令和4年度 上下水道部門Ⅱ-1-4【開削と非開削】
【問題】Ⅱ-1-4
水道管の布設工事における、開削工法と非開削工法の、それぞれの概要と特徴について述べよ。
【解答例】
1 開削工法の概要と特徴
開削工法は、道路等を掘り下げ、掘削部の底面に管路を設置した後、埋め戻す工法である。一般的な工法で、非開削工法に比べて工事費が安価である。埋設深を浅くすることで、掘削土量が減少し、工事費は安価になるが、車両の通行の影響を受けるため、道路管理者等と協議のうえ、適切な埋設深を確保する。
2 非開削工法の概要と特徴
非開削工法は、立坑等を整備し、そこから土中内に管路を推し進める工法である。交通量が多い道路、幅員が狭い道路、地下埋設物が輻輳している道路等、開削工法では布設が困難な場所で採用する。種類としては推進工法、シールド工法等があり、管路の延長、口径、施工条件等に応じて適切な工法を選択する。
推進工法は、管路の先端に先導体を設置し、掘削、排土又は圧入しながら、ジャッキを用いて1スパンずつ管体を推し進めることで管路を布設する。中小口径の管路を河川、軌道、幹線道路の横断部等において五十~数百m布設する場合に採用する。
シールド工法は、シールドマシンを用いて掘削し、シールドマシン後方の空間にセグメントを設置してトンネルを形成し、その内部に管路を布設する。工事費は推進工法に比べて高い。急曲線の施工を伴う路線や、口径1000mm程度以上の大口径の管路を都市部等において数百~数千m布設する場合に採用する。
【出題された背景や狙い・解答に繋がるポイント】
管路の非開削工法に関する問題は、平成24年度に出題されています。
全国各地で管路の漏水事故やこれに起因した道路陥没事故が発生しており、管路更新のペースアップの必要性が叫ばれています。しかしながら、都市化が進んだ地域では布設ルートの確保や通行止めを伴う道路掘削が困難になっており、容易に工事を行うことができません。このため、管路更新に際して非開削工法を採用する可能性が高まっており、このことが当該テーマの出題された背景になっていると思われます。
この問題は、開削工法と非開削工法の両方の概要を問うものになっていますが、開削工法は極めて一般的な工法であることから、非開削工法について重点的に説明する必要があります。非開削工法は、推進工法、シールド工法があるため、これらの工法について具体的に内容を説明することが、解答を作成する際のポイントになります。
【当該テーマについて上記以外で勉強するべき事柄】
管路の工法としては、開削工法、非開削工法といった埋設配管以外に、水管橋や添架管といった露出配管があります。
このうち水管橋については、令和3年10月、和歌山市において落下事故が発生し、同月、厚生労働省が「水道法第22 条の2に基づく水管橋の維持及び修繕について」を通知し、修繕その他必要な措置を講じることを周知徹底しています。さらに、同年12月には、「全国上水道水管橋緊急調査の結果について」を報告しており、今後、「水道施設の点検を含む維持・修繕のガイドライン」を改訂し、水管橋に関する記述を変更する予定です。
このように、昨今、水管橋が大きくクローズアップされており、今後の試験対策として、当該テーマについて勉強することをお勧めします。具体的には、水管橋の設計時の検討方法、維持管理上の留意点等について内容を整理しておくと良いでしょう。
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