグマの幼獣は一人で歩くことができ、充分な環境があれば幼獣だけでも生きていけるようなのでそういう感じで生き延びてきたのだと思われます。

 身長も70cm、体重も3㎏とほぼ成獣と見劣りしない大きさになっていましたので、おそらく生後半年は経過している個体だと思われます。アライグマの中ではだいたい2月が最もはやい生まれなのでそのくらいに生まれて餌の条件がいい者たちはこのようにもはや亜成獣状態のところまで達して、またあちこちに散らばり始めるわけです。早熟である上、生存能力も高く適応能力も高い。さらには繁殖力も高い。砂漠地帯や極圏でもない限りどこでも生きていけそうな気がする生物です・・・。

 

 明日まで仕事ですが、ブログくらいは早退気味に切り上げさせてもらいます。

 プロチョーネです。ハチは大量に発生しているようですが哺乳類にはヒトであろうとアライグマであろうと苛烈な暑さが続いています。台風も来週に来そうな程度で雨は降る気配もないわでアライグマもハクビシンもどこか涼しい所に潜んでいるとは言いましたが、だんだんそれも限界になってきたのかもしれません。今日になって久しぶりにアライグマが捕獲されたので、おそらく飢えと脱水に耐えられなくなって出てきたと推測しています。アライグマは冬なら2ヶ月程度は何も食べずとも生きていけるようですが(関西野生動物研究http://www.kansaiwildlife.com/の方が言ってました)、熱には耐えられないはずです。お互い辛い季節です・・・。

 

 

 ところで以前から5月に開催したセミナーについて書くと言っていたのですが、その目標にしていた某新聞社の取材記事の掲載が見送られてしまったと確定したのが先月のこと。当日取材に来てくださった記者の方はこの問題を是非とも掲載したいと仰っていましたが、上層部の「判断」(アライグマ問題が深刻なのは今に始まった話ではないのでわざわざ掲載する緊急性が薄い)があったとのことでした。しょせん新聞を始めとした報道機関も発行部数とそれに伴う収入が大前提として成立しているにすぎないものですから、そこに直結しやすい話題性のある記事、「緊急性のある」(広告費などで稼げる)記事が優占されるのも当然の話です。ただでさえ発行部数がここ数年で激減し、存続すら危ういメディアの態度としては妥当なものでしょう。この状況をいくらでも口撃もできますけれども、やはりメディアがどうなろうともアライグマたちや他の生物たちが列島で日々増えて広がっていることも違いは無いのでこの問題を伝えるにも旧来のメディアとは違う発信方法を模索した方が建設的でしょう。

 このブログなんかも細々書いてますけれども、一旦オンライン上に投げ出されると抹消するのがほぼ不可能になって残り続けるのがネットの特徴でもあります。それで深刻な問題が起こる人々もいますけれども、何万年もの前の古代遺跡が発掘されてその意味や発見が現代人に見出されるように、こうして書いていることも思わぬ人、思わぬ時に省みられることもあるかもしれないと思って書くとします。できるだけ読んだ方々に日本列島の生物問題について今後もお伝えできるよう努力します。

 

 で、前置きが長くなりましたけれども今更ながら5月23日に開催したアライグマ対策セミナーの内容についてお伝えします。もう丸2ヶ月以上前の話とはいえ過去はいくら振り返った所でこの暑さの中でも腐るものでもないですし、戦国武将や新撰組みたいな一般受けのいい歴史上の人物なんてどれだけ振り返られて脚色されてるかって話です。現代において深刻なはずの(メディアはまともに取り上げないですが)生物問題について立ち向かおうとしているセミナーについて振り返ったところで構いはしないでしょう。

 

 

2019年5月23日

 5月23日、大宮ソニックシティの会議室に半年ほどの協力取り付けや宣伝の結果なのか主に埼玉県内の自治体の担当部署、農林系の組織を始めとして民間からも県外の業者、全国的な環境系の団体の方々30機関、35人ほどの方々にお集まりいただけました。何ら後ろ盾のないところから始めた割には多くの方々に来て頂くことができたと思います。ありがとうございます。そして弊社に協力を頂けた先生方には改めて感謝を申し上げます。

 

 で、まず最初に講演をして頂いたのは埼玉県の農業技術センターで長年鳥獣被害対策の中心的な役割を果たしてきた古谷益郎先生。当然アライグマの問題が取り上げられる度に取材をされたり本も出され、そして何より、日々県内はもちろん全国各地を回って鳥獣被害対策の講演を精力的に行われている筋金入りの専門家です。

 古谷先生は鳥獣被害の現状の問題点を述べてくださり、要点は

 「正しい事実」・・・これだけアライグマが増えているにも関わらず、一般の方はもちろんのこと行政の担当者や民間業者ですらアライグマの生態、繁殖時期など抑えておくべき情報を知らないのが現状です。

 「正しい技術」・・・これも同じくアライグマに対処する立場にいる人間でも基本的な知識を持っていない為、対策方法に捕獲方法も知らず、さらには特定外来法のような超重要な法律も知らないために未だに自称「駆除業者」が許可も得ずに捕獲をして、いざ処分方法も分からないので逃がすような場合がまだまだあります。

 

