新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性があるテーマ、継続研鑚の観点から勉強するべきテーマについて解説をしたいと思います。
今回は6月11日付けの『水道産業新聞』からです。テーマは「海底菅」です。
概要は以下のとおりです。
『A―MARINE」が始動/海底送・配水管の事例集作成へ/
水道技術研究センター(JWRC)は5月26日、「海底送・
http://www.suidou.co.jp/200611.htm
●海底管の種類
海底管は、文字通り、海底に布設した管路です。
島しょ部に給水するため、本土から管路を延伸したものです。
管路の種類としては、鋼管が最も多いです。
ダクタイル鋳鉄管がダメというわけではないのですが、
その理由ですが、鋼管は、
管路全体で剛性、耐震性を確保できます。
ダクタイル鋳鉄管よりも軽量化を図ることができる点で有利です。
軽量化が重宝される理由ですが、陸地で、管路を布設する場合、数mの管路を吊り下げて、
しかし、海底管の場合、水中こうした作業をすることができません。
このため、船上で接合して、管路を海底に沈めることになります。
この場合、当然、管路が軽い方が良いです。施工しやすいです。
こうしたことから、海底管の場合、ダクタイル鋳鉄管ではなく、
ちなみに、ポリエチレン管も耐震性を確保でき、
海底管として採用することも可能です。
●工法の種類
海底管の布設は、
まずは、少しずつ配管する方法です。それが①布設船法です。
この方法は、船上で配管を接合して、海底に沈め、
次に、1本に接合した配管を海底に沈める方法は2つあります。②
まず、②海底曳航法ですが、この方法は、
次に、③浮遊曳航法ですが、この方法は、
海底管の布設工法は、①布設船法、②海底曳航法、
海底菅の布設工法について、詳しくはこちらをどうぞ。
http://www.jwrc-net.or.jp/kenshuu-koushuu/handout/kaitei_sohaisui.html
●事前調査
海底菅を布設する場合、以下のようなことを調査する必要があります。
①海面(潮流の方向、流速、波長)
②気象(天候、水温)
③海底の状況(水深、海底の起伏、表層、地質、埋設物の有無)
④両岸の状況(地形、道路状況)
⑤漁業関係
⑥海上交通関係
さらに、設計上、波力、水圧、土圧、浮力等の外力を考慮するべきです。
海中にはさまざまな動植物が生息しています。
管路表面への付着物は、管路の腐食につながります。
また、船も渡航します。船がいかりを下ろしたまま運航した場合、
このため、外面に、モルタルライニングを施すこともあります。
さらに、こうした影響を回避するため、海底の砂を数メートル掘削して、
ただし、海流により埋設した砂が巻き上げられることがあります。
また、大型の船がいかりを下ろしたまま運航した場合、折損事故が発生した事例があります。
水中での溶接も可能性ですが、陸地のように簡単にはいきません。
専門技術を有するダイバーへの依頼が必要ですから、相当苦労することになります。
このため、定期的に海底菅の埋設状況を点検する必要があります。
また、金属管を使う場合、電食にも注意が必要です。電食防止装置を設置する必要があります。
●島しょ部への給水
島しょ部において、水道水を確保する方法は、以下の5つです。
①島で水源と浄水場を確保して給水
②給水船で運搬して配水池に充水して給水
③橋梁に添架管
④シールド工法
⑤海底管
小さな島の場合、浄水場を建設しても、それは小規模になります。
また、海水の遡上や枯渇により、河川や井戸の安全性、
船は、海上の状況によっては、運航しない場合があります。給水の確実性が低いです。
そこで、本土の浄水場から送水する方法が必要になってきます。
最も一般的なのは、橋梁への添架管です。
管路の点検もできますし、補修・塗装もできます。
比較的安価です。
ただし、その島に橋がかかっていることが前提になります。
島まで距離があり、橋がかけられていない場合は無理です。
それから、シールド工法ですが、海底のレベルより、
このため、
施設整備費が高くなります。
それから、管路が大量に布設された1970~80年代、
このため、比較的安価な海底管の布設が主流だったわけです。
●技術士試験対策
技術士試験、上水道及び工業用水道科目で、管路についてこれまでに出題されたことのない論点があります。
以下の4つです。
・可とう管
・既設管内布設工法
・不断水工法
・海底菅
海底菅について研究が始まったということは、出題される可能性が高くなってきています。
今年はどうかわかりませんが、来年、再来年は、要チェックですね。
●前回の【技術士対策】
●必須科目対策に必要な下水道の基礎
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