3.2 試験問題の把握
●最初にやるべきこと
資格試験の勉強で最初にやるべきことは何か?
それは、過去問の入手です。
高校生の頃の勉強は、教科書の内容を理解して、様々な問題を解きます。
模擬試験の結果と学校の偏差値から合格できる可能性を把握し、受験する大学を決めます。
最後に受験する大学の赤本(過去問)を確認します。
この方法は効率的ではありません。大学によって出題方式も出題される範囲も異なります。
このため、志望大学の出題傾向にあわせた勉強をするべきです。
つまり、志望大学の過去問を中心に勉強した方が、合格する確率がアップするわけです。
ところが、大学は複数存在します。
このため、志望大学が決まるまでは、様々な大学の問題を解くことになります。
志望大学が明確になった後、大量の過去問と対峙することになります。
志望大学への対策が不十分なまま受験することになります。
一方、資格試験の場合、その資格のみがターゲットです。
このため、最初に過去問を入手して、過去問中心の勉強をすれば良いのです。
過去問の問題文と解答例を読んで、合格するためにどれくらいの知識が必要なのか見極めます。
過去問の解答例を読んで、書かれている内容が、設計指針等の参考文献のどこに記されているか調べます。
問題文と解答例と参考文献を見比べながら、出題されたテーマについて理解を深めます。
この流れが、資格試験の勉強の基本になります。
また、過去問を読むことにより、出題傾向を把握することができます。
出題傾向が高いテーマは、重要だからこそ繰り返し出題されているわけです。
こうしたテーマを重点的に勉強することで、合格に近づくことができます。
過去問は、資格試験の勉強をする上で必要不可欠な資料です。
このため、資格試験の勉強で最初にやるべきことは、過去問の入手になるわけです。
●問題文の3要素
技術士試験の問題文は、以下の3つの要素で構成されています。
①テーマ
②キーワード
③記述内容
例えば、以下のような問題があったとします。
管路の維持管理において、漏水調査の方法を列記し、実施時の留意点を述べよ。
この問題の場合、①テーマは「管路(維持管理)」、②キーワードは「漏水調査」、③記述内容は「方法と実施時の留意点」になります。
●テーマについて
水道分野で出題された問題をまとめると、数多くのテーマが存在することがわかります。
水道分野のテーマを大別すると、浄水と給配水に分類できます。
浄水は、取水、凝集沈殿処理、高度浄水処理、ろ過処理、消毒処理等があります。
給配水は、管路、配水池、給水装置等があります。
また、業務内容という観点で考えると、設計、維持管理、水質管理等のテーマがありますし、目的という観点で考えると、災害事故対策、地球温暖化対策、水循環対策、事業の基盤強化等のテーマがあります。
過去問をテーマ別で整理したものが下表です。
こうした作業をすると、毎年のように出題されるテーマもあれば、ほとんど出題されないテーマもあることが解ります。
出題頻度が高いということは、重要であることを意味します。
このため、全体としてどのようなテーマが存在するのか確認した上で、出題頻度が高いテーマについて重点的に勉強することが重要になります。
●キーワードについて
キーワードは、テーマを細かく分類したものです。
施設を構成するパーツや業務の工程や種類等がキーワードになります。
1つのテーマに対して3~5項目程度のキーワードが存在します。
例えば、管路(維持管理)の場合は、漏水防止、有効率向上、電食防止、水管橋の維持点検、機能診断等のキーワードがあります。
●記述内容について
記述内容は、テーマ、キーワードについて述べる内容です。
例えば、導入時の効果や実施時の留意点等です。
R1年度以降の二次試験は、下表のような記述内容になっています。
選択Ⅱ-1は、問題文が1つです。定型的な記述内容はありません。
選択Ⅱ-2、選択Ⅲは問題文が3つ、必須Ⅰは問題文が4つあります。定型的な記述内容になっています。
選択Ⅱ-2の記述内容は、①調査・検討事項、②手順・留意点・工夫点、③関係者との調整方策です。
選択Ⅱ-2は、テーマ、キーワードに関わる設計業務や基本検討業務の内容を問うものです。
選択Ⅲの記述内容は、①複数の課題と観点、②重要課題と解決策、③解決策のリスクと対策です。
必須Ⅰの記述内容は、選択Ⅲの①~③に④倫理と社会持続性を追加したものです。
選択Ⅲと必須Ⅰは、テーマ全体に関する課題を問うものです。
●課題とは
必須Ⅰと選択Ⅲ、問題文の中に、重要課題と解決策という文言があります。
課題とは、目標と現状との間に存在する差(ギャップ)です
。目標と現状が同じレベルであれば課題は存在しません。
目標があるからこそ、取り組むべき課題が存在するわけです。
つまり、目標を知ることができれば、課題を知ることができるわけです。
技術部門、専門分野の課題を知るためには、その部門、その専門分野の全体の目標を理解しておけばいいわけです。
技術部門、専門分野における全体の目標とは何でしょうか?
それは、国が掲げている施策です。
水道なら新水道ビジョン、下水道なら新下水道ビジョン、新下水道ビジョン加速度戦略です。
つまり、必須Ⅰと選択Ⅲの課題を知るには、その部門のビジョンを読み込めばいいわけです。
また、解決策についても、ビジョンが重要になります。ビジョンに書いてある取組内容が課題の解決策です。
これを記せばいいのです。
上下水道のビジョンについては、国のホームページにアップされています。
必ず、確認してください。
新水道ビジョン(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/newvision/newvision-all.pdf
新下水道ビジョン2100(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/04/040902_2/02.pdf
新下水道ビジョン加速度戦略
https://www.mlit.go.jp/common/001197678.pdf
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●二次試験の過去問と解答例
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●口頭試験について
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