のんびりのほほん思いつき連載wに・・お付き合いくださり有難うございます。
一応、これでも原作沿い…の、本当に突然ですが、シリーズ最終話の前編をお届けいたします。
少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです♡
前のお話こちら↓
①ニヤリはっと …キョコ
②相宿秒読み …社
③親密な夜長 …蓮
⑤真夜中の揺籃 …キョコ
⑥尊敬人 …蓮
⑦暗中飛躍 …キョコ
⑧寄り添いめぐり<前編 ・中編 ・後編> …前・キョ/中後・蓮
⑨よたびの朝 …キョコ
⑩各自の思惑 …社
⑪そのための試練 …蓮
■ ニヤリはっとな夜だから ◇前編 ■
4度目のお泊りの日がやってきた。
今日の私は気を引き締めなければならない。
なぜなら、私は今日のお泊りこそ敦賀さんと別々のベッドで寝なければならないのだ。 ←笑
思えば初お泊りとなった日、敦賀さんが用意してくれていたスペシャルホラー鑑賞後、恐ろしく背筋が震えてしまって一緒のベッドで寝ることになってしまった夢の時間。・・・もとい、それが破廉恥1回目。
次いで翌週。
そのことを反省しながら2度目のお泊りの日を迎えた私は、何の準備も無い状態で、あろうことか生理になってしまった。
結果的に敦賀さんにすべてを助けられる形となり、そんな私を心配してくれていたのだろう敦賀さんと、なぜか一緒のベッドで寝てしまっていたという夢の時間、もとい破廉恥2回目をあっさりと経験。
そしてさらに翌週。
押しかけた敦賀さんたちのロケ先で爆弾低気圧に見舞われた私たちは、とんでもない風雨に襲われ、それが元で停電が発生し、あろうことか一つの部屋に閉じ込められてしまって、またもや一緒のベッドで寝る・・・という破廉恥3回目を経験した。
しかもこれはそれだけにとどまらなかった。
翌日、私は風邪を引いて寝込んでしまったのだ。
原因は色々あっただろうけれど、敢えてそれは追及しない。しても意味など無いからだ。
問題はその後だった。
だるまやの2階で大人しく寝ていたはずの私が、翌日目を覚ました時はなぜか敦賀さん宅のベッドで、意味不明な状態で4回目の破廉恥を経験してしまったのだ。
一体どういうことなのか。
そもそも一週間に一泊が前提であるのなら、今日が4回目になるはずなのに。私は既に敦賀さんと4度もベッドを共にしているのだ。
・・・・・セツカでいた時ですら別々のベッドを使っていたのに。
途端に顔中の筋肉がニヘラ…と弛緩した。
いけない、イケない、と両手で両頬をぺちぺちと叩く。
ダメなのよ、キョーコ!!!
それが普通だと思い込んではいけないの!!!
だから今日の私はいつも以上に気を引き締めて敦賀さん宅にお邪魔をすると決めたのよ!
・・・でももしかしたら、今回は寝ている場合じゃなくなるかもしれないけれど。
なぜなら今日、私は敦賀さんとほんの少しでもいいから距離を縮めたいと思っているのだ。もちろん破廉恥な意味ではなく。
そうしたい…と思ったきっかけは、つい先日のことだった。
某月某日、25時過ぎ。
それは敦賀さんがだるまやの暖簾をくぐり、大将のご飯を堪能した後に起こった。
「 それだけじゃ足りんだろ。この煮物も食うか? 」
「 え? 」
「 和え物もある。白和えとごま和え、どっちが好きだ? 」
敦賀さんは小食だと
大将にも事前にそのことを説明しておいたはずなのに
大将はお膳を食べ終わった敦賀さんに更にこまごまと料理を出し続け、出された敦賀さんは笑顔を崩さずそれらをひたすら食べ続けた。
それもやがて終わりを迎えた25時53分。
大将と仲が良い理髪店のおじちゃんが暖簾をくぐった。
あ、訂正。
暖簾はもう片付けてあったので、正確に言うとおじちゃんがお店に入って来ただけなのだけど。
実はこの理髪店のおじちゃん、敦賀さんと並んでも背丈だけなら引けを取らない良いガタイで、だるまやはお酒も提供するので時々深酒が過ぎてガラが悪くなるお客さんがいたりして、だから営業時間を過ぎていつまでもお店の電気が点いていたりすると、こうしておじちゃんがお店に顔を出してくれるのだ。
つまり、自発的な用心棒みたいな・・・?
