いつもありがとうございます、一葉です。(°∀°)b
のんびりのほほん思いつき連載、お届けです。…と言ってもこれは箸休め的なお話なのですが。
実は続きを思いついていたのにずっと野放しにしていて、やっと執筆する気になり、資料をひっくり返したら「尊敬人」のおまけを発掘してしまったのです。
8ヶ月後に届けるとかどんだけだろう…。ま、書いたことすら忘れていたから仕方ないですね(笑)
ちなみにこのシリーズは放置ingしていた間にラストが浮かんだのですが、そこに至るまでの流れがまだ出来ておりません。…ので、ここより一年以内に完結できるようにしたいと考えておりますがどうなるかは未知数です(笑)
元はおまけ話なのですが以降の本編と多少の絡みが出てきますので本編一作としてお届けいたします。
お楽しみいただけたら嬉しいです。
前のお話こちら↓
①ニヤリはっと …キョーコちゃんside
②相宿秒読み …社さんside
③親密な夜長 …蓮くんside
⑤真夜中の揺籃…キョーコちゃんside
⑥尊敬人…蓮くんside
■ 暗中飛躍 ■
敦賀さんのお家にお泊りした翌日。
私の仕事はオフだったので、本来ならだるまやに戻るべき所だったのだけど、ダメもとで伺いを立てたら敦賀さんは快く良いよと言ってくれて、社さんもそれに同意をしてくれたので私は仕事を学ぶという名目で敦賀さん達と一緒に行動していた。
ドラマ撮影の現場はつい見入ってしまったけれど、午後にあった雑誌のインタビューはさすがに敦賀さんのそばに居る訳にもいかず。
某テレビ局のインタビュー用喫茶コーナーから少しだけ遠い位置のテーブルに落ち着いて、私はそこでぼんやりとしていた。
……生理の時はどういう訳だかやたらと眠い。
敦賀さんがインタビューを受ける前。
お二人と一緒に自分も食事を済ませていたのでお腹がいっぱいになっていて、しかもそのとき敦賀さんが薬を用意してくれていて、それを服用したから少しもお腹が痛まないというのもある。
加えて昨夜は夜中に目覚めてしまったから、多少寝不足感が残っていた上に、いま追い打ちをかける様に太陽が私を温めてくれていた。
ポカポカ、ポカポカ、温まる。
……なんか
昨日、敦賀さんに抱き締められて寝入ってしまった時みたい……。
瞼を伏せろ
瞼を伏せろと陽射しが私に囁きかける。
舟をこいでいる自覚はあったような、無かったような…。
インタビュー中に敦賀さんは、恐らく喫茶コーナーで完全に意識を落とそうとしていた私を見つけていたのだと思う。
社さんが言うには、敦賀さんはインタビューが終わると同時に腰を上げ、雑誌社の人達に手早く頭を下げてお礼の言葉を告げるとすぐ踵を返して私に足を向けてくれたらしい。
私を呼ぶ敦賀さんの声が聞こえて、私がうっすらと瞼を開けたとき、敦賀さんは腰を落として私の顔を覗き込んでいた。
「 最上さん。ダメだよ、こんな所で寝たら 」
「 ……ん……はっ!すみません、つい!! 」
「 日が当たって確かに温かいだろうけどね。こんな所で寝るなんて何より無防備すぎるだろ? 」
「 はい、すみません 」
片足の膝を落とし、もう片方の膝を立てている敦賀さんのしゃがみ方は、まるでプロポーズをしようとしている男性の仕草のよう。
いまこんな風にぼんやりとしている私にもそんな素敵な対応なんだ…と考えている間にも敦賀さんの両手が私の方へ伸びて来て、敦賀さんの左手が私の足の上にあった私の右手を掬い、敦賀さんの右手が私の左頬にそっと触れた。
「 ……ごめんね。もしかして昨夜、よく眠れなかった?この前と違って昨日は早めに寝たつもりでいたけど… 」
「 いえっ!!全然!!全然、すっきり寝られましたよ! 」
「 そう?その割には君、夜中にベッドから抜け出ていたね。君がいないことに本気で驚いたんだ、俺は。あれ、寒かったんだっけ? 」
「 違います 」
このとき私はまだどこかぼんやりとしていたから、周囲がザワリと波打っていたことには少しも気付けず、本当に普通の調子でふつうに敦賀さんと会話を続けた。
「 あれは自然と目が覚めて…。寒くなったのはお手洗いに行ったからです 」
「 うん、そうだったね。ホットミルク、美味しかったね? 」
「 はい、おいしかっ…………あっ?!! 」
ハッと我に返って慌てて周囲を見回すと、こんなにも人が居るのに何故か誰もが口を閉ざしていた。
少し離れた場所に佇んでいた社さんは腕組みをして半ば呆れたように目を細めていて、その様子にまた焦った私が勢い敦賀さんの顔に顔を寄せると、なぜか敦賀さんはニヤリと笑って私の額を額で小突いた。
「 敦賀さん…っ!! 」
「 最上さん。インタビュー終わったから移動するよ? 」
刹那、私はバヒュッ!!…と目にも止まらぬ速さで体を起こす。
敦賀さんはクスクス笑っただけだった。
「 いっ……移動… 」
したいです、今すぐ!
