技術士合格法(3.2 試験問題の把握)(R6.3.7更新) | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

3.2 試験問題の把握

 

 

●最初にやるべきこと

資格試験の勉強で最初にやるべきことは何か?

 

それは、過去問の入手です。

 

高校生の頃の勉強は、教科書の内容を理解して、様々な問題を解きます。

模擬試験の結果と学校の偏差値から合格できる可能性を把握し、受験する大学を決めます。

最後に受験する大学の赤本(過去問)を確認します。

この方法は効率的ではありません。大学によって出題方式も出題される範囲も異なります。

このため、志望大学の出題傾向にあわせた勉強をするべきです。

つまり、志望大学の過去問を中心に勉強した方が、合格する確率がアップするわけです。

ところが、大学は複数存在します。

このため、志望大学が決まるまでは、様々な大学の問題を解くことになります。

志望大学が明確になった後、大量の過去問と対峙することになります。

志望大学への対策が不十分なまま受験することになります。

一方、資格試験の場合、その資格のみがターゲットです。

このため、最初に過去問を入手して、過去問中心の勉強をすれば良いのです。

過去問の問題文と解答例を読んで、合格するためにどれくらいの知識が必要なのか見極めます。

過去問の解答例を読んで、書かれている内容が、設計指針等の参考文献のどこに記されているか調べます。

問題文と解答例と参考文献を見比べながら、出題されたテーマについて理解を深めます。

この流れが、資格試験の勉強の基本になります。

また、過去問を読むことにより、出題傾向を把握することができます。

出題傾向が高いテーマは、重要だからこそ繰り返し出題されているわけです。

こうしたテーマを重点的に勉強することで、合格に近づくことができます。

過去問は、資格試験の勉強をする上で必要不可欠な資料です。

 

このため、資格試験の勉強で最初にやるべきことは、過去問の入手になるわけです。

 

 

●問題文の3要素

技術士試験の問題文は、以下の3つの要素で構成されています。

 

①テーマ

②キーワード

③記述内容

 

例えば、以下のような問題があったとします。

 

管路の維持管理において、漏水調査の方法を列記し、実施時の留意点を述べよ。

 

この問題の場合、①テーマは「管路(維持管理)」、②キーワードは「漏水調査」、③記述内容は「方法と実施時の留意点」になります。

 

 

●テーマについて

水道分野で出題された問題をまとめると、数多くのテーマが存在することがわかります。

水道分野のテーマを大別すると、浄水と給配水に分類できます。

浄水は、取水、凝集沈殿処理、高度浄水処理、ろ過処理、消毒処理等があります。

給配水は、管路、配水池、給水装置等があります。

また、業務内容という観点で考えると、設計、維持管理、水質管理等のテーマがありますし、目的という観点で考えると、災害事故対策、地球温暖化対策、水循環対策、事業の基盤強化等のテーマがあります。

過去問をテーマ別で整理したものが下表です。

こうした作業をすると、毎年のように出題されるテーマもあれば、ほとんど出題されないテーマもあることが解ります。

出題頻度が高いということは、重要であることを意味します。

このため、全体としてどのようなテーマが存在するのか確認した上で、出題頻度が高いテーマについて重点的に勉強することが重要になります。

 

 

●キーワードについて

キーワードは、テーマを細かく分類したものです。

施設を構成するパーツや業務の工程や種類等がキーワードになります。

1つのテーマに対して3~5項目程度のキーワードが存在します。

例えば、管路(維持管理)の場合は、漏水防止、有効率向上、電食防止、水管橋の維持点検、機能診断等のキーワードがあります。

 

●記述内容について

記述内容は、テーマ、キーワードについて述べる内容です。

例えば、導入時の効果や実施時の留意点等です。

R1年度以降の二次試験は、下表のような記述内容になっています。

選択Ⅱ-1は、問題文が1つです。定型的な記述内容はありません。

選択Ⅱ-2、選択Ⅲは問題文が3つ、必須Ⅰは問題文が4つあります。定型的な記述内容になっています。

選択Ⅱ-2の記述内容は、①調査・検討事項、②手順・留意点・工夫点、③関係者との調整方策です。

選択Ⅱ-2は、テーマ、キーワードに関わる設計業務や基本検討業務の内容を問うものです。

選択Ⅲの記述内容は、①複数の課題と観点、②重要課題と解決策、③解決策のリスクと対策です。

必須Ⅰの記述内容は、選択Ⅲの①~③に④倫理と社会持続性を追加したものです。

選択Ⅲと必須Ⅰは、テーマ全体に関する課題を問うものです。

 

 

●課題とは

必須Ⅰと選択Ⅲ、問題文の中に、重要課題と解決策という文言があります。

課題とは、目標と現状との間に存在する差(ギャップ)です

。目標と現状が同じレベルであれば課題は存在しません。

目標があるからこそ、取り組むべき課題が存在するわけです。

 

つまり、目標を知ることができれば、課題を知ることができるわけです。

 

技術部門、専門分野の課題を知るためには、その部門、その専門分野の全体の目標を理解しておけばいいわけです。

技術部門、専門分野における全体の目標とは何でしょうか?

 

それは、国が掲げている施策す。

 

水道なら新水道ビジョン、下水道なら新下水道ビジョン、新下水道ビジョン加速度戦略です。

つまり、必須Ⅰと選択Ⅲの課題を知るには、その部門のビジョンを読み込めばいいわけです。

また、解決策についても、ビジョンが重要になります。ビジョンに書いてある取組内容が課題の解決策です。

これを記せばいいのです。

上下水道のビジョンについては、国のホームページにアップされています。

必ず、確認してください。

 

新水道ビジョン(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/newvision/newvision-all.pdf

新下水道ビジョン2100(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/04/040902_2/02.pdf

新下水道ビジョン加速度戦略

https://www.mlit.go.jp/common/001197678.pdf

 

 

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●二次試験の過去問と解答例

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●口頭試験について

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