 対策する人間の問題に加え、環境的な問題もアライグマ増加に大きく関わってます。

 人間が勝手に輸入して、勝手に可愛がって、手に負えなくなったので勝手に逃がした。この流れは一般の方もなんとなくご存じかと思います。しかしそれだけでは何十年もの間日本列島の各地で生存するだけでなく何万もの数まで増える事もできなかったでしょう。それができるだけの環境が日本列島には整っていたのです。ここに挙げてある通り、食べ物が豊富で休息場所、生息できる場所が列島には豊富だったという条件が重なったからこその現状なのでしょう。

 さらに「食べ物」といっても単に自然環境だけでなく大きいのは当然、これも人間による餌の提供です。ここに関して古谷先生は二種類の餌付けがあると分類しました。

 意図的な餌やりは言わずもがな、見た目の可愛さ、駆除されていることからの憐みから野良猫と同じようにエサをやるようなことですが、無意識な餌やりの方が問題としては深刻です。これは野生動物に漁られる形で出される家庭ごみ、飲食店などの生ゴミはもちろんのこと、特に問題なのが放棄作物です。

 最近は農家だけでなく環境意識の高まりから郊外で畑を借りて週末農園をやったりする人も増えていますし、さいたま市近郊でもあちこちに田畑が点在しています。そういったところは専業農家のものでもないので対策も怠りがちです。また、専業農家の出す大量の放棄作物も野生動物にとっては最高の餌場です。

 大量のスイカが捨てられることもあったり、同じくミカンやブドウなども生産地では大量に作られ、大量に捨てられています。むしろそれを野生動物が食べることでありがたいとすら思ってる農家もいると古谷先生は言っていました。

 そして、どこにでもある柿の木。土地が放棄されたところで一旦実をつけるところまで大きくなった果樹は何十年も実をつけつづけますから、そんな場所が全国無数にあると考えると、どれだけの野生動物を賄えるのかという話になりますね。それでいてこうした場所で捕獲をしようにも、もはや所有者が定かでなくなったり、許可が得られなかったりで手を出せないという行政上の問題も絡んでくるわけです。

 農家の問題、放棄作物、無意識の餌付け問題、そして対応人員の数でも質の面でも不十分な点・・・。問題は山積みです。

 

 今回はここまでにしておきましょう。続きは次回で。

 

次回

https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12510789027.html

 いやー、ひどい暑さですね。前回ブログを書いたあたりからの気温の上がり方が急激過ぎてその影響は野生動物たちにも出ているようです。今週は彼らの住みかの状況がはっきりと実感できた気がします。

 

 

 火曜日に蓮田のとあるお宅に罠を設置したところ、木曜と今日とで連日捕獲がありました。ここには天井裏に5月頃からアライグマの親子が住み着いていたようなのですが市から許可をもらったのが火曜で、すぐに罠を持って出向いたところ「昨日あたりから音がしなくなった」という家の方の話。この家はほぼ3ヵ月もの間毎晩のように天井裏から足音、何かをひっかく音が聞こえていたというお話でしたので早く対応して親子を捕獲したかったのですが、遅かったかと少し思ったところでの捕獲だったので、まだ彼らはこの家の周辺をうろついているものだと推測ができます。

 実は依頼がある前に別の件の「業者」に依頼をしたところおそらくネズミ用の薬剤を天井裏に撒くばかりで何ら効果もなく、それどころか家の人たちをその刺激臭で苦しめる結果に終わったという話でしたので、アライグマにとっては多少の刺激臭を浴びせられたところで立ち退く気もないほど居心地のいい場所だったのでしょう。それがなぜ天井裏からいなくなったのか?それを確かめるのに一番いい手は、天井裏に入ってみることです。

 

 糞尿などの確認の為、木梯子を使って家の人曰く数十年覗いていないという天井裏へ入ってみたのですが・・・・

 

 あのですね、色々と古めかしい物が置いてあるとかどうとか以前に、暑いんですよ!

 アライグマたちが住んでいるという話を聞いていると、古い家の天井裏は風通しもよく直射日光も当らないので涼しいのではないかというイメージがあったのでしょうね。完全にぶち壊されました。間違いなく50度以上はあり、空気は埃にまみれ、木片や積年の汚れで満ちた空間でこの時期に生存できる生物はいないと実感しました。

 

※ただし肝心のアライグマの足跡は埃に埋もれてほとんど見えず、糞尿も僕が探した限りでは全く見当たりませんでした。どうやらここの母親は子供の糞尿をしっかり始末していたのか、全員外の川沿いなどで済ませていたのかもしれません。ハクビシンも野外活動中は糞尿をほとんど水の中でするという話を農業技術センターの古谷益郎先生から聞きましたし、アライグマもそうなのかもしれません。少なくともこの家には子供がある程度動ける段階になってきてから侵入してきたのかもしれませんね。

 

 全体的にこの通り、埃やゴミが積もるばかりでひたすらに暑い空間でした。そりゃ、気温が上がると共にアライグマたちは出て行ったのでしょうし、かといってこの場所を気に入っているのは間違いないのでそのへんをうろついて、涼しい川沿いなどで過ごしているのだと思われます。蓮田市は川が多いので隣接する林など潜む場所はたくさんあるでしょうからね。

 

 今年の暑さも異常ですが、外仕事は勿論のこと、天井裏に入るような方はお気を付け下さい。アライグマでも逃げ出すような場所になっていますから。