二ツ箭山(709m) 福島県
日程:2019年5月11日
天気:晴
行程:根本登山口6:10→7:00〆張場→8:08男体山8:15→8:35女体山8:40→8:58山頂9:34→9:47月山→10:50根本登山口
■駐車場(約50台)/トイレあり(循環式)/登山ポストあり
≪女体山からの男体山の眺望≫
こんばんは。ひつぞうです。屋久島の豪雨他人事ではないですね。●年に一度という表現が常態化して、天候予測の重要性が年々増している気がします。五月の二週目は福島県の岩山に日帰りで出掛けました。詳しくはいつもの山行記録で!
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【二ツ箭山(周回ルート)】
東北の山に傾倒し始めたきっかけは、山と渓谷社刊『東北百名山』だった。東北山岳写真家集団による魅惑的な文章とダイナミックな写真は、日本アルプスとはまた違う山の魅力を存分に表していた。
その巻末を飾るのが二ツ箭山(ふたつやさん)だった。まず読めない。辞書をひくと「箭」とは矢竹の意とある。つまり天を突く二つ矢を戴く山ということだ。なるほど、写真で見ると五葉松に囲まれた岩峰がふたつ、穏やかな里山から突き出している。
出羽三山神社の修行堂もあったというから、元々修験の山なのだろう。短い距離ながら複数のコースが用意されている。五箇所の登山口の中から、2004年に整備された無人循環型トイレつき駐車場がある根本登山口を選び、変化に富んだ沢コースから入山。〆張場からは岩場コースに進路を変え、男体山、女体山の二つの岩峰を極め、三角点山頂で大休止。月山から林間コースを抜けて根本登山口に周回する展開とした(上の模式図には新しい林間コースは記されていない)。
正味四時間程度のショートコースだが、岩峰の鎖場は混むと面倒なので早出することにした。午前五時半に駐車場到着。当然車は一台もない(笑)。けたたましい雄鶏の鬨の声に福島の里山の長閑さを感じつつ登山道を歩いていく。
中央奥が山頂で、左の稜線に並ぶ岩が男体山と女体山だ。
歩き始めて間もなく登山口の標識が現れる。まだ全然矢筈岳での疲れが抜けていないが、天気の好い日は無理してでも登る。それが我が家の習わし。
「知らんよ。そんな習わし」
そして最初の分岐。左が沢コース。右が林間コース。足裏の疲労を考えておサルはスニーカー。足に馴染んでいればそれでも十分OK。
更に尾根コースと沢コースの分岐がすぐに現れる。ここは是非とも沢コース。変化があって面白いらしい。
分岐のすぐ奥に御滝が祀られていた。
「なんか道がなくなったにゃ」
おサルそっちじゃないよ。登山道は左側に整備されている。
いよいよ鎖場。まだまだ楽勝。
南斜面を登り詰めているけど、日差しが入りづらいと見えて薄暗い。一帯は花崗岩から成っている。苔むした場所は足場が悪い。転倒に充分配慮しよう。たぶんここが「滑り岩」と呼ばれる場所だ。
「まじ滑る~💦」
低山とは思えないスケールでしょ?
「なにか見えてきたよ」
ここが〆張場だね。尾根(岩場)コースと沢コースの分岐点だ。いずれもこの先急登になる。
この一枚岩かなり滑る!皆が歩いているから摩擦力が無くなっているんだな。
水場もしっかり出ていた。
急登でどっと汗が湧き出てくる。一段落するとしよう。
四月はアカヤシオ、五月はシロヤシオが咲き乱れる花の山。福島県はツツジの名山が多い。残念ながらアカヤシオは終わっていた。あわよくばと期待していたんだけど。その代わりヤマツツジが見頃だった。
一服したら岩場コースへ。たいした距離もなく、すぐに合流するけど。
こんな感じのゴロゴロした巨岩が積み重なっていた。
一般コースに復帰すると暫く地味な巻き道。虫が多くなってきたね。蚊取り線香の出番だ。この先に核心部のひとつ40mの鎖場と一般道の分岐がある。迷うことなく前者を選択。
ほほ~。けっこうあるね。先端部分は下から見えないよ。
早出して正解だった。誰にも越される心配はないし、逆回りのハイカーもいない。おサルは鎖場の離合が殊のほか苦手だから。40m登り詰めると再び一般コースと合流するが、男体山の取りつきは一般コースを少し戻った場所なので注意しよう。
まずはおサルから。頑張れよー!なんかへどもどしてるね。大丈夫か~?
「いいよう!」
では僕の番だ。
あれ?結構難しい。スタンスが微妙に離れている。しかも鎖が付いているルンゼはだんだん狭くなり、最後は少しかぶり気味に。これは肥満している人にはツラいね…。
「申し分なく当て嵌まっているにゃ」
「登ったど~!」
平たい山頂はそこそこ広い。でもハイカーが矢継ぎ早に登ってくるとえらい事になりそう。
すごい絶景だよ。ずっと晴れ間を狙って待ってきた甲斐があったよ。
おサル落ちないでね。
帰路経由する月山といわき市内の眺望。少しこの日は霞んでいた。
気がつくと男体山はパスしたのか、一人の女性が女体山の岩壁と格闘中。そろそろ僕らも行こうか。
思った通りくだりは結構怖かった。
コルに戻って登り返し。女体山の岩場は遠目に見るほど難しくない。
幾つか尖峰があるため、クライミングのゲレンデとしても利用されている。御神体にボルトを打ち込む行為は…どうなんでしょう。
女体山に着いた。
こっちは高度感がないのでビギナーでも安心。
さっきいた場所ですね。
こちらには同定盤が設置してある。
あの左先が山頂だ。手前中央に見える尖峰が足尾山。今回も急遽変更して決めた山だったので詳しく調査できず仕舞い。なのでこの時は足尾山がどこか判らなかった。(いつの間にか巻いたみたい。勿体ないことした。)
同定盤の下に真新しい祠とベンチもあった。休憩できるけどなにぶん狭い。ゆっくりしていると渋滞しそうなので先に進むことに。いよいよ人の声が聞こえてきた。
最後の鎖場をくだり…
抱き岩を支え…
樹林を越えると…
四等三角点の山頂に到着!眺望ゼロだけど、ここで大休止するとしよう。誰にも逢わず二人だけの時間を過ごすことができた。低山はやはり静かな方がいい。
実は今回でサルヒツ登山300回記念の山行だった。連休明けの激務を割いての登山だったので、垂れ幕など記念グッズは作る暇なし。記念登山にしては地味だった(笑)。
下山は月山経由で尾根くだり。
月山到着。ちなみに二ツ箭山もかつては女人禁制だったそうだ。
途中に素晴らしい展望台があった。
ほら。ズームしてみよう。
こうしてみると嶮しい山だよね。リハビリにはちょうど良い距離だったよ。
「むひ~。ここは何にも見えんにゃ!」
あとはひたすら降っていけば登山口にたどりつく。
予想どおり駐車場はほぼ満車だった。福島県では人気の山だった。
麓から眺めると、変哲のない里山の風情だが、入山してみれば想像もしない世界が待っている。山は奥深い。一つとして同じものはない。
せっかくここまで来たのだ。二ツ箭山ゆかりの人物の足跡をたどって、翌日もう一座狙うことにした。
(続く)
【行動時間】 3時間52分
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