・・で、気さくに店内に入って来たおじちゃんは、満腹過ぎて身動きが取れなくなり、テーブルに懐いていた敦賀さんに視線を投げると足早に敦賀さんに近づいた。
にゅう・・・っと手を出し、敦賀さんの髪を鷲掴みにする。
強引に頭を引き上げられた敦賀さんはとても意表を突かれた顔をしていた。
「 なんだ、なんだ?まだ電気が点いているから何事かと思いきや、コイツが飲んだくれて居座ってんのか? 」
「 …え……? 」
「 ちょっと、やめておくれ~~~!! 」
「 おじちゃん、やめてぇぇ!!違う!この人は違うの!! 」
「 ん?コイツは飲んだくれじゃないのか?・・・っていうか、なんだ、どこかで見た顔だな。はて、どこでだっけ? 」
「 ・・・・・・こんばんは。敦賀蓮です 」
「 ・・・っっ!! 」
たぶん、よっぽど仰天したんだと思う。
おじちゃんは敦賀さんを掴んでいた手をパッと開くと、一気に二、三歩退いた。
「 つつつつつ敦賀蓮!!知っとるわ!確かにその顔だ! 」
「 あ、ほんとですか。ありがとうございます 」
「 なんだよ、大将!!敦賀蓮が来るなんてスゲーな、だるまや!! 」
「 ・・・・・・そいつの先輩なんだとよ 」
「 あ、へー、キョーコちゃんの・・・ 」
おじちゃんは苦笑いをしていたけれど、私はいたたまれなかった。
敦賀さんが鷲掴みにされた瞬間、私の心臓が握りつぶされた気分だった・・・。
もちろんこの後おじちゃんは敦賀さんに頭を下げてくれたのだけど、そのままお店に居てもらうのも気が引けて、まだ満腹だろう大先輩を私は私の部屋に招いた。
おかみさんもそうしてあげておくれ、と言ってくれたし。
「 どうぞ 」
「 お邪魔します。・・・・・・ 」
・・・って、なぜそこで立ち止まるんですか。
あなたの家と比べたら見回すほどでもないこの部屋で…。
あれ?敦賀さんってば、いったい何を見て?
あっ!!ポスター、貼ってあったままだった!!
「 最上さん 」
「 はははははいっ! 」
「 俺、実は今日、君にプレゼントを持って来たんだ 」
「 ぷぷぷプレゼントですか? 」
「 なに?そんな笑うほどおかしい? 」
「 おかしくないです!笑ってないです! 」
「 クス。そう、別にいいけど。受け取ってもらえるかな? 」
「 はい、もちろんでございます!一体なんでございましょう?! 」
「 良かった。じゃ、俺が貼ってあげるね 」
「 は・・・? 」
貼る、とは?
敦賀さんは私の部屋を一瞥すると、セロハンテープを手に取った。
そして持参してくれたとびきり大きなポスターを
雑誌から切り取ったショータローと敦賀さんのとじ込みポスターの上に貼り付けた。
・・・・・っていうか、なんですか、このポスターっ!!
敦賀さんの直筆サインが入ってるぅぅぅ、超貴重!!!
「 敦賀さん、これ… 」
「 非売品だから君にあげる 」
非売品だから?…って理由になる?っっっ、ダメ、危険!!
顔が今にも崩壊しそう!!
ダメよ、キョーコ。顔面は変えちゃダメ!
命にかえても死守するのよ!!
「 さて、目的も果たせたことだし、俺はこれで失礼するよ 」
「 え? 」
まだ部屋に来て1分も経っていないのに?
「 ・・・・・君がウォーキングの教えを乞おうと俺を待ち伏せしていた時とは状況が違うからね。長居は出来ない 」
「 はぐっ!! 」
「 …来週、また来るんだろ? 」
それは、4度目のお泊りの約束。
「 はい、よろしくお願いします 」
「 分かった。大丈夫、ちゃんと予定しているよ 」
「 えへへ。・・・・・・あっ、敦賀さん。そこまでお見送りします!! 」
「 ありがとう 」
敦賀さんから笑顔のありがとうを聞いたあと、階下に降りると、おじちゃんと大将が居間で話をしているのが聞こえた。
「 ・・・例えば手巻き寿司だ。巻き寿司ってのは、海苔、飯、具材で3つの層になっているだろ 」
「 おう 」
「 んでよ… 」
その内容にメチャクチャ違和感を覚えた。
何故かと言うと、巻き寿司の説明をしていたのは大将ではなく、なぜか理髪店のおじちゃんだったのだ。
でも、たまにはそんな事があってもいいのかもしれない・・・と、私は軽く聞き流した。
「 大将、敦賀さんがお帰りになるそうです 」
「 夜分にお邪魔しました。これで俺は失礼します。大変ご馳走になりました 」
「 ……おう 」
「 さっきは悪かったな!また来てくれや! 」
「 はい、ありがとうございます。気にしていませんのでお気になさらず 」
外に出て、敦賀さんを見送ったあと
私は二人に手招きされた。
「「 帰ったのか? 」」
「 はい、帰りましたけど、何か? 」
「 キョーコちゃん。夜遅いけどちょっといいかい? 」
「 え?????はい、なんでしょう? 」
このあと私は理髪店のおじちゃんから
とても興味深い話を聞かされた。
⇒ニヤリはっとな夜だから・後編 に続く
やっと心の中の執筆順が回って来たこのお話を書くために、前話までをざっくりと読み返しました。…で、あまりにも初期症状の二人だったことに微笑ましい気持ちに(笑)
そうよね。このシリーズが始まったのって、2016年の8月だし。
いつの間に3年の月日が流れていたのね~。お話ではまだひと月も経っていないのに。すごい、原作みたい(笑)
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