バビュンと飛んで消えてしまいたい!!
「 最上さん、どうした?やっと目覚めて元気になった? 」
「 ちがっ 」
どうしてだか分からないけど、こんなにも周りに人が居るのに敦賀さんは少しも動じた様子がなくて、輝かしいほど神々しい笑顔だった。
そんな敦賀さんの前で私はさっきまでの自分の行いを振り返った。
待って!!
私、何を口走っていた?
どうして敦賀さん、平然としているの?!
社さん…社さんは…っ!!
「 蓮。次は別のテレビ局だぞ。行くぞ、ほら。キョーコちゃんも 」
「 はい、行きます。ほら、最上さん、立って 」
「 あうっ?……え?どうして敦賀さんも社さんも……… 」
「 大丈夫だから行くよ 」
「 あの……でも私……っ… 」
業界には、基本的に自分が見聞きしたことをおいそれと第三者に吹聴しない…という暗黙のルールがある。
気軽にそんな事をした日には名誉棄損で訴えられる可能性が十分あるし、それが原因でどこからか圧力がかかりあっという間に職を失う可能性も否めない。
そしてなにより敦賀さんのようなトップ俳優ならなおさら、少しでも吹聴しようものなら逆に責任の所在を追求されかねないという問題も浮上する。賠償問題にまで発展すれば、どれ程の金額が動くかなどもはや想像を絶する。
だから、それは暗黙の了解なのだ。例えばどんなに若輩者に見えたとしても、その裏にどんな後ろ盾があるか分からない。そしてその後ろ盾が大きいほど芸能界では強みになるのだ。
芸能界は力社会。まさしくその通りに。
「 心配しなくても大丈夫だから 」
大丈夫…と敦賀さんが言う以上、本当に大丈夫に違いないのだろうし、社さんも何も言わないからもちろん本当に大丈夫なのだろうと思う。
けれど、暗黙のルールがあったとしても暗躍する噂はある。
一般にまで流れないだけで、芸能業界を駆け抜ける噂と云うのは確かに存在するのだ。
「 でも敦賀さん…… 」
「 心配しなくてもいいよ、本当に 」
私の心配をよそに、敦賀さんは大丈夫を繰り返した。
そしてその言葉通り、この時の私たちの会話が噂として流れることは無く…。
だからきっと、内容を聞き取れた人はいなかったのだろうと私は考えた。
でも、全く噂が流れなかった訳じゃない。
私の前に跪き、額をコツン…と押し当てた敦賀さんの甘い仕草は、間違いなく女性をこれでもかと身悶えさせる満点萌え要素だったのだ。
だからその噂だけが、しばらくのあいだ昼夜を問わず芸能界を暗躍していた。
E N D
え?アノ最中なのにキョーコちゃんはどうして蓮くんと一緒に行動したがったか?
その理由は一葉にも判りまへん(笑)
だって蓮くんとのコツンを書くにはこうするしかなかったんだもん♡
このシリーズはあと5話以内で終わるようにしたいなーと思ってます。
Please do not redistribute without my permission.無断転載禁止
※寄り添いめぐり<前編>に続きます。
◇有限実践組・主要リンク◇