●THE新版画
美術館に行くのが、僕の趣味です。
ひろしま美術館に行ってきました。
今回の特別展はTHE新版画です。
新版画は、明治時代以降の版画です。
江戸時代の北斎や広重の浮世絵と異なり、色合いにコトントラスがあいます。
版画であるにも関わらず、水彩画のように美しいです。
ひろしま美術館は、常設の作品を撮影することができます。
こちらは、クールベ作品です。
それにしても、ひろしま美術館の常設の品揃えはすごいですね。
●かっこいい死に様
『一日一話読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』を読みました
この本のなかで、僕が気に入った話を紹介しています。
今回ご紹介するのは、作家の山田風太郎さんの話です。
山田風太郎さんは、冒頭でこんなことを言っています。
「人は死に直面すると、多くは悔いが残り、恨み言が出るようです。
こうした中でも、私が好きな死に様をした人物がいます。
弟子にみとられ静かな死を遂げた松尾芭蕉がその人です。」
松尾芭蕉は、江戸時代の俳人ですね。
俳句の神様のような存在です。
松尾芭蕉の最期ですが、旅先で体調を崩して、病床に就いて、そのまま亡くなったそうです。
死を覚悟したとき、芭蕉はお弟子さんに頼んで、湯で身体を拭いてもらいます。
布団と寝間着を新しいものに交換してもらいます。
きれいな身体になった後、涙を浮かべて、こう言ったそうです。
「一生旅で過ごし、草を敷き、土を枕にして死ぬ自分と覚悟していた。
でも、こんな立派な布団の上で、大勢の人々に付き添われて死ぬとは、冥加につきる。」
これは、かっこいいですね。
病気でしんどいのに、こうした言葉が口から出るなんて、人格者ですよね。
それから、芭蕉は、病気になっても、毎日、毎日、俳句を詠んだそうです。
以下のよう句を詠んだそうです。
「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」
これも、かっこいいですね。
松尾芭蕉と言えば、『奥の細道』が有名です。
この作品は、芭蕉が、半年かけて東北や北陸を歩いて旅をしながら、作った俳句を綴ったものです。
この作品を書き上げた後も、松尾芭蕉は旅をします。
当時の旅は、現在の旅行と異なり、命懸けだったそうです。
金銭を狙う野盗もいたでしょうし、熊やイノシシもいたでしょう。
いつ死んでもおかしくない状況で、美しい俳句を作っていたわけです。
死について達観していたと思います。
だからこそ、静かな死を迎えることができたのだと思います。
山田風太郎さんは、最後に、こう言っています。
「芭蕉は、自分が生きることそのものに価値があったのではなく、死を覚悟して俳句を読むことに命をかけたのだと思います。」
有名作家であるにも関わらず、最後の最期まで、ご自分の話をせず、松尾芭蕉を称える話だけを書かれていました。
松尾芭蕉さんも、山田風太郎さんも、お二人ともかっこいいですね